放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第3章 放射線による健康影響
3.7 がん・白血病

甲状腺潜在がん

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がんには、生涯にわたって健康には影響せず無症状で、臨床的には発見できず、病理組織診断(死亡後の解剖(剖検)を含む)によってはじめて発見されるものがあります。これを潜在がんといいます。
甲状腺がんの多くを占める分化がんは、がん細胞が成熟しているため、増殖が遅く、なかには一生症状が現れないものがあります。このような甲状腺分化がんは、甲状腺がん以外の原因で死亡した人への剖検において初めて潜在がんとして発見されることがあります。
がん登録を用いた解析では日本人が一生の間に甲状腺がんになる確率は、女性で0.78%、男性で0.23%1ですが、例えば、1975年に仙台で102件の剖検をした結果、29件(有病率28.43%)で潜在的な甲状腺分化がんが見つかったという報告があります2。このことからも、甲状腺がんでは生涯にわたり症状のあらわれない潜在がんが多いことがわかります。

1. Kamo et al., “Lifetime and Age-Conditional Probabilities of Developing or Dying of Cancer in Japan ” Jpan.J. Clin Oncol 38(8) 571-576, 2008.

2. Fukunaga FH, Yatani R., “Geographic pathology of occult thyroid carcinomas ” Cancer 36:1095-1099, 1975.

本資料への収録日:2020年3月31日


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