子どもの健康と環境に関する全国調査

エコチル調査とは

調査で解明したいこと

調査で解明したいこと(中心仮説)

エコチル調査は、「胎児期から小児期にかけての化学物質曝露をはじめとする環境因子が、妊娠・生殖、先天奇形、精神神経発達、免疫・アレルギー、代謝・内分泌系等に影響を与えているのではないか」という仮説(中心仮説)の解明を目指しています。

そのため、化学物質の曝露などの環境影響以外にも、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因など、さまざまな要因について、幅広く調べていきます。

エコチル調査の分野別仮説

出生後の環境要因と子どもへの健康影響

調査の対象とする環境要因(エクスポージャー)(例示)

化学物質の曝露

残留性有機汚染物質(ダイオキシン類、PCB、有機フッ素化合物、難燃剤等)、重金属(水銀、鉛、ヒ素、カドミウム等)、内分泌攪乱物質(ビスフェノールA等)、農薬、VOC(ベンゼン等)など

  • その他の要因(交絡因子)
  • 遺伝要因
  • 社会・生活習慣要因

地域(住所)、住居(種類、築年数、空調等)、両親の学歴・職業歴・勤務状況・収入、両親の喫煙・飲酒、食事、家庭環境(兄弟の数、ペット等)、遊び場の環境、学校の環境等

健康影響の指標(アウトカム・エンドポイント)(例示)

身体発育

出生時体重低下、出生後の身体発育状況等

先天異常遺伝要因

尿道下裂1)、停留精巣2)、口唇・口蓋裂3)、二分脊椎症4)、消化管閉鎖症5)、心室中隔欠損6)、染色体異常 等

性分化の異常

性比、性器形成障害、脳の性分化等

精神神経発達障害

自閉症7)、LD(学習障害)8)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)9)

免疫系の異常

アレルギー、アトピー、喘息等

代謝・内分泌系の異常

耐糖能異常10)、肥満等

用語解説

1)  尿道下裂 陰茎の側面の発育に問題があり、その近くに尿道口が開いている症状。
2)  停留精巣 通常、精巣は胎児のうちに陰嚢の中に降りてくるものであるが、降りてくる途中で停まっている症状。
3)  口唇・口蓋裂 口唇裂は口唇(上唇)が生まれつき裂けている症状。口蓋裂は口蓋(上あご)が生まれつき裂けている症状。
4)  二分脊椎症 生まれつき脊椎の癒合が完全に行われず、脊椎の管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出ているなどの症状。
5)  消化管閉鎖症 生まれつき腸の一部が閉鎖して、嘔吐、腹部の張り、便通異常を起こす症状。
6)  心室中隔欠損 心臓の右心室と左心室の間を隔てる室中隔(筋肉の壁)に穴が開いており、血液が混じり合う症状。
7)  自閉症 社会性や他者とのコミュニケーション能力の発達遅滞、想像力とそれに基づく行動の障害が見られる発達障害。
8)  LD(学習障害) 全般的な知的発達に基本的に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態。Learning Disordersの略。
9)  ADHD(注意欠陥・多動性障害) 多動性、不注意、衝動性を特徴とする発達障害もしくは行動障害。Attention Deficit / Hyperactivity Disorderの略。
10)  耐糖能異常 体内の血糖値を正常に保つ働きに異常を来たした状態。糖尿病など。