環境再生・資源循環

第5回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 議事録

1.時:平成28年1月21日(木)13:30~15:45

2.所:株式会社三菱総合研究所大会議室(4階)

3.出席委員:酒井伸一委員長
浅利美鈴、生亀孝志、石川龍一、碓永信幸、大塚直、勝見武、小林、幹明、坂本知也、島岡隆行、鈴木武、田中誠夫、永田尚人、中林一樹、平山修久、森谷賢、吉岡敏明、渡邊泰至

       (計18名)

4.委員以外の出席者

(事務局)

 環境省

 松崎課長補佐、切川係長

5.

(1)各WGの検討状況について

(2)大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)

6.配布資料

  資料1   大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 委員名簿

  資料2   技術・システム検討WGの検討状況について

  資料3   要処理量WGの検討状況について

  資料4   人材育成WGの検討状況について

  資料5   地域間協調WGの検討状況について

  資料6   大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)

  資料7   今後のスケジュールについて

  参考資料1 第4回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 議事録

  参考資料2 大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省廃棄物・リサイクル対策部)

  参考資料3 災害廃棄物対策指針(平成26年3月 環境省廃棄物・リサイクル対策部)

  参考資料4 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 廃棄物の減量そのほかその適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(平成28年1月改定)(環境省告示第7号)

7.

開会

(切川係長)

 ただいまから「第5回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会」を開催いたします。委員の皆様には御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 議事に入る前に資料の確認をお願いいたします。御手元の次第に配布資料の一覧がございますので、御確認をお願いいたします。

 資料1が、委員名簿です。

 資料2が、技術・システム検討WGの検討状況について、です。

 資料3が、要処理量WGの検討状況について、です。

 資料4が、人材育成WGの検討状況について、です。

 資料2、3、4に関しては、資料の後ろに参考資料を付けております。

 資料5が、地域間協調WGの検討状況について、です。

 資料6が、大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)です。

 資料7が、今後のスケジュールについてです。

 続いて卓上資料です。

 参考資料1が、第4回検討会の議事録です。

 参考資料2が、昨年11月に公表した行動指針です。

 参考資料3が、災害廃棄物対策指針です。

 参考資料4が、本日改訂版を告示いたしました廃棄物処理法の基本方針です。

参考資料に関しては委員のみに配付をしております。会議終了後、机の上にて回収いたしますのでお残しください。資料の過不足等はございませんでしょうか。ございましたら、事務局にお申しつけください。

 ここからはカメラ撮りは御遠慮いただきます。一般の傍聴者におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影は御遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。

 本日の委員の出席状況です。本日は、遠藤委員、大迫委員、貴田委員、近藤委員、佐々木委員、牧委員は御欠席でございます。

 それでは、これ以降の進行を酒井委員長にお願いしたいと思います。

(1)各WGの検討状況について

(酒井委員長)

 それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。

 この検討会は、平成25年から「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」として2年間開催をし、平成27年度は、「大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会」として運営を行っております。

 本日の議題は、この検討会のもとに設置された4つのワーキンググループの検討状況について、そして、大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について、今後の方針を議論いただく予定です。この3年間での検討に区切りをつけるという趣旨もありますので、今後を見据えた長期展望を頭に置きながら御意見を頂戴できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、ワーキンググループからの報告をいただきたいと思います。

 まず、技術・システム検討ワーキンググループ、勝見委員より報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(勝見委員)

 京都大学の勝見です。技術・システム検討ワーキンググループを担当させていただいております。

 資料2「技術・システム検討WGの検討状況について」に基づいて説明いたします。委員の方々には、そのほかに参考資料としてA3の資料がございます。

 まず、資料2の表紙に、検討事項として4点記しております。

 2ページ目にはワーキンググループ設置の目的、主な調査・検討事項、それぞれ4点記しており、表紙に記載されている4点と対応、あるいは一致しております。4つの目的に対して、それぞれ4つの調査・検討を進めているということです。検討1では、災害廃棄物の処理計画に係る基本的事項の提示として、災害廃棄物処理フローの検討、処理施設の基本パーツの検討を行って参りました。検討2は、災害廃棄物処理の進捗管理の方法についてで、そのための廃棄物の区分と、どこで計量するかについての検討です。検討3では、津波堆積物、土砂系の混合物についての処理フローを東日本大震災の事例をもとに整理を行っております。検討4では、大規模災害を想定した処理施設及び仮置場の検討手法の提案として、具体的な例題を解いています。

 WGの委員並びにオブザーバーは記載のとおりで、特にオブザーバーに関しましては、災害廃棄物処理、東日本大震災で実際の実務にいろいろな形で関わられた方々に参加いただいております。

 3ページ目が、1番目の検討の説明資料になります。こちらをA3に拡大して、委員の方にお配りしております。こちらは災害廃棄物処理フローの検討であり、昨年度の検討委員会並びにワーキンググループでも議論しておりましたが、東日本大震災の各処理区で概ね類似の、しかしそれぞれ個別の特徴ある処理がなされたということで、その実績を踏まえて、被災地から一次仮置場、二次仮置場、分別処理、そして受け入れ先へという大きな流れで全体を網羅できるフローを、いわば最大公約数的なフローを作ったと御理解をいただければと思います。

 このフローを作るに当たっては、処理区が違えば、同じ、あるいは似た廃棄物を違う言葉で表していたり、また逆に同じ言葉で違う物を表していたりということもございまして、用語の整理が一定程度必要であろうと考えました。例えば一次仮置場を見ていただきますと、ピンクのところに木質系混合物やコンクリート系混合物という言葉がございますが、用語の整理をして、特に選別前の物を表す言葉と、選別後の物を表す言葉をきっちり整理して、現場で混乱が無いようにできないかと、議論いたしました。

 このフローの中では左から右に処理が進んでいるわけですが、それぞれ昨年度の検討項目、今年度の検討の2番、3番、4番がどこに当たるのかということも示しております。昨年度、主に可燃系、不燃系の混合物の処理について検討したということで、この大きなフローのちょうど真ん中の上あたりが対象になるわけですが、今年度の検討としましては、進捗管理に関係する検討2、土砂を主体とする混合物の処理に関する検討3が、何カ所かに記載があります。検討4は、首都直下地震時の東京都内における処理施設に関する検討ということで、主に二次仮置場の箇所が囲まれています。

 4ページ目は、検討1の続きになります。こちらについては、過去の処理事例をもとに要求される処理能力を持つ施設を具体的にピックアップし、最終的には右下に示した施設をどういう具合に配置したら良いか、配置できるかということを検討いたしました。左上にある表は、基本パーツの各施設がどういう性能を持っているかということを示しており、左下のフローチャートでは、その基本パーツをどのように組み合わせて配置していくのかを示しております。そして右上には具体的な処理施設、例えば破砕機、選別機等の配置例を示し、右下では、それら処理施設と、その前後で施設を動かすために必要な廃棄物の受け入れ、保管を行うヤード等の配置、並びに面積がどれぐらい必要かということを整理しております。以上が本日、資料で準備している1番目の検討です。

 5ページ目には、進捗管理をどうするかということについて示しております。特に重要とされる進捗管理について、廃棄物の区分、どこに関所を設けて計量するか、どういう具合に集計するかということについて、東日本大震災の各処理区でどのように実施していたかというアンケート調査や、ワーキンググループでの議論を踏まえて検討いたしました。

 先ほど、3ページにありましたフローチャートを、この5ページ目では少し小さく左の真ん中あたりに書いております。基本的には同じ流れの図でありますが、こちらでは簡略化をしておりまして、廃棄物を運搬し、処理、搬出していくという流れの中で、どこで何を量るのかということをここで書いています。特にこの図の中で、赤色で示した数字が計量の必須、必ずやらなければならないであろうというところ。それから青色で示した数字は、処理を円滑に行うための必要なデータを取得していただくために推奨される計量ポイントということでございます。それぞれどういう目的でやっているかということも、下の表から読み取っていただけるかと思います。

 それから、この計量を行うに当たっては、廃棄物をどのように種類分けをしておくかということが1つ重要でございまして、ワーキンググループでは右上の表にありますように処理前の区分、それから処理・選別後の区分ということで一定の定義分けを行い、大区分についてはこれに従ってきっちりやっていただく。また、中区分あるいは小区分については、自治体の処理方針に応じてやっていただくということになろうかという議論を進めております。

 それから、右下には進捗管理上の留意点について、処理が終わった量を処理すべき量で除した進捗率について、処理すべき量、分母の値が変わるということについての注意が必要だということを含めて整理しています。

 6ページ目が、東日本大震災では津波堆積物と言っておりました、土砂系の混合物の処理フローに関する議論で、今回、土砂系混合物という言葉を使わせていただいています。左の写真にございますように、東日本大震災では津波堆積物が多かったということですが、それを、混合廃棄物の処理で発生したふるい下、農地に堆積した津波堆積物と一緒に取り除かれた土とが混合した農地堆積物、あるいは土砂災害等で発生した堆積物などと、処理という観点では分けて議論することが難しいということもあり、こういう定義で進めてはどうかと整理いたしましたが、実際には東日本大震災の津波堆積物を中心とするものの処理の事例を整理したということでございます。

 下の図にありますように、目的に応じて処理ができる廃棄物が提供されていますので、それらを整理し、複数の処理フローの集約を行いました。目的といいますのは、上のフローになりますが、再生資材としての利用、農地、セメント原料、埋立処分等があり、粘性低減・含水率低減、不溶化、洗浄及び除塩等の目的に応じてさまざまな処理が個別に、あるいは組み合わせて実施されておりました。

 7ページ目はこの検討3の続きで、土砂系混合物が具体的にどの改質材を使って処理されたのか、あるいはどのような機材が使われたのかということについて、情報を収集し、整理いたしました。改質材も多岐に渡っており、その情報を収集し、特徴、使用上の注意点、課題といったものを挙げました。使用された機材情報についても同様に、ページの下半分に整理をいたしました。特にスペック情報等、有用なものについては、右下に示したカルテ形式で整理を進めております。

 8ページ目が、最後の4番目の検討になります。大規模災害、ここでは首都直下地震を例題としまして、実際に災害廃棄物処理を成立させることができるのかどうか、どのように成立させるのか、具体な問題を解いています。3行目にありますように、検討1で議論いたしました基本パーツを組み合わせ、一次仮置場や二次仮置場として、どれぐらいの面積が必要なのかという検討や、被災地から一次仮置場、一次仮置場から二次仮置場、更に二次仮置場から受入先への輸送に関する試算を行いました。

