環境の世紀と言われる21世紀は、温室効果ガスによる地球温暖化問題や、NOx 等の大気汚染などの環境問題を解決していくことが急務となっている。
このため、我が国では、平成13年7月に経済産業省、国土交通省及び環境省が 「低公害車開発普及アクションプラン」を策定し、自動車の環境負荷低減をさら
に加速化するため、総合的、包括的な施策を積極的に推進している ところである。
水素と酸素の反応により発生する電気を動力源とする燃料電池自動車は、理論 的には排出ガスを出さず、また高いエネルギー効率が期待できるため、将来的に
は次世代低公害車の本命と目されており、世界の自動車メーカーにおいて開発が 進められており、国内メーカーが世界に先駆けて実用化した。
また、経済産業省が、平成14年度から開始した「水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC※1):Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project )」では、自動車メーカー8社の乗用車が、水素供給試験にはインフラメーカー15社が参加し、走行性能、信頼性、環境特性、燃費等の市街地走行データと水素充填ステーショ
ン使用データ等を収集中である。加えて、水素ステーションについても、液体水素、LPG改質、脱硫ガソリン改質、メタノール改質、天然ガス改質等、首都圏で計10ヶ所の水素ステーションが供用され、実証が推進されている。(JHFCについ
ては、平成18年2月末時点の数値)
一方、現時点では、燃料電池自動車に関する一般市民の認知度は低く、水素燃料を使用することから危険であるとの意識が根強く残っている。このため、普及
のためには燃料電池自動車の仕組み、大気汚染物質やCO2の削減効果、総合エネルギー効率、その他の環境改善等の効果、コスト、利便性、安全性などについて、広く啓発し、正しい理解や認識を得ることにより社会的受容性を向上させる
ことが必要である。
以上の背景より、本事業では、市民に最も身近な地方公共団体において、燃料電池自動車のイベント展示、試乗会や学校などでの学習利用により、地域社会へ
の啓発推進を図るとともに、様々な利用形態での走行による社会実験と、その活用方法について検討・実証することを目的とした。
※1) 経済産業省が実施する固体高分子形燃料電池システム実証等研究補助事業に含まれる 「燃料電池自動車実証研究」と「燃料電池自動車用水素供給設備実証研究」から構成される。

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