環境省
VOLUME.69
2019年2・3月号

第2特集 ECO SEARCH【今月の検索ワード】花粉症

体内に入った花粉によって引き起こされるアレルギー疾患

花粉症は、樹木や草本の花粉が原因となって、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどさまざまなアレルギー症状を引き起こす病気です。こうした症状の予防・緩和のためには、薬の力に頼るだけでなく、花粉症についての正しい知識をもつことが大切です。

STRUCTURE

花粉症の仕組み

 細菌などの異物(抗原)が身体に侵入してくると、人間の体内ではそれを無害化するために働く「抗体」と呼ばれる物質が作られます。基本的に抗体は人体に有害な物質を攻撃し健康を守る役目を担っていますが、無害な物質に反応するケースがまれにあります。花粉を敵と誤認し、鼻水や涙を使って外に追い出そうとする花粉症も、こうした抗体の過剰反応によって起こる病気です。

 しかし、花粉に対する抗体が作られたからといって、すべての人がすぐに花粉症を発症するわけではありません。花粉に対するアレルギーの素因を持った人が、数年から数十年花粉を浴び続け、抗体が一定量を超えた時に突然、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状が現れます。

 花粉症患者の数は年々増えていますが、これには飛散する花粉量が増加していることに加え、食生活の欧米化、住環境の変化、ストレスなど、さまざまな環境要因が関係しています。

花粉症の仕組み

日本に多い花粉と飛散時期

 国内では、これまでに50種類以上の花粉症が報告されていますが、なかでも飛び抜けて患者数が多いのが、スギとヒノキの花粉を原因とする花粉症です。他にも樹木では、シラカンバ・ハンノキ・オオバヤシャブシ・ケヤキ・コナラ・クヌギなど。草本では、イネ科のカモガヤ・オオアワガエリ、キク科のブタクサ・オオブタクサ・ヨモギ、アサ科のカナムグラなどが、花粉症の原因となる代表的な植物として知られています。

 植物の種類によって花粉が飛散する時期はそれぞれ異なるため、どんな季節に症状が出るかで、自分の花粉症の原因となる植物を推定することができます。スギやヒノキは春(秋にも少量飛散する場合あり)、イネ科の植物は春から初秋の長い期間、キク科とアサ科の植物は夏の終わりから秋にかけてが、花粉の飛散シーズンです。ちなみにスギとヒノキの花粉の飛散時期はほぼ一緒ですが、通常ヒノキの花粉のほうが一カ月ほど遅れて飛びはじめます。

花粉前線(2009~2018年の平均)

スギ

ヒノキ

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