 8ページ目、9ページ目にありますのは、1つの検討例で、都心南部直下地震において、東京都内で約5,700万トンの災害廃棄物が発生すると想定した内閣府の被害想定を「検討条件」として、地区ごとに、どういう種類の災害廃棄物が発生し、選別後の割合はどうなのかということを設定して、真ん中上右寄りにあります「想定した処理フロー」に基づいて試算を行ったものです。検討例では、被災地から一次仮置場に災害廃棄物を運び、更に二次仮置場へ運びます。二次仮置場の中には、プラントA、B、Cが配置されます。二次仮置場の検討では、プラントA、B、Cを配置するために必要な面積の算定を行いました。プラントAは主に混合廃棄物の分別、プラントBは主にコンクリートがらの破砕・再調整、プラントCは主に木くずの処理を行うとしました。東日本大震災ではこのプラントA、B、Cが一体であったとみなすことができるのかもしれませんが、今回の検討では、災害廃棄物の中でも、木くずやコンクリートがらの発生量が多いということで、この値に基づいて計算がチューニングできることを考えて、プラントA、B、Cという形に分けて、検討を行いました。その下の「検討の流れ」のフローチャートの外に書いてありますが、処理目標期間を発災後3年間と設定して、試算を行いました。

 最後の9ページが試算結果です。一番上の表が、一次仮置場としてどれぐらいの面積が必要になるかを示しています。仮置場必要面積の欄に示しましたが、各市区内の都市公園等の面積、候補施設面積ですが、これを集めると表中の数字上では、一次仮置場の数は足りているということが読み取っていただけるかと思います。二次仮置場についても同様で、処理能力と、基本パーツの数から仮置場の必要面積が算定されます。一方で候補となり得る施設の面積、最終処分場と都市公園になろうかと思いますが、それら候補施設の面積を試算し、両者の比較を行いました。

 ページ左下の表は、設置した一次仮置場、二次仮置場に向けトラック輸送をする際に、どれぐらいの延べ台数が必要かという試算結果を、各ステップ、時間軸で、表に整理をしています。

 また、今回の処理フローでは、仮設焼却炉は使用せず、全国他ブロックでの焼却能力の余力を使わせていただくとして、それらの施設への輸送の必要能力を算定しています。

 以上で説明を終わらせていただきたいと思います。

○質疑応答

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの勝見先生の説明に御質問、御意見ございましたらお願いいたします。鈴木委員、どうぞ。

(鈴木委員)

 災害廃棄物の輸送ですが、広域のところで鉄道だけを想定して計算をしているのですね。これはこれで1つの考え、1つの想定で計算しているということだと思うのですが、海上輸送も廃棄物を輸送するのに向いている輸送ですが、それについてはどのような考えをお持ちでしょうか。

(酒井委員長)

 他に御質問はございますか。それでは、鈴木委員への御回答をお願いします。

(切川係長)

 事務局から回答いたします。今回は例として鉄道輸送を挙げておりますが、海上輸送が能力としてどの程度輸送できるのかについても、ワーキンググループでは試算を行っています。

(酒井委員長)

 よろしいでしょうか。では、1つ聞かせてください。

 まず、最後の首都圏直下のケーススタディですが、この二次仮置場での処理、分別等を含めた対応ですが、基本パーツの1パーツ当たり日量750トン、1,710トンとあり、それを124パーツ用意するというのがプラントAの考え方なのですね。これは集中立地を頭に置いておられるのか、どの程度の分散を想定しているのか、そのあたりのデザインはされているかどうかについてお聞かせいただけませんか。

 それと冒頭の説明で、最大公約数的なフローということで、関連事業者の方々など多彩なオブザーバーの方々と共に御検討いただいており、それが最大公約数という意味なのだと思うのですが、このフローに対して影響する制約条件を想定していくべき時期と思い始めております。東日本大震災、阪神淡路大震災、その後に発生した諸々の水害等を頭に置いて御検討いただいていると思うのですが、いわゆる「想定外」という要素、例えば、今の首都圏直下と同時に富士山の爆発が起こるというケース等では、システムに影響がある要因が結構出てくる可能性があります。特に火山爆発で言われている、粒子状物質の与える影響として、水が流れないのではないかとか、あるいは、輸送が完全に断絶されるということを想定したときに、この処理フローが、本当に最大公約数になるかという視点での検討はされているのでしょうか。

(勝見委員)

 私からお答えし、もし補足があれば事務局にお願いしたいと思います。

 まず、二次仮置場の集中・分散ということですが、これは一定のシナリオでもってプラントA並びにB、Cを配置しています。ある程度分散、集中させることができそうな条件、可能性の中での検討を行っていると、今はお答えさせていただければと思います。

 次に、検討1のフローについてです。最大公約数的と申し上げましたが、あくまで東日本大震災での実績を最大公約数的に、それまでの知見や、それ以外の知見も含めてまとめているということでございまして、これが本当に思ったとおり、このようになるのかというのは、実は議論がございます。検討4でも一定の条件を仮定していますが、この災害廃棄物処理において、運搬時に道路をこのような速度で走れるのか、といったことも議論になっております。ある程度想定できる条件外の話から、想定できないところまであるだろうということで、委員長におっしゃっていただきました想定外についての検討は、3ページ目の資料をもとに、今後想定していくことを考えています。

(酒井委員長)

 引き続き、是非、後者のところをお願いしたいと思います。

 前者のところでは、基本パーツが、全部で100とか200パーツ必要なわけですよね。これは、具体的にはどの程度分散させるイメージになるのですか。

(切川係長)

 事務局からお答えします。まず、広い場所がどの程度あるのかいうところから検討を始め、今回は都内の公園や最終処分場の埋立完了地の面積で足りるのか、足りないのかという計算を行っております。公園面積の全部、あるいは半分を活用して仮設の選別施設を置かせていただくとしたらどの程度の数の公園が必要なのか、最も広い公園を最大限使えばどの程度大きな施設が作れるのか、といった検討を行っています。本来であれば、一次仮置場からの輸送や、二次仮置場で処理した後の廃棄物を運び出す際の効率性も考えて二次仮置場の場所を考えつつ行うべきところではありますが、まずはどれぐらいの面積が必要なのか、という検討を今回行っております。

(酒井委員長)

 日量1,000トンの1つのパーツが、一番大きいところでは1カ所で何パーツぐらい置けそうなのですか。数が余りに膨大なので、イメージが湧きません。

(切川係長)

 個別に、どこの公園にどの程度置けるのかという試算はしておりますが、詳細の話は追って説明させていただきたいと思います。

(酒井委員長)

 現実のイメージ感がなかなかつかめないのでお聞きしたところです。また、都市公園を半分使えば恐らく叱られてしまいます。どこに立地させるのかということも含めてイメージをしていく必要があるのかなと思います。いずれにしても、現実的なところで検討を進めていただいていますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、要処理量ワーキンググループに行きたいと思います。吉岡委員から報告をお願いいたします。

(吉岡委員)

 それでは、要処理量のワーキンググループで検討いたしました内容につきまして御紹介させていただきます。ワーキンググループの取りまとめをさせていただいております東北大の吉岡でございます。

 1枚目は、その後の2ページ目と被りますので2ページ目から説明をさせていただきます。まず、「WG設置の目的」でございますが、発災前と発災直後、ここでどれだけの廃棄物が発生して、どれだけの量を処理しなくてはいけないのかを推計するための手順を提示させていただくこと。それと、特に発災直後に国がまず迅速に大まかな発生量を推計できる手法を提案させていただくこと。それと、今度は自治体になりますが、発生量を推計できる手法、更に簡易的な推計ツールでどこまでできるのかを検討させていただきました。さらに、量だけではなくて、質も、特に注意しなくてはいけない部分ですが、腐敗物、危険物、あるいは有害物等、こういった質の情報が必要なものについて、どう手法に反映できるのかを検討させていただいて、提案いたしました。

 「主な調査・検討事項」は4つの事項に分かれております。まず1番目は、発災前及び発災直後の災害廃棄物量推計手順の提示です。特に推計手順とそのフロー、これを提示させていただくということでございます。検討2は、発災直後に国が災害廃棄物の発生量を迅速に推計できる手法の提案で、これまでの調査内容も含めて整理をさせていただきました。検討3では自治体を主体として想定し、特に重要な、仮置場の災害廃棄物の容積、見かけ比重、組成、これらを推計できる手法を整理いたしました。検討4は、先ほどの目的と同じですが、災害廃棄物の質情報の推計量への反映手法の提案でございます。

 個別の検討課題に移ります前に、まず、全体像を3ページ目にお示しさせていただきました。非常に大事な点として、誰が、いつ、何をするかというところがあります。誰がという点では国が、あるいは都道府県・政令市、市区町村がということになります。いつという点に関しましては、発災前と発災直後、さらに、進捗が進んできたその後という3段階に分けております。時期を更に細かく分けていきますと、発災前、発災後1週間から2週間、1カ月、3カ月、6カ月、あるいは数年という単位となります。誰がという点に関しましては、国、地域ブロック、都道府県・政令市、それと市区町村と細かく分けて、先ほど申し上げました検討事項の内容が、どこに係ってくるのかというものを整理させていただいた図になっております。例えば、発災前であれば、特に政令市、都道府県、あるいは市区町村、ここでは検討項目の1~4が重要になってくるであろうという点。国では、検討1と2に関して、発災直後から1カ月以内のところが非常に重要な位置づけになっているという点。都道府県・政令市、市区町村では、検討3と4に関して、その1カ月以内のところが重要になってくるという点。検討3は、その後の数年のところでも進捗管理という意味も含めまして、量の把握が必要だということをここに整理いたしました。

 個別の検討内容について説明をいたします。「検討1.発災前及び発災直後の災害廃棄物量推計手順の提示」について4ページに示しております。この概要ですが、その推計フロー、手順を整理したということと、災害区分ごとに種類別の割合を整理したということです。まずページの左側に、災害廃棄物量推計手順・フローの案を示させていただいておりますが、発災前の被害想定結果というものを世帯数毎に見ていくということ、そこに、発生の原単位、種類別割合というものを入れ込みまして、種類別毎の災害廃棄物発生量というものをある程度見積もるという流れになると思われます。

 土砂系混合物、特に津波堆積物についての推計フローというところについても、これは宮城県と岩手県のこれまでの報告を参考にしておりますが、平米あたり0.024トンという数字で、ある程度の原単位というものは見積もれるのではないかということを出させていただいております。

