地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)
背景
地球規模のサンゴ礁モニタリングは、1994年にICRIの設立がアナウンスされた際の主要議題でした。また、1995年にはICRIで「行動の呼びかけ [PDF 20KB]」と「行動の枠組み [PDF 36KB]」が採択され、より効果的な管理のために、各国においてサンゴ礁の研究やモニタリングが奨励されました。
それらの動きを受けて、1995年に、政府間海洋委員会-国連教育科学文化機関(IOC-UNESCO)、国連環境計画(UNEP)、国際自然保護連合(IUCN)、世界銀行(The World Bank)、生物多様性条約(CBD)事務局が共同で出資して地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(Global Coral Reef Monitoring Network: GCRMN(外部リンク))が設立されました。現在、GCRMNはUNEP、IUCN等により運営されています。
目的
GCRMNは、サンゴ礁の現状とその変化の傾向、および人々がサンゴ礁の資源をどのように利用してきたかを把握することによって、サンゴ礁の管理を改善し持続的な保全を実現することを目的としています。GCRMNはこれを実現するために、各国や各地域の既存の機関をつないで国際的なネットワークを構築し、その枠組み内において、それぞれのサンゴ礁の現状を調査して把握するための能力開発や情報提供を行っています。
具体的な目的は
- サンゴ礁の管理
- 地域ネットワーク内において、既存の機関や人員によって、各地のサンゴ礁の生態学的および社会・文化・経済的な側面を調査する。
- サンゴ礁の現状と傾向を把握し、それらの要因が自然要因(気象要因など)なのか人為的要因なのかを特定できるような効果的なモニタリングプログラムを提供することによって、各地における既存の調査能力の強化・向上を図る。
- 地球規模、地域および地方の各レベルにおけるサンゴ礁の現状と傾向に関する調査結果を、2年に1回発行する「世界のサンゴ礁の現況報告書」(Status of Coral Reefs of the World, AIMS)を世界中に配信し、各国の環境保全機関などがサンゴ礁の持続的な利用と保全に役立ててもらえるようにする。
GCRMNの仕組み
GCRMNは、世界中の地域に設置された、その地域をまとめている地域拠点(node)のネットワークによって構成されています。これらの地域拠点は、既存のサンゴ礁モニタリングプログラムや活動も実施しています。地域拠点は、地域内におけるトレーニング、モニタリング、問題解決、データ分析などを協力しながら調整したり、参加国のデータを取りまとめて報告したりする役割を担っています。
これらの地域拠点は、さらに、IUCNに拠点を置くGCRMNのグローバル・コーディネーターによって取りまとめられています。グローバル・コーディネーターは、国際会合において地域全体を代表して発表したり、2年に1回出版されている「世界のサンゴ礁の現況報告書」を作成しています。
地域区分
GCRMNでは、環境や文化特性によって、世界のサンゴ礁の地域区分を以下のように分けています(図1)。
- 中近東地域(Middle East)
- 南西インド洋島嶼地域(South-west Indian Ocean Islands)
- 東アフリカ地域(Eastern Africa)
- 南アジア地域(South Asia)
- 東アジア地域(East Asia)
- オーストラリア・パプアニューギニア地域(Australia and Papua New Guinea)
- 太平洋地域(Pacific)
- 東南・中央太平洋(ポリネシア)地域(SE and Central Pacific -- “Polynesia Mana”)
- ミクロネシア地域(Micronesia -- “MAREPAC”)
- ハワイ諸島地域(Hawaiian Islands)
- 米国カリブ海地域(U.S. Caribbean)
- 北カリブ海・大西洋地域(Northern Caribbean and Atlantic)
- 北中央アメリカ地域(North Central America)
- 東カリブ海地域(Southern Tropical America)
- 南熱帯アメリカ地域(Southern Tropical America)
これまでの成果