環境再生・資源循環

平成25年度巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会第2回議事録

日時

平成25年11月12日(火) 9:30~12:11

場所

全日通労働組合(全日通霞が関ビル8F) 大会議室A

出席委員

委員
伊藤 和己       宇山 竜二
大迫 政浩       勝見  武
貴田 晶子       近藤  守
酒井 伸一       佐々木五郎
笹出 陽康       杉本  明
鈴木  武       永田 尚人
濱田 雅巳       平山 修久
福本 富夫       森  浩志
吉井  真
(敬称略)

委員以外の出席者

(発表者)
全国産業廃棄物連合会
西之宮氏、香川氏
リサイクルポート推進協議会
外山氏
(事務局)
環境省
梶原廃棄物・リサイクル対策部長、廣木企画課長、山本廃棄物対策課長、
松田補佐、若林補佐、大庭補佐、切川係長
パシフィックコンサルタンツ株式会社
新井、山口
廃棄物資源循環学会
山脇、山口

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)災害廃棄物処理に係る各種事例紹介について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会 委員名簿
資料2
第2回検討委員会におけるヒアリング内容の概要
資料3
首都圏直下地震における廃棄物対策についての調査・検討
(日本プロジェクト産業協議会資料)
資料4
大規模災害における港湾利用と課題
(神戸市みなと総局資料)
資料5
巨大地震に対応した廃棄物処理施設
(日本環境衛生施設工業会資料)
資料6
産業廃棄物処理業界における災害廃棄物の処理支援体制
(全国産業廃棄物連合会資料)
資料7
東日本大震災における災害廃棄物の船舶輸送の経験と課題
(リサイクルポート推進協議会資料)
資料8
今後のスケジュールについて
参考資料1
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会開催要綱

議事

(松田補佐)
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会を開催いたします。
 委員の皆様には、ご多忙の時期にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、まず、資料の確認をお願いいたします。
 お手元の議事次第に配付資料の一覧がございますので、後ろにつけてある資料についてご確認をいただければと思います。
 まず1枚めくっていただきまして、資料1が検討委員会の委員名簿、資料2が本検討委員会のヒアリング内容の概要、資料3が日本プロジェクト産業協議会様の発表用資料、資料4が神戸市みなと総局様の発表用資料、資料5が日本環境衛生施設工業会様の発表用資料、資料6が全国産業廃棄物連合会様の発表用資料、資料7がリサイクルポート推進協議会様の発表用資料です。資料8が今後のスケジュールについてです。
 続いて、参考資料1が、本検討委員会の開催要綱です。それで、また資料8に、別添のワーキングのメンバー表が入っています。それで、参考資料は開催要綱ということでございます。資料の過不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。
 それでは、ここからはカメラ撮りはご遠慮くださいますようお願いいたします。
 また、一般の傍聴者におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影などは、ご遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。
 それでは、以降の進行は酒井委員長にお願いしたいと思います。
 酒井先生、よろしくお願いします。

(酒井委員長)
どうもおはようございます。
それでは、第2回の巨大地震発生時におる災害廃棄物対策検討委員会の会議に入らせていただきたいと思います。
今回は、災害廃棄物処理に関わる関係諸機関の皆様より、それぞれの機関の役割やお立場、あるいは過去の震災における災害廃棄物処理の経験から得られた知見や課題、そして巨大地震発生時において懸念しておられる事項についてご発表をいただき、本検討委員会での情報共有を図り、そしてその発表に対する内容についてご議論いただければというふうに思っております。
発表時間は20分、そして質疑10分をご用意しておりますので、発表終了時間の5分前に一度ベルを鳴らせていただきます。恐縮ではございますが、終了時間となりましたら2回ベルを鳴らせていただきます。よろしくお願いいたします。
時間の制約も今回ございますので、ぜひ審議の速やかな進行にご協力をいただければ幸いでございます。
それでは、まず、日本プロジェクト産業協議会の永田委員から、ご発表をお願いしたいと思います。
では、永田委員、どうぞよろしくお願いいたします。

(永田委員)
日本プロジェクト産業協議会防災委員会の委員を務めております永田でございます。
本日は、JAPICでこれまで調査・検討を行ってまいりました、首都直下地震におきます廃棄物対策についての調査検討内容について、その概要についてご説明申し上げたいと思います。
まず、JAPIC防災委員会の委員の構成について、簡単に述べたいと思います。
委員長は、関西大学社会安全学部の河田先生にお願いしておりまして、いろいろご指導をいただいておるというところであります。
その下に、副主査というのを設けておりますけども、3名の方に就任していただいております。現在、第1ワーキングと第4ワーキングということで、二つのワーキングで調査を行っておりまして、委員、ワーキングメンバーにつきましては、民間企業等31機関、35名の方に就任していただいております。
また、オブザーバーとして、いろいろ意見を賜っている訳なんですけども、内閣府様、国土交通省様、環境省様、あと東京都様、この4機関にオブザーバーとして参加いただいております。
簡単にこれまでJAPICの中で検討してまいりました内容についてご説明申し上げます。
まず、この防災委員会は、当初防災研究会ということで、2004年に設置されております。第1回の研究会は、6月に開催しておりまして、2005年度、2006年末、3月なんですけども、第14回の研究会で第1から第4WGを設けておりましたが、そこで以下のような提案を発表してございます。
それを受けまして、2006年度、これは京都大学防災研究所のテクニカルレポートとして「災害に強い都市構造の実現に向けて」という報告書を作成しております。その内容を受けまして、2007年度、これは防災委員会に改組した後なんですが、首都圏における震災廃棄物処理のあり方を河田委員長から防災担当大臣へ提言という形で行っております。
また、2008年度から2010年度にかけて、今日は主に内容を発表させていただく訳なんですけれども、首都直下地震におけます震災廃棄物の広域処理スキームの検討というものを行っております。
その後、東日本大震災が起きた訳ですが、ちょうど発災後、1年後、2012年3月に、前の提言を若干変更いたしまして、国直轄による一貫処理体制の構築ということで、これはプレス発表により、提言を発表しております。
現在、2013年度以降ですが、首都直下地震におきまして、木密地域、住宅密集地なんですけども、この地域の震災廃棄物に関する検討を今行っているところでございます。
ここで防災担当大臣への提言につきまして、簡単に内容をご説明申し上げます。
これは河田委員長から、当時の溝手防災担当大臣様へ、以下の提言を行った訳なんですけれども、特に提言の3につきまして、首都直下地震の震災廃棄物処理を検討し、マニュアル(案)をまとめる専門的な会議体を早急に立ち上げることということで、実は今回設置されております、この委員会が、非常にその趣旨に合ったような形の検討会ではないかなと考えております。
この提言の中で、震災廃棄物処理の目標と解決策ということで、いろいろ検討を行った訳ですが、目標といたしましては、首都圏の早期復旧・復興のためには、環境に配慮しながら早期に処理を進めることが最重要であろうということでありまして、目標を2年間という形で絞った形で検討を行いました。
その中で、解決策としましては、国・地域・民間、この三者が連携いたしまして、というのは、首都圏の震災廃棄物問題を「国家的なリスク」と我々は捉えまして、この問題に取り組むことが必要であるということを提言しております。
その後、2011年3月11日に、東日本大震災が起きた訳なんですけれども、その教訓を踏まえまして、やはり新たな展開の必要性であろうということで、先ほど申しました提言というものを行っております。
JAPICといたしましては、東日本大震災に関して分別処理マニュアルと、釜石へのモデル事業、あとマニュアルのセミナーと、この辺りについて関与させていただいた訳なんですが、非常に個別的な対応というのはやられているものの、包括的な対応が遅れているんではないかということで、上にございますけども、早急に対処すべき事項と計画的に実施すべき事項について再整理したらどうか、あと実現性・実効性の高い仕組みの構築を目指すという、こういう提言をさせていただいております。
以上、JAPICの防災研究会で委員会でやってまいりましたことを簡単にご説明いたしました。ここからは2008年から2010年にかけまして、震災廃棄物の広域処理スキームについて検討を行った内容について、簡単にご説明申し上げます。
まず、円滑な復興と環境への配慮というのが求められている訳ですが、自治体さん単体では、なかなか処理能力には限界があるだろうということでありまして、やはり公共と民間の適切な役割分担というものが求められるであろうということを基本コンセプトとして挙げてございます。
この中で、2007年度まではちょっと非常に見にくいんですけども、赤で丸をつけております、大体東京23区内において、ある程度ブロックをまとめて域内処理をするという概念でやってまいりましたが、2008年度以降につきましては、もうちょっと周辺まで範囲を広げて検討を行ってまいりました。
さらには、他の大都市圏地域、もしくは地方との広域な連携という、そういう視点が必要であろうということで、この辺りについて付加してございます。
調査研究のフローなんですが、これは二つ大きな流れで検討してございます。
まず、左側でございますけども、がれきの広域連携処理体系について検討を行っております。
右側は、がれきの輸送ネットワークについての検討を行ったということでありまして、二つのワーキングで検討を進めてございます。
下の枠になりますけども、甚大な被害が懸念される地域を対象としてケーススタディを実施しております。
検討に際しましては、モデル地域を設定しておりまして、これは実は、荒川、あと隅田川にちょうど挟まれたエリア、江東デルタと申しておりますけども、江東デルタを対象としてモデルスタディを実施してございます。
そのモデル地区に対してがれきの域内輸送体系と広域連携処理体系の提案というものを、JAPICのほうではしてございます。
震災廃棄物発生量の推定の手法につきましては、今回、委員としてこの委員会にも参加していただいております国環研の平山先生に、この震災廃棄物の発生量について推定をお願いしております。
ここでは平山先生が、中央防災会議の委員として参画されていた訳でございまして、地方防災会議であるとか、東京都の被害推計の指標について、それを踏襲した形で検討を行っております。
特に今回の検討におきましては、住民基本台帳の固定資産データというものは使えないという制約がございまして、今回、日本統計年鑑の都道府県であるとか、建築時期別住宅数であるとか、あと国勢調査の一般世帯数というものを用いて推定しております。そこに全壊率のテーブルであるとか、全半壊率のテーブルを用いて、被災の世帯数というのをメッシュごとに推定してございます。
その被災世帯数に発生量原単位を乗じて、地域メッシュ別の震災廃棄物発生量というのを算出するという、そういう手順を踏んでございます。
ここで原単位でございますけども、これは阪神・淡路大震災は、大体2,000万tぐらいの震災廃棄物が発生した訳ですけれども、それは世帯当たりにしますと、大体62t弱ということでありまして、この原単位を活用しております。
この表が日本統計年鑑の建築、建物の築年数データでございます。このデータ、ちょっと古いんですけども、当時5年ぐらい前ということでございまして、このデータを活用して検討を行ったというところであります。
これが地域メッシュ別の推計値ということで、今回この検討では250mメッシュを使って検討しておる訳なんですけども、こういうメッシュごとに震災廃棄物というものを推定してございます。
今回、先ほど地域メッシュごとの表というのをお出しした訳なんですが、これが全体を図化したものでございまして、江東デルタはこの辺りなんですけども、非常に震災廃棄物の発生量が多いという結果になってございます。
あと台東区であるとか、荒川区、足立区、江戸川区、この辺りも非常に多くの震災廃棄物が発生するということが想定されております。
これは江東デルタをちょっと抜き出しましてお示ししたものなんですが、京島地区、これは木造密集地として有名なところでございますけども、京島であるとか、大島、北砂地域、この辺りが非常に発生量が多くなっておるという結果が示されております。
輸送のネットワークにつきましては、この江東デルタ内の幹線道路のネットワークがありますが、このネットワークを用いて検討を進めております。
これが江東デルタ地域での我々が一種の提案をしました、がれきの積替えヤードの概念でございます。墨田区につきましては、地域防災計画の中で記載されています、がれきの仮置き場、第2次仮置き場、これは集積場と書いてございますけども、仮置き場を参考にいたしまして、我々のほうでは、この地域でがれきをやはり仮置きするのはなかなか難しいであろうということで、積替えヤードという概念を用いまして、この積替えヤードというのを選定してございます。このヤードにつきましては、大体住宅密集地に位置するということでありまして、2tから4tという小型車両で運搬すると、それを積替えヤードで大型車両に積みかえまして、荒川の河口部にストックヤードを設けているんですけども、そこまで陸送すると、そういう体系をとってございます。
江東区につきましても、大規模な公園というものを地域のがれきの積替えヤードとして選定してございます。
このスライドに関しましては、特に河川空間というものを有効に活用するという意味で、ここに河川敷道路というのがある訳なんですけども、ここは優先的に走行するようなことを我々のほうでは考えております。
それと荒川の河川空間をうまく活用して、がれきの輸送を行うということを我々は考えた訳でありまして、これは国土交通省さんで整備を進められておりますけども、リバーステーションというものがございます。これは一例として、一番荒川の河口付近なんですけども、新砂リバーステーションというものがございます。ここは大体106mの定置式の岸壁が設けられておりまして、ここを活用できないかということで、今回一つの例として出しておるところであります。
これは現状の能力からいたしますと、大体フルに年間90万tぐらいのがれきは搬出できるのではないかということで試算しておる訳ですが、今回の検討におきましては、仮設方式なんですけども、ある程度仮設で増強いたしまして、倍ぐらいの能力にできないかということで、こういうものを24時間活用することによって、大体年間300万tぐらいのがれきが河川空間を使って運び出せるということを我々は試算しております。
これが、がれきの運搬船団、これは500t台船を使っている訳ですが、一例として、中央防波堤付近に運搬する案を検討してございます。
これはこの運行ダイアグラムなんですけども、この図は24時間で運用するという形にしておる訳なんですけども、各リバーステーションでの必要船団数を算定する目的で検討してございます。
実際は、恐らくGPS等を使って、作業船の運航管理を行うような形になろうかと思いますけども、そういう効率的な運搬を考えていきたいと考えております。
ここからは簡単にですが、シミュレーションについての結果についてご説明申し上げます。
これはがれきの片道輸送時間なんですけども、ケース[1]からケース[3]ということで、ケース[1]に関しましては、これは全量を臨海部のほうに小型車両で運搬するケースを考えております。
ケース[2]、これはリバーステーションは現状能力。
ケース[3]、これは河川空間を非常に有効に使うということで、リバーステーションを増強する案。こういう三つのパターンで検討を行っております。
ケース[1]では、江東デルタの奥のところにあるメッシュでは、非常に運搬時間がかかる、これは臨海部のところで非常に交通渋滞を起こすということでありまして、その結果、片道の輸送時間でもかなり時間を要するという結果になっています。ケース[3]におきましては、これは1次輸送と2次輸送を合算した値なんですけども、非常に輸送時間というものが短くなるということで、大幅に改善しております。そういう意味で、効率のいい輸送体系ではないかなということで我々のほうでは考えたという次第であります。
あとこれはもう一つの指標ということで、これは幹線道路の大気環境について検討してございます。
これはNOxであるとかSO2、あとSPM等々の指標で、検討しておる訳なんですけれども、ケース[1]からケース[3]ということで、ケース[1]に関しましては、非常に端末のところで大渋滞を起こしてしまうということで、これはNOxが非常に大幅に増加することが示されております。
ケース[3]におきましては、大渋滞が解消されるということでありまして、湾岸部のNOxにつきましては、大幅に改善すると、排出量が改善されているということでありまして、この観点からも効率的な輸送体制ではないかなということで我々のほうではまとめてございます。
この画面は荒川河口付近のところのがれきのストックヤードの非常に簡単なシミュレーションでございます。青い車両、これが実は河川敷道路を走向したり、あるいはこのストックヤードにがれきを運んでくる大型車両を示しておりまして、この赤い車両というのが、被災地からダイレクトに運んでくる小型車両を示しております。あと黄色は、このストックヤードから近傍のリバーステーション、これをピストン輸送する大型車両ということであります。
簡単なシミュレーションなんですけれども、これで大体の必要な荷おろしヤードとか、積み込んみゲート数を検討しておりまして、大体6ゲートぐらいあれば干渉なく運用できるのではないかなということをこういうシミュレーションで確認してございます。
臨海部、我々のほうで地方への積み出しのようなことを、概念的に考えておりましたので、どういう敷地が必要かというイメージをお示ししたものであります。大体これは積み出し能力1日当たり3万tぐらいのがれきを搬出する能力がある訳でして、大体8バースぐらい設ければ、それぐらいの能力があるということであります。
仮置きにつきましては、大体1週間分程度のがれきというものが、江東デルタエリアについては、1週間分ぐらいの仮置き能力があるということを算出してございます。エリアにつきましては、だいたい中間処理、リサイクルヤードを含めて32haぐらいの面積でございます。
あと地方におけるがれき処理の能力、これにつきましては、非常に理想的な形でございまして、実際域内で処理されている量、あと100t以上の処理能力がある民間の産廃施設なんですけれども、そこの処理能力を合算したものでありまして、これは理想的なものでありまして、実際これが使えるかどうかというのは、全く検討してございません。受け入れ力というものを考えまして、どれくらいの余力があるかということで、地方におきまして産廃施設を使うことで、ある程度がれきというものは受け入れられる可能性があるということをお示ししたものであります。
最後になりますけれども、今年度以降、JAPICのほうで検討する内容について、簡単に触れたいと思います。
これは東京都さんであるとか、内閣府による想定におきましても、非常に東京の西部の地域、これは中野であるとか、杉並区等々が対象になる訳なんですけども、このエリアで大体理想的な震災廃棄物処理に関わる課題というのを検討してまいりたいと思っております。
検討に際しましては、がれきの処理シナリオを複数設定いたしまして、処理に係わる問題についていろいろ検討するということであります。
このエリアですが、先ほど申した江東デルタとは違いまして、輸送というのが道路輸送に限定されるということであります。そういう意味で、非常にがれきの処理にはハードルが高いエリアであるということでありまして、ある程度のシナリオを作成した上で、定量的に分析を行い、提言を行ってまいりたいと思います。
以上、非常に雑駁なお話で恐縮なんですけれども、JAPICで取り組んできた内容について、簡単にご説明申し上げました。
どうもありがとうございました。