 その下に品目毎の推計方法の整理ということで、これは例でございますが、例えば家財につきましては、被害棟数に対して原単位、これは1棟あたり2トン、畳のみを推計する場合ということでは、特に木造のところについては1棟あたり0.8トンということで、これまでの水害廃棄物対策指針で出てきた数字を使わせていただいて、この形で整理ができるだろうと。これは19品目につきまして推計式を整理しております。

 しかしながら、細かくどこまで数字を出すのかというところもありますが、まず、大事な点としては、大まかな数字でありますが、これまでグランドデザイン等で算定した以下の値を利用しまして、それぞれの全壊・半壊等を含め、原単位というものを、ここに記載し、まとめとしているところです。

 その下には種類別の割合の例として、過去の水害あるいは東日本大震災における津波災害を見て、数字を出させていただいておりますが、ここでは、同じ水害でも地域、あるいはその状況によって廃棄物区分の割合というものがかなり違っているということを、提示しております。そういう意味では、全体的にどのぐらいの量が出るのかというのは、上のグランドデザインで示した値が、まずは1つの指標としてあるのではないかと思われます。ただ、これについては1つの例ですので、具体的にこれをどう使っていくのか、あるいは別の数字を使って精査をしていくのかというところは、それぞれの計画をつくる段階で御検討いただきたいと思います。こちらでは、どこでどういう数字を使っているのかについて、資料としてまとめを行っているということでございます。

 次は、5ページで検討2を説明します。これは国が行う推計についての提案です。右上に写真が出ておりますが、今回は、常総市の例を検証の対象としております。ざっくりとした発生量を推算するということになりますと、いわゆる空撮データが重要であるという観点から、光学的な装置を用いて画像を解析した場合、更に開口レーダーを用いて画像を解析した場合について、それぞれの長所・短所をここに書かせていただいております。いずれにしましても、こういった画像データを用いまして、ある程度の浸水域を把握し、更に縦方向にどのぐらい浸水したのかというデータを持ち寄り、更に建物のデータになりますが、基盤地図と合わせて被害棟数を算出し、見積もっていくという手順になると考えております。

 簡単に申し上げますと、光学では、実際に写真を撮ってそれを目視で大体どうだと見るわけですので、天候の影響を受けやすいという点がございます。しかしながら、ぱっと見て、どこにどう被害が及んでいるのかというのは、わかりやすいデータとして使えます。

 一方、開口レーダーですが、ぱっと見て、どこがどうだというのはなかなかわかりません。これは過去に同じ地域を撮ったデータとの比較の上で、初めてどこが被害に遭ったかというのがわかるものですが、有利な点としては、天候に左右されずにデータがきちんと読み込めるという点があります。いずれにしましても、その両方をうまく使い込んで、ある程度の迅速な計測というものに持っていくことができるだろうということを、ここに提案いたしました。

 下は、それぞれのフローの中を細かく分けたもので、発災前と発災後の両方の開口レーダーの画像と、発災後の光学画像を用いながら廃棄物量の推計をしていくという流れを、提示させていただいております。

 6ページ目では検討3を説明しています。これは自治体による発災後の災害廃棄物量の推計手法提案で、容積、見かけ比重、それと組成を掛け合わせて量を算出する方法です。このとき容積を算出するに当たり、どういう推計手法を使用するかについて、右上の表中に簡易測定器による方法や測量等による方法を示しております。見かけ比重についても同じように書かせていただいておりますが、もちろん、これが全ての手法ではございません。状況によっては他の測定方法にも使えるものがあろうかと思いますが、まずは、例として出させていただきました。

 そして、発災後のフェーズ毎に、どういう時期かということも含め、推計方法を少し整理する必要があるだろうということで、被災地、一次仮置場、二次仮置場、それと発災からの時期、進捗の度合いに合わせまして、どこで何を量っていくのかということを左下の表にまとめております。簡単に申し上げますと、左上から右下に行くにしたがって、より詳しく量を推算していく、そのための精度を高めていく、そういった取り組みになるであろうということを書かせていただきました。また、特に留意しなければならない事項として進捗管理があります。これは先ほどの技術ワーキンググループの検討2の項目とも絡んでくる内容ですが、仮置場の残存量の推計が増減してしまうと進捗率が変動することになり、計画の進捗管理ができないということになりますので、その度合いに合わせて精度を高めながら、常にこの量というものを、要処理量というものを推算していくことが必要です。

 7ページ目では検討4を説明しています。これは腐敗物、危険物、有害物等を、質という形でどういうふうに発生量に反映させていくのかということですが、一番大切なことは、発災後よりもむしろ、発災前に、どこに、何が、どれだけ保管されているのかということを、きちんと把握しておくことです。そのために、リスト化をしておく必要もありますし、既に役所に届けられているデータや情報の整理をしていく必要もあります。それらを発災後、被災エリアと重ね合わせることで、発生量に反映させていく必要があります。

 そのために、発災前・発災後の調査シートを1つの活用例として出させていただきましたが、どこで災害が起こったかというエリアを確定する以前に、まずはどこに何があるかという情報をきちんとまとめておくことが重要であるという点を、検討4で出させていただきました。

 資料3の参考資料として、さまざま写真を示しております。大区分、中区分、小区分毎に、仮置場等でどういう形で廃棄物が集められていたのかという事例を写真で提示しておりますので、参考にしていただければと思います。以上でございます。

○質疑応答

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。それでは、簡単に聞かせてください。空撮で常総市の発生量推計を行ったということなのですが、推計値と実際の被害戸数の数字を御紹介いただいているのですが、かなり過大推計的に、特に浸水、床上浸水が1,800に対して100とか、この要因について分析されていて、大体改善の見通しというのはあるのかどうかということをお知らせいただけますか。

 それに関連して少し細かいところで恐縮なのですが、4ページの災害廃棄物の種類別割合が、合計しても100%に届かないのですが、どういう状況でこのような数字になっているのか、この点がわかれば、お答えいただけますでしょうか。

(吉岡委員)

 私から申し上げられる内容としては、常総市で算出した推計値ですが、これは光学画像を用いて推計しており、開口レーダーを用いたデータは使用しておりません。ですから、面の領域で推計した数字になっており、縦方向といいますか深さ方向の情報は反映されていないというのが実情だと思います。ここから先の補足は、事務局にマイクを渡したいと思います。

(切川係長)

 事務局から補足いたします。人工衛星の画像を使った分析ですが、これは人工衛星による推計値と実際の常総市の罹災証明が発行された被災家屋数との比較を行っております。数値が51、4,972となっており、人工衛星による推計値に関しては、内閣府の被害判定基準に基づいて浸水深さ等の基準から数を計上したものです。この推計値に関しては、住家以外の非住家も含めて数を数えておりますので、若干多めに数字が出ているものになっております。これも一因と考えているのですが、実際に災害廃棄物として処理されている被災棟数が想定よりも少なくなっていることも要因として考えております。

今後、人工衛星による推計手法の精度を上げるためにも、あと1回のワーキンググループにおいて、可能な限り検証を進めていきたいと考えております。

 もう1つ御質問いただきました種類別の割合なのですが、数字が100になっていないのは、資料には元表の一部を抜粋して貼り付けているためで、元の表では数値は100になっております。

(酒井委員長)

 では、純粋に衛星画像からの推定値がここで提示されているわけではないという理解をしたほうが良いのですね。

(切川係長)

 衛星画像を使ってモデルを作成し、単純に数を数えたものです。

(酒井委員長)

 下表の値はあくまでモデルによる推計値なのですね。

(切川係長)

 そうです。

(酒井委員長)

 わかりました。それではよろしいでしょうか。勝見先生、どうぞ。

(勝見委員)

 技術・システムワーキンググループとの関わりがあるということで、6ページの進捗管理表のところ、説明していただきましたが、要処理量あるいは発生量を見直すということ、定期的な見直しという具合に書かれているのですが、どれぐらい定期的に、あるいはどういうタイミングで量るべきなのかということも議論されているのでしょうか。と言いますのも、東日本の事例でも要処理量がクリアではなかった、あるいは変動したということで非常に処理に困窮されたということもお聞きしておりますので、こういうところで量っておけば良かった、であるとか、やはり今ある技術ではこれぐらいの精度でしか算出できないが、将来の技術開発で、この時期にこれぐらい正確に算出きれば、後々の処理システムの構築を、より有機的に繋げられるのだという議論ができるのかなと思います。

(吉岡委員)

 常に量っていればそれに越したことはないのでしょうが、そこは現実的ではないと思います。例えば、ロッド毎に量ると言っても、それは常に量ることになりますので、余り現実的ではないと思われます。そうすると、ある程度はけた段階、どうしても量を量らないと次に進めない段階、タイミングでサンプリングをして量っていくということが必要になると思われます。例えば、広域的に処理を行う場合等、受け入れてもらえるかどうか、その質も含めて分析が必要になってくる場合には、当然中身も精査しながら量るので、それが今度は全体の量に反映されてくることになり、そういうタイミングが1つのタイミングであると思われます。明確にどこというのは、状況によってはなかなか決めにくいところがあると思うので、大きな変化があったタイミングが量るタイミングであろうと見ています。ただ、漠然とそれを言っても、具体的にどこなのだというのがわからないと行動に移せないということもありますので、そこは、次のワーキンググループの中で、きちんと今の御意見を踏まえ、精査していきたいと思っております。

(酒井委員長)

 よろしいでしょうか。森谷委員、どうぞ。

(森谷委員)

 教えていただきたいと思います。4ページに「災害廃棄物の発生原単位」という表があります。これは将来皆さん活用されると思うのですが、出典から考えて、あらゆる災害を想定したというよりも津波被害を想定した値になっていると考えたほうがよろしいのでしょうか。

(吉岡委員)

 津波堆積物については、宮城県と岩手県で今回の東日本大震災から算出された値を使わせていただいております。原単位につきましては、グランドデザインで既に出てきておりますので、その原単位をここに記載しています。地域によっては、この数字を使わずに算出したようですが、あくまでもワーキングの中では、これを基本路線として、まずはざっくりでも良いので、この原単位を使用して算出するということを提示しています。

(酒井委員長)

 では、よろしいでしょうか。それでは、次に行かせていただきます。続きまして人材育成ワーキンググループ、平山委員から報告をお願いいたします。

(平山委員)

