感想文


TEMM16 ユースフォーラムに参加して


 

 

逢坂 瞳
聖心女子大学
国際交流学科 3年

   「中韓における環境問題の実状を知りたい」「三カ国はどのような関係構築を目指せるのか模索したい」そんな思いを抱き、TEMM16ユースフォーラムに参加を決めました。
残念ながらPM2.5など本会合の主要テーマに関しては言及が避けられ、ユース間での議論には至れませんでしたが、実質事項に触れらずとも三カ国間の交流やディスカッションは互いの国、考えへの理解の上で欠かせないものとなりました。特に各国の「持続可能な社会の創設に向けた取組み」に関して、中国からは環境保全と経済の両立を目指すフェアトレード、韓国のテクノロジーを駆使したゴミ問題解決について発表されましたが、その主体的な取り組みは自身の想像していた「ユース」の枠を超えるもので、彼らの行動は自身にとって大きな刺激となりました。
TEMM16本会合で石原環境大臣も『NATO:No Action, Talk Only.』(話すばかりで、行動しない)という言葉を用いられていましたが、どんなに目標や言葉を掲げようともそれは実行、行動を伴わねば意味がありません。テーマである「持続可能な発展」、それは確かに今後の経済社会の発展上で重要なキーワード、そして国際社会が目指すべき方針ではあります。しかし理想像だけで終わらせぬよう、未来に向けてどのような対策が取りうるか、今私たちの世代がそれらを認識し、問題の改善に努めなければなりません。
私自身、大学卒業後は持続可能な街づくりに携わりたいと考えていますが、なかなかその目標に向けた具体的なアクションに踏み出せずにいました。今回のユースフォーラムを機に、持続可能な社会の創設において「実状を知り、問題の背景に何があるのか探る」その姿勢の重要性を改めて認識し、今後も積極的に活動に取り組んで行きたいと思います。
日中韓は歴史認識や領土など様々な問題を抱えていますが、環境分野における協力の必要性は今後ますます重要になります。今回のフォーラムにおいてユースが担うべき役割を実感したとともに、今後ともユースをはじめ、市民や企業など民間の交流ますます盛んになることを願っています。最後に、このTEMM16の運営に携わってくださった日中韓の全ての方々に感謝申し上げます。有難うございました。

 

 

原 嘉志
東京工業大学
社会理工学研究科

 TEMM16ユース・フォーラムに博士課程の学生として参加できたことに凄く感謝しています。研究主体の日常では経験できないことや、アジアを代表する他の学生との熱い討論は、今後の研究活動の視野の広がりに繋がる貴重な経験となりました。
 最初に、今回のテーマである「青年の創造性・独創性を通じた持続可能な社会の創設」について、様々なバックグランドを持った他の日本代表の学生の地域立脚型の創造的・独創的な環境保全への取り組みを聞き、意見交換をしました。各々の具体性ある学生主体の活動報告を通して新しい発見があり、皆で纏めたものをフォーラムでの発表に起用しました。準備の段階から、日本代表の学生同士でも「持続可能な社会」とは何か?という難解な疑問に議論が熱くなり、とても刺激的でした。
 フォーラム当日では、中国側及び韓国側のプレゼンテーションを見て、他国の代表ユースの持続可能な社会への活動を包括的に学べました。例えば、韓国代表が紹介した取り組みとしては、理系大学生主体で制作されたスマートフォン専用のアプリでした。このアプリの中でユーザが「木」をモチーフにデザインしたキャラクターを育成し大きく成長させることで、最終的にその「木」が現実に木の苗になり学生の手によって植林されるという創造的なものでした。一方、中国代表は有機栽培された中国茶に「オーガニック・シール」を張り海外市場への輸出を促し、農家の直接収入を向上させることによって、環境への負担が少ない無農薬お茶栽培を普及させた独創的な事例を紹介しました。
 三ヶ国代表の発表後は、ソウル国立大学教授の指導を交えて、互いの国のメンバーを交換し「持続可能な社会建設へ向けての30年目標」をテーマにワークショップ形式でグループワークを展開しました。中国・韓国側代表の学生達と切磋琢磨しながら、ユースとしてできる持続可能な社会への貢献について建設的な議論ができたことは、現在の日中韓の情勢を考えると、とても意義があるものだったと思います。またフォーラム以外では、食文化から政治まで、多岐にわたる内容の交流がありとても有意義に過ごせて楽しかったです。
 最後に、石原伸晃環境大臣に実際にお会いし、フォーラムについての発表を行い、さらには限られた時間の中で意見交換ができたことに感激しました。今回フォーラム全体を通して経験し、学んだことを活かしてこれからのキャリアに繋げていきたいと思います。

