環境再生・資源循環

第2回 平成28年度災害廃棄物対策推進検討会 議事録

日時

 平成29年3月22日(金) 15:00~17:36

場所

 AP東京八重洲通り 13階 A+B会議室

出席委員

委員

浅利 美鈴、大迫 政浩、大塚  直、勝見  武、酒井 伸一、佐々木 五郎、島岡 隆行、中林 一樹、平山 修久、牧  紀男、吉岡 敏明、(敬称略)

委員以外の出席者

(事務局)
環境省

中井廃棄物・リサイクル対策部長、瀬川廃棄物対策課長、小岩災害廃棄物対策官、

松崎廃棄物対策総括課長補佐、荒井災害廃棄物対策室長補佐、切川災害廃棄物対策室係長

議題

1. 開会

2. 講演 

 「災害の軽減に必要となる情報とは何か」

 講演者:神戸学院大学 経済社会学部 社会防災学科 教授 安富 信

3. 議事

(1)技術・システム検討ワーキンググループの検討結果について

(2)地域間協調・指針検討ワーキンググループの検討結果について

(3)災害廃棄物対策に関して今後検討すべき事項とその進め方について

4. 報告

(1)熊本地震等による災害廃棄物の処理状況及び熊本地震の教訓に基づく政府の取組について

(2)災害廃棄物対策推進シンポジウム開催報告について

5.その他

6. 閉会

配布資料

資料1   講演資料「災害の軽減に必要となる情報とは何か」

資料2-1 技術・システム検討WGの検討について

資料2-2 衛星画像を活用した災害廃棄物の発生量の推計手法の検証

資料3   地域間協調・指針検討WGの検討について

資料4   災害廃棄物対策に関して今後検討すべき事項とその進め方について(案)

資料5   熊本地震等による災害廃棄物の処理状況及び熊本地震の教訓に基づく政府の取組

資料6   災害廃棄物対策推進シンポジウム(概要)

参考資料1 第1回 平成28年度災害廃棄物対策推進検討会 議事録

参考資料2 平成28年度災害廃棄物対策推進検討会委員名簿

参考資料3 平成28年度災害廃棄物対策推進検討会開催要綱

参考資料4 大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について

参考資料5 巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームについて
-制度的な側面からの論点整理を踏まえた基本的考え方-
(平成27年2月 巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会)

参考資料6 巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて
(平成26年3月 環境省、巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会)

参考資料7 災害廃棄物対策指針(平成26年3月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)

参考資料8 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案参考資料

参考資料9 ごみ処理基本計画策定指針(平成28年9月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部)

議事

(小岩対策官)
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回平成年度災害廃棄物対策推進検討会を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。初めに、廃棄物リサイクル対策部長の中井から御挨拶をさせていただきます。

(中井部長)
本日は御多用のところ、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。第2回災害廃棄物対策推進検討会を開催させていただくにあたり、一言御挨拶させていただきます。
昨年は4月に発生いたしました熊本地震をはじめ、8月の北海道や岩手県における台風災害、10月の鳥取震、年末の糸魚川火災等、多くの自然災害が発生した1年でした。本検討会は、災害廃棄物処理に関する実績や教訓等を整理いたしまして、災害廃棄物対策を一層推進・強化することを目指しており、災害廃棄物対策の経験やノウハウを、今後の環境省における災害廃棄物対策に生かしていくため、専門的かつ広範な視点から検証等をお願いしたいと考えております。
本日は、神戸学院大学の安富教授に災害の軽減に必要となる情報に関する御講演をいただくとともに、技術・システム検討ワーキンググループ、地域間協調・指針検討ワーキンググループの検討成果等について御議論いただくこととしております。本日も忌憚のない御議論をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

(小岩対策官)
それではまず、資料の御確認をお願いいたします。お手元の次第に配布資料の一覧がございますので御確認をお願いいたします。参考資料につきましては、委員のみに机上に置いております。資料の過不足等ございませんでしょうか。過不足等ございましたら、会議の途中でも構いませんので事務局にお申し付けください。なお、参考資料は会議終了後、机上にお残しください。よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出席状況でございますが、貴田委員から御欠席との連絡を受けております。あと、大塚委員から若干遅れるとの御連絡をいただいております。
ここからはカメラ撮りは御遠慮いただきたいと思います。一般の傍聴者におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影等は御遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。
本日は議題に先立ちまして、「災害の軽減に必要となる情報とは何か」と題しまして、神戸学院大学現代社会学部社会防災学科の安富信教授に御講演をいただきます。安富先生は、災害時の自治体の情報発信、新聞、テレビなどマスメディアの災害時の伝え方、災害時のボランティア活動等を主な研究課題としておられ、防災分野におけるさまざまな研究活動、地域貢献活動、講演等を行われている実績をお持ちです。講演内容を踏まえ、本日も有意義な議論に繋げていきたいと考えております。
それでは安富先生、よろしくお願いいたします。