 それでは、人材育成ワーキンググループの報告をさせていただきます。

 1ページ目に、今回の報告資料の構成について記載しております。

 2ページ目の冒頭に、この人材育成ワーキンググループの目的を記載させていただいております。ここでは我が国における強靭な廃棄物処理システムを実現するため、人づくりという観点から、災害廃棄物対策やその災害時対応を実践できる人材を継続的に輩出する育成システムと、それを支える仕組みづくりをこのワーキンググループの中で検討することを目的として、各検討事項を定めております。

 その下の「主な調査・検討事項」が、このワーキンググループの中で検討している項目で、5つございます。検討1が、廃棄物・防災分野における人材育成の現状と課題の把握。検討2が、災害廃棄物分野における人材育成システムの構築・運用に関して、必要とされる能力の整理。検討3が、研修を通じた人材育成の構築・運用ということで、カリキュラムの設計や、職位・レベルに応じた設計。検討4が、OJTを通じた人材育成の充実化に向けた既存ネットワークの活用。検討5が、人材育成システムを支える仕組みづくり、あるいは仕組みの構築です。今回は、検討1~3の3つの項目について報告いたします。

 3ページ目に災害廃棄物対策に係る人材育成の全体像を示しています。人材育成ワーキンググループの目的を実現するために、それぞれの検討課題あるいは調査事項がどのような関連にあるのかといったものを示しています。

 続きまして4ページ目は「(1)人材育成の現状と課題の把握」の検討結果についての報告となります。こちらに関しましては、ヒアリング調査、あるいは質問紙調査を通じて廃棄物分野における研修、人材育成の課題について6つ、大きくは5つと言っていいかもしれませんが、課題の整理をいたしました。まず1つ目が、経験・技術・知見の継承がとても困難な状況になってきているということ。2つ目が、災害廃棄物に関する体系的なカリキュラムあるいは継続的に実施されている研修プログラムが不足していること。3つ目が、実践的、例えば参加型の研修、図上演習等、実践的な研修手法といったものの開発が求められていること。4つ目が、既存の研修において、単発のセミナー等はありますが、継続的な災害対応力の向上といったものが十分に行えていないこと。5つ目が、研修を支える人材、組織、あるいは災害廃棄物分野の研究者が不足しているのではないかということ。そして、研修が一体どういう能力向上に寄与しているのか、研修を最適化するための評価といったものもまだまだ十分でない、こういった現状や課題があるだろうという形で整理をいたしました。

 このような課題整理を踏まえて、どういった人材を目指すべきか、といったものが次の5ページ目に記載しております。ここでは、災害時においては、通常の廃棄物処理業務に加えて災害対応業務、つまり一時的に大量に業務が発生することから、こういった業務を適正に実行するために、被災した市町村の担当部署に必要となる人材であるとか能力といったものを整理しています。大きく3つございまして、1点目が、災害廃棄物処理業務を取り仕切る、あるいは意思決定を行う首長、ここでは災害対策本部長、あるいは意思決定者になると思いますが、そういった方々に適切な助言を行うことができる専門的知見を有する災害廃棄物部局のリーダーが必要だということ。2つ目が、そのリーダーを補佐するためにさまざまな業務、あるいは事務手続き等の専門的な部分を支える知識を持っているサブリーダーが必要だということ。3つ目が、そのリーダー、サブリーダーを支えるための実務を実行できる職員が必要だということ。この3つの、それぞれの人材あるいは能力といったものを今後考えていかなければいけないだろうと思います。

 中小規模の市町村において、災害時に廃棄物部局単独でこの①、②、③の人材を確保することが非常に困難になる場合には、近隣、他の自治体、あるいは都道府県等と協議して、こういった人材を確保することが必要であるということも整理しております。また、今年度、環境省で発足させたD.Waste-Netを活用していく、あるいはその中の学識経験者、民間事業者、コンサルタント等の人材をどう確保していくのかといったことも必要だろうという形で整理をしています。

 最後の赤のボックスになりますが、災害の規模によっては都道府県が市町村へリエゾン、職員を派遣するということもございますし、あるいは委任事務として都道府県が処理の主体業務を担うこともあり得ることから、市町村だけではなくて都道府県にも上記のようなリーダー、サブリーダー、実務職員の人材を育成していくことが必要だろうという形で整理をいたしました。

 次の6ページが、それぞれのリーダー、サブリーダー、実務職員、あるいは技術系、事務系職員の研修がどういう関係になるのかといったものを整理したものです。

 そういった人材、あるいは能力を育成していくためにどういった考え方が必要なのかという運営、管理の方法を検討したものが、次の7ページ目のスライドになります。ここでは、今まで検討した課題や、災害時に必要とされる知識、能力を踏まえてどういった体系が必要なのかといったものを整理いたしました。ここでは大きく4つございます。

 1つ目は、トップに向けた研修。自治体の防災、あるいは廃棄物の意思決定を行う人に対して、災害廃棄物対策の位置づけでありますとか、その重要性を認識してもらう機会が必要であり、そういった研修を行うことが必要であるということ。

 2つ目に、青色で記載した、定期的に能力を習得する研修、定期的な実施が望まれる研修が必要であるということ。その中には2つございまして、1つ目が基礎コースで、防災、災害廃棄物処理に関する基本的な知識や、災害時の法制度、処理技術の知識を体系的に学ぶ基礎的なコースを定期的に実施することが必要であること。2つ目がマネジメントコースで、災害廃棄物対応のリーダーに必要とされる応用的な能力や、マネジメントの方法等を定期的に習得するコースが必要であるということ。基本的には基礎コースを修了した職員、受講生がマネジメントコースを受講するといった体系的な仕組みが考えられるという形で整理をいたしました。

 そして緑色で記載した、そのほか必要に応じて適宜実施することが望まれる研修として、図上演習、ワークショップ、情報伝達訓練等、災害時に特に必要とされる技法や知識といったものを習得する研修、そういったものも必要ではないかと整理をさせていただいております。

 4つ目の赤色で記載した、都道府県から市町村に向けた災害廃棄物対策の基礎的な情報提供となる研修、こういったものも必要になるのではないかという形で整理をさせていただきました。

 次の8ページは、7ページでお示しした研修の体系図であります。トップに向けた研修、基礎コース、マネジメントコース、ここでは養成コースと書いていますが、必要に応じて適宜実施するとされる研修、一番下のベースの部分に都道府県から市町村に向けた基礎的な情報提供となる研修。ここでお示しした研修に関しましては、環境省が、あるいはどこか一組織が実施するものではなくて、我が国の災害廃棄物分野における人材育成の研修の体系として、こういったあり方が必要なのではないかという形で整理したものであります。

 9ページ目は今回の報告のまとめとなります。まず、人材育成、あるいは災害廃棄物分野における研修の現状の把握をしました。それに加えて、災害時に必要とされる人材能力に関して検討をいたしました。その2つの検討を踏まえて、先ほどの8ページに全体像がございますが、災害廃棄物分野における人材育成研修の体系の構築に関連して検討を進めて参りました。

 今後は、こういったものに加えて、委員のみに配付しておりますが、参考資料として、自治体向けの教材「災害廃棄物対策の基礎」を作成中であります。こういった過去の災害を踏まえた自治体向けの研修の試行。そして、8ページ目にお示しした人材育成の体系に関して具体的にどういう形で進めていくのかについての内容、それによって習得できる能力等々を整理し、その研修システムを支える廃棄物分野、あるいは災害廃棄物分野全体の仕組みに関連して、引き続き検討していきたいと考えているところです。

 簡単ではございますが、人材育成ワーキンググループからの報告となります。

○質疑応答

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。それでは質問させていただきます。

 首長や局長に向けた研修として、国交省で既存のトップ研修があると伺いました。防災・避難誘導等全般についてということですが、大体どんな内容なのか。そこに災害廃棄物関係を盛り込んでもらうとしたら、何をどうトップの方に御理解いただくのが良いのかということは、どうお考えでしょうか。

(平山委員)

 まずは私から回答いたしますが、事務局からも補足していただければと思います。初めに、トップに対する研修ですが、随分前から、主に内閣府がトップに対する研修を実施しています。基本的には都道府県が主体となって、県内の市町村の市長、副市長等、災害時に災害対策本部長になり得る方を集めてワークショップ的な研修を半日程度で行っています。その中で、実際には避難であるといったこともありますが、やはり災害廃棄物を考える上では、生活環境をどう守るのかということをテーマに皆さんに考えていただく、我々だけでやるのではなく、内閣府等、そういうことを実施している研修機関と連携していくことが今後必要ではないかと考えています。国交省は、この常総市の災害後に、さまざまな動きがあると伺っているのですが、事務局で少し把握している部分で捕捉していただければと思います。

(切川係長)

 事務局から回答いたします。国交省等さまざまな機関で、トップがどのタイミングでどんな判断が必要であるか、判断におけるポイント等に関してセミナー等で経験を共有しています。

 過去には、首長が決定する第11項等、教訓も取りまとめられ、首長間で共有されている事例もあり、その中にも災害廃棄物に関する事項は入っております。そういったものをうまく周知しながら連携していきたいと考えております。

(酒井委員長)

 首長のそういう御認識が、極めて重要になってきます。それと、民間企業のトップの方々の考え方、ここは事業継続にとって重要でしょうから、BCPプログラムを相当やっておられる企業もあるわけです。その辺のところを、どういう関係で考えていけば良いのか。今日の最後の課題にも入ってくると思いますが、共通認識を持つための情報共有を、既存で何ができていて、どういう状況にあるのかということを、少なくともこの場で1回、御紹介いただいたほうが良いかなと思って聞かせていただいておりました。多分全然認識が違うと思っていますので。一体今何がなされていて、どういう状況があるかをまず知るというところでお願いします。

 吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)

 検討1のところで、研修を支える人材や組織が非常に不足している、というのがあるのですが、これはとかく言われがちなのですが、そういう人材を育てていくための組織があったとしても、運用していくための資金的な問題というのも相当あろうかと思います。それをどういう形で確保しておくのかというのは、とても重要ではないかなと思っています。国が確保する、自治体が確保する、民間独自に、といろいろあると思いますが、どこがということではなくて、それを動かしていくための金銭的な問題は必要ではないかなというのを感じましたので、その点も御考慮いただければと思います。

(切川係長)

 事務局から回答いたします。資料の8ページ目、体系の右下にオレンジで枠囲みとした箇所に「廃棄物分野や防災分野の既存研修と連携」と書きました。既存のもので幾つかきちんと回っている事例もありますので、そこを活用しながら、補えない部分は新しい形で対応したいと考えております。

