放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第2章 放射線による被ばく
2.5 身の回りの放射線

トリチウムの性質

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東京電力福島第一原子力発電所において多核種除去設備等で浄化処理した水の中には、放射性物質のトリチウムが含まれています。
トリチウムとは、日本語で「三重水素」と呼ばれる水素の放射性同位体です。一般的な水素と同じように酸素と化合して水分子を構成することから、身の回りでは水分子に含まれるかたちで存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれています。トリチウムは水分子の一部になって存在しているため、多核種除去設備等での除去は困難です。トリチウムは、原子力発電所を運転することで人工的に生成される以外にも、自然界で宇宙線により生成されます。
トリチウムは放射線の一種であるβ(ベータ)線を出します。ただしトリチウムが出すβ線はエネルギーが小さく、紙一枚で遮蔽が可能です。そのため外部被ばくによる人体への影響は考えられません。また、トリチウムを含む水は、生物学的半減期が10日で、体内に取り込んだ場合も速やかに体外に排出され、特定の臓器に蓄積することもありません(上巻P31「原発事故由来の放射性物質」)。トリチウムを経口摂取した場合の預託実効線量係数は0.000018μSv/Bqであり、他の核種と比較して小さい値となっています(上巻P57「実効線量への換算係数」)。
多核種除去設備等で浄化処理したALPS処理水の取扱いについては、2021年4月、2年程度の準備期間を経て、安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に、海洋放出する方針を決定しました。

【参考資料】
トリチウムの基礎知識について:
• 安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策➁「トリチウム」とはいったい何?
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku02.html
トリチウムが人体に与える影響について:
• 安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策➂トリチウムと「被ばく」を考える
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku03.html
廃炉・汚染水・処理水対策ポータルサイト:
• ALPS処理水の処分
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/alps.html

本資料への収録日:2017年3月31日

改訂日:2022年3月31日

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