(安富教授)
はじめまして。神戸から来ました、神戸学院大学の安富と申します。若干緊張しております、これほど大変な会だと知らずに。実は酒井座長は私の高校時代の友達でして、いきなりそんな話をしてはいけないのですけど。12月に京都に切川さんが来られた時に、「ちょっとお前も来いよと、災害やってるだろう」と言われて行きました。それの後、帰ったら切川さんからメールが来ていて、こういう話をしてくれと。すみません、座らせていただきます。
「災害の軽減に必要となる情報とは何か」というお題をいただいたのですけれども、こちらが教えてほしいぐらいなことです。私、災害情報というのを専門にしておりますが、元々は読売新聞大阪本社で新聞記者をやっておりました。22年前に阪神・淡路大震災が起きた時までは、事件記者という社会部の記者でした。政治部の記者とか国際部の記者とはおとなしくていい記者なんですけれども、社会部の記者はかなりやんちゃだと思います。私は大阪ですのでもっとやんちゃでした。22年前、デスクをやっている時に阪神・淡路大震災が発生しまして、当時は兵庫県尼崎市にある阪神支局で被災しました。実家が神戸の中心部でしたので、かなりの被害を受けました。これが一つの契機となってそれからずっと災害報道をやっております。その途中に、人と防災未来センターという阪神・淡路大震災を教訓につくられた施設で1年間勉強しまして、3年前に神戸学院大学に行きました。今、日本で防災って名前がついている学科は一応うちだけだそうで、社会防災学科という学科が3年前にできまして、そこの教授をしております。
最近、まじめな話で思うのが、やはりなかなか情報が伝わらないということです。私はもちろん災害廃棄物の専門家ではありませんから、本日の検討会の資料をぱっと見させてもらいましたが、さすがに理系の先生はすごいなと感じました。
今、日本災害情報学会の理事をやっていますけれども、災害情報学会というのは非常に新しい学会でして、今、どうやったら住民の方に情報がきちんと伝わって減災に繋がるのかというのが最大のポイントなのですけれども、例えば去年ですね、去年の秋に台風10号が来て、奇妙な台風で、最終的に北海道と岩手県あたりに大きな被害を出したというところなんかでも、岩泉町の老人グループホームで災害情報的に言うと、避難準備情報というのを出したけれども、それが理解されなくて結局9人の方が亡くなってしまったというふうな悲劇もありました。役所の方、国の方、県の方、市町村の方が一生懸命災害情報とか非難情報というのを考えて出しているんですけれども、なかなかそれが一般の方に理解されていないのでなかなか被害、犠牲者を少なくできないというのが最大のポイントかと思います。ここに内閣の方がいらしたら申しわけないのですけど、内閣のほうでは避難準備情報というのがわかりにくいから名前を変えようというようなことを言っていますけれども、そんな問題ではありません。やはり、その情報というのが何を意味しているかということがはっきりと住民の方に理解できなければ、命を救うことはできないんじゃないかと思います。
災害情報というのは、命を守る情報なんだと、大学の講義で学生に伝えています。命を守るために伝える情報だから、それがきちんと伝わって住民の方が理解して、例えば避難してもらうとか、自分の命を守るためにどうするかということを考えてもらわなければ、幾ら偉そうなことを言っても届かないんだというようなことをうちの学生に言っています。テクニックで例えば災害情報とは避難準備情報や、避難勧告、避難指示等を言います。そういうことを覚えることよりも、どういうふうに伝えれば命を、住民の方の命を救えるかということが一番大事なんです。しかし、なかなかそこが偉そうな言葉を使っても届かないというのが現状だと思います。
今日、情報ということを考える上で、昔々に使ったパワーポイントの中からこれがあるなと思って持ってきました。亡くなられた廣井先生、廣井先生は災害情報論という学問をはじめられた最先端の方でした。彼のあとがなかなかいないのが残念ですが、随分昔の廣井先生の本から私が出したものです。今日のお題でいくと、災害の軽減に必要な情報とは何かというのは、平時から考えておかなければいけないと思います。災害情報は割と発生してからとか、発生の直前ということが多いんですが、やっぱりそれでは遅いなっていうことが最近言われています。
例えば、緊急地震速報っていうのは、専門の方がたくさんいらっしゃるので申しわけないのですけど、あれは実は災害が発生した後の情報なんですよね。40秒とか30秒のタイムラグを使って、大きな揺れが次に来るよっていう速報を出しているんです。あれは予測でもなんでもないですし、事前情報でもないわけです。もちろん、水害の場合は台風が近づくにつれて雨がたくさん降るから逃げてくださいという情報を出すわけですよね。その逃げてくださいという情報に3段階の情報があるわけです。自治体が発するもの。例えば岩泉町で出された避難準備情報ですが、避難準備をそろそろしておいたほうがいいよという情報と思っている方も多いと思います。実はそうではなくて、自治体にとっては避難準備情報を出すことによってまず避難所を開設しなければなりません。
障害者や高齢者の方等のすぐに逃げられない方はこの段階で逃げなければいけないという情報なんですね。ところが言葉上、避難準備情報となると、避難準備をしたらいいんだなと感じると思います。あの特別老人ホームの管理者もお年寄りの方も、じゃあ次に実際に逃げなさいよ、逃げなければいけないよというのが、連絡されると思ったはずです。関西弁で言ったら、「逃げなお前死ぬで」というのが避難指示。行政は命令という言葉を今使えなくなっているのですが、避難指示というゆるい言葉、本当は避難命令なんです。その次に勧告というのがあります。勧告というのは「もう避難せえ」というものです。
避難準備情報というのは、避難所を開けて、いわゆる災害弱者という方は受け入れるんだよという情報であるはずなんです。でも難準備情報という、「準備」という言葉が入っていくことによって、準備しておいて次にもう1回行政から何がしかの指示が出るんだなという、指示待ちになってしまうんですね。これが今回の岩泉町の悲劇だと思います。ですから、その周辺に避難勧告とか避難指示が出て、周辺の人達はその段階で避難しているんですけど、最初に出たところには受け止め方がそういう受け止め方だったので、次に出るだろうと言っているうちに、あれは夕方だったんですけど、逃げ遅れた。隣の同じような施設のお年寄りたちは、1階から2階に逃げただけで命が助かっており、情報の受け止め方というか、あの情報というものの意味をきちっと理解してないことによる悲劇だと僕は思います。
いきなり情報を出しても、その情報がどういう意味であるかとか、何を意味してるかということがわからなければ情報を出しても意味がないんです。ということは、平時からその情報について、きちっとした理解を得るための啓発とか、そういう勉強ということがなければ伝わらないというのが考え方の一つなんです。
平時の情報ってどんなものがあるって書いています。防災力強化や、危機管理情報、地域防災情報等を例示していますが、地域防災情報が非常に近い情報で、この地域に例えば危険度はどれぐらいあるのか、例えば50ミリ以上の雨が降ったらどれだけの浸水をするんだとか、揺れがどれぐらいあったらどれぐらいの家が倒れるんだというのが多分地域防災情報だと思います。それから、個人にとっても地域防災情報や自己啓発、地震学情報等の基本的な知識ぐらいは必要だということを書いていると思います。
本日、中林先生がいらっしゃるんで非常に恥ずかしいんですけれども、中林先生は復興学会の前の会長でいらっしゃって、事前復興という考え方を今復興学会では考えています。何かと言うと、もちろん起きてから、例えば家が潰れた、街が壊れた、街並みを再生するためにはすごくお金がかかるんだと。だから事前にお金をそれなりにかけて復興のための準備をしておこうというものです。簡単な言い方で申しわけないのですけど、事前にそういうことにお金をかけていこうという考え方は非常に大事です。そうなると、事前情報が大事です。
例えばこの非難情報にしても、3種類の情報があるんですけれども、その三つの情報の意味すらまだ伝わっていないというのが今の日本の状況なんです。
水害ですと、一時にたくさんの雨が降って、昔のように川が溢れて洪水が起きるというパターンに加え、内水氾濫と言って、いわゆる下水道が逆流するようなパターンの洪水が都市型の洪水で増えています。それっていうのはものすごい短いスパンで発生しますから、なるべく早く情報を出して理解してもらって逃げてもらわなければいけない。今日こちらに自治体の方や国の方がたくさんいらっしゃいますから申し上げにくいのですけれども、私も国の方とか自治体の方とかと研修をやっていて一番思うのは、言葉は結構しっかり書いているけれども、これは実際に住民の人にどう伝わるのか、どう理解されるのかなというところが、まだまだ皆さん努力が進んでいないんじゃないかとちょっといつもきついことを言うのですけれども思います。
災害廃棄物の中で大部分を占めるのが壊れた家です。だから、家が壊れなくすればいいと思うのですけれども、なかなか耐震化が進まない。阪神・淡路大震災から22年たって、国のほうで耐震化を進めていると言っていますが、結局神戸でもまだ、いわゆる木密地区といいまして非常に古い建物がまだ残っています。阪神の場合は8割以上ですか、倒壊家屋の下敷きになって亡くなったと言われてますから、皆さんが一生懸命やって申しわけないですけども、簡単に言えば倒壊家屋を減らせれば計算しなくてももっと減ると思います。しかし、それがなかなかできない。
それから、トイレの問題もあります。問題はトイレをきちっと整備してないことによる関連死というのが、熊本でも今回157人ぐらい出ている。阪神のときに、中越地震のときにも大きな問題になりましたが、熊本でも同じことを繰り返している22年前に言われて、新潟中越ももう十数年前に大きな問題になって、熊本でまた同じことが起きているというのは、私は偉そうに言えませんけれども、災害をやっているものにとっては非常に悔しいというか、情けないというか、また同じことをやってしまったと。熊本って、何回かボランティアで行ったのですけれども、ほとんど阪神・淡路の教訓が生きてないと思います。
時間が少ないのでマスコミの話にいきます。これ、理想の減災の正四面体と言います。これは2000年の有珠山のときにクローズアップされました。研究者と行政と報道機関が一体となって住民の安全をどう守るかというのが、減災の理想の形であると言われています。これが全くほとんどうまくいってないというのが現状です。
牧先生はよくご存じだと思いますけれども、報道機関は行政にプレッシャーをかけるのが仕事だと思っていますし、研究者はどっちかと言うとマスコミは嫌いだし、なるべくマスコミの相手はしたくない。マスコミは研究者にネタというか、談話とかもらって何とかしたいという構図がずっとで、行政が非常にひどい目に遭うというパターンが続く。阪神・淡路から22年たって、私もマスコミ出身者で、東日本大震災や熊本地震を見ていて、やっぱりマスコミって変わらないなと思います。やっぱりマスコミというのは絵があるところ、動きがあるところ、涙があるところ、業界ではお涙頂戴主義って言うのですけれども、これは変わらないと思います。大きな震災のときのテレビもずっと見ていましたけれど、ほとんど阪神のときとレベルが変わらないというか、逆に退化しているかなと思います。
一つは20年たって、マスコミ業界の内部が非情なるリストラが進んで、記者の数が当時の半分以下になっていること。ですから勉強できないんですね。関西なまずの会のように、報道陣が自主的に集まった勉強会をやっておりますが、そこも集まるのも、平均年齢55くらい。若い子たちが来れないんです。来れるような状況じゃないんですね。東京にも昔そういう勉強会があったんですよ。名古屋は今、NSLっていうのがありまして、ここは結構頑張っています。でもなかなか若い子たちが勉強に来れない。全然意味がないんですね、年寄ばっかりが集まって昔話していてもしょうがないんですけど。そういう状況なんですね。
これは調査報道というのは全くできていなくて、ほとんど皆さん、官庁から来る情報で新聞記者って記事書いているな、テレビ記事つくっているなって思って悲しい思いをずっとして見ています。一番悲しいのは、例えば首相会見のときに、誰も首相の目を見ずにパソコンだけ打っているんですね。あれ、そのまま社に送っているらしいんですね、パソコンからつないで。今、デスクも別に現場で判断する必要ないんだと。書いたものをそのまま送って来いと。で、デスクで判断するんだと。現場で判断できないものをなんでデスクが判断できるんだと僕らは思うんですけれども、そういう状態です。ですから、ああいう体たらくな状況になっていると思います。
非常に大事なことなんだけど、災害廃棄物対策を専門にする記者なんて今多分いないでしょうね。これを専門に書ける。基本的なことぐらい押さえて、例えば阪神淡路大震災級が来たらとか、南海トラフが来たらどれぐらいの、このままやっていたら廃棄物が出て、どれぐらい大変なことだということすら多分今のマスコミにはわかってないと思うんですね。そういう状況なんです。皆さんは一生懸命やっていて、ここでやっても、問題は現場の住民の方とか市町村の、実際にやっている方にいかにこの話が届くかということに尽きると思うんです、極端に言いますと。
今うちの学生100人に新聞毎日読んでいるって聞くと、一人か二人とかいう世界です。テレビすら見ないんですね。テレビのニュース番組ってほとんど見ないですね。ドラマもあんまり見ないんですね、不思議なことに。何してるのかと思ったらずっとLINEやってますよ。彼らはLINEが生きる道なんですね。LINEがなくなったらどうするのかなと思うんですけど。一つはSNSを使ってうまく情報発信するのがいいんですけど、やっぱり新聞とかテレビをうまいこと使ってこういう結構専門的なことを書かすっていうのをやったり、そういう専門記者をうまいこと育てて、月に1回でも、今は読売新聞でも解説欄って出てますから、あそこに書かす等に取り組んでもよいと思います。僕はマスコミ出身なので、マスコミはうまく使うものであると。ただし、うまいこと使わないといけない。
時間が来ましたから話は終わりますけれども、大事なことは使うマスコミの向こうにいる住民の人達に、どう自分たち、私たちが今検討している事項だとか、大事なことを伝えるのはどうしたらいいかということをもっと意識することだと思います。もちろんいろんなホームページだとかそういうのであるんですけど、なかなか役所のホームページって読んでもらえないんですよね、はっきり申して。まだちょっとでも力を持っているマスコミをうまく使って、向こうにいる住民の人にいかに、啓発っていうのは上から目線なんですけど、伝えていくかということが大事じゃないかなと思います。
与えられたお題が難しくて、こんな調子で申しわけないのですけれども、以上といたします。どうもありがとうございました。

(小岩対策官)
安富先生、どうもありがとうございました。
御講演いただいた内容につきまして、御質問等ございますでしょうか。

(酒井座長)
はい、安富先生、どうもありがとうございました。
防災・減災の正四面体を示してくれました。この災害廃棄物を検討している場にいるものとしては、この左の研究者と行政は相当密にいろんな経験、そして情報を蓄積していっているのですが、そこに右の報道機関との接点が欠けている、そして住民へのアクセスが十分ではないと感じています。そうした観点で、今日、安富先生の話を期待して聞かせていただきました。このメディアの退化、ある種自己否定のようなところも率直に話されましたが、ぜひ今後に向けて、防災分野の正四面体というのは今後再構築できるのかという点、それと災害廃棄物分野というのはどちらかというとこれまでマイナスの報道に、非常に苦労してきています。それを打開するためには、先ほど言われたような勉強会等々を地道に積み重ねることで打開できるか。我々の分野での正四面体のつくり方はどうやったらできそうかという2点について追加でコメントいただけませんでしょうか。

(安富信教授)
そうですね。研究者がうまいことマスコミを育てることが重要と思います。それを言うと、河田先生がお金持ってないっていつも言われるんですけど。マスコミの一番怖いのは特落ちなんですね。特ダネよりも、今のマスコミの弱いところは特落ちを嫌うんです。研究者が育てるには、皆さんが、研究成果で非常にいいものを出して、これを書かなかったら、よそがみんな書いているのになんでうちは載ってないのというようなことが必要になってくると思います。行政と私は報道機関の図上訓練というのを年に1回、人と防災未来センターでやっています。キーワードは研究者だと思います。
有珠山を例に説明しますと、研究者である岡田先生という北大の先生が、マスコミをすごく呼び込んで、君らがちゃんと書かなかったらこの人たちの命は守れないのだというようなことをずっとやって、1万何千人が避難しました。この翌々日に大きな爆発が起きましたが、死者が一人も出なかったいう奇跡があります。これはいわゆる危機管理的な情報なんです。災害廃棄物について、このまま放っておくと大変なことになるんだということだけではなく、出ないための方策というのをどんどんやらなきゃいけないと思います。そのために専門家との連携も大事だと思います。その方策を報道機関をうまいこと使って書かす。僕は期待しているんですね。いいこと書くな、というのがやっぱりあるんですよね。そういうことはやっぱりマスコミを志望している若い人たちにもまだまだ熱い心なり、それなりの気持ちがあると信じているので、そういう人達をうまく使って。
すいません、答えになっていないかもわかりません。

(小岩対策官)
ほかに何かございますでしょうか。
よろしくお願いします。

(吉岡委員)
今、研究者とか行政、あるいは報道というところでお話をいただいたように思うのですけれども、例えば噂というのでしょうか、住民からいろいろ拡散してくる噂を報道が流すことで誤った情報が出てきてしまい、余計な労力を使わなければいけないということもあるかと思います。それに対して、研究者、あるいは行政がとる対応について、住民との連携であるとか、あるいは報道機関との連携というところについて何かお考えがあれば教えていただきたいのですけれど、いかがでしょうか。