(酒井委員長)

 資料4の参考資料、これはどう使うつもりでしょうか。

(切川係長)

 その資料は、7ページ目にある「ワーキンググループで教材を作成中」というものの例で、都道府県から市区町村向けの研修をイメージしながら、これを入れさせていただいております。まだ作成中ですので、委員のみに配付しております。

(酒井委員長)

 都道府県から市町村向けということですね。

 では、次のワーキンググループに行かせていただきます。地域間協調ワーキンググループにつきまして、浅利委員から報告をお願いいたします。

(浅利委員)

 では、説明いたします。資料5「地域間協調ワーキンググループ検討状況」と、参考資料1枚を準備しております。参考資料は適宜見ていただければと思いますが、今日の記述の基になっております行動指針で、この地域間協調に関するテーマについてどう記述されていたかということを記載した紙になっております。それを具体化するためにどうして行くかということを地域間協調ワーキンググループの中で議論させていただいております。

 開いて2ページ目の上が「WG設置の目的」と、そして「主な調査・検討事項」ということで5点にまとめて調査・検討を行っております。まず1点目が、地域ブロック協議会の役割ということで、既に全国各地域ブロック協議会が動いておりますが、これの特に今後の役割、それから相当強化をしていくことが必要だろうということで、その点について議論しております。それから、検討2では、特に非常に大規模な災害が起こりますと、地域ブロック内、それから地域ブロック間で連携をする必要があるということで、その際の具体的な事項、そしてそれを支えるための制度とはどういうものかということの議論を行っております。それとも関連しますが検討3では、各主体が、ここには民間団体も入ろうかと思いますが、その役割に応じて関係者がどう連携していくか、重層的な連携関係を構築するあり方を明確にしていこうということです。そして検討4、これも全ての課題にもつながりますが、重層的な協力関係を構築するための制度とか仕組みということで、災害協定の締結、そして特に行動計画、これは今後より議論を深め、また、できるだけ早い段階で策定をと考えておりますが、この役割についての検討ということになっています。そして最後5点目、人材育成ワーキンググループとも関連しますが、これはここに御参加の委員の皆様方もメンバーでございますが、D.Waste-Netの運営方針を作成していくということも、このワーキンググループのミッションとして位置づけられております。ワーキンググループ委員の皆様にさまざまな貴重な御意見をいただいて進めているところです。

 今回重点的に御説明する部分に行きたいと思いますが、3ページ目、まず「地域ブロック協議会の役割」について、本日は、平時と災害発生時等々に分けて整理をしております。まず3ページ目では、地域ブロック協議会で平時に何をして災害に備えるかという役割の議論をまとめております。大きく分けて①~④を3ページ目にお示ししておりますが、まず①としては「連携・協力体制の構築」ということで、地域ブロック周辺地域におられます都道府県、市町村、そして一部民間の団体にもお入りいただいておりますが、この各主体が協議会の場でなく、平時から関連するさまざまな分野で相互に協力・連携できるように、この協議会の場を通じて顔が見える関係を構築できるようにしていくということ。これを1点目に挙げております。それから2点目として、既に締結されている災害協定の情報を共有して、この協定の活用方法ですとか、協定を発動させる条件について共通認識を作成したり、それでは不足する協定の締結を推進したりしていくということ。そして3点目、ここが今後の特に重点的なところで皆様からの御意見もいただければと思っておりますが、災害発生時においても円滑に初動対応ができるように行動計画を作って、その中で協定を有効に運営できるように地域特性、各主体の役割を踏まえた事項を記載していくということがあろうかと思います。

 それから、②では、「重層的な補完体制の構築」ということで、先ほど酒井先生からもございましたが、BCP的な観点からも大規模災害時において市町村が単独で実施できること、それでは間に合わない部分について、速やかに見定めて円滑かつ迅速に受援できる体制、支援してもらう体制を構築して、前に述べました連携・協力体制での各主体の役割を踏まえて、災害時の業務の優先順位を平時から整理しておいて、相互に助け合って、都道府県あるいは国に対しても支援内容などを適宜伝えられるようにルールを確立していくということ。そして、災害時の資機材の相互融通等の対策を具体化するという、こういった点を重層的な補完体制の構築として挙げております。

 そして3点目は「人材育成のプラットフォーム」についてで、こちらは先ほどの人材育成とも関連する部分になろうかと思いますが、作っていただいた、開発していった人材育成の素材も活用しながら地域ブロック単位で防災訓練の実施ですとか、また人材交流などを通じまして効果的、効率的に人材育成を実施していく、そのプラットフォームとなるということ。また、発災時にはこのプラットフォームを活用して人員確保を進めていくということを想定しております。

 そして④が「行動計画の策定と継続的な見直し」ということで、各都道府県で地域ブロックベースに作りました行動計画の位置づけを明確化して、これを速やかに準備していくということを想定しておりまして、こちらはまだ具体的に内容の議論を進めるところですので、本日、是非御意見をいただけたらと思っております。地域ブロック単位で連携を進めるに当たっての行動計画、できれば平成28年度中に行動計画を策定して、まずは基本事項を盛り込んだものにして、継続的に充実させていくという形で考えておりますので、この基本事項として盛り込むべき事項などについても御意見をいただけるとありがたいと思っておりますし、また都道府県でも各計画を立てておられると思いますが、その都道府県と行動計画との関係性についての御意見などもいただけたらありがたいと思っております。それを残りのワーキンググループの機会にも議論を深めていきたいと思っているところです。

 次、4ページ目になりますが、これは以前にも御説明をしたかと思いますが、「地域ブロックの考え方」ということで整理をいたしました。まず、大規模災害時には被災した事業者の主体的な処理も促しつつ、まず、被災市町村における処理を原則としては行うと。ただ、規模とか状況に応じて都道府県が主体となって行うという処理もある。そして、その次には地域ブロックの中で広域処理を行うということ、そして最終的にそれでは無理だという場合については、複数の地域ブロックに跨がる広域的な処理を行う。そして、円滑かつ迅速な処理を補完する観点からは、国による代行処理の実施という形もあるということで、こういった形の重層的な対応を念頭に置きながら、ある程度臨機応変にやっていくということになろうかと思います。

 下の図に関しましては、例外という、臨機応変に対応するということの一例でございますが、ピンクの部分が例えば今回新たに災害が起こったというときの被災地域で、水色の部分が隣の地域ブロックだとしますと、こういう地理的条件によっては合理的に判断をして隣の地域ブロックに速やかに支援を依頼するということももちろんあっていいだろうという、こんな図になっております。

 次は、5ページ目に行きまして、「地域ブロック間の連携の具体化」ということで、地域ブロック内だけではなく、地域ブロック間で連携が必要になる場合もあるだろうということで、そういう場合に広域処理をどう調整していくかということについての考察を進めているところでございます。その考え方を整理しているのが5ページ目になります。

 まず、プロセス別の考え方ということで、一応ステップ①~④で考えていくという整理をしておりまして、①では、まずは広域処理をどれだけしてもらうかということをいかに合理的に見積もり、そして見直していくかということが非常に重要であると。これは東日本大震災の教訓から言われているところかなと思います。その際の考慮点ということで、積算のポイントとして、ここでは3つのポイントを挙げておりまして、原則としてやはり地域ブロック内もしくは被災自治体でできるものは基本的には自ら処理をするということになってこようかと思いますので、まずは要処理量と処理可能量との差分を考えるということになろうかと思います。が、加えてその被災自治体が平時に搬入している最終処分場の残余容量や、また災害廃棄物の質や場所、条件等による緊急性の高さによって判断するということもあるであろうということ。そして、注意点として2つの※で、定期的にその量についても見直しが必要であるということや、コンクリートがら等の再生利用が可能なものに関しては、どこで利用するかということも考慮の対象にできるだろうという、こんなことを書いておりますが、それ以外にもこれを左右する重要な御指摘の点等あれば、是非、御発言いただきたいと思っているところです。また、この点についてもワーキンググループで議論を進めたいと思っているところです。

 その処理量の見積もりを受けまして、②で、処理の要請を行い、ブロック間での受け入れ先、量の調整を行うと。それに当たっては原則として都道府県が被災市町村の支援要請を取りまとめて、それを地域ブロックの中の司令塔である地方環境事務所が、他の地域ブロックに広域処理の要請調整を行っていくということを基本としてはどうかという整理をしております。

 それから③は、ブロック内での受け入れ先と量の調整を検討しています。こちらも地域ブロック機能、地方環境事務所への役割が期待されているというところです。

 そして④で、その地域ブロックの中では都道府県間で調整を行い、また、それを市町村にフィードバックするという、こんな階層的な形でできるだけ意思決定をはっきりさせて進めようという整理を行っております。

 その際の広域処理の留意点というのをページの下に書いております。これは前回もお示しして、御意見を受けて若干整理を見直しておりますが、留意すべき点ということでは当然のことながら運搬・処理時に安全性を確保するということは必須であり、また周辺環境の保全等にも配慮すると。そして、特に有害危険物についてはしっかりと分別・除去をして進める。また、原則としてできる限り分別をするのですが、ただ、そのときの状況によって、そこは柔軟に考える必要も出てくるという余地を残しております。

 次のページに行きまして、そういう地域ブロック間の連携の具体化の1つのポイントとして、広域輸送の課題があるということで、先ほどのやりとりにもございましたが、それについても技術的検討は技術・システム検討ワーキンググループかと思いますが、関係の整理等に関しましては、このワーキンググループでも議論を始めているところです。プロセス別の考え方の1つ目に書いてございますが、廃棄物の種類に応じて広域輸送手段を選定していくという必要があるということで、鉄道、海路といった選択をどう判断していくかということを今後、今一度議論する必要があるかと思っております。

 その際の役割分担でございますが、基本的には広域処理を実施する際、被災地内で選別した後、被災側が輸送手段を確保するということを原則としつつも、支援側の申し出、余力等によりましては支援側が輸送手段の確保を行って、被災地域内でコンテナの積み込み支援等から実施するということもできるだろうということで書いております。ここで表を入れておりますが、後で申し上げました支援側が輸送手段の確保を行って、積み込みから支援することもできるだろうと書いておりますのが、パターンの例でいきますと①の東日本大震災で東京都が行ったパターンということになっております。ただ、基本はまずは②を検討する。ただ、①も状況によってはスムーズに行く場合もあるということで、こちらも臨機応変に2つの方法を比較する必要があると考えております。