 

 

田畑 聡美
東京農工大学大学院
農学府
国際環境農学専攻 修士2年

私は現在大学院で、農業が環境に及ぼす影響について学んでいます。研究活動から多くの知識や技術を学んでいますが、このような研究が国の政策に活かされ、社会に還元されるプロセスについては、知る機会がほとんどありませんでした。ですから今回TEMM16に参加し、国レベルを超えた政策作りの一端を見させていただけた事は、とても貴重な経験となりました。
ユースフォーラムでは、中韓のユースと共にディスカッションやワークショップを行いました。日中韓の関係が冷え込む中での開催でしたが、とても友好的で活発な意見のやり取りが出来ました。その中で私が一番印象に残ったトピックが、「地域活性」です。グローバル化が進む昨今、地域社会の果たす役割が軽視されているように感じます。しかしながら、地域住民の小さな努力の積み重ねが、地球全体に大きなインパクトを与えます。その為には、強固な地域コミュニティーが必要です。よって、どのように地域を活性化していくかが、環境問題解決の鍵であると感じました。
中国チームからは、貧困に苦しむ農家を学生が販売ルートを開拓することにより、持続可能な農業に変えたという発表がありました。また、韓国からはスマートフォンアプリを利用した植林活動や、コーヒーショップでのマイマグ運動の紹介がされました。日本チームからは、兵庫県豊岡市の生物多様性保全に向けた田んぼづくりを紹介しました。これらの活動に共通したことは、全て学生が主導している点と地域密着型のプロジェクトである点です。私達若者世代が、世界各地で環境問題解決の為に地道な地域活動をしている事実を知り、とても嬉しく思いました。それと同時に私達が持つ未来への責任を感じました。
また、TEMM16に参加していた学生は、国際協力や環境教育を専攻している学生が多く、普段水質の研究をしている私にとっては、異なる分野を知る絶好の場でした。各国の学生たちとの真剣なディスカッションは、とても良い刺激となりました。また、ユーフォーラム終了後も、SNSを利用して各国の学生と連絡を取り合っています。今後もこの友情を大切にしていきたいと思います。
最後になりますが、このような素晴らしい機会を用意して下さった、日中韓の関係者の全ての方々に感謝申し上げます。また、環境省とアーツアンドクラフツ株式会社の皆様には事前勉強会から手厚くサポートをしてくださり、本当にお世話になりました。厚く御礼申し上げます。

 

 