(安富信教授)
はい、いわゆる風評被害ですね。今、福島で最もそれで苦しんでいる状況で、事実であることと、事実でないこととの線引きというのが非常に難しいんですよね。まず一番大事なのが、さっきから同じことを言うんですけど、やはり風評被害が住民の方から出るというのはある程度仕方のないところだと思うんです。問題はマスコミがそれを大げさに書いたりするのがありますよね。テレビの情報系の番組だと大体そういうのが先に火を点けるんですね。あれを見て、みんな本当だと言ってやっているから怖いなと思うんですけど、テレビ局というのは報道と情報番組っていうのは全然違う機関がつくっているんですよね。やはり大事なのはその局内、新聞社内でもそういう、結局勉強をしっかりできる記者を育てることが重要であると思います。 例えば災害廃棄物ですと、会社の編集局のトップぐらいの人をそれにサジェスチョンする、アドバイスする人ぐらいをちゃんと育てておけばそういうことは書かなくなると思いますね。
一番大事なことは、風評被害のようなことをマスコミがもしやったら、自治体は断固として否定をするべきですね。それは研究者の人も一緒になってもらって、これは絶対違うんだということをやってもらわないと、それがそのまま独り歩きしてどんどん、次は週刊誌が書いていって、意外にそうやって広がっていくのが、それが本当の話になってしまうみたいなところがありますので、日本の社会は。

(小岩対策官)
ほかによろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、安富先生による御講演は以上となります。御講演いただきました安富先生に拍手をお願いいたします。
(拍手)
ありがとうございました。それでは、以降の進行は酒井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(酒井座長)
はい、それでは本日の検討会の議事を進めさせていただきます。
一つ目の議事が、技術・システム検討ワーキンググループの検討結果ということですので、このワーキンググループの勝見座長からご報告を、資料2-1ですか、ご説明よろしくお願いいたします。

(勝見委員)
はい、技術・システム検討ワーキングを担当させていただいております勝見です。安富先生の迫力あるお話のあと、少しやりにくいところもございますけれどもやらせていただきたいと思います。
資料2-1をご覧ください。表紙にはタイトルと大まかな目次を記載しています。
めくっていただいて2ページ目、昨年度までの検討事項をオレンジの枠と緑の枠に書いております。これをもとに28年度、さらに積み上げを行ったということでございます。一つは災害廃棄物を処理するに当たって必要となる災害廃棄物の量と質の情報の把握方法の精緻化です。もう一つは右側の黄緑色になりますが、災害廃棄物処理を行う際、どういう考え方で物事を組み立てていくかということで、昨年度に引き続き首都直下地震を想定して、被害想定、あるいは計画されている初動対応も考慮して、どこまでのことが今の段階でできそうかを検討しました。
本年度は真ん中のピンクのハッチングがかかっている、二つの大きなテーマで行いました。検討事項の1番目と2番目がこの黒丸の1番目に当たって、
検討事項の3番目が黒丸の二つ目に当たるというような理解をしていただければと思います。
ワーキンググループは、私以外に委員4名、それから日建連からオブザーバー3名も入っていただきまして、環境省、事務局と都合3回の会合と、それから少人数でいろいろと打ち合わせで集まるということも行ってきたといったことでございます。
3枚目のスライドに検討事項を書いております。文字が多いので余り細かくは読みませんけれども、検討事項1は原単位の検証でございます。この中では、いろいろ因子の分析を行うとか、平成26年3月に策定したグランドデザインで示している原単位1棟あたり117トンと、災害の種類ごとの損壊家屋1棟当たりの災害廃棄物量との比較というものを検討しております。さらに今後さらなる検証を進めていくためどのようにデータを蓄積していくのか整理を行っております。
検討事項2は、東日本大震災でもご苦労された処理困難な災害廃棄物について、いろいろな情報準備と、事前の対応、さらに情報共有手法を整理をしております。
検討事項3は、首都直下地震を想定した技術・システムの検討ということで、仮置場の選定方法の具体化と、進捗管理です。それでは、検討事項の1から順番に行かせていただきます。
4ページ目に阪神・淡路大震災以降の一定規模以上の災害の全壊家屋、半壊家屋、それから災害廃棄物の量をお示ししております。1点修正があります。ちょうど真ん中あたりになりますけれども、災害の東日本大震災(①+②)の半壊家屋32万3000となっていますが、3万3千です。申し訳ありません。1万の位の2の文字を消してください。次ページ以降でいろいろ検討をしております。その検討に当たって対象とした災害の基本情報となります。
5ページ目は熊本地震で環境省がモデル事業として実施された木造家屋の組成調査結果になります。3棟について調査の機会をいただいたということでございまして、平均すると1棟当たり廃棄物発生量は92トンです。その約半分は建物基礎の解体から発生するコンクリートがらであることがわかっております。
次のページ、6ページに行きまして、先ほど4ページでお示しした各災害の災害廃棄物発生量を1棟当たりに換算して、その内訳をグラフ中で少しずつずらしてわかりやすくお示ししております。先ほど申し上げました1棟あたり117トは阪神・淡路大震災と東日本大震災の実績に基づいて算出しているものでございますけれども、他の災害についてもここで検証しています。検証結果の要点は下に書いておりますけれども、熊本地震における木造家屋1棟の解体実績値92トンと比較して25トン多くなっています。これは東日本大震災では公共建物の解体や流入した土砂、流木といったものを災害廃棄物として処理したことが要因ではないかということでございます。
それから、水害については常総市の事例では43トンとお示ししていますけれども、これは結果的に片付けごみなどが中心であったと理解しているところであります。それからこのグラフには示せてないのですが、土砂災害ということで、広島や伊豆大島については土砂量が家具や損壊建物の総量と比較して15倍程度となっていることも災害廃棄物量を推定するという点では注意しておかなければいけないということでございます。前提として、全壊家屋は全てが廃棄物になり、半壊家屋はり災判定された家屋の5分の1、20%が廃棄物になると仮定をして算出をしています。その点もご注意をいただければと思います。
7ページは参考ということでつけておりますけれども、災害ごとにどのフラクションがどれぐらい出てくるかということと、どれぐらい値が振れるのかといったことを書いているということで、少し読みにくい図かもしれませんが、一番上に見方が書いてありまして、東日本大震災の宮城県、岩手県、それから阪神・淡路大震災の例を示しています。
8ページは、半壊家屋の廃棄物としての見込む割合について、過去の災害の実績をもとに検証したものです。グラフを見て頂きますと、全体的には全壊、半壊が増えると廃棄物の発生量が増加するというようなことですけれども、一部、半壊の棟数が多いとか、それから半壊の棟数が多いことで廃棄物量が増加したというようなところもあって、半壊の建物からどれだけ廃棄物になるのかというところも注意しないといけないということで、9ページでは熊本の半壊の家屋についての解体の推移をお調べいただいたということでございます。
先ほど6ページでは半壊の2割として検証しておりますけれども、熊本地震では6割以上の半壊の家屋が解体されているようでして、半壊のり災証明の出方も含めて災害廃棄物の量を見積もっていくということが重要だということを示唆するものだというふうに考えているところであります。関連して10ページにり災判定の出方の推移を示しています。初期の段階で全壊、あるいは半壊の建物数がわかれば、それをもとに災害廃棄物の量を推定することができるということではございますけれども、最初の2カ月ぐらいは増える一方といいますか、なかなかここに時間がかかっているということもその先の災害廃棄物の迅速な処理をはじめるということについての難しさを示すものだろうということになるかと思います。このやり方ももちろんやるわけですけれども、例えば人工衛星画像を使うとか、ドローンで撮影をするとか、別の方法で災害廃棄物の量を推計することもワーキングの中では議論いただいているということでございます。
今回対象としている災害の事例というのはあくまでも数が限られているということでございまして、同じ地震でも、同じところで起こっても震度分布によって当然量も変わってくるだろうといったことも実は十分考慮する必要があるということのイメージ図を11ページに書いております。それをより精緻にしていくということになりますと、やはりいろいろな情報を丁寧に集めていく必要もあるということで、今後もし災害が起これば12ページのような情報を整理して、災害廃棄物の種類別の量を予測する、その精度を上げるということに役立てることができればということで考えているところであります。以上が検討事項の1になります。
検討事項の2は処理困難な災害廃棄物ということでございまして、13ページに具体的な内容を書いています。発災前、初動期、それから応急期、復旧期、三つのフェーズに分けて議論いたしました。
14ページにありますように、昨年度は処理困難物として、危険物も含めてでございますけれども、二十数種類を挙げています。今年度新たに4品目を加えました。具体的に何をするかというと、15ページのフローチャートにありますように、どこに処理困難物があるかということ、そしてその影響評価を平時から把握して、災害廃棄物処理の計画を作成する。これを発災時の現地の確認、あるいは現場での対応に役立てていただくということでございます。具体的には16ページにあります、カルテといいますか、帳票というものを提案いたしまして、これに処理困難物ごとに記載をしていくということで進めています。帳票には発生ポテンシャルや、処理に係る影響評価、生活環境への影響、さらには中間処理の困難さ等を区別して、整理する様式としています。そうして黄色で書いている部分にそれぞれ自治体に情報を集めていただいて記入をしていただくということでございます。合わせて17ページを見てください。具体例として小学校区ごとにまとめたものを例示しています。どこにどういうものがどれぐらいあるというようなことを把握していただくことによって、現場対応をスムーズにしていただけるのではないかということでございます。これは、それぞれの学区をご担当される方、あるいは発災後ということになりますと廃棄物の収集の方だけではなくて、消防や警察の方にもそういった情報を活用いただけるというようなストーリーで考えていただいているというものになります。
18ページが検討事項3です。昨年度は仮置場を確保するために必要な面積を試算しました。今回はもう少し踏み込んで時系列的に道路のアクセスや避難場所といった都市公園等の使い方を踏まえて、一次仮置場が主でありますけれども検討したということと、18ページの右にありますが、進捗管理のフォーマットを検討したということでございます。
19ページにはGIS情報ということで今活用できるものがあるということでございまして、震度分布、道路啓開、道路路線図、液状化等の潜在リスク、それから都市公園の全体と、それから面積が大きいものといったものを重ねあわせてみると、20ページのようになるということでございます。この図からいろいろなことはお考えいただけるわけです。ここでは一次仮置場の面積による絞り込みを示しております。一定程度の面積、それから都道からの距離をパラメータとして、面積は1,000、5,000、20,000m2、距離は500m、100mで絞ると、面積20,000㎡以上、都道から距離直線100m以内という条件で絞っても条件を満たす都市公園が74あります。表の赤で囲っている右から4番目の数字74ですけれども、公園の数でいえば全体の1%ではありますが、面積で考えると629haと十分な広さが確保できます。表の下に一次仮置場必要面積とありますが、これは486haです。修正をお願いします。昨年度試算した二次仮置場の必要面積754haを足しても、都道から500m以内の都市公園まで対象とするとか、一次と二次をオーバーラップして活用する等を検討すると、十分にやっていけるものという結果となりました。
22ページは、少し別の話になりますけれども、進捗管理のための情報管理です。シートが3枚重なっているのですが、フローチャートが昨年度のワーキングで提案させていただいた災害廃棄物の量を計量するポイントでございまして、この部分でちゃんと計量して災害廃棄物処理事業を円滑に、かつ情報共有できるようにということで提案させていただいたものです。具体的に青の①②、あるいは赤の③でどんな情報を集めたらいいかというフォーマットの例ということで、重ねていて見づらいのですが水色の表、あるいはピンク色の表に、必要な情報量が多いと思われるかもしれませんけれども、まずこういったフォーマットで情報を集めて集約することによって、その後の事業の円滑化と透明性ということに貢献するだろうということで示させていただいているということでございます。
今後の展開につきましては、ちょっと大分時間も過ぎてしまっているようでございますので、それぞれのテーマについていくつか課題を書かせていただいているということでご覧をいただければと思います。
以上で説明を終わります。ありがとうございます。