 そして6ページの一番下にありますが、輸送手段に応じて輸送拠点を確保する。また、ストックヤードを確保していくということも重要な視点になってこようかと思います。鉄道に関しては、貨物駅の調整も鉄道会社としっかりとやっていく必要があろうかと思います。また、海路を利用する場合には、港湾を利用できるように、調整は大変だと聞いておりますが、できる限り平時から関係者間で協力関係を構築することが必要ということでございますが、それ以外にも注意点はいろいろあろうかと思います。この広域輸送ももう少し議論が必要かなと思っているところでありますが、御意見等あればお願いしたいと思っております。

 そして7ページ目に、今回の報告のまとめを書かせていただいております。繰り返しになりますので省きたいと思いますが、今後は、抜けている視点として受援計画や、広域輸送をより具体化していく議論等々があろうかと思っておりますが、他にもお気づきの点等あればコメントいただきたいと思っております。以上になります。

○質疑応答

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。それでは、この地域間協調ワーキンググループへの御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

(生亀委員)

 日本建設業連合会の生亀です。御説明ありがとうございました。内容が、これから地域ブロック毎に行動計画を作り、それが前提になると思うので、そこがはっきりしないとよくわからないところもあると思うのですが、災害協定という話が出てきます。この災害協定の中身について、どのような想定をされているのでしょうか。1つは、主体についてです。広域処理という地域ブロック間の協力なので、公共団体が協定の契約主体と想定されるのですが、一方で輸送の話もあるので、民間事業者も協定の契約主体になるのではないでしょうか。

 2つ目は、主体と関係するのですが、どの段階で、どのようなことに対して協力、支援する、あるいは業務を行う、という内容の協定になっているかです。我々ゼネコンが東日本大震災で行った廃棄物処理というのは、一次仮置場から二次仮置場に搬送し、そこで破砕、選別等の中間処理や焼却を行い、最終的にリサイクルや、最終処分場に搬出するという内容で、発災直後の、例えば道路啓開をしたときに発生する廃棄物の処理や、一次仮置場への搬送については、ゼネコン、我々の会員企業が受託した業務ではありませんでした。災害協定というと非常に幅広い活動の対象が想定されるのですが、どのような契約主体と内容を想定されているのか、そのあたり、現時点での想定、もしくは考え方を教えていただければと思います。

(酒井委員長)

 生亀委員、どうもありがとうございました。それでは森谷委員からも御意見があるようですので、お願いいたします。

(森谷委員)

 浅利先生から御説明いただいた3ページのところですが、①~④について、これまで私もこの場で何回かお話ししていることと同調する話が多くて、大変良い記述になっていると感じています。特に、人材育成のプラットフォームのところ、「通常規模の災害における災害廃棄物処理の教訓を共有して」という箇所については、是非、アンダーラインを引いていただきたいと思います。そして、ここでの議論は、地域単位を中心にして書かれていると思うのですが、地域単位の取組と、市町村単位の取組は同調する必要があるだろうと思っております。とりわけ、地域計画については「平成28年度中に」と書かれており、環境省側のお考えもあると思いますが、市町村の計画もいつまでに作るのかということも明確にされたほうが、今後は良いと思います。それに当たっては市町村の計画作り、それから地域計画もそうですが、都道府県の産廃協会は協力するように私から慫慂したいと思っております。

 そしてもう1点、5ページにコンクリートがらのことをお書きになっています。平時でも、災害時でも、ということだと思いますが、コンクリートがらから造られる再生砕石については、それを造り出すタイミング・量と、利用するタイミング・量との間に、どうしても不釣り合いが生じることが多いです。それで先ほどお話しがあったように、広域的なストックヤードの確保というのが大変重要であると思っておりますので、この点は強調したいと思います。以上です。

(酒井委員長)

 ありがとうございます。島岡委員、お願いします。

(島岡委員)

 ただいまの意見と少し重なりますが、5ページ目にコンクリートがらの再生利用という記載がございます。全体を見ますと、処理ということで中間処理、最終処分が前面に出ていますが、リサイクルをしていくことが前提で、もう少し前面に記載をされた方が良いのではなかろうかと思います。

 それから6ページ目で、被災側が輸送手段を確保するとありますが、リサイクルする場合は往々にして民間事業者がリサイクルとなるものを取りに来ることになろうかと思います。そういう意味で中間処理、最終処分及びリサイクルという視点から明確に書かれるのが良いのではないかと感じました。

(酒井委員)

 ありがとうございます。それでは、浅利委員から御回答いただいて、あとは事務局からもし補足があればお願いします。

(浅利委員)

 ありがとうございます。まず、3ページ目のところで御指摘いただきました件についてです。①の連携・協力体制の中で、特に災害協定の具体的な中身についてどう考えているかということですが、おっしゃっていただいたとおり主体としては公共団体のみならず民間事業者さんとの関係、もしくはその事業者団体さんということも想定しております。

 内容については、最後に今後の課題として受援とか支援の具体的なことについても議論をしていくと申し上げましたが、やはりおっしゃっていただいたとおり特に初動時を中心に、ただし初動時以外でも物、人が足りなくなる場面が相当考えられると思いますので、そういう資機材、人、それから事といいますか、やっていただく内容全般について見渡していきたいと思っているところです。

 御指摘いただきました通常規模の災害の部分は本当に重要な部分だと思いますので、こちらは人材育成ワーキングの内容と合わせて、良い形で地域ブロックの中に組み込んでいきたいと思います。

 それから、一番下の行動計画の策定で、市町村計画との連動というのは必須だという御指摘もそのとおりだと思います。この行動計画を立てることで市町村にも必要性をより伝えながら、促していくのかなと思いますが、年限を区切るところまで行くかどうか、環境省のコメントをお聞きしたいと思っております。

 次の5ページ目で2つ御指摘いただきましたが、左の広域処理必要量の見積もりの部分で、コンクリートがら等のリサイクル、再生利用という部分については特段の配慮が必要であろう、特にストックヤードの必要性、これは通常時からもいろいろ不足を聞いておりますが、ここについてもできるだけ、数値も含めて今年度中にすっきり整理するわけにはいかないかもしれませんが、認識したいと思いますし、場合によっては積算のポイントの○、今3つですけれど、4つ目に挙がっても良いのかなと思いましたので、そういう処理地との関係というのも1つ重要なポイントと思います。

 次の6ページのところでいただきました輸送手段の確保で、ここで基本的には被災地でということなのですけれど、これはどちらかというと、特に可燃混合物等の非常に量の多いものを想定して考えておりましたが、リサイクル物への配慮というのも重要かなと思いますので、今後、品目別の検討というのもあろうかと思いますので、考慮したいと思います。ありがとうございます。

(切川係長)

 事務局から一部補足いたします。生亀委員からいただきました協定の部分ですが、基本的に通常規模の災害と大規模災害で、また考え方が変わってくると思っております。大規模災害の場合は、複数の災害協定によって情報が混乱する状況も考えられるので、そこは切り分けながら整理をしていきたいと考えております。協定の締結の組み合わせについては、基本的には自治体間、および自治体と民間という形で考えております。

 もう1点、森谷委員からいただいた計画策定年の目標については、ワーキンググループとしてはかなり頑張ったスケジュールを書いておりますが、環境事務所の現状等も考慮しながら議論していきたいと思います。

(森谷委員)

 私が申し上げたのは、特に市町村の計画についてです。

(切川係長)

 市町村に関しては、国土強靭化基本法において、災害廃棄物処理計画の策定目標を定めておりまして、平成30年までに市町村では全体の6割、都道府県に関しては全体の8割で災害廃棄処理計画を策定するとされています。参考資料2の行動指針参考資料集にその目標を書いてある部分を抜粋しておりますので、そちらを参考として御覧いただければと思います。

(酒井委員長)

 どうもありがとうございます。大体質疑、網羅いただいているかと思います。

 話題に上がった災害協定は、この3ページにも「既に締結されている災害協定の情報を共有した上で」とありますが、ここの共有がまだできていないのではという認識を持っています。是非、既存の協定が、どう結ばれていてどうなっているのかをしっかり調べて、その上で協定のあり方、生亀委員に御審議いただいた点を含めて考えるべきだと思います。切川さんがおっしゃられたように協定が錯綜してしまう状態というのは避けなければいけないので、やはりあり方をきちんと1回検討する必要がある。これは非常に重要なテーマだと思いますので、このグループでもよろしくお願いいたします。

 それともう1点、最後の7ページで、地域間協調の定義を冒頭で書かれているのですが、冒頭の「地域ブロック内における」という枕詞がいるのかどうか。少し違和感がありましたので、ここはよく理屈を考えてみてください。

 関連して、4ページの図は、確かにこういう図もあるのでしょうが、上で重層的な対応と言っている割には余りに貧弱な図であるように私は思います。ここはもう少し考えてください。これらをワーキンググループへの要望といたします。

(2)大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)

(酒井委員長)

 最後の議題でございます。大規模災害時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方についてです。これまで3年にわたってこの対策の検討を進めてきた検討会の最終取りまとめの案という位置づけと聞いております。それでは事務局から説明をよろしくお願いします。

(松崎課長補佐)

 それでは資料6を御用意いただけますでしょうか。先ほど酒井委員長から御紹介いただきましたように、この資料6は、これまでの検討の最終取りまとめ案という位置づけで、事務局にて御用意させていただいたものです。資料は、大きく2部構成になっております。まず、前半の1ページ目から5ページ目までが、これまでの取組の状況とその成果を要約したものです。後半は6ページ目からになりますが、今後災害廃棄物対策のさらなる強化のために取り組むべき事項、これまでさまざまな御議論をいただきましたが、それを改めて取りまとめたものになります。

 それでは1ページ目に戻っていただきまして、「災害廃棄物対策に係るこれまでの取組」について、ポイントを絞って御紹介いたします。まず「1.平成25年度までの取組」ですが、冒頭の2段落目にあるように平成25年度から検討会を設置しまして、平成26年3月にいわゆるグランドデザイン、中間的な取りまとめを行いました。その中間取りまとめの構成がその下、1ページ目の後半、(1)全国単位での災害廃棄物処理体制の構築、(2)地域ブロック単位での災害廃棄物処理体制の構築、2ページ目の(3)制度的・財政的な対応、(4)積極的な情報発信と人材育成・体制の強化、(5)災害廃棄物処理システム・技術ということで、具体的な課題の検討の進め方を整理いたしました。これを出発点としまして、平成26年度以降から、さまざまに取り組んできたという状況です。

