国連科学委員会(UNSCEAR)2020年/2021年報告書では、福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故の主な特徴や特質、その結果生じた作業者と公衆の被ばくの推定値および健康影響がまとめられています。そのうちいくつかの項目に関する比較を上の図に示しています。
同報告書では、「福島第一原発事故の結果は、チェルノブイリ原発事故の結果よりもはるかに低度であった」と述べられています。その理由の一つとして、福島第一原発の原子炉には専用の格納容器があり、溶融燃料から放出した放射性核種の大半がその中に保持された一方、チェルノブイリ原発の原子炉には容器がなく、事故発生初期に起きた爆発の結果、炉心が大気中に直接露出され、より多くの放射性物質が環境中に放出されたことが挙げられています。その他、放出された放射性核種の洋上と陸上の沈着割合、農産物への移行、土壌中へのセシウムの固定、事故後の人と食品に関する防護措置、規制値の違いなどが主な理由として示されています。
【報告書記載箇所】
・UNSCEAR2020年/2021年報告書(ANNEX B, 日本語版P175〜182,B1項から作成)
本資料への収録日:2023年3月31日