(酒井座長)
それでは引き続きまして、資料2-2の人工衛星画像の解析につきまして事務局のほうから説明をお願いいたします。

(切川係長)
はい、資料2-2のポイントだけご説明をさせていただきます。
昨年度の検討会では関東・東北豪雨災害の常総市の人工衛星の画像解析結果を示させていただきました。今回は熊本地震の検証結果を示させていただきます。2ページ目を見ていただきまして、熊本市と益城町、この2市町を対象としまして解体申請が出されました建物の被害の程度と発災直後に行いました人工衛星画像による判読結果、こちらの比較検証を行いました。3ページ目に移ります。中央の図を御覧ください。赤い点が全壊のり災判定が出ている損壊家屋、青い点が大規模半壊、緑が半壊となっており、解体申請をいただいている建物全てを1戸ずつ検証しました。その結果が4ページの表で示しております。横軸がり災判定の結果、縦軸が、大中小と書いてありますが、人工衛星の画像解析で判読した被害の大きさです。大が全壊に相当する被害という整理をしたものになってございます。
上から二つ目の表を見ていただきますと、全壊と判読結果が大を突合した結果です。被害が大と判読したものに関しては9割弱ぐらいが全壊であったことが判読できているというような結果になっております。しかし判読結果で被害なしとしたものの中に20%程度が全壊としてり災判定が出ているものがございました。そちらに関して次のページのほうで検証を行ってございます。
差異が生じたものとしましては表にありますように建物の壁面に大きなひびが入っていて、建物自体が上から見ると被害がないように見えるものだったり、建物の基礎部分のみに亀裂が入っていて全壊判定になっているもの、熊本は地盤沈下、液状化もございましたので、土地として傾いたりしまして、建物自体は被害がないのですけれども全壊判定が出ているもの等、空から見てもなかなかわかりにくいものというのが一つ理由としてございました。もう一つ、雨水対策でかけられているブルーシートが剥がれていたことも要因としてございました。また、ちょっと残念なところなのですけれども、手作業で1戸1戸確認しているものなので、作業の不慣れ、ミスも一部ございました。そちらがこちらの結果となっております。6ページ目はその結果をまとめたものになってございます。
少し飛ばしまして8ページと9ページで、全体で1,2割程度ございました作業のミスを防ぐために作成した判読基準やルールを整理しております。 10ページは光学画像ではなくてSAR画像、レーダー画像を使って、より迅速に広域に判読する方法を考えようということで整理をしたものです。熊本地震の場合ですと、人工衛星が熊本県上空を通過したのが4月18日でございましたので、熊本地震の本震の4月16日の2日後に画像の取得ができました。次のページに、光学画像とSAR画像の違いを示させていただいております。SAR画像、レーザー画像を見ますと建物があるところが白く浮き上がって見えるような形で出てきます。下の図にありますように、世界の他の国が保有しております人工衛星も活用しますと、南海トラフ巨大地震が起きたとしても1週間程度で全域の撮影ができるというような状況になってございます。ちなみにSAR画像を使いますと、津波の浸水域だとか、あとはオイルが漏れたときの被害の状況の検出なんかもできるという特徴があるものになってございます。13ページに、具体的な建物被害の検出の方法を示しております。コヒーレンスを比較することで家屋の被害判定ができるか確認しようということで、熊本市と益城町を対象として、全壊家屋の判定を行いました。検証結果を14ページに示しています。コヒーレンスの色の区分で、差分が高いところが青く出ておりまして、差分が低いところがオレンジ色、赤色で出ております。コヒーレンスの差が大きいところが変化の大きいという結果になります。そのエリアでどれくらい家屋が全壊になっているか試算すると、ある程度の精度で、熊本地震でも被害建物棟数が判読できたという結果になっております。15ページがその結果になってございます。ここには200、300mのメッシュ単位の結果を示しております。こちらはご報告でございます。

(酒井座長)
はい、どうもありがとうございます。
それではただいまの資料2点につきまして、ご質問、ご意見承りたいと思います。委員のほうからお願いをいたします。いかがでしょうか。
では浅利委員からどうぞ。

(浅利委員)
2点お聞きしたいのですけれども、まず1点目が、勝見先生からご紹介いただきました資料2-1の6枚目で、少し聞き逃したかもしれないのですけれども。大島と広島、特に大島のほうの土砂災害で非常に柱材等が突出して大きくなっているのですけれども、そもそもの地域性というか、建物的な要素等もあるのかといったことや、そのあたりをどの程度検討されたのか教えていただきたいなということが1点です。あともう一つが、適正処理困難物といいますか、処理困難なものについてというところで、16ページ目に帳票といいますか、こういったフォームを検討いただいているということなのですが、これをそれぞれ自治体さんに活用していただくということを想定されているのかなと思うのですけれども、それぞれどの情報源からどういったように取ってくるのかという部分が悩まれるのかなという気もいたしまして、そのあたりをどのように盛り込んでいかれようとされているのでしょう。
このあたり、また、有用なフォームになってくるとは思いますので、この後ご紹介させていただきます指針のほうにも、技術資料等として活用できるよう反映できたらというふうには考えておりますが、検討状況を教えていただければと思います。

(酒井座長)
それでは、一通り質問をお聞きしたいと思いますので、大迫委員、宜しくお願いします。

(大迫委員)
発生量の見積もりのところでの衛星画像の活用ということで、こういった方法論の開発は大変重要かと思います。もちろん、今の判読を人がやるというのは大変な作業なので、今後アルゴリズムをどう入れていくかとかいうこともありますし、あと、SAR画像とか、天気に左右されないもののほうが望ましいのでしょうけど、いろいろと課題もあるかと思います。
私が少し言いたいのは、衛星画像だけではなくて、航空機でのリモセンのほうが機動性が高かったりするかもしれないということです。ただ、航空機やヘリコプターを飛ばすのに、やはり災害廃棄物だけのために飛ばすというのは、効率も悪いということで、一方でそれは災害の情報として、いろんな用途に多分使えるはずなので、何か分野横断で、こうしたリモセン情報を災害にどう活用していくかという文脈の中で、ハイブリッドに画像を使い、その中で災害分野としてはこうした用途に使うという工夫をしながら、実際に社会実装していくときのコストパフォーマンスを高める努力をしていただくということが、実現に向けての大事なところかなというように思います。以上です。

(大塚委員)
資料の2-1について、簡単な質問をさせていただきますが、この技術・システム検討ワーキンググループで、非常に詳細な検討をされていて、敬意を表したいと思います。
1点だけ質問したいのは、6ページのところで半壊に関して、20%が廃棄物になると仮定して算出されていますが、後のほうで60%というのが実績としてあったりしていますが、これはやはり20%というところにこだわることに、かなり意味があるということなのでしょうか。その辺りを教えていただければありがたいと思います。以上です。

(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、平山委員、お願いいたします。

(平山委員)
コメント等も含めて、3点ばかり質問も含めてですが。こうしたデータの蓄積、あるいは解析を進めていただいて、大変ありがたいと思っていますし、12ページのような枠組みを今回、示されたのは大変いいことだと思っています。
1点目は、5ページです。Nが3なのですけれど、これをどんどん蓄積していくことが本当にできるのかということ。延床面積当たりの廃棄物量、酒井先生等が阪神・淡路大震災後に示されていたことですが、阪神・淡路大震災と近い値になっています。ということは、ボトムアップで考えるときは、やはりこの床面積当たりの廃棄物量というものは、非常に精度がよいだろうというふうに思います。ただ、ボトムアップでは時間がかかったりだとか、それをどうしていくのかといったことをこの中で検討されている、ということだというように思っていますので、ボトムアップでこのNの3を増やしていくことが、どこまでできるのか、あるいは今後もしていくようなことを考えるのかといったことがコメント及び質問の1点目です。
2点目は、9ページです。先ほどの大塚委員の質問とも重複するのですが、今回、私の理解では、熊本の場合に半壊でも公費解体の対象になったと理解しています。ただ、一方で、阪神・淡路は半壊の場合には公費解体の対象でなかったのではないのかと思っています。半壊を公費解体にしたことによって、本来、補修で使えるものをごみにしてしまったというような可能性があったのか教えていただければというのが2点目です。
3点目は、資料2-1の22ページの情報管理のフォーマット、これも非常にいいとは思うのですが、ぜひ平時にも、やはり解体、つまり家の建て替え等をしていますので、そこで使えるようなものなのかどうかも含めて、つまり災害のときだけのフォーマットでは使えませんので、平時からも使えるものとして、情報管理のためのフォーマットは検討いただければ大変ありがたいと思います。以上です。

(酒井座長)
牧委員、お願いいたします。

(牧委員)
資料2-1の検討事項1ですが、解体の被害との関係を丁寧に分析されているのはすばらしいと思うのですが、被害データがくせ者でして、先ほど平山委員がおっしゃったように、阪神の場合は解体した建物をすべて全壊認定に書き換えています。中越地震も同じです。今回、熊本はそのままデータが残っているみたいなのですけれども、データを検証する際に、尼崎市の特異値も、尼崎市は正式に否定していますが、安富先生はよくご存じだと思いますけど、市民が言ってきたなりにり災証明を出しているため、数字がおかしいのです。ですので、このデータを使うときに、いろんなバイアスがかかっていることも考慮して、きっちりと検討する必要があると思います。
熊本の6割というものは少し問題かなと思います。阪神では古い建物、これは建築年が多分追える可能性があるので、り災証明を出すときに固定資産税とデータをつないでいれば、建築年とデータの連関があるので検証できます。
今後、原単位を集計する上でというようなことで重要ですけれど、本当にそれでいいのか心配な気がいたします。以上です。