 2ページ目を御覧いただけますでしょうか。26年度以降の取組・成果について、先ほどの5つの区分に分けて御紹介いたします。まず、全国単位での体制の構築につきましては、3つ大きく取り組んで参りました。まず、①といたしまして「災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)」を昨年9月に発足しました。②では、平成27年11月に「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」を策定しました。続きまして2ページ目の下の③ですが、これは環境省本省の体制強化としてこれまで本省では廃棄物対策課の中にチームを設けて対応してまいりましたが、体制強化の観点から、来年度から廃棄物対策課に新たに「災害廃棄物対策室」を創設する予定でございます。これにより、国全体の司令塔の機能をより一層発揮できる体制が整ったと考えております。

 3ページ目は、(2)地域ブロック単位での災害廃棄物対策支援体制構築です。こちらについても3点御紹介いたします。まず①が、地域ブロック協議会の設置。地方環境事務所が中心になって現在行動計画の策定に向けた議論を行っております。②は、先ほど御紹介いただきました地域間協調ワーキンググループでの検討です。③ですが、本省とともに環境省の地方環境事務所についても27年度から体制の強化を図っており、災害廃棄物の専門官も配置、増員しているところです。

 (3)制度的・財政的な対応について、4点御紹介いたします。まず、①では、いわゆる対策スキームということで主に制度的な側面からの論点整理を踏まえて、平成26年度に対策スキームを取りまとめました。これを踏まえて②として、「廃棄物処理法」、「災害対策基本法」の改正を行い、平成27年8月に施行したところです。4ページ目の③ですが、この改正を踏まえまして廃棄物処理法に基づき国が定める基本方針の中に災害廃棄物対策事項を新たに盛り込むことといたしました。本日付でその改訂版が告示されました。参考資料4を、皆様のお手元にお配りしています。財政的支援としましては、④強靭化に資する整備への支援拡充ということで、地球温暖化対策と災害時の処理システムの強靭化、この2つの柱をより前面に打ち出す形で、交付金等の対象を重点化したところです。

 4ページ目の後半、(4)については、人材育成・情報発信ということで、先ほど御紹介いただいた人材育成ワーキンググループでの検討、②では会議・シンポジウム等を通じた情報発信。5ページ目は、ホームページの充実等についてです。

 (5)処理システム・技術の知見充実ということで、平成26年度に開催したアーカイブスワーキンググループ、先ほど御紹介いただきました技術・システム検討ワーキンググループで技術的な知見の蓄積について活発な御議論と成果を出してきたところです。

 ここまでが、これまでの取組の成果でございますが、6ページ目から今後取り組むべき事項として、大きく4点に分けて取りまとめました。これは、昨年11月に出した行動指針、廃棄物処理法に基づく基本方針、4つのワーキンググループでの取組及び成果、あるいはそこで新たに出された課題を踏まえ整理したものです。

 6ページ目の1.ですが、推進・支援体制の充実ということで4点掲げております。

 まず、(1)ですが、全国レベルでの災害廃棄物対策推進体制の充実として、①、昨年発足しましたD.Waste-Netを持続的かつより効果的に運営する必要がございます。

 ②、先ほどの地域間協調ワーキンググループでもございましたが、地域間協調をより深めていく必要がございます。キーワードで分けて紹介いたしますと、先ほど、議論がございましたが、自治体間あるいは官民間の協定の締結をより円滑に進めていくための、ガイドラインを作成するということや、これも議論になりましたが、各地域ブロックでより効果的な防災訓練の実施ができるように対応を取っていくなどが挙げられます。

 ③、これは環境省としての体制の充実ということで、災害が発生したときに災害廃棄物対策本部を本省、地方環境事務所で設置いたしますが、その円滑な設置、運営ルールについても整理を更に深めていく必要があると考えております。また災害対策基本法についての処理指針や代行処理について書いております。法的な手当は整いましたが、それを具体的に運用していくための要件や手続きの具体化が必要であると考えております。

 (2)は、地域ブロックでの災害廃棄物対策推進体制の充実についてです。先ほども議論がございましたが、地域ブロック協議会を、持続的、効果的に運営する必要がございます。また、②にございますが、地域ブロックでの推進体制の強化の観点から、地方環境事務所の体制強化というのは、これからも引き続き必要であると考えております。③も先ほど、議論になりましたが、地域ブロックでの行動計画の策定、これは環境省としても地域ブロック全体での検討、議論の底上げをより深めていくために、できるだけ早期に行動計画を策定する必要があると考えております。

 8ページ目。(3)は、自治体レベルでの災害廃棄物対策の充実についてです。これも先ほど、質疑で出ましたが、都道府県、市町村による災害廃棄物処理計画、まだ策定率が十分でない状況がございます。国土強靭化アクションプランにおきましては、平成30年までにそれぞれ目標を掲げておりまして、この促進が必要となっております。それを支える観点から、②になりますが、平成26年3月に定めた災害廃棄物対策指針の充実も必要であると考えております。また、③ですが、BCPの議論が先ほどございましたが、発災時においては通常の一般廃棄物と災害廃棄物、この処理が継続的かつ確実に実施される必要がございます。その観点からBCPの視点の導入を促進する必要がございます。そのために2つ目の○の最後ですが、そのための基本的な考え方、参考事例などをしっかり整理した上で、自治体で処理計画に反映できるように周知を図っていく必要があると考えております。

 (4)は、災害対応力向上のための継続的な人材育成ということで、①研修を通じた人材育成、②現場教育を通じた人材育成。9ページ目に行きますが、③として人材育成を支える仕組みということで、さらなる検討の深掘りが必要であると考えております。

 2.は、災害に備えた廃棄物処理施設の整備と運用について、処理施設自体を強靭化する対策です。(2)は、先ほども議論がございましたが、地域間協調の観点から広域的な施設整備とその活用を更に深めていく必要がございます。

 続きまして9ページの下、3.災害廃棄物対策に関する研究開発、情報発信、国際協力の推進も引き続き必要です。さまざまなワーキンググループでの課題を踏まえ、研究開発は(1)で複数掲げておりますが、これを更に深めていく必要があると考えております。情報発信の(2)ですが、実は平成28年の5月にG7の環境大臣会合がございます。日本が議長国になっておりますが、この機会をしっかり捉えまして、我が国の災害廃棄物対策の情報共有と災害廃棄物対策の重要性について、各国と認識を共有する場にしたいと考えております。国際支援につきましても、さまざまな実施機関との連携を深めつつ、アジア太平洋地域の国における対策の支援というのも、環境省としては重要であると考えております。

 最後ですが、4.災害廃棄物対策のフォローアップの実施。今回の検討会は、今年度で一区切りということにさせていただければと思いますが、御説明いたしました今後取り組むべき事項については、しっかりとしたフォローアップが必要であると考えており、仮称でございますが「災害廃棄物対策推進検討会」を開催して、取組状況の確認、諸課題の検討を必要に応じて分科会を設置しながら対応していきたいと考えております。

 最後11ページ目ですが、近年、毎年のように非常災害が発生しております。ここで実施した実績、また得られた教訓についてはしっかりと整理をした上で、その後の災害廃棄物対策へのフィードバックをしっかり行っていく必要があると考えております。

 駆け足になりましたが、資料6の説明は以上でございます。

○質疑応答

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。今後のあり方につきまして、事務局から御説明をいただきました。それでは、委員から御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方、名札を立てていただけますでしょうか。それでは、平山委員からどうぞ。

(平山委員)

 ありがとうございます。いずれも8ページになりますが、3点ございます。まず、(3)の①、「災害廃棄物処理計画」の策定の推進のところ、これは防災分野でもそうなのですが、計画を作っておしまいではなくて、やはりその計画に基づいてPDCAサイクルをいかに回していくのかという観点も非常に重要ですので、2つ目の○ところに「実行性等の確認・分析を行い」とございますが、是非この中で、各市町村あるいは都道府県の中でいかにPDCAサイクルを回しているのかを評価するという、そういったことも考えていただければと思います。

 2点目が、(3)の③、BCPのところ、これは災害廃棄物対策へのBCPの導入ということですが、BCPも踏まえて、やはりBCM、事業継続マネジメントをいかに廃棄物部局で導入していくのかというところも重要ですので、どこかで構いませんのでBCMという言葉も少し付け加えていただければなと思います。

 最後が、(4)の①、研修を通じた人材育成の構築・運用のところです。人材育成の中身に関しては、人材育成のカリキュラムやプログラムの開発、あるいは研究開発も必要になってきますが、9ページ目の3.の研究開発の中にはそういった項目がございません。是非、研修を通じた人材育成の構築・運用の中に人材の育成のコンテンツであるとかカリキュラム、プログラムの研究開発といったことも付け加えていただければと考えております。以上です。

(酒井委員長)

 今の3点目は、ここに国立環境研究所とも連携して、と書いてあるこの内容ではないのですか。

(平山委員)

 ここは「評価手法」しか書いていないので。

(酒井委員長)

 わかりました。作ることをきちんと書くと、そういう意味ですね。では永田委員、お願いします。

(永田委員)

 10ページ目の上から2つ目の○のところでございまして、「首都直下地震が発生した際の円滑かつ迅速な輸送手法を検討する。」という文言がございます。技術・システム検討ワーキンググループのところで質問すれば良かったのですが、輸送に関してピークで5万5,000台ぐらいのダンプトラックが走行するということであり、東京の場合、日常的に道路が混んでいます。そういう意味からすると、いろいろな輸送手段の利用、地域特性、特に東京の場合は荒川がございますので、先ほど港湾関係の話が鈴木委員からも出ましたが、河川の舟運であるとか、河川敷道路など、非常に有用なものがございます。そういうものも含めて輸送手段を検討するというところはお願いしたいというところです。以上でございます。

(酒井委員長)

 中林委員、お願いいたします。

(中林委員)