(酒井委員長)
はい、永田委員、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご発表、ご質問、ご意見等ございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
前回どおり、名札を立てていただければと思います。
それでは、ないようでしたら、ちょっと私のほうから。
5枚目で震災廃棄物処理の目標ということで、目標を2年以内という設定をされておられますが、この2年ということの理由といいますか、根拠といいますか、これを説明いただけませんか。

(永田委員)
根拠というものは特にない訳なんですけれども、やはり首都圏ということを考えまして、政治経済の中心地であるということで、やはりある程度時間を区切りまして、1年ではなかなか多分難しいであろうということで、2年ぐらいということをちょっと目標にしたらどうかことで、我々のほうでは考えたというところであります。
酒井先生ご指摘の根拠というのは、特段ないんですけれども、2年でどれぐらいの能力というのが必要なのかということをあらあら示したというところであります。

(酒井委員長)
特に早い遅いというのは、よく話題になりますので、何か一定の裏づけがありますと、また物も言いやすくなりますので、またその辺もぜひお考えください。
ほかに何かご質問ございませんでしょうか。
貴田委員どうぞ。

(貴田委員)
リバーステーションを考えてシミュレーションをされているということなんですけども、ここについては、あるいは仮置き場も含めてなんですが、いろいろな直下型地震の被害想定の中で、ここは大丈夫ということで始められたものなんでしょうか。

(永田委員)
被害想定の中で、被害というのは実は想定はしておりません。あと河川敷道路につきましては、ある程度液状化の被害というのも想定はしておるんですけども、このがれきの輸送というのが、若干時系列でいきますと、後ろ側に来るということで、被害のところにつきましては、ある程度修復されているんではないかということを考えて設定してございます。
ご指摘のとおり、液状化等の被害でこういう岸壁が使えない可能性もある訳なんですけれども、我々のほうとしては、こういう河川空間を使うということも一つのあり方ではないかということで、こういう検討をしてご提言しておるという次第であります。

(酒井委員長)
よろしいでしょうか。
じゃあ、勝見先生どうぞ。

(勝見委員)
すみません。23枚目のスライドの意味を少し私は理解できていないところがあるんですけれども、域内発生というのは、平時でのそれぞれの府県でのコンクリート、あるいはアスファルトコンクリート塊の発生量ということでしょうか。
これは既存のそういうコンクリート、あるいはアスファルトコンクリート塊を処理する施設が処理能力でどれぐらいあるかということをまとめられているということなのかということをお聞きしたいのと、それで今回2011年の東日本大震災で、この既存のコンクリート塊、アスファルトコンクリート塊の処理施設が災害廃棄物がれきの処理において、どれぐらい貢献されたのかといった情報はお持ちでしょうか。

(永田委員)
どうもありがとうございます。
1点目でございますけども、これはご指摘のとおり、平時のときにどれぐらいの処理能力があるかということは、実際どれぐらい処理されているかということのデータから持ってきておるものであります。全くご指摘のとおりであります。
それで、実際、処理能力というのがどれぐらいあるかということで、受け入れの余力がこれ以上に理想系でマックスの形の数値でございますけども、これはお示ししているところであるというところです。
2点目なんですけども、これにつきましては、ちょっと私のほうでは、裏づけデータというのはないものですから、ちょっとこれは調べて、またご報告させていただければなと思っております。ありがとうございます。