(酒井座長)
どうもありがとうございます。
中林先生、お願いいたします。

(中林委員)
廃棄物量の推計について、本当に災害によってさまざまだなと改めて思いました。建物の被害量をあらわす指標として、全壊何棟、半壊何棟、一部損壊何棟というのが一番わかりやすく使われてはいるんですが、廃棄物はそれだけじゃないんだということを改めて伺ったものですから、本日のように比較していただくと、東日本大震災の津波と、それから同じ土砂災害でも伊豆大島のように山の流木が大量に流れ込んだ場合の可燃物の量と、住宅以外に発生した被害の特徴をどう読み込んでおくのかというあたりが、今後、災害状況に合わせて、住家被害以外にどれぐらいの廃棄物がプラスアルファ出てくるのかを見極める意味で、非常に重要な意味を持つのではないかなと思います。ですから、平山さん、その他の方と同じ観点です。
もう一つ、私もこの公費解体というものがくせ者でして、何かたくさん壊されてしまうことに結果的に結びつく可能性があるのかもしれないと。ただ、それは風評というのか、うわさだけなのかもしれないと、そのあたりの審議が阪神・淡路大震災のときから言われているのですが、実は確認されていないので、平山さんがおっしゃった点を少し突き詰められれば、今後に非常に役に立つなと思いました。これは廃棄物量の問題だけではなくて、施策というか対策として、解体をどうするのかということにつながっていって、首都直下だとか、南海トラフ地震の巨大災害を想定したときに、何でもかんでも公費でやるような話が本当に意味があるのかということも含めて、政策的にも非常に重要な意味を持ってくる一つのエビデンスになっていくのではないかなと思いました。
それから、三つ目は、私、都市計画とかまちづくりもやっているものですから、今回、首都直下の事例で、多摩地域で都市公園を一次置場ということでとりあえず使ってみたということなのですが、恐らくこれは自治体の中で、奪い合いになります。都市公園が一次置場として活用するのに移動距離が少なく、二次処理場に運搬するのに効率的であることはわかります。しかし、仮設住宅をはじめ、その他さまざま空き地利用との競合が発生するので、その他としたら、どんな空き地の条件があれば、廃棄物処理の仮置場になり得るのかと、そういう廃棄物対策としての空地条件を整理しておくということが大事かなと思いました。
かなりの重量トラックを搬入するということになると、公園側は物すごく嫌がると思います。ですから、民間の土地の借り上げも含めて、どういったように仮置場の条件とか、あるいは災害時のオープンスペース活用計画の検討というところにつなぐような話をしていかないといけないのかなと思いました。

(酒井座長)
ありがとうございます。
続いてお二人、島岡先生、佐々木委員、宜しくお願いします。

(島岡委員)
資料2-2に関してですけれども、衛星画像を活用して、発生量を推計されることを非常に好ましいと思います。また、精度を上げる努力が必要かと思う一方で、その時期時期に、時期というのは発災直後、復旧初期とかですとが、その時期時期に応じた必要とされる精度の発生量がわかればいいのではないかと思います。
例えば、発災後1週間後に精度の高い災害廃棄物発生量は要るかというと、そうではないだろうと思うのです。まずは一次仮置場だと思います。そういう意味では家財道具ですとか、片付けごみの発生量が重要になりますし、熊本地震を見ていましても、二次仮置場が全面的に供用されのは12月でございますので、発災後から半年以上の時間があります。その間に、家屋調査によって災害状況もわかってきますし、り災証明が発行されてきます。その間に、精度の高い発生量を見積もっていけばいいのではないかと思います。発生後の時期と発生量の推定の精度というようなものもあるのではなかろうかと思います。

(酒井座長)
ありがとうございます。
佐々木委員、お願いいたします。

(佐々木委員)
熊本の地震のときに、全壊、半壊の判定は相当シビアにやられたというふうに聞いております。私も現場でいろいろお話を聞きにいったら、新しいものは直さない、要するに手をつけないという話をよく聞きました。
それから、半壊ですが、お金の問題もあるかと思います。前半は自費解体がされたというふうに聞いておりますので、その辺りもデータの中に加味をしていただいたほうがいいのかなと感じがいたしました。
それから、ほかの委員も言っておりますが、いわゆる仮置場云々というものは、やはり避難所は小学校区に大体設置されるわけで、避難所や仮設住宅等と恐らく調整だけでも結構、時間がかかってしまうと思います。東日本大震災のときも、相当時間がかかったように聞いておりますので、その辺は環境省のほうから、こういうものは絶対必要だというアナウンスを今まで以上にやっていただければ、ごみ部門も少し力になるかなと思います。これは要望でございます。

(酒井座長)
どうもありがとうございました。
たくさんの質問をいただきましたので、事務局でまず可能な範囲、お答えください。

(切川係長)
多くのご意見ありがとうございました。
浅利委員からいただきました広島と伊豆大島で木材が多いのは、山崩れの流木が入っていることが理由でございます。整理しているのでが、本日お示ししておりませんでした。もう一つの地方自治体で活用していただくというところに関して、まずは民間事業者の方々から情報をいただくということになってくると思うのですけれども、地域間協調ワーキングでの検討事項となりますが、災害協定の使い方の一つとして情報を提供いただく協定もあり得るんじゃないかと考えてございます。
大迫委員からいただきました、人工衛星画像だけじゃなくて、航空画像やドローン等の活用に関してなのですけれども、熊本地震においても国土交通省や国土地理院から写真を提供はいただいており、関係省庁間では連携関係はできております。さらに内閣府と防災科学研究所が中心になって、府省連携の情報共有システムの構築というのを別途進んでおります。環境省も災害廃棄物の推計で画像が必要であることをアピールしながら、連携できるような形で進めていきたいとなと考えております。
大塚委員からいただきました、半壊家屋の解体の割合ですが、20%という数値は平成25年に本検討会の前身の「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」の際に技術・システム検討ワーキングで検討した結果を活用しています。全壊家屋と半壊家屋数を活用して、統計的に災害廃棄物量を算出した際に、最も廃棄物量を精度良く算出できる割合です。昨年度まで、半壊家屋の割合に関する検証を進めておりませんでしたので、ずっとそれを使っているというような状況でございます。
平山委員と中林委員、牧委員からもありました半壊家屋の解体に関してですが、これはケースバイケースでいろんな状況に応じて変わってきますので、数字をどう考えていくべきなのか、今回、一つのきっかけとして66%の数字を出させていただいたというようにご認識いただければと考えてございます。
平山委員からいただきました木造家屋、三つでいいのかということに関しては、島岡委員に協力いただきながら、追加で3棟データを取っているところです。微速前進ではございますが、少しずつデータはためていきたいなというように考えてございます。その際、家そのものに加え、家の中に家財道具がある場合やS造、RC造だったらどうなのかや、日本建設業連合会さんもビルの解体データを整理して報告書が出されておりますので、うまくそうしたところも参考にさせていただきながら、整理を続けていきたいと考えてございます。
回答が難しい、半壊家屋の公費解体の影響に関しては、少し後に回させていただきまして、中林委員からと佐々木委員からいただきました、仮置場ですけれども、我々の認識としましては、廃棄部局が用地の利用に関して、同じ土俵に乗れていないと考えてございまして、まずはどれぐらいの面積が要るのか、なぜ要るのか、どれぐらいあったら足りるのかという検証をし、必要な情報を整理しなければならないと思っております。 島岡委員からいただきました、時点ごとの推計の精度に関してなんですけれども、人工衛星まで使って画像解析で推計するというのは、本当に大きな災害、首都直下地震とか南海トラフ巨大地震とかの規模になってくると思います。精度に関しては元々大きな億トン単位ですので、現在の技術でも対応できると思います。一方で、市町村にとってはそれぞれ何万トン単位が大事な数字になってきますので、そうした立場も含めて精度に関しては整理していきたいと考えてございます。
最後、公費解体の影響についてですが、熊本県や熊本市、益城町をはじめとする被災市町村から協力を得て、十分に情報整理をしていかなければいけないと考えてございます。いろんなところで言われている公費解体したから解体率が上がったんじゃないかということに関しては、なかなか結論がすぐに出せないかなというように考えてございます。ただ、政策としては、やはり被災者の方々に寄り添ってちゃんと財政的な支援もさせていただくという観点で進めているものですので、良い悪いの判断もあるかもしれないですけれども、データとしてきっちり、先ほど平山委員からもいただきましたけれども、年代別だとか、そんな情報を分析していければ、客観的に研究というか、学術の世界から検証ができるのかなと考えているところでございます。

(酒井座長)
非常にうまく答えていただいたので、これで結構だと思いますが、勝見先生、何かよろしいですか。
特に、最終の公費解体云々というところは、やはり政策論的に極めて期待感の大きいところでもありますから、その是非というものは、また別の一つの議論だと思いますし、ここではその影響という意味で原単位のほうにどう影響があるかということの判断材料をしっかりつかむという、こういう視点でお使いをさせていただければというふうに思っています。
それから、平山委員のほうから、ボトムアップで一棟一棟やることを一生懸命やる割に、データが余りにも少ないじゃないかということが多分、心の底で考えられている話なのですよね。ただ、検証目的では、やはりこういうときにデータ蓄積することの意義というものは非常に大きいはずですから、よくやっていただいているというふうに思いますので、そのデータに関しては敬意を持って我々は受け止めていきたいというように思っております。
少し時間がないので、余りべらべらとはあれなんですが、1点だけ、処理困難物の中に食品系廃棄物とか、農林畜産系廃棄物があります。これは地域あるいは規模の状況によって腐敗性という意味で処理困難という状況が生まれるというのは十分理解をしつつも、できればこの類型は処理困難物を入れないような平時からのシステムをどうつくるかという、そういう方向での検討も必要だと思います。これは単に処理困難ということで整理をして、今後、何かあったとき、ここもすぐ対処せよという話に極力いかないような工夫もしていきたいというように思います。
それでは、時間も押しておりますので、技術システムの関係、特に日本建設連合会から非常に大きな協力をいただいたことででき上がっているというふうに聞いております。この場を借りて感謝申し上げるとともに、今後、優先順位を十分整理しながら、次年度以降も引き続き検討を続けていただければというように思います。
それでは、次の議事ということで、地域間協調・指針検討ワーキンググループの検討結果の報告をいただきたいと思います。資料3、浅利座長のほうから、よろしくお願いいたします。

