環境省
VOLUME.59
2017年6・7月号

除染のこれまで、これから

東日本大震災の発生から6年が過ぎ、今年の3月31日には
国直轄の予定されていた除染作業が完了しました。では、具体的にどういった作業が進められ、
今後は何がなされていくのでしょうか。いま一度、除染の現状を紹介します。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故後、放射線量を低減するため、住宅や道路、田畑といった生活空間を対象に除染を行ってきた。中でも警戒区域または計画的避難区域の指定を受けたことのある地域を「除染特別地域」とし、国が直轄で除染作業を進めた。

 福島県内では、除染特別地域に指定されている11の市町村(帰還困難区域を除く)すべてにおいて、3月31日までに予定されていた除染が完了した。これまでに除染が実施されたのは、総数・総面積で、宅地約22,000件、農地約8,500ha、森林約5,800ha、道路約1,400haにのぼる。これを受け、4月1日までに大熊町、双葉町を除く9市町村で避難指示が解除された(帰還困難区域を除く)。今後も除染で取り除いた土壌や廃棄物の適正管理を行うとともに、モニタリングを継続的に行い、フォローアップ除染などの必要に応じた対策を実施していく。

 また、帰還困難区域においては除染とインフラ整備などを一体的に進める「特定復興再生拠点区域」の整備に関する事業の具体化を、地元の計画に沿って進める。

あらゆる方法で除染を行ってきました

生活空間において除染の効果が高まるよう、
場所や状況に合わせてあらゆる方法を組み合わせて作業が進められてきた。

屋根の除染/屋根の場合は、堆積物や泥、こけなどをブラシを使用して掃くなどの方法で取り除いた

雨どいの除染/住宅の雨どいには、放射性物質が付着した葉っぱや泥などがたまっていることが多いため、これらをシャベルで取り除いたり、きれいに拭き取ったりという処置を行った

道路の除染/道路の場合は、まずたまったごみを取り除いた後で、高圧水を使って洗浄していく。汚水とともに取り除かれた放射性物質を回収し、処理するなどの方法で除染を進めた

農地の除染/放射性物質は農地の表面付近の土に吸着していたため、土壌のはぎ取りの他、通常より深く耕す「深耕」、上下の土を入れ替える「反転耕」などの方法を取った

除染の効果

地表面から1m高さの空間線量率 土地区分毎の変化

μSv/h=1時間あたりの放射線による人体への影響を表す単位
n=測定地点数

国直轄地域全体

※データがある地域に限る。帰還困難区域を除く。

除染前/除染後/事後モニタリング

全地目では、除染前の平均の空間線量率は1.27μSv/h。除染後は0.63μSv/h(50%低減)、事後モニタリング時には0.44μSV/h(65%低減)となっている。

宅地/農地

森林/道路

宅地

農地

森林

道路

図/宅地、農地、森林、道路の空間線量率の平均値(測定点データの集計)

除染を行った半年から1年後に、除染の効果が維持されているか確認するため、事後モニタリングを実施。各市町村の事後モニタリングデータは、それぞれ最新の結果を集計(1回目または2回目)

[ 実施時期 ]
・除染前測定
 2011年11月~2016年7月
・除染後測定
 2011年12月~2016年9月
・事後モニタリング
 2014年10月~2016年12月

ふくしまcolumn PART1

7年ぶりに桜並木を愛でるイベントを実施!

 4月1日、帰還困難区域を除いて避難指示が解除された福島県富岡町で、7年ぶりに桜並木のライトアップが行われました。桜の名所として知られる夜の森地区にある約150本の桜が電灯で照らされ、夜空を鮮やかに彩りました。8日には「富岡町復興の集い2017」も実施され、復興に向け、前進を続ける町の姿が垣間見られました。

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