(酒井委員長)
はい、どうもありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
よろしいですか。じゃあ、ちょっと私からもう1点、最後の2枚で、2013年度以降、ご検討されるというこの東京の西部地域ですね。それで、非常に供用面積が少ないということで、仮置き場の確保が課題だというご指摘をいただいています。それに向けて、民間の企業の方々が持っておられる民地等で活用可能な場所のリストアップ等というのは、JAPICさんとしてされておられるのか、あるいはその辺も見据えながら、この西部地域の検討に入られるのかという点について、ちょっとお話しいただけませんか。

(永田委員)
どうもご指摘ありがとうございます。
全くご指摘のとおり、これから検討を進めていく訳なんですけれども、やはりこのエリア、公有地というのが非常に限られてくるということでありまして、民地の利用というのを考えなければ、なかなか難しいんではないかということを今、ワーキングの中では議論しているところでございます。
ご指摘のとおり、そういう大規模な民間の敷地があれば、それはリストアップするというのは、今後進めてまいりたいと思いますし、あとそれがなければ、また違う形で民地のやはり利用というものを考えていかないといけないということで、これはヒアリング等もしながら、ワーキングの中で進めてまいりたいと思っております。
どうもありがとうございます。

(酒井委員長)
いろいろ困難な、また難しい事情も出てくるかと思いますが、うまく進めていただけたらありがたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、次に進ませていただいて、よろしいでしょうか。
では、永田委員、どうもありがとうございました。
引き続きまして、神戸市みなと総局の吉井委員より、発表をお願いしたいと思います。
港湾のお立場からのご報告ということになろうかと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