(浅利委員)
よろしくお願いいたします。資料3になります。
めくっていただきまして、1ページに、設置目的として大きく二つのポイントを目的として挙げております。それぞれ上のポイントで検討事項1、2、下で1と3ということで整理をしておりますが、まず、1ポツ目のキーワードといたしましては、地域間協調です。特に非常に巨大な災害等を想定したときに、地域間で協調しなければいけないときにどういったように協力関係を構築していくか、その中で特に地域ブロック協議会がどういった役割・機能を果たし得るか、充実に向けてはどういったことが必要かということを検討するということが1点目でございます。
それから、2点目は、災害廃棄物の対策指針の点検です。メンバーといたしましては、学識経験者に加えまして、知見をお持ちの自治体の方々にも加わっていただいております。これ以外にも、多くのオブザーバーの方にもご支援をいただいて、3回、議論をさせていただきました。
具体的な議論の内容に入っていきたいと思います。大きく3点に分けて本日、ご紹介をしたいと思っております。まず、検討事項1ということで、災害廃棄物対応の充実に向けた検討。その中で、四角で3点書かせていただいておりますが、災害廃棄物の処理計画の実行性を高めるための検討です。そもそも災害廃棄物処理計画を各自治体さんがどの程度策定されていて、どういったグッドプラクティスがあるかということの整理を進めたということが一つ目の四角であります。赤でアンダーラインも書かれておりますが、平成28年3月時点の災害廃棄物処理計画の策定状況は、都道府県で43%、市町村で21%ということで、決して大きいと思われないかもしれませんが、その前の年度と比較していただきますと、非常に策定率は上昇しておりまして、この間の環境省さんの働きかけも含めて、大分浸透してきているのかなと思います。その中から、新たに策定をされているものに関して、星取り表のような形で整理をして、グッドプラクティスについての抽出をさせていただきました。後でご紹介をしたいと思います。さらに、各主体で取り組んでおられる人材育成・教育訓練の事例の整理をさせていただきました。それから、自治体間、自治体と民間団体の協定事例の整理ということを行いました。先ほど切川さんが、単に人や物の取り決めだけでなくて、情報提供なんかも協定の対象に入るのではないかというようなご発言もございましたが、現状として、どのような協定がどういった主体間で結ばれているかということの整理を行いまして、一定の活用方法の検討を行わせていただきました。
検討事項2では、特に地域間の協力を念頭に置きまして、地域ブロック協議会がどういった役割・機能を果たしていけるか、それを充実させるにはどういったことができるかということの議論をさせていただきました。一つ目としましては、平常時、及び災害時でそれぞれどういった事例が出てきているかということの整理をいたしました。それから、今後、地域ブロック協議会として、より一層活躍し、活用していただくため、どういう役割を果たすことができるかということの率直な議論をさせていただいたところです。
最後、検討事項3では、災害廃棄物対策指針の点検ということで、後でまた詳しくご紹介したいと思いますけれども、3年前に東日本大震災も受けまして、統廃合も行いまして指針を出していますが、技術面でも、制度面でも多くの進展がありましたことから、次年度一定の改訂を行うことを目指しまして、点検を行っております。
3ページに入りまして、検討事項1災害廃棄物対応の充実に向けた検討の進め方を示しています。具体的な成果は、4ページ目からになります。一つ目の四角にございますとおり、新たに策定されたところを中心にいたしまして、54の自治体を対象に星取り表のような形で、丁寧にどういったことを記載されているかということを洗い出しました。整理結果が右図にございます。項目毎にパーセンテージで示しております。ポイントについてご紹介していきたいと思います。
4ページの中ほど上ぐらいの整理結果の概要ということで、箇条書きさせていただいておりますが、まず、組織体制や指揮命令系統、体制面に関しての記載割合は高いということがわかっている一方で、まだ指針にも十分に盛り込まれていない受援体制とか、D.Waste-Netとか、協定の整理といった部分に関しての割合は低い、と思います。
5ページになりますが、今後、計画の実行性を高めるためにどういったことができるかということを整理しました。3ページにわたりまして抽出させていただいております。この視点が足りない等ありましたら、ご発言をお願いしたいと思います。左を中心に見ていただければと思いますけれども、色分けをしておりまして、水色が都道府県、市町村、自治体全体に共通する今後、検討が必要な部分、工夫としてテイクノートできるような部分ということになっております。そして、黄色が都道府県、オレンジ色が主に市町村の計画で参考になるなというような点を挙げているというところになっております。
5ページから見ていただければと思いますが、処理計画の実行性を高めるための検討事項や工夫となっております。右のほうに過去の災害の状況等から照らして、より重要といいますか、知見を生かすことができる、もしくは反映する必要があるということもあわせて書かせていただいております。こちらが過去の災害を踏まえた検討というふうに捉えていただければと思います。
5ページの処理計画実行性の内容に入っていきますが、まずいくつかご紹介をしたいと思います。ブルーの部分の最初、記載内容がバランスよくコンパクトに整理されているようなものも散見されまして、そうしたものに関しては非常に参考になるなというものもございました。
それから、黄色の部分でしたら、都道府県の部分ですけれども、市町村から事務委託を受ける場合の判断基準、基準まで行かないにしても判断条件というものをきっちり記載している事例があり、そういう工夫が重要であるという点であったり、あと、市町村の部分で行きますと、都道府県への事務委託に係る考え方、判断基準、上のものと対になりますけれども、そういうものがあると非常に実行性が上がるというような整理をしております。
以降、時間の関係もありますので、一つ一つご紹介はいたしませんが、こういった形で整理を進めております。5ページ目、6ページ目、7ページ目となっております。
それから、8ページが、検討事項1の四角の二つ目のポイントになります。人材育成に関する実態と今後の方向性ということで議論した部分になります。こちらも、自治体の実施状況の調査結果をもとに議論をさせていただきました。平成28年3月時点で、災害廃棄物に関連して人材育成・教育訓練を行っている割合というのが都道府県で半分程度あったと、市町村では約8%だったということですが、前年度と比べていただきますと非常に実施率は上昇していることがおわかりいただけるかなと思います。
それから、その次のポツでは、地域ブロック協議会ですとか、都道府県で実際にどういった訓練をしていただいているのかということで、主要なものを整理したというところのご紹介をさせていただいております。特に、地域ブロック協議会では、各ブロックの特徴、実態を踏まえて、いろいろ工夫をして訓練を非常に積極的にやっていただいておりますので、今後、やったものを横にも活用していく、地域ブロック間でも知見を共有して、できるだけ効率的に展開していくということが重要であろうということで、情報の整理を行っているというところでございます。
それが8ページ目から続きます、8ページ、9ページ目の表だというふうに捉えていただければと思います。
委員の方々の中にも、さまざまな形で関与いただいている分もあると思いますが、私も関与している事例として、10ページに近畿ブロックにおける図上訓練を整理しております。これは、単に地域ブロックでの紹介をするだけではなくて、こういう形でそれぞれのブロックでの取り組みを整理して蓄積して共有することで、知見やフォーム等を融通できるのではないかということも想定して整理した表になっております。こうした情報もあわせて整理すべきではないかとかというようなご意見があれば、ぜひいただければなと思います。近畿ブロックでも、今年度初めて図上訓練というものをさせていただきました。本日、近畿ブロックからもお越しいただいておりますけれども、非常に多くの方に参加いただきましたので、2回に分けて、大阪と兵庫を中心にさせていただいたというところでございます。また、詳細は、ご関心があれば見ていただければありがたいなと思います。
その次のページですが、非常に悪く言うと五月雨的に、図上訓練といったら、全員一斉に図上訓練をやっているというようなところもありますので、どこでどういう教育訓練をやっていくのがいいのか、連携していくのがいいのかということを考える上で、人材育成・教育訓練のあり方を整理してみたというのがこの11ページ目の表になっております。主体といたしまして、地域ブロック協議会、ニアリイコール環境省ということになるわけですが、国、都道府県、市町村において、取組内容ということで教育的なもの、情報提供的なもの、それから訓練というようなもの、それぞれまじっておりますけれども、こんな形の内容があるのではないでしょうか。その具体的なやり方としては、手法の例として米印をつけておりますけれども、講義形式であったり、図上訓練であったりということで、さまざまなやり方があるのではないかという整理をさせていただきました。さまざまご意見もあろうかと思いますので、今後の検討に向けて、ぜひご意見をいただきたいなと思っています。こうした役割分担をして、しっかり連続性のあるような体制を整えていく必要があるのではないかというように考えております。
12ページに行きまして、検討事項1の中では最後のポイントとなりますが、協定の事例の整理ということで、特に被災自治体において、どういった支援スキーム、協定を想定しているかで、それをいかに実効的に常時から整備していくかという点について検討しようということでありましたが、今年度は、まずはどういった協定がどういった主体間でやられているかということを12ページの調査検討の手順に示しましたようなステップで整理させていただきました。参考といたしまして、都道府県、市町村における災害支援協定の締結率ということで書かせていただいておりますが、平成28年度、3月時点で災害支援協定、特に災害時における廃棄物、し尿の処理に関する協定の締結率というものは、都道府県におきましては100%、市町村においても6割近くということで、かなり高い状況になっているかなと思います。
ただ、内容はさまざまというところで、協定はたくさんあるのですけれど、本当に濃淡もさまざまあるということで、まずはどういうふうに情報を整理していくかということに当たりまして、こういう項目を整理したらいいのではないかということをまとめたのが13ページ目の表になっております。目的や関係者間での役割分担、支援対象、発動条件などについて整理できるフォーマットとしております。発動条件については、地域ブロック、都道府県、市町村というような入れ子構造になっておりますので、どの範囲までが対象というように発動することができるかといった内容です。今締結されている協定書で全てが読めるわけではございませんが、こういった視点を明確にするということを何らかの形で提示していくということも有効ではないかという議論をさせていただきました。14ページになりますが、いざ発災してもそんな協定はあったかなというようなこともあったと聞いておりまして、これをいつでも発動できるように生かしていくための管理の方法ということも重要ではないかということで、平常時、災害時、それも含めて留意事項ということで整理をさせていただいております。平常時に関しましては、協定の主管者、管理者を決めておきまして、定期的に見直すであったり、発動するときの優先順次、発動条件を検討しておく、それから災害時、発動した協定の関係者の周知等がスムーズに行えるようにしておくことが重要になります。最後の留意事項に関しましては、協定を締結している市町村による事業者の独占、囲い込み等が生じないよう、状況に応じて、しっかりと都道府県、地域ブロック等も間に入って、マネジメントするというような視点も必要ではないかという、そうしたポイントの洗い出しをさせていただきました。
15ページになります。引き続き協定ということになりますが、協定の締結と活用方法の検討ということで、人的な支援を中心とした協定と資機材を使うような協定等があるということで、それぞれに分けまして、注意点等を整理したというところになっております。
16ページからが検討事項2ということで、地域ブロック協議会の役割・機能の充実ということでの議論になっております。現在、八つの地域ブロック協議会が活動しているわけですが、平常時における活動と熊本地震と常総市での豪雨災害を対象として実際の動きを整理し、議論させていただきました。
16ページに、目的、これまでの取組、そして今後の展開のあり方ということの整理をしておりますが、平常時に関しましては、一つ目のブロックにありますとおり、まずは情報共有、それから人的なネットワークの構築、顔が見える関係性を構築するということ、そして三つ目の四角には悩みや課題等をオンタイムで、しかも立場を越えて議論するというようなことであったり、研修とか、教育訓練もともに展開するというようなことがあるだろうと考えております。
それに対して、平常時にこんなことをやってきましたということ、それから一番重要だと思いますが、今後、それをどのように継続していくかというあたりを、取り組むことが望ましい事項ということで、整理をさせていただいております。
それから、災害時にどうするかという点も同じ16ページの図のほうの一番下の部分が災害時にどうするかということで、都道府県、市町村を通じてブロック内、ブロック間の連携によって支援、受援を行っていくということで、実際に行った対応を整理しております。
まとめといたしましては、右下に書かせていただいておりますが、毎年いろいろ新しい課題や取組事項とかが出てきて、参加いただいている自治体さんも、それなりに位置づけてメリットを感じながら、参加してきていただいているのかなと思いますが、長丁場になっていくということも考えますと、今後の活動をそろそろ中長期的な観点から考える必要があるのかなというような整理をさせていただいております。
そして、次のページは行動計画の策定状況を整理したものとなっておりますので、またご参照いただければと思います。
本日の報告としまして最後の点になりますが、18ページから検討事項3ということで、災害廃棄物対策指針の点検結果を示しております。いろんなものが出ているので、混乱されている方もおられるかもしれませんが、本日、分厚い参考資料の中の参考資料7ということで、この指針をご準備いただいております。こちらは、先ほどもご紹介いたしましたが、東日本大震災の教訓を受けまして、3年前ですね、ちょうど3年後でありますが、震災廃棄物対策指針と水害廃棄物対策指針を統廃合して、さらに津波による影響も盛り込んで策定したものになっております。その後、さまざまな知見も得られておりますので、これを見直していく、そのためのどういう視点が必要かということを議論してきたというのがこちらになっております。2編以降の各章の最後には、住民等への啓発・広報という項目もございますので、安富先生におかれましては、ぜひそのあたりもチェックしていただければと思っておりますけれども、我々の検討のご紹介もさせていただきたいと思います。
はじめに、18ページに調査・検討の手順を示しています。先ほどもご紹介いたしましたとおり、今、全国の自治体でかなりのところが計画の策定をやられたか、もしくは着手されているか、もしくはすぐさまにやろうということで準備をしていただいておりますので、その点におきましては、この指針をかなり参考にされているところが多いですので、大幅な改訂をいたしますと、そういったものに対して支障があるだろうということで、大きな改訂をするのではなく、必要な事項、有効な事項をつけ加えていく。それから、どうしても変えなければいけないところを変えていくというような方針が妥当ではないかと結論に達しまして、そのような方向で点検をさせていただきました。
点検の視点①は、法改正、環境省などの新しい取組に基づく点検、これは必ず反映することが重要である点かなと思います。点検の視点②は、いろんな検討、技術の検討等といただいておりますので、その実績等で生かすことができる有効な情報も入れていこうということです。それから、3点目といたしましては、なかなかこの指針を手にしても、これですぐに計画策定にかかれないと非常に見づらいのではないかとかいうご指摘もいただいておりましたので、できるだけこれをわかりやすく使っていただけるような工夫をすることが必要ではないかという、そうした視点を持って点検をした次第であります。
次のページから具体的な内容を示しています。時間の都合もございますので、19ページ目は今の点検の視点をより深掘りしたものになっておりますので、本日は飛ばさせていただきまして、20ページ目からが点検を実施した結果の点検項目ということになります。最低限といっても、今のところ少なくとも45項目ぐらいということで、上がってきているものとなっております。先ほどの視点の三つの形で、表で分けさせていただいているのが20ページになっておりますが、一つ目の法改正、環境省の新しい取組に基づく点検で、法改正に伴う記載内容の点検というのは、おおむね3項目程度でございます。それからD.Waste-Net、地域ブロック協議会関連の追記が必要な部分というのもございました。
一番多かったのは、真ん中の災害廃棄処理の実績、経験を踏まえた部分ということで、近年の災害の課題、教訓を踏まえて書いたほうがいいだろうというものが26項目出てきております。その中でも特に、やはり初動期にいかに乗り越えるかということに関して、書くことが必要であり、そうした知見もあるので、ぜひそこを充実してほしいという声が非常に多かったということも加えさせていただきたいかなというように思います。代表例ということで、抽出したのが21ページ以降になっております。21ページ目が視点①法改正等ということであります。22ページが②の災害廃棄物処理の実績等を踏まえたものということで、初動体制の件に加えて、受援体制とか、協定に基づいて支援要請をどのようにしていくかということも追記したほうがいいのではないかということで、主体別にもご指摘をいただいている部分でございます。23ページが、点検の視点②の続きになりますが、災害の種類による違いも意識した書きぶりもあるのですけれども、より幅広に適用しつつ、災害の規模とか種類別に、それぞれ特徴があることをしっかりわかりやすく伝える必要があるというようなご指摘もございまして、そうした点からの見直しもできればと考えております。
以上がこのワーキンググループでの、今年度の成果というふうになっておりまして、また24ページの今後の展開につきましては、この次の議題にもつながっていくところかなと思いますので、この場でのご説明は控えさせていただきたいと思います。