村田 晴奈
福岡女子大学
国際文理学部環境科

私は現在福岡の大学で環境科学を専攻しています。環境問題との関わりをさらに深めたいとの思いから、友人に呼びかけ環境保護サークルを立ち上げました。活動の一環として海岸のごみ拾いを行っています。毎回驚かされるのは、漂流ゴミの中に多くのハングル文字や中国語で書かれたものが含まれていることです。日本と中国、韓国はこれほどまでに近い場所にあるのかと再認識させられます。それなのに、なぜか私たちはお互いの国を遠い存在のように間違った認識をしてしまっています。
私はこのフォーラムに参加させていただけることをとても光栄に感じていた反面、本音ではお互いの言葉の違いや国の事情を考えると、こんな私に何か出来ることがあるのだろうかというプレッシャーに押しつぶされそうになり、当日まで不安でいっぱいでした。ところが実際フォーラムでみんなと顔を合わせるとそんな心配は一切必要なかったことに気づかされました。
フォーラムは和気藹々とした和やかな雰囲気で進められ、国や年齢の違いなど全く感じられないまま活発で斬新なアイディアが飛び交い、とても収穫のあるものになりました。分からないことがあれば理解が出来るまで質問が繰り広げられたり、率直な意見の交換が行われたりしました。また素晴らしい発表はたたえ合い、拍手が起こりました。
韓国国内では若者の意見が尊重され、新しいアイディアとして社会に活用されていることを知りました。また急成長中の中国では貧富の差が課題であり、その状況の下学生たちがフェアトレードなどに目を向け、実際に行動を起こしたりしていることがわかりました。日本は環境面で韓国や中国よりも少し先に進んでいるので彼らの期待も大きく、より多くの情報を求められました。
今回のフォーラムで一番得られたものは、なんといってもこのメンバーと出会いでした。韓国と中国の人たちだけではなく、同行した日本人メンバーの活動内容や志の高さにもとても感銘を受けました。そんな皆と帰国後も盛んに交流が続いていることを私はとても嬉しく思い、この出会いをこれからもずっと大切にしていきたいと考えています。彼らはきっと今後の東アジアを引っ張っていくような人物になるでしょう。私は彼らと再会できる日を夢見て努力をし、日々自分を高めていきたいと思っています。近くて遠い国から近くてより親密な国に変えていくのは私たち若者の使命だと気づかされるフォーラムでした。
こんなに素晴らしい機会を与えて下さったことに心から感謝しています。本当にありがとうございました。

 

 

 
岡田 有加
早稲田大学 
文学部文学科
教育学コース 1年

“それぞれの役割と自分に出来ること”を強く感じた経験となりました。3カ国とも、環境のみならず多岐に渡る分野に従事している学生が集った意味を、肌で感じています。与えられた議題のみならず、各々が抱いている疑問や問題意識を幅広く共有出来たことは大きな実りになったのではないでしょうか。  第16回日中韓環境大臣会合ユースフォーラムを通じて特に感じたことは、大きく分けて2つあります。 1つ目は、自身の知識・能力の欠如です。優秀なユースと過ごす中で、私個人が現在持ち合わせている認識はかなり乏しいことを再確認する機会となりました。年齢も、性別も、専門も異なるユースが集うことで、普段はあまり接することのない分野での問題にも触れ合うことが出来ました。その中で、今の私の知識では、それを議論するに足りない部分も強く感じることとなりました。しかし、だからこそ議論されている問題に対して、タブーを取り払った感想を持つことが出来たと思っています。枠の中で議論されている課題に対して、枠の外からの視点として意見することは、問題の根本的解決に大きな一歩を踏み出すきっかけを与えるのではないかと感じました。幸いなことに、多くの時間を与えられている学生のうちにこの気付きに出会えた私は、今後1つ1つの問題に向き合っていくことが出来ます。これからの学生生活に置いて、まずはいつも初めてのテーマに自分から近付き、最終的に新たな知識として活用できるように努めようと思いました。  2つ目は、今後の可能性です。1つ目で述べたことは言い換えると、3カ国のユースの有能さを実感したとも言えます。この機会に参加し、より多くの意見を交わそうとするユースの積極性は、次世代に対する期待を感じさせるものとなりました。同じように環境問題に対する問題意識を抱え、解決のために行動を起こそうとする若い力を大変頼もしく思いました。  また、今回のディスカッションで包括的な問題に触れたことにより、これまで遠く難しく感じていた問題を、一気に身近に感じることが出来ました。国際的に取り扱われている問題をユースでも共有できた経験は今後の糧になることと思います。  総じて、次世代を担う若者のパワーと、国際問題の身近さを感じました。そのため、この経験を頂いた私たちこそが、仲間と共に新しい社会を切り開いていく切り札になっていきたいです。