 全体を通して、新しくさまざまなことが盛り込まれて、体系化されてきたのだなと思うのですが、逆に、この資料で言うと6ページでしょうか。Ⅱ以降、更なる強化のために今後取り組むべき事項。これは、実は災害が起きる前にやらなくてはいけないことが、ものすごく増えたのだと思うのですね。そういう意味では人材育成にも絡むのですが、実際に災害が起きたときにどう処理するかということの人材の育成と同時に、こうした事前の業務をきっちりとこなしていける体制を含めた人材の育成を基礎自治体でやる必要がある。要するに、自治体ではどのように事前の準備に取り組んでいるのかという、自治体の取り組み状況が空洞化したまま、ともかく「事後の対応をきちんとやれ」という話に繋がっていってしまうのではないか。例えば、先ほどの協定の問題もしかり、広域連携の問題もしかり、言葉としてはあるのだが、それが平時のうちにどのように実体化しているかどうかというのが重要なのではないか。平時の取り組みが、いざ災害が起きたときに有効に機能するかどうかを決めるのだと思うのです。そういう意味で、今、平山委員からBCPプラスBCMという実際に起きたときのマネジメントをきちんと事前に考えておくことが大事だという指摘ですが、それは逆に言うと、自治体でまずBCPをきちんと作れるかどうか、という問題だと思うのですね。そういう意味で、Ⅱ以降の事前の業務をしっかりとやるための仕組みというのが私も大事だと思うのです。だから、いわゆるPDCAのまず計画(P)がしっかりやれるかということがあって、初めて訓練(D)をし、チェック(C)して、次のステップに改善(A)して行くわけですから。そういう意味でこれからの数年間、このまとめにしたがって自治体が新しく強化していく、着実に実施するための仕組みというのを、どこかに書き込んでおいたほうが良いのではないかなと思いました。国の役割、ブロックの役割、都道府県の役割、そして市町村の役割としては何をやるのかということを整理して、今後、実践するための取組の重要性を、きちんと書いておくことが大事なのではないかなと改めて思いました。体系立ってさまざまなことをやる枠組みができたがゆえに、きちんとやらなくてはいけないのだよということを、強調した部分が必要なのかなと思っています。

(酒井委員長)

 どうもありがとうございます。それでは小林委員、どうぞ。

(小林委員)

 東京都の小林でございます。よろしくお願いいたします。行政の立場から2、3質問、要望を致します。環境省をはじめ事務局におかれては、意見の取りまとめ等、本当に御苦労様でございました。

 まず、7ページ。上から2つ目の○で、「災害対策基本法に基づく環境大臣の代行処理について」、これを整理していくということになっております。私ども都道府県の立場からは、地方自治法に基づいて事務委託を受けるという想定のもとに、災害廃棄物処理計画を策定するということを行っていますので、場合によっては計画化も必要ではないかと思います。きちんとしたシステムにしていくために検討していただければ、ありがたいと思っております。これが1点目です。

 2点目が、同じく7ページの一番下、③のところです。地域ブロック協議会、先ほど、行動計画をできるだけ早期にというお話でございましたが、この部分については災害廃棄物処理計画、都道府県、市区町村のレベルでパーセンテージも出ていることでございますので、できればいついつまでにということで、準備に万全を期するためにも、期限を設定する事ができないだろうかという意見でございます。

 続いて8ページでございますが、(3)①の2つ目の○のところです。先ほど、平山委員から出ましたフィードバックの話と重なりますので割愛しますが、私も同様な意見でございます。

 最後に質問といいましょうか、②のところですが、国が全国の都道府県、市区町村に直接技術支援するとあります。都道府県と市区町村が同列に並んだ感じが、ここの災害廃棄物対策指針等の充実、①を読みますと、そう読めます。私どもの災害廃棄物処理計画、今新しいものを策定中でございますが、市区町村の災害廃棄物処理計画の策定に対して技術支援を行うと、都道府県の立場からはそういう考えを持ってございますので、ここの中身を見ますと都道府県と市区町村が同列に扱われている感じがいたしますので、それにコメントをいただければと。コメントいただきたいのはそこの部分だけでございます。私からは以上です。

(酒井委員長)

 ありがとうございます。では大塚委員、お願いいたします。

(大塚委員)

 自治体の方々、先生方が御意見をおっしゃっていただいた結果、とても精緻な良いものができたと考えております。印象として1つだけ申し上げておきたいのは、阪神淡路大震災から東日本大震災まで15年程経ったわけですが、基本的には時間とともにやはり災害廃棄物に対する対応というのは徐々に減少していくというところが多分どうしても出てくると思いますので、今はまだ皆さん関心を持っているのでこのように一生懸命やっておられるのですが、だんだん知らない、あまり災害廃棄物に対して対応しなかった世代がどんどん出てくるということになると思うので、4のフォローアップが非常に重要だと思います。PDCAが重要だということでもあるのですが、継続していけるフォローアップというのを、余り過剰である必要は必ずしもないのかもしれませんが、継続していって形骸化しない対応というのは是非とも必要だと思いますので、私はこのペーパーに対してはとても良いと思っているのですが、やはりその点に関しては気を付けていったほうが良いかなということを申し上げておきたいと思います。以上です。

(酒井委員長)

 それでは生亀委員、お願いします。

(生亀委員)

 網羅的にやるべきことを整理していただいていると思うのですが、余りにも網羅的過ぎて、事業者団体の立場から何を行ったら良いのかが、よくわからないというのが正直な第一印象です。そもそも、この取り組むべき事項という、このペーパー自体の性格もよくわかりません。最後にフォローアップするということなので、もしかしたら行動計画、アクションプラン的な物なのかなと思うわけですが、もしそういうアクションプラン的な物であれば、発災直後から中間処理、最終処分、リサイクルまでの流れのどの局面を想定して、誰がどういう権限で、あるいは契約に基づく責務に基づいて何をやるのか、よく読めば何となく主語はわかるのですが、誰がどういう責任に基づいて、どういう段階の局面を想定して何をやるのかというところを、もう少し明確にしていただいた方が、我々としても問題意識を持ちやすいということです。

 それと、網羅されているのは良いのですが、全部が大事なことなので優先順位は付けられないのかもしれませんが、効率的にやろうとすれば、物事には順番があるはずで、それを行ってからこちらを行うとか、そうしないと手戻りがあるとか、そのようなこともありそうな気もするので、そのあたり優先順位とは言いませんが、時間的な、スケジュール的なものも合わせてお示しいただければ、我々としても、これへの対応というのが明確に受け取りやすいなと思いました。よろしくお願いいたします。

(酒井委員長)

 それでは鈴木委員、どうぞ。

(鈴木委員)

 さまざまなところに目が届いていてよくまとまっていると思います。逆にそれが故に、ここに書いてあるもの全て実施したら行政はもつのか気になります。例えば、人材育成の研修といっても、人が居ない中では、そもそも研修にも出られないということが我々の研修分野ではあります。本当はこれらが全てできると良いのですが、恐らくは難しいでしょう。そういう場合は、期限を切って予算を決め、必ず実施するという方法と、可能な範囲で実施してゆくという緩やかな方法とに分けて取り組んで行くということになると思います。このあたりのことは実際に考えられて記載されていると思いますが、いつまでに、誰が、何を行うという前提に立つと、期限を切ってという議論になるので、それだけではないことも踏まえた書き方をしていただきたいと思います。

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。今後のあり方について御意見をいただきました。次回のこの検討会で最終案をまとめていただきますが、今日いただいた御意見の中で今、事務局からお答えいただける範囲で、ご回答いただいたらいかがでしょうか。

(松崎課長補佐)

 皆様から非常に貴重な御意見、本当にありがとうございました。ここで全てお答えすることは、時間的な問題もございますが、しっかりと受け止めまして、次回の検討会で反映、検討した上で、また御説明したいと思います。

 御質問、御確認事項がございました。小林委員からございました8ページ目の(3)の②の対策指針のところです。ここの技術支援という意味は、対策指針というのが、都道府県、市町村が処理計画を作るに当たってのガイドラインとなるもので、国としてはこういう指針を充実することで技術的な支援を行うという位置づけでございます。一方で都道府県から市町村への技術的支援というのも当然重要でございまして、この中でそこは明確になっていない部分もあるかと思いますので、そこは次回までに反映できるようにしたいと考えております。

 続きまして生亀委員から、この内容、取り組むべき事項は一体主語が誰なのかという質問がありましたが、今後、国として主に取り組むべき事項ということで整理しました。そういう意味で我々の思いが入り込み過ぎたというきらいはございますが、御指摘のとおり、各主体が、これを踏まえて自分たちは何をやっていくべきなのかというところが、国を中心に書いたがゆえにわかりにくくなっている部分もございますので、御指摘の点を踏まえて、次回までに整理したいと思っております。

 あと優先順位、順番、スケジュール、必ずやることとそうでないこと。こちらにつきましても今は軽重が付いていない状況です。その御指摘につきましても、もう一度改めてそれぞれの事項を整理して、優先順位もよりわかりやすい形で表現することができないか、検討したいと思います。

 事務局からは以上です。皆さん、どうもありがとうございました。

(酒井委員長)

 よろしいでしょうか。途中で中林先生からいただいた、それぞれの役割ということを頭に置いて、どう実施していくのかという枠組みを十分に考えようと。そのあたりに尽きるかと思います。最後に生亀委員、鈴木委員から非常に厳しい意見をいただきましたが、この前半で、5ページで書いておられる環境省のこの数年の実績、暗中模索のところから相当主語をはっきりさせて、制度にもされてきて、そこに財政的な手当も付けつつあるというこの実績を外から拝見いたしますと、十分に次のステージもやっていただけるのではないかと期待をして良いかと思います。いただいた意見、特に前向きな部分は十分に引き継ぎ、事項から緩やかな点はきれいに切り分けようという点、これは本当にごもっともですし、その中で何を優先させるのだということで、これがアクションプランにつながる、そういうことになっていけば非常に望ましいと思います。今の段階では、相当に練られた案を出していただいていると思いますので、次回もう一度お諮りをいただいて、それで良い形に仕上げたいと思います。是非ともまた委員の方々、よろしくお願いをします。それでは、今日のこの2つ目の議題に関してはここまでにさせていただきたいと思います。

 ではワーキンググループの検討状況と、大規模災害時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方、この2つの議題とございましたが、全体を通じて御注意はございますか。よろしいですか。

閉会

(酒井委員長)

それでは、事務局から、そのほかということで御説明をお願いいたします。

(切川係長)

 今後のスケジュールについて、資料7を御覧ください。本年度最後の検討会の日程は、次回3月18日の午前10時からを予定しております。場所は東京駅近辺の会議室で開催する予定としております。後日改めて場所等の御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日の議事録ですが、原案を作成させていただきまして、委員の皆様に御確認いただいた後に、環境省ホームページに掲載する予定ですので、こちらもよろしくお願いいたします。

(酒井委員長)

 本日の検討会は予定より15分ほど長くなりましたことを、運営上お詫び申し上げます。

 これで閉会とさせていただきたいと思います。長時間の御議論、どうもありがとうございました。

(了)