(酒井座長)
どうもありがとうございました。
それでは、ご質問ございましたら、お願いいたします。
吉岡委員のほうから、どうぞ。

(吉岡委員)
1点だけ、これはお願いになりますけれども、いろんな基礎自治体等含めて、やはり担当者が頻繁に変わるということ、その中で教育というものを進めなければいけないとなってくると、訓練や図上演習等、いろいろございますけども、そこに継続的にという視点を、ぜひ入れていただきたいと思っております。1回きりではなく、継続的にやるということの大事さを、ぜひこの中に盛り込んでいただければと思います。
以上です。

(牧委員)
自治体の災害廃棄物処理計画なのですけれども、京都府は全市町村策定済みという結果になるのですが、やはりページ数とか、ちゃんと独自性があるのかとか、特にページ数を見ていただきたいなと、2ページぐらいなんです。ちょっとなということもあるので、ぜひお願いします。

(平山委員)
時間が限られているので、絞ってなのですけれども、まず、4ページ目の処理計画の実行性を高めるためということですけれども、視点として抜けているのが、やはり例えば施設の耐震化であるとか、他部局の連携も処理計画ということを考えたときには、実際に自分たちがどうするんだということを記載するべきだと思うので、それがあるかないかといったこともしっかりと検討していただければと思いますし、一応、ここは基本情報ということなので、要は目次の構成等だけだと思うので、本当の中身がどうなのかについても、ぜひぜひ今後の検討としてはしていただきたいということが1点です。
2点目が、8ページですけれども、図上演習ですが、これはやはり図上演習という言葉を簡単に使い過ぎてしまっている部分があるのかなという、つまり一過性のブームで終わってしまわないのかといった、先ほど吉岡先生も言われましたけれども、きちんと継続的に考えるときに、やはりこれまでの防災分野であるとか、あるいは演習でいくと消防、あるいは自衛隊でどのような訓練であるとか、演習をしているのか、そうした位置づけから、実際に今、災害廃棄分野でやられている演習がどういうところの位置づけになるかという、そういった教育論的なこと、あるいは防災の訓練的な視点からの整理ということも必要だと思っていますので、ここで書いている図上演習が本当に図上演習ではないものも、ここで図上演習となっているような気はしますので、そこはしっかりと整理をお願いしたいということが2点目です。  最後にしますけれども、指針の見直しですけれども、これは私の意見なんですが、コメントとして受け取っていただいてもいいのですけれども、要は指針には、大変いろんな情報があって、非常にいいものだとは私は思っています。
ただ、一方で、部分最適が、じゃあ、全体最適なのかというと、必ずしもそうではないので、やはり各基礎自治体でしっかり考えてもらうような仕組みを、ぜひこの指針の中で入れていかなければいけないのではないのかなと、そういった観点でいくと、受援体制の確立というようにさらっと、あるいはBCPというのをさらっと書いていますけれども、やはり言葉だけが踊ってはいけないと思いますので、そこにどのように魂を入れていくのかという、その辺りをぜひ指針の中で書いていくような工夫をぜひぜひ今後、検討していただければと思います。以上です。

(酒井座長)
中林委員、お願いします。

(中林委員)
二つだけお話ししたいと思うのですが、今の平山さんと少し重複するのですけれども、4ページの実行性を高めるためにということで、右側の棒グラフですが、これは全体が処理計画の内容なのですね。計画内容の中に実行計画の策定というものがあったり、BCP(業務継続計画)とか、マニュアルの策定という項目があったりしています。災害廃棄物処理計画というのは、通常の廃棄物処理計画とは全く別物で、基本的には災害時だけの処理計画ですから、その災害時の処理計画があって、実行計画があって、BCPがあるという計画の入れ子状態になっているのではないか。計画の中にさらに計画を位置づけているのではなくて、基本的には災害時にどう対応するのかという、まさに筋の通った一本の計画、しいて言うと災害廃棄物BCPになってなければいけないのではないかと私は思うんですね。だから、改めて処理計画と別にBCPをつくるような話ではなく、恐らく処理計画をより実行性を上げていくと、それが災害廃棄物BCPになっているということではないかなと思いますので、そういった計画の階層性と方向性があるかなということが1点です。
それから、熊本でも特に大きな課題になっている支援、受援の関係で、協定ということですけれども、東日本大震災以来、自治体間の協定がたくさん個別に構築されているのですが、包括的に自治体が結ぶ協定から個別目的の協定までさまざまあって、もう何だか全体どうなっているのか、わからない状況になってしまっているんですね。実際、災害が起きると、どの協定でこの自治体はどう動くのと、部局ごとに自治体がばらばらに動くということになってしまうのは、小さい災害なら可能かもしれませんが、大きな災害では不可能です。どのように協定に基づく支援受援関係を収斂していくかというところが、この災害廃棄物でも課題としてあります。
私は、災害廃棄物の処理というものは、県と市町村と民間事業者が一体となってやらない限り、うまくできないわけですから、12ページの協定締結パターンでいうと、④のパターンを基本にして、ブロック単位でいわば県-市-事業者が連携して活動していく、このような発想が災害廃棄物処理のときの協定のパターンなのですということにし、都道府県間でどこへ支援に行くか、どこから受援を受けるかという調整ができれば、広域巨大災害でもかなり機動的にかつ公平に対応ができていくのではないかなと思います。
その調整をいわば国が、特に南海トラフのようなブロックをまたいでいくような広域巨大災害になれば、全体を俯瞰して対応するには県ベースでの支援・受援関係の調整ができるようになっていかなきゃいけないと思う。そのときには個別の市町村間の協定は1回キャンセルして、全然、いわば総力を使って有効に処理していくような体制、多分、最終的にはそれも少しこの国の計画としては考えておかないといけないのかなと思いました。

(酒井座長)
島岡委員、どうぞ。

(島岡委員)
4ページでございます。廃棄物処理計画の策定状況を見ていますと、地域ブロック、県、市、によって大きく策定の時期が異なっています。最も危惧することは、市が策定された後、県が追っかけ策定されるというようなことになっている場合があることです。
県の策定計画は、上位計画であるべきでありますので、整合性がとれているのかどうかいつも危惧しております。この点を、一度、チェックしていただければありがたいと思います。以上です。

(酒井座長)
ありがとうございました。
次、佐々木委員、どうぞ。

(佐々木委員)
皆さんもおっしゃっているのですが、協定、特に自治体のマンパワーがどんどん減ってきているわけですね。民間委託という形で、例えば収集部隊というと、10年前で大体4割近くだったものが現在3割弱になってきているということで、民間の力を借りるということは当然なのですが、この民間との協力といったときに、熊本のときもそうだったのですが、協定を結んでありますと言ってはいるのですが、具体的に何がどう動くのかということは全くなくて、そういったことも含めて民間の方がどのように考えているのかということは、やはりきちっと抑えておく必要があるだろうと思うんですね。役所が協定を結ぶからやってねと言ったら、当然、給付はあるんでしょうねということになるわけですので、その辺りはきちっと抑えておく必要があるだろうと思います。
それから、もう1点、いわゆるスキルを上げていく、あるいは人材を育成していく、個々の自治体でやるということもありますが、地域ブロックで当面は地域の地方環境事務所がやっていただく役割は非常に高いと思っております。そういった意味で、地方環境事務所の人材の確保、あるいは地方環境事務所のマンパワーの増強をしていただかないと、自治体の職員はそれなりにごみ処理をやった人間もいますが、地方環境事務所には経験者があんまりいないんですということにならないように、人材も強化をいろいろしていただいていると思いますが、地域における防災計画をリードしていくんだというようなことで、役割も大きいと思いますので、ぜひ今後も続けていただきたいと思います。
それから、全体としては、私は非常にいろんな場面場面、あるいは要素を非常に詳細に検討されていて、問題や対応すべき内容がよくまとまっているということで、評価したいと思っております。以上です。

