国際的な取り組み

国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)

背景

熱帯の浅海域では、色とりどりのサンゴや魚たちが棲む「サンゴ礁」を見ることができます。日本でも、琉球列島を中心に南の海に広く分布しています。

サンゴ礁は、熱帯雨林とならび、地球上で最も生物多様性が高い場所の一つです。サンゴ礁生態系は、海産資源、観光、娯楽、景観、沿岸保護など、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれていて、熱帯の沿岸域に住む人々の生活を支えています。そのため、サンゴ礁の存在は、貴重な生態系としてだけでなく、その国や地域全体において、経済的、社会的、および文化的にも非常に重要です。サンゴ礁は熱帯の沿岸域の多くの人々の生活を維持するための重要なシステムになっているのです。

現在、サンゴ礁は様々な要因によって世界的に衰退傾向にあり、特に人口密集地近くで深刻です。そして、世界中の58%ものサンゴ礁が過度の衰退か、あるいは危機に直面していると推定されています(Reefs at Risk, 1998)。もしこのような事態が今後も続くと、今世紀中に世界中のサンゴ礁の資源の大半が失われる可能性があると指摘されています。

サンゴ礁およびその資源のこのような衰退が続くと、それらを利用する人々の間で軋轢が生じ、環境や食料の安全保障をも脅かすことになりかねません。

ICRIとは

ICRIは、サンゴ礁の持続的利用と保全に関わる全ての関係者が対等な協力関係のもとで集い議論することができる、ユニークな環境国際パートナーシップです。メンバーは、数々の国際および地域のワークショップなどを通して、熱帯のサンゴ礁および関連資源を保全するための最適な方法を検討し、それを実行に移しています。

ICRIはボランティアベースのパートナーシップで、メンバー国の持ち回りで2年ごとに交代する事務局によって運営されています。近年では、途上国の意見をより反映させていくという観点から、途上国と先進国が共同で事務局を引き受けており、2005年7月~2007年6月の2年間は、日本とパラオ共和国が事務局を務めました。また、2014年~2015年の2年間は、日本とタイ王国が事務局を務めました。

事務局は、「ICRI総会」を年1~2回開催・運営して、国際的なサンゴ礁保全・管理についての指針を策定すること、そしてその方針を各国で実行するための支援を行うことなどを通じて、世界のサンゴ礁保全・管理をリードすることが求められています。

またICRIは、「公式ホームページ(ICRIForum)」を運営しています。ICRIForumは、ICRIに関する全ての情報発信や交換、公式文書(総会議事録や決議文書など)の保管などの役割を果たしています。

ICRIの枠組みの下にある国際的ネットワーク

国際サンゴ礁行動ネットワーク 地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク