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事業の背景と目的H20年度の実施概要平成19年度の実施概要平成18年度の実施概要平成16年度の実施概要スペース
燃料電池自動車啓発推進事業

V.今後の課題

本事業では、自治体職員、体験同乗及び環境学習における教職員へのアンケートを実施し、このアンケート結果をもとに、自治体担当者の方々と事業の成果に関する意見交換会を実施した。
このため、アンケート結果と意見交換会での主な意見をふまえ、今後の課題について、以下に整理する。

 

1.実施自治体の地域分布にみる課題

実施自治体については、3ヶ年度で全国の地方ブロックで実施できたが、地域間に差があり、北海道、北陸、中国および四国では、1自治体にとどまっている。
このため、今後はこれら実施数の少ない地方において優先的に実施先を選定するとともに、高い啓発効果を実現している自治体については、複数回の利用もモデル事例として実施することとする。

・図表 V-1 3ヶ年度における地域ブロック別の実施自治体数
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2.アンケートにみる課題
(1)水素燃料補給に関する充実

JHFC※1)の水素ステーションが使用できる首都圏を除き、燃料補給は基本的に移動式の水素ステーションで実施することから、水素燃料の充填回数の増加に関する要望が複数の自治体から挙がった。
一方、JHFCの移動式ステーションが利用できた自治体では、複数回の水素充填が実施でき、十分な体験同乗会が開催できたと好評であった。
このため、事業の成果を最大限あげるためにも、JHFCの移動式ステーションの協力を出来る限り得て、水素燃料の充填回数を増やすことが必要と考えられる。

※1)水素・燃料電池実証プロジェクト(Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)。
経済産業省が実施する固体高分子形燃料電池システム実証等研究補助事業に含まれる「燃料電池自
動車実証研究」と「燃料電池自動車用水素供給設備実証研究」から構成される。


(2)準備資料の改善

事業説明用の市民向け配布リーフレット等に加え、車両説明用の内部資料を自治体職員に配布したが、車両説明資料や燃料電池自動車に関するQ&Aなど、複数の資料に分散したことから、説明の手引き等のかたちで一つに集約することが必要と考えられる。


(3)運行記録表等の改善

運行記録表については、JHFCの水素ステーションを利用する関係上、同様の記載内容を本事業指定の記録用紙とともに、2種類記録するなどそもそもの煩わしさがあることから、データ集計に直接利用しない項目は削除するなど、様式の簡素化が必要と考えられる。

・図表 V-2 教職員へのアンケートにみる課題

水素充填一回では、行動範囲が限られる。

車両説明等の準備資料は色々用意してもらいましたが、一連の資料として作成してもらったほうが利用しやすいのではないか。

運行記録等データについて様式を簡素化すべきであろう。

3.意見交換会にみる課題
(1)情報提供に関する課題

本事業の実施は基本的に、燃料電池自動車のメーカー担当者は同席せず、車両を利用する自治体職員が中心となって事業推進にあたったことから、車両の説明資料や展示模型等の提供に対する要望が多く確認された。
特に16年度より、全国に対象地域を拡大したため、自治体による事前準備の格差も広がり、充実した情報提供に関する要望が多かった。また、環境教育における年齢層も小中学校から高等教育機関まで拡大していることから、きめ細かい対象に適した情報提供が求められている。
このため、今後は事務局における事前資料の更なる充実や年齢層に応じた事業紹介のパンフレット整備など、情報の提供に関する拡充が必要と考えられる。

・図表 V-3 燃料電池自動車の情報提供の充実に関する意見

◆なぜ今、燃料電池が必要なのか背景説明の可能な情報提供が必要

事務局から提供する情報としては、パワーポイント形式の資料などがあると よい。

燃料電池が必要とされている背景について説明が必要である。今回、環境再保全機構から各種資料を取り寄せた資料、手作りで用意した資料を配付し た。パワーポイントでコンパクトにまとまっているものがあれば良い。

