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扉+冷やすワザ(省エネ型自然冷媒機器)の社会実験

環境省では、温室効果の高いフロン類を使わない「省エネ型自然冷媒機器」に
扉を付けることでさらに省エネを進める取り組みを行っており、
その効果や課題、解決策を検証する社会実験を行っています。

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省エネ型自然冷媒機器の更なる省エネ化に関する社会実験実施結果について

社会実験マーク

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、省エネ型自然冷媒機器のショーケースに扉を付けることで、フロン類の排出抑制とともに大幅な省エネを推進することが期待されています。

今回、株式会社ローソン、パナソニック産機システムズ株式会社、パナソニック株式会社の3社によって、省エネ型自然冷媒機器に扉を付けることによる省エネ効果、ならびにお客様の商品購入に対する影響、従業員の作業環境への影響が把握されました。

ローソンパナソニック前店のショーケースの様子

ローソンパナソニック前店のショーケースの様子
扉あり(左) 扉なし(右)

1.省エネ型自然冷媒機器に扉を付けることによる省エネ効果について

まず、「夏季・冬季*1」、「扉あり・扉なし」の条件で、ショーケースの冷凍機*2の消費電力量の比較を行いました。その結果、夏季に16%、冬季に20%の消費電力量の削減を実現できることが明らかになりました。

夏季・冬季における消費電力量と電力量削減率
 扉なし扉あり削減量削減率
夏季 (冷房期)7,051 kWh5,945 kWh1,106 kWh16%
冬季 (暖房期)3,379 kWh2,709 kWh670 kWh20%

3.従業員の作業環境への影響について

消費電力量の削減率をもう少し詳しくみていきます。

ショーケースの冷凍機の消費電力量は、主に外気温度と店内温度に依存します。外気温度が同じ場合、店内の温度が上がれば、物を冷やすためのショーケースは庫内の温度を一定に保とうとするため、消費電力量は増加します。

ショーケースに扉を付けることで、店内温度の影響を受けづらくなりますが、特に店内温度が高いほど、消費電力量の削減率が増加することが確認されました。

夏季・冬季における店内温度と電力量削減率
 店内21.5°C以下店内21.5°C〜23.0°C店内23°C以上
夏季8%11%19%
冬季11%14%21%

以上から、ショーケースに扉を付けることで、省エネ、さらには省エネに伴う地球温暖化防止に確実に貢献できるといえます。

2.お客様の商品購入に対する影響について

続いて、省エネ型自然冷媒機器に扉を付けることによるお客様の行動への影響を把握しました。

お客様は、購入する商品をある程度決めた上で、商品を手に取っており、扉があるからといって購入が抑制されるという行動は見られませんでした。一方で、お客様による商品の取り出し回数・戻し回数は減少しました。

扉あり・なしにおけるお客様の購入率(左)と取り出し回数・戻し回数(右)*3
扉あり・なしにおけるお客様の購入率(左)と取り出し回数・戻し回数(右)

また、扉があることに対するお客様の満足度も高く、ショーケース全体の印象や商品の見栄え、商品の見やすさに対する評価が向上しています*4

商品の取り出し回数・戻し回数の減少もあり、清潔感に対する評価も若干向上しています。また、下記以外にも、扉があることで、足元の冷えを感じる人が少なくなる(10%減)という結果も出ています。

扉あり・なしに対するお客様の評価*5
扉あり・なしに対するお客様の評価

3.従業員の作業環境への影響について

最後に、省エネ型自然冷媒機器に扉を付けることによる従業員の行動への影響を把握しました。

従業員の方にとって、扉を付けることで影響があると思われる作業は「品出し作業」ですが、「扉あり」の時に品出し時間が微増しました*6

一方、従業員の方からは「扉の有無で、負担感に大きな差は感じなかった」との声もあり、品出し作業への影響は限定的と見ることができます。また、「扉なし」の場合、「商品の陳列が、乱れやすくなったように感じた」、「朝、夕、少し冷えを感じる」といった声も聞かれています。品出し時間は増加したものの、従業員の方が従事するトータルの作業時間、トータルの作業環境については向上しているとも見ることができます。

品出し作業時間*7の比較
品出し作業時間の比較

4.おわりに

今回の社会実験の実施によって、ショーケースに扉を付けることで、夏季に16%、冬季に20%の電力量の削減を実現できることが明らかになりました。

また、扉があるからといってお客様が商品購入を抑制することもなく、むしろ、扉があることでショーケース全体の印象や商品の見栄え・見やすさに対する評価が向上していることが明らかになりました。

従業員の品出し作業は若干増加しましたが、商品の陳列を再整理する手間が減り、店内の冷えが減少することを考慮すると、扉があることによって作業環境は向上していると見ることができます。

フロン類を冷媒として採用した現状のショーケースから省エネ型自然冷媒機器への転換、さらに省エネ型自然冷媒機器に扉を付けることで、より一層の省エネ、地球温暖化防止の実現が可能になります。今後、省エネ型自然冷媒機器と扉が、小売業界全体に普及していくことがますます期待されます。

(参考資料)
社会実験パンフレット『扉+冷やすワザでさらにおいしいを未来に!』

*1 夏季は7〜9月、冬季は11〜1月。

*2 10HP冷凍機を使用。

*3 N数は、扉なし:N=137、扉あり:N=98

*4 扉に結露が生じた場合、商品のみやすさは低下することがわかっている。

*5 N数は、扉なし、扉ありともに:N=50

*6 扉ありの場合、パウチを置く場所を探す行動が多く見られ、従業員が異なる影響も大きいと思われる。

*7 商品を置く場所を探す、フェイスアップの時間も含む。

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