福井県 福井平野 地盤環境情報 令和4年度  

1.概要

(1) 地盤沈下等の概要
昭和40年代に実施した国土地理院の一等水準測量によれば、福井平野においては福井市南部地域を中心に地盤沈下が認められ、特に福井市下荒井では、昭和41~46年の5年間に最大18.1㎝(年平均3.6㎝)、昭和46~49年の3年間に25.4㎝(年平均8.5㎝)の沈下を記録した。

このため県では、昭和50年9月に「地盤沈下対策推進会議」を設置するとともに、同年10月には「福井県地盤沈下対策要綱」を定め、福井市南部地域を地域指定し、地下水採取の抑制を中心とする地盤沈下対策を推進している。また、昭和50年度以降は、国土地理院と県および福井市が協力して平野部の測量を実施することにより、地盤沈下の実態把握に努めている。 
  (2)地形、地質の概要
福井平野は山地に囲まれ、北西方では日本海に面する九頭竜川等によって埋積された沖積平野である。扇状地の面積、構成礫層の発達は、北陸の海岸平野の中で最も悪い。平野の北端と海岸の砂丘の背後には後背湿地がある。土質は粘土、シルト~砂、礫層の互層より成り、沖積層の厚さは海岸部で50m程度である。顕著な砂礫層が3層認められており、このうち上の2層(20~40mと60~85m)は帯水層として利用されている。

 

2.地下水採取の状況

福井県公害防止条例の規定に基づく地下水採取届出の状況によれば、かつて地盤沈下が確認された福井市の地下水採取量は、約505.6千m3/日(令和4年度)であり、工業用水、水道用水が概ね4分の1ずつ、その他用水が概ね2分の1となっている。

3.地盤沈下等の状況

これまでの福井平野における水準測量結果をみると、年間1cm以上の地盤沈下が計測されたのは、昭和51年度には3地点、52年度には35地点、53・54年度には各2地点、56年度には1地点、昭和60・63、平成4・8・12・16・20・24年度には0地点、平成28年度には1地点となっており、地盤沈下は昭和53年度以降沈静化している。

4.被害

直接的被害としては、福井市南部地域を中心に井戸の抜け上がり、建物の犬走り、壁等の亀裂がかつて見られたが、近年は特に被害は報告されていない。

5.対策

(1)監視測定
福井平野の水準測量は、昭和49年から国土地理院によって行われ、昭和50年度から平成28年度まで国土地理院、県および福井市が協力して4年毎に行ってきたが、地盤沈下が沈静化していることから平成29年度からは必要に応じて行うことにした。地下水位の観測は、国土交通省、県および福井市が行っており、福井平野には、観測井は22ヶ所29井設置されている。このうち、4ヶ所6井には、沈下計が設置されている。
(2)地下水等の採取規制
昭和46年7月、県公害防止条例により、日量100m3以上の地下水を採取しようとする者は届出が義務付けられ、地下水位の低下が生じたとき、または生じるおそれがあるときは、既設のものを含め必要な措置を勧告できることとした。しかし、福井市南部地域で地盤沈下が認められたことから、県は昭和50年3月、公害対策審議会にその対策について諮問した。昭和50年9月に公害対策審議会から知事に対して、「福井市南部地域における地盤沈下の現況並びに地盤沈下対策の基本方針について」の答申がなされた。これを受けて、県では昭和50年10月に「福井県地盤沈下対策要綱」を定め、福井市南部地域(約14km2)を地域指定し、地下水採取の抑制、節水合理化の推進、観測・調査の実施など諸対策を推進している。
また、昭和46年7月、県公害防止条例により100m3/日以上の地下水採取者に届出を義務付けていたが、平成8年3月、県公害防止条例を全面改正し、吐出口断面積19.6cm2以上の揚水機による地下水採取行為に対し、届出を義務付けている(平成9年3月20日施行)。

 

6.詳細情報

その他の「詳細情報」を、下記のエクセルファイルからご覧になることができます。