環境学習の実施においては、ガス企業と連携して、燃料電池のしくみパネルなどを展示してもらい、教職員の多くが大変興味深く見学していた。

【対応済み事項】

啓発事業をより円滑にすすめ、体験同乗者の理解を深めるためにも、事務局で準備する啓発資料を更に充実してもらいたい。

知らないものを知ることができたと思っている方が多いものの、実際に同乗してみると物足りなさを感じるようである。また、情報提供が不足していることから、事前の情報提供についてもう少し支援をしてもらうような仕組みを考えて頂きたい。

平成16年度より、大人用の事業紹介リーフレットに加え、燃料電池自動車が必要となる背景やその仕組みを紹介する子供用のリーフレットを用意した。


◆担当職員が事前に勉強できる資料の充実

すでにQ&A集を準備してもらっているが、より専門的なQ&A集も準備してもらえると良いだろう。担当者用(想定Q&A集)のほか、体験同乗中に質問されることが多かったので、体験同乗者の属性別に数種類ほど用意すると良いのではないだろうか。また、工業高校等では、生徒以上に教員が興味を示しており、先生方からは非常に高度な質問も寄せられ回答しきれないものもあった。

【対応済み事項】

イベント時の写真などを見れば、自治体職員はそれを参考にして企画を立てることができる。写真等のビジュアルを重視したホームページやリーフレットで当事業を情報発信してほしい。

他自治体における取り組みを紹介するようなことをより積極的に行ってほしい。

平成15年度の後半より事業紹介を行うホームページを整備した。また、事業紹介リーフレットの写真点数を増やした。


◆展示ツールの充実が求められる

パネルなどの資料は非常に役立った。展示用のパネルがもっとあると良い。

より詳しく知ってもらうためには、カットモデルが良いのではないか。

乗車証は、もう少し楽しげにデザインすればもっと良いと思う。子どもたち
はおまけがあると大変喜ぶ。

カードも2種類くらいあるといいのかも知れない。例えば、小学生用と中学校以上用などに分けるといいのではないか。

【対応済み事項】

のぼりの数はもっと多くて良いのではないか。5〜6本くらいあってもよい。集客力があると思われる。

平成16年度事業より、のぼりの数をこれまでの3本から5本に増やした。


◆燃料電池自動車の正しいイメージを持ってもらう工夫が必要

燃料電池自動車は意味の分かる単語が並んでいるだけに、勝手なイメージを持ちやすく、説明してもよけいに分かりにくくなっている。「電池」というイメージを取り除けば、スムーズに理解できるかもしれない。

小中学校での出前講座の際には、可能な限り事前学習をお願いしておいた。事前に少しでも知っておくことで、啓発効果は非常に高まる。イメージをふくらませてから乗車してくれると良い。

(2)水素燃料に関する課題

アンケートでの課題でもみたように、水素燃料の充填回数の増加に関する要望が複数の自治体から挙がっている。また、移動式の水素ステーションを利用するにあたりに事前の届け等で調整に難航するケースがあり、手引書等の作成が必要と考えられる。
移動式の水素ステーションについては、水素に関する啓発を目的に、充填の様子を見てもらう機会を出来るだけ設けたが、この際、水素に関する関心が思いのほか高いことが把握された。このため、今後は、水素の安全性を十分説明できる資料を用意するなどの対応が必要と考えられる。

・図表 V-4 水素燃料に関する意見

◆水素燃料補給の回数増加や充填場所選定のための手引書等が必要

水素燃料の充填を行う場所の調整に難航した。手続きの流れ等を分かりやすく示してほしい。

【対応済み事項】

今回事業では、途中で体験同乗を断らざるを得ない場面もあったため、少なくとも2回ほどは水素充填ができるようにしてもらいたい。

同乗した方から走行についての感想を聞きだすには、もう少し走行距離が必要と感じた。「もう終わったの?」という感想も聞かれた。走行距離延長のためには、十分な燃料補給が必要である。

