報道発表資料
ガンカモ類の生息調査(通称「全国ガンカモ一斉調査」)は、我が国に渡来するガンカモ類の冬期の生息状況の把握を目的として、昭和45年から各都道府県の協力を得ながら実施しているものです。平成24年度は第44回目の調査実施となり、平成25年1月13日を中心に、前年度とほぼ同数の全国約9千地点において約4千人の協力を得て調査を行いました。
その結果を暫定値として取りまとめたところ、全国において、ハクチョウ類約6万8千羽、ガン類約16万8千羽、カモ類約146万9千羽が観察されました。前年度に比べハクチョウ類は増加、ガン類・カモ類は減少でしたが、観察されたガンカモ類の総数は、前年に比べて大きな変化は見られませんでした。
1.調査概要
・目的 | : | 我が国におけるガンカモ類の冬期の生息状況を把握すること |
・調査期間 | : | 平成25年1月13日(日)(予備日:1月6日~20日) |
・調査地 | : | ガンカモ類の生息地になっている全国約9千地点の湖沼等 (ハクチョウ類及びガン類については、原則として全ての生息地を対象とし、カモ類の生息地については、可能な限り多くの生息地を対象としました。) |
・調査方法 | : | 全国的に定めた調査日に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント |
・集計 | : | 各都道府県の調査結果を環境省において全国集計 |
2.結果概要
前年度とほぼ同数の約9千地点の全国の調査地点で約4千人の協力を得て調査が行われました。調査が行われた地点のうち、約6千地点でガンカモ類が観察され、そのうちコハクチョウなどのハクチョウ類は約6百地点、マガンなどのガン類は約百地点、マガモなどのカモ類は約6千地点で観察されました。全国における観察数は、ハクチョウ類約6万8千羽、ガン類約16万8千羽、カモ類約146万9千羽でした(表1)。
(1)ハクチョウ類について
ハクチョウ類の観察数約6万8千羽を前年度と比較すると、約16%(約9千羽)の増加です。都道府県別のハクチョウ類全体の観察数を見ると、例年同様、北海道、東北6県及び新潟県の地域で観察数が多く、この地域で全国の約80%に当たる約5万4千羽が観察されました。
(2)ガン類について
ガン類の観察数約16万8千羽を前年度と比較すると、約10%(約1万8千羽)減少しました。
過去15年間の調査結果の推移を見ると、年によって変動はあるものの、全体としては増加傾向が見られます(図1)。これはガン類の中で90%以上の個体数を占めるマガンの越冬観察個体数の増加傾向を反映したものです。マガンは宮城県で全国の90%以上にあたる約14万2千羽が観察されています。なお、ヒシクイについては、前年度と比較して平成24年度は約15%(約2千羽)減少しました。
(3)カモ類について
カモ類の観察数約146万9千羽を前年度と比較すると、約3%(約5万3千羽)の減少となっており、過去の調査結果からは、ここ4年間は連続して減少傾向が見られています(図1)。種別に過去の推移を見ると、カモ類の中で最も個体数の多いマガモの越冬観察個体数について減少傾向が見られています(図2)。
なお、本年は調査日の1月13日から15日にかけて北海道・関東甲信地方が大雪に見舞われた影響で例年より観察数が少なかった地点や交通事情により調査ができなかった地点がありました。ハクチョウ類、ガン類、カモ類の変動傾向については、過去の調査結果の推移を含め、今後の調査結果も見て判断する必要があると考えています。
また、今回の集計結果は暫定値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて6月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点をご留意願います。
3.資料
平成24年度ガンカモ類の生息調査(平成25年1月調査実施)(暫定値)は以下のページから参照できます。
生物多様性センター ガンカモ類の生息調査の成果物の提供ページ
http://www.biodic.go.jp/gankamo/seikabutu/index.html
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局生物多様性センター
電話:0555-72-6033(直通)
センター長 :中山 隆治
総括企画官:鑪 雅哉
担当 :雪本 晋資