(酒井座長)
ありがとうございます。
大塚委員、お願いします。

(大塚委員)
私も、とてもよくまとまっていると思いますが、先ほどもご説明いただいた資料3の14ページのところで、複数の協定を発動する場合の優先順位とか、発動条件について、気になりますので、これはぜひ続けて検討していただきたいと思います。
これは、やはり都道府県と市町村の関係が主に問題になるでしょうか、あるいはもっとほかにも何か問題になりそうなケースもあるかもしれませんが、もしもう少し詳しく問題状況を教えていただけたらありがたいと思います。以上です。

(酒井座長)
大迫委員、お願いします。

(大迫委員)
最初に、大変、網羅的に適格にポイントも押さえて整理されていて、今後の検討のベースになる大変いい検討していただいたなと思います。ほぼコメントとなりますが、まず、災害廃棄処理計画の実行性に関しては、やはりどうしても行政の立場で言うとちゃんとした文書を残すということが目的化してしまうようなところもあるなと思うので、その文書の中に、どういう事項が含まれているかという形で、今回、いろいろと整理いただいたというところも大変重要ですが、プロセス自体がどのようにして計画策定がやられたか、例えば自分たちで主体性を持ってやったのか、あるいは都道府県であれば市町村とか、民間とか、そういったところを巻き込みながらやったのかとか、市町村であれば同じような形で民間とかも含めて、あるいは市町村間の協定等も含めていろいろと検討の中に巻き込みながら、つくっていったのか、そういったプロセスをどう考えているかということも実行性につながる大変重要なことかなと思います。
それから、やはり計画をつくったあとのフォローアップが大事で、その後に平時から準備していかなければならないわけですけれども、それでは、計画の中でうたったフォローアップ、平時のフォローアップに関して、どのように実行されているかということも、そろそろ少しずつ検証し、その中でモデルケース等も抽出していってもいいかなと思いました。
それから、二つ目の研修に関しては、五月雨的ということもあったと思うのですが、そうは言ってもそれぞれのブロックや、あるいは自治体が主体性を持ってやりつつある、モチベーションをもってやっているというところもありますので、ぜひそういったところのモチベーションを継続的というキーワードもありましたので維持しながら、そのノウハウをそれぞれがためていっていただくということだと思います。それから、そういったものをできるだけ標準化していくということで、手前みそですが、私のところの研究所も標準化されたガイドブックも今、作成中で3月末までには仕上がると思いますので、また機会があればご紹介したいと思います。
それから、研修は方法論として確立していけばいいと思うのですが、それでは、それを誰が担っていくのかというようになりますと、やはりそれなりに自治体自らやるケース、あるいはコンサルタントが支援するケース、いろんな有識者の方々も支援するというところで言うと、やはり研修をどうやって実行に移せるような体制をこの分野でつくっていくかというキャパシティーづくりも重要と思います。
それから、ブロック協議会は、少しこれは質問になるかもしれませんが、大変重要なところで、この位置づけや役割・機能、それから体制づくりは必要なのですが、その中に長くそこのブロックで面倒を見ていただくような有識者も含めて、D.Waste-Netがどれぐらいブロック協議会にかかわっているのかというところは、ちょっと私、実態を知らないので、もし何かわかるところがあれば教えていただければと思います。以上です。

(酒井座長)
また多くの指摘いただきましたが、どうぞ。

(切川係長)
いろいろご指摘ありがとうございました。
質問2点いただいておりまして、1点目の大塚先生のどこに課題があるのかに関しては、後日御説明の機会を設けさせていただければと思います。もう一つ、大迫委員からいただきましたブロック協議会ですけれども、ほとんどのところの委員会の座長は、ここにいらっしゃるメンバーの方々がやっていただいているというような状況でございまして、うまく連携はできているのかなとは思っております。D.Waste-Netに加盟している団体さんはまだ入っておりませんので、現時点ではうまく情報共有等をしながら連携関係の強化は進めていきたいと思っております。
ほかのご指摘に関しては、頑張って対応していきたいと思います。

(酒井座長)
相当に簡単に済まされましたが、二、三の委員の方から網羅性、あるいは現状の整理としてよくできているというご評価があったかと思います。地域ブロック協議会、あるいは自治体の取組状況の分析という点については、しっかりと行っていただければと思います。引き続き、この作業は続くことになりますので、次の議題、フォローアップの点について、ご説明をいただいて、そことの関わりで、事務局から説明いただくところがあればしていただければということにしたいと思います。
お約束が本日は5時半までなのですけれど、少しすみません、10分、15分ほど延長をお願いしたいということで、次の議題に行かせていただきたいと思います。お願いします。

(小岩対策官)
先ほどは本当にさまざまなご意見いただきまして、ありがとうございました。
何というか、形式的な部分だけではなくて、中身とかプロセスについてしっかり掘り下げろというようなご指摘だと思いますので、そこの部分は来年度、しっかりやっていきたいと思います。また、個別に答えられないので、大変申しわけありません。
資料の4を説明させていただきますけれども、災害廃棄物に対して今後検討すべき事項ということで、ワーキングでの議論等を踏まえまして、赤字の部分を追加させていただいております。
まず、1ポツ目のところですけれども、技術ワーキングのほうでフォーマットを示させていただきましたけれども、そういった共通の様式を用いて継続的にデータを蓄積していきたいと考えております。それから、平時と災害時、災害時だけじゃなくて平時の部分についても、どのように廃棄物処理をしていくのかということの整理をしていきたいと思っています。施設の活用、整備について強靭化を図っていくことの方針について検討をするということです。
平時に収集・整理しておくべき情報ということで、仮置場や有害物質に関する情報の整理をしていきたいと思っており、地域ブロック協議会等でいろんな情報共有をさらに深めていきたいと考えております。さらに、情報プラットホームの整備、運営をしていきたいというふうに思っております。
二つ目のところにつきましては、先ほどもいろいろご指摘ございましたけれども、きちんとした中身のある対策を進めていただいているのかというところは、引き続きフォローをし、推進するための方策を検討していきたいと思っております。また、熊本地震の経験を踏まえて、BCPというものをきっちりつくっていくということですけれども、これも改めて処理計画とは別につくるということではなくて、まさに中林先生のご指摘のとおり、処理計画の中でしっかりつくり込んでいくということだと思っておりますので、そういった形でつくっていきたいと思っております。
めくっていただきまして、関係者間との協働の部分ですけれども、少しまだ議論ができていないところとして、ボランティアとの連携をどうしていくのかといったところも少し考えていきたいと思っております。それから、プッシュ型、プル型ということで、いろんなやり方があると思うのですけれども、タイミング、タイミングでどういうふうにやっていくのが一番いいのかということ、ブロック協議会をどう活用して支援体制を具体化するかといったようなところについても検討していきたいと思っております。
4ポツのほうで、D.Waste-Netの強化についても、引き続き行ってまいりたいということと、5ポツで、国際貢献のほうも、ガイドライン、アーカイブ集の作成など、引き続きやっていきたいと考えております。以上でございます。

(酒井座長)
どうもありがとうございます。
もう少し時間をかけたいところではございますが、時間が押している関係で、要点だけご説明いただきました。
それでは、これについて特に抜けている項目等々のご指摘ございましたら。
吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)
1点だけ確認させてください。1ポツの2番目の大きな丸の赤い字で平時と災害時の廃棄物処理の考え方の整理のところで、高齢者世帯、外国人世帯の増加などと書いてあるんですが、この「など」の中には、例えば空き家対策のようなものについての検討は入れているのかどうかということを教えていただきたいのですが。

(小岩対策官)
国交省が、空き家対策の関係はいろいろされていますので、少し国交省の動きをウォッチしつつ、必要な対応をとっていきたいと思っております。

(吉岡委員)
特に、解体するときのり災証明の関係や、そこに対しての今後、懸念が出てくるのかなという感じは少し思っておりましたので、どうもありがとうございます。

(酒井座長)
ありがとうございます。
資料4、ほか、ご注意あるでしょうか。
それでは、その他ということで、報告事項、資料5、6、用意をいただいております。そちらの説明をお願いします。特に熊本のご報告をいただく中で、先ほど施設の強靭化方針の検討ということをあえて出していただいております。この関係は熊本でも相当経験してきているかと思いますので、そちらを含めてご報告いただければ幸いです。お願いいたします。

(小岩対策官)
それでは、資料の5ですけれども、熊本地震等における災害廃棄物の処理状況等を整理させていただいております。
ただ今、座長のほうからございました、処理施設の被害の状況に関しましては、2枚目のスライドにありまして、73施設のうち、23施設が被災をしておりまして、このうち13施設が一時稼働停止しております。特に、皆さんご存じのとおりだと思いますけれども、焼却施設のほうが熊本市、益城町等で、止まりまして、それが生活ごみの処理に支障を来すということで、非常に苦労をしたところでございます。
こちらについても、こういった施設が止まったときに、どのように施設自体の復旧を急ぐかということと、復旧に時間がかかる場合には、どのようにほかの自治体さんに支援を、あるいは一般業者さん、団体さん等に支援をいただくのかといったところについて、来年度、検討してまいりたいというふうに考えております。
5ページ目をめくっていただきたいのですけれども、処理のほうは現在、災害廃棄物のほうにつきましては、1月末時点で4割ぐらい、解体のほうにつきましては、5割を超えるというところまで来ておりまして、2年以内の処理完了という目標に向けて、着実に進んでいるというふうに考えております。
また、6ページ目、それから7ページ目のところで、課題について整理をさせていただいております、熊本県さんのほうで上がってきた課題ですとか、あるいは実際に支援に行っていただいた事務所のほうで整理をしている課題といったところを整理させていただいておりまして、引き続き、こちらについてはまだ現在進行形のところもございますので、課題を整理して来年度の検討に生かしていきたいというふうに思っております。
そのほか、後半のほうで、12ページ目あたりから、台風とか、鳥取、糸魚川などの被害の状況等について資料をつけておりますけれども、またご確認いただければと思います。
また、資料6のほうで、災害廃棄物対策について、シンポジウムを開きました内容について、簡単な資料をつけております。こちらも後ほど、ご確認いただければと思います。
以上でございます。

(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、報告ということで、若干急いでいただきましたが、本日の全体、審議を含めまして、何か最後に、ご注意ございましたら、お受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
途中のワーキングの報告で相当丁寧にご意見いただきましたので、そちらを踏まえて今後の検討に生かしていただければというふうに思います。
それでは、事務局のほうからアナウンスがございましたら、よろしくお願いいたします。

(小岩対策官)
本日の議事録につきましては、原案を作成しまして、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載する予定でございます。よろしくお願いいたします。以上でございます。

(酒井座長)
それでは、本日いただきましたご意見を踏まえまして、本年度の成果の取りまとめ、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これで平成28年度の災害廃棄物対策推進検討会を終了したいと思います。
本年、非常にご熱心な審議をいただきまして、どうもありがとうございました。
それでは、これで終了したいと思います。