放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和7年度版、 HTML形式)

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第3章 放射線による健康影響
3.8 非放射線性の健康影響

放射線災害における非放射線性の健康影響

放射線災害における非放射線性の健康影響
放射線災害における非放射線性の健康影響
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放射線災害では、避難や移転は放射線被ばくを防ぐための重要な措置の一つとされますが、福島第一原発事故後の影響に関するものを含めた研究では、これらの防護措置そのものが健康リスクとなり得ることや、放射線災害の影響は放射線の直接的な被ばくのみに留まらないことが報告されています。
英国保健安全庁(UKHSA)や米国原子力規制委員会(US NRC)の報告からは、避難・移転・屋内退避によって、精神的・身体的両面で深刻な影響が生じうることが指摘されています。
メンタルヘルス面では、不安、うつ、PTSD、孤立、スティグマ(偏見や差別による行動変化)などが、生活環境の急変や放射線不安により生じます。身体的には、心疾患、糖尿病、肥満、腎疾患や、それらに伴うであろう死亡率の上昇が報告されており、医療や介護の中断、生活習慣の悪化が背景にあります。
米国NRCが複数の研究結果を分析した報告書では、避難や移転が健康リスクを上昇させると報告しています。また、OECD/NEA(2024)は、非放射線性の影響が放射線被ばくのリスクを上回る場合があると指摘しており、避難の判断においては「正当化」と「最適化」の原則を重視するよう提言しています(詳しくは上巻P170「防護の正当化」上巻P171「防護の最適化」を参照)。

参考

・ OECD Nuclear Energy Agency. (2024). Practical Guidance for Mental Health and Psychosocial Support in Radiological and Nuclear Emergencies (NEA No. 7665).

・ UK Health Security Agency. (2023). Non-radiological Health Impacts of Evacuation, Temporary Relocation and Sheltering-in-place: Review of Literature (RCEHD-RAD-03-2023).

・ U.S. Nuclear Regulatory Commission. (2021). Nonradiological Health Consequences from Evacuation and Relocation (NUREG/CR-7285).

本資料への収録日:2026年3月31日

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