原爆被爆者の健康影響調査の結果から、被ばくした線量が増えると、発がんのリスクが高まることが知られています。固形がんリスクに関する最新の原爆被爆者の疫学調査では、がん罹患リスクは100ミリシーベルト以上で1、がん死亡リスクは200ミリシーベルト以上で2、線量とリスクに比例関係が見られます。
しかし100~200ミリシーベルトよりも低い線量における関係性については、研究者によっても意見が分かれています。例えば、線量とがんリスクは比例関係にあるのか、それとも実質的なしきい値が存在するのか、あるいは別の相関があるのかは、今後の研究によって明らかになることが期待されます。
(関連ページ:上巻P99「相対リスクと寄与リスク」、上巻P166「LNTモデルをめぐる論争」)
1. E. J. Grant et. al., “Solid Cancer Incidence among the Life Span Study of Atomic Bomb Survivors: 1958-2009” RADIATION RESEARCH 187, 513-537 (2017)
2. K. Ozasa et. al., “Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors, Report 14, 1950-2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases” RADIATION RESEARCH 177, 229-243 (2012)
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2024年3月31日