平成16年度事業よりJHFCに協力いただき、一部自治体においては燃料補給の回数を複数回とした。


◆水素充填設備への要望

まずは燃料である水素スタンドを整備して、走ることができる道を増やすことが肝要である。「こことここに水素スタンドがあるから、あなたの地域では燃料電池自動車が使えますよ」といった広報ができる。

充填時間は約15分ですむが、ステーションまでの往復距離は100kmあり、移動時間も往復で2時間かかったため、水素充填設備の整備が課題であると感じた。


◆水素に関する正しい情報が必要

水素ステーションに対する関心度が意外と高く、燃料をどのように入れるのかと質問される。水素ステーションの様子をA1パネルにして展示し、説明した。

事故時の不安について、二重、三重に安全装置があると説明しても怖いと言われる。水素の安全性について、正確な情報があると良い。ガソリンに比べて、安全(爆発、引火など)との話も聞いたことがある。

 

(3)アンケート調査票に関する課題

アンケート帳票については、設問数が多すぎるとの意見が多数の自治体からあがっており、事業の実績評価を行なう上で、必要最小限な設問に絞り込むことが必要と考えられる。

・図表 V-5 アンケート調査票に関する意見

◆設問項目の改善と回収率向上のための工夫が必要

【対応済み事項】

現在のアンケートの分量は多すぎる。もう少し簡素化すべきである。

現在の体験同乗者アンケートは、環境省の事業成果を図る内容となっているのかも知れないが、やはり相当の時間を要する内容となっている。やや負担感が大きいアンケートである。

平成16年度までは、別調査との関係で必要な設問があったことから、17年度事
業より不要な設問数を減らした。


(4)本事業の公募方法の課題

他の自治体における事業の実施状況などについて、具体的な内容の紹介に対する要望が挙がった。今後は、環境省ホームページにおける自治体職員の体験談など、事業紹介の充実などが必要と考えられる。

・図表 V-6 公募方法に関する意見

◆体験談や事例紹介に関する要望

公募をする際には、事業概要だけでなく、体験談があったほうがよい。

期待する普及啓発支援について、他の自治体の事例紹介を必要と感じているが、自治体の規模・予算等によって異なるため、どこまで活用できるかが課題であろう。

【対応済み事項】

他の自治体での実施状況については、紙面・スペース等の制約もあろうかと思うが、もう少し詳しく紹介して欲しい。

平成15年度の後半より事業紹介を行うホームページを整備し、個別自治体の実施状況を動画も交え紹介した。

 

(5)運営体制に関する課題

18年度から使用する車両がこれまでの大臣認定車から型式認定車となり、これにより市民自らがハンドルをにぎって運転を行うことが可能となる。体感できる感覚が大きく向上する一方、自治体職員におけるコース設定などの運営面で困難な調整事項も想定されzる。
17年度事業においては、民間企業との連携により、自治体職員の負担を軽減し、燃料電池自動車をきっかけとした環境問題に関する地域イベントを横断的に実施した成功モデルも登場している。

このため、地域の民間企業やNPO等との連携体制による事業推進についても可能性を検討することが必要と考えられる。

・図表 V-7 運営体制に関する意見

◆型式認定車(18年度から利用予定)への期待と不安

型式認定を受けたとのことであるので、市民の方が自分で運転できるようになるとより良いと思う。課題もあると思うが、助手席に乗って経験するのとは大きく違うと思う。

型式認定が取れて、一般の方が運転できるようになると、試乗会は限定したコース内でなければ難しいと考える。何かあった時に責任が取れなくなる。

今までは、展示・体験同乗会がメインだったが、試乗が可能になれば啓発方法も変わるだろう。その場合、一般市民が事故を起こした場合の、主催者団体としての保険責任の取り方に不安がある。


◆民間と行政の連携

民間は民間、行政は行政では、点と点でしかなく、効果は得にくい。環境分野に限らず、民間と行政が一体となって、一緒に進めていこうという姿勢が必要であり、重要である。

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環境省 Ministry of the Environment
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