(吉井委員)
神戸市のみなと総局の吉井と申します。よろしくお願いします。
私のほうから、実は阪神・淡路大震災のときの港湾が果たした役割の事例紹介と、現在、大阪湾でフェニックス事業が動いておりますので、その辺の課題と、最後にちょっとご提言をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
まず、これは阪神・淡路大震災の発生前の神戸港の全体図なんですが、特に新港東突堤、この辺ですね。ひし形の突堤が残っている状態で、なおかつ、このポートアイランドの第2期、これが実は造成中でして、約200haが粗造成完了状態、そういう時点で被災に遭ったということでございます。
この辺は、ちょっと被災状況の写真なんですけども、私ども港湾のほうで把握しています量は、廃棄物、大体神戸市内で800万tありまして、大体コンクリート系の廃棄物は大体340万t、5割弱、4割ちょっとです。
実は、たまたま被災したエリアが、いわゆる私どもの水際線、いわゆる港湾の背後地ということで、旧市街地に集中しておりますので、実は陸路は全部絶たれておるんですけども、海路は使えるということで、仮置き場も先ほど言いました、ポートアイランドの第2期を主力に、周辺の港湾の遊休地がございましたので、そこら辺を活用して、どんどんまず復旧に早急に力を入れるということで、いわゆるがれきの処理を早急に行うということでした。これを最大第一の目標でスタートしております。
実際には、いわゆるコンクリート系の災害廃棄物については、積出基地をポーアイ2期とか、長田とか灘浜と、旧市街地も含めて入れまして、最終的には海面埋立に持っていくという。
木質系につきましても、一応内陸の仮置き場とそれから積出基地を設けまして、分別して、また焼却して、神戸市は二つの内陸での管理型処分場を持っておりましたので、そっち以外の処分とですね、一部はフェニックスへ持っていくという流れで処理をしております。
ちょっと見にくいんですけども、内陸の処分場は、ここに1カ所、ここに1カ所と、2カ所、管理型の処分場を持っておりまして、実はコンクリート系の殻は、最終的には後ほど説明します、新しい埋立地、このポートアイランド第2期、そちらとか六甲アイランド南、こういうところで処理をしているということでございます。
これは実際に、いわゆるコンクリート殻系の埋立処分を行った場所なんですが、実は新港の東突堤という場所ですね。この摩耶埠頭という場所、それから、六甲アイランドの南側、それからポートアイランド第2期、こういったところで処分をさせていただいています。
あと残るのは、フェニックスへ持っていった部分ですね、これ実は当時は、いわゆる尼崎沖とそれから泉佐野沖が稼働しておりましたので、こちらに海路で持っていくということを行っております。
これが実際の積出基地の状況なんですけれども、あんまりコンクリート系の廃棄物と、それから木質系の廃棄物、これをちゃんときちっと分けまして、実際には処理しています。実際には、結構混在しておりますので、現場でどういうことをやっているかといいますと、巨大なプールをつくりまして、そこへ一旦廃棄物を投入させていただいて、浮いてきた軽いものは全て分離していくということですね。ちょっと今では考えられないことも、現場では実際には施工しているということです。
次に、これ実はポートアイランドの第2期は造成中と申しましたけども、実は木質系の廃棄物がここに集積をいたします。現在、スーパーコンピューターの「京」が、ほぼこの場所にあると思います。それから、コンクリート系のがれきは、私どもの港湾関連用地ということで、ここに一旦仮置いて、小割りして、最終処分をここでやっていると。
ここで、実際にはなかなか報告書にも書けないんですけども、実は、木質系の災害廃棄物をここに置きますと、何が起こるのかといいますと、自然発火をするということですので、それの消火にも結構手間がかかるんですけども、実際には撤去し終わった後に、やっぱり一部ダイオキシンが出てきます。これは実際に土地利用をするときに、ダイオキシン処理をすることになるんですが、実は、私ども国のほうからいろいろ手は尽くしていただいたんですけど、最終的に仮置いた場所に、そういう事態が発生するということで、今後は東北のほうはちょっと私ども状況はわかりませんけれども、そういうことも国のほうからきちんと仮置き場の跡地についての処理を行うということでお願いしたいと思っております。
これは一連の災害廃棄物の流れなんですけども、一旦基地に集積させた後、運搬船へ積み込むと、そういうのがちょっと強みであります、海上運搬ですね。後ほどリサイクルポートのご報告もあると思いますが、陸路が絶たれている場合、災害救援物資の輸送なんかを優先しますので、できるだけ海路を使うというのは、かなり有効だと思います。
仮置き場の埋立地でコンクリート殻の分別処分を行って、最後には埋立処分を行うと、こういう流れで実際にはやっています。
これは一つの事例ですが、新港東突堤、当時こういうくし形の突堤がなんですけど、実際、倉庫群をうちもやられましたんです。そこへ南側を全面閉めてですね、それから、がれきで埋立処分ということです。現在は、土地利用を全て行っております。いわゆる安定型廃棄物の処理については、比較的たやすくできるということです。
もう一つ、当時は実はこれ、震災は平成7年1月17日なんですが、実は2月17日の1カ月後には、実は神戸港の港湾計画を改定させていただきまして、六甲アイランド南の埋立とか、それから、先ほどの新港突堤、それから摩耶埠頭、新しい廃棄物処理用の埋立を港湾計画に位置づけさせていただきまして、これは国土交通省と環境省のかなり強力なご協力をいただきまして、1カ月の短期間で行いました。
実は3月にはもう埋立免許を取得しており、埋立免許の埋立用材に、いわゆる図で言えば、埋立免許の願書になるんですけど、そこについて約660万m2のがれき等の建設残土、これを位置づけさせていただきまして、おのおのの地域でいわゆる処理に入るということです。
埋立免許もですね、これ一番早いのが六甲南の一部ということで、これはコンクリート系のがれきを処分しておりますけども、約27haです。3月31日に免許をもう取得して、即着工という運びになっております。
これが先ほどの新港の東突堤です。これはちょっと遅れて6月になります。摩耶埠頭についても、3月には免許をいただいています。
ちょっと竣功時期は、結構かかるんですけれども、最後に覆土を行うんですけども、ここで何とか特にコンクリート系のがれきについては、速やかに処理できたということであります。
それから、もう一つなんですけど、ポートアイランド第2期は出てきておりませんけれども、実は震災前から、神戸市では、いわゆるここに六甲山がございますので、いわゆる大雨のたびに、いわゆる洪水が発生して、土石流とまではいかないんですけども、急傾斜地で崩壊があったりですとか、それにあわせて多少の被害があるということで、実は昭和36年、42年、45年と神戸市では大水害が起きております。それを受けまして、実はポートアイランドの第1期というところです。48年からですけれども、実は市で産業廃棄物の土砂・がれき類の埋立処分の指定を行っています。いわゆる安定型処分場の告示を行ったと。いざというときには、ここで受け入れるということでスタートを切っております。
実は、神戸は大規模埋立をやっておりますので、ポーアイから六甲アイランド、ポーアイ2期、現在、これは神戸空港島、ポートアイランド沖なんです。現在埋立途上ですけれども、実は切れ目なく、いわゆる市内に安定型処分場を持っております。いざというときには対応するということにしております。
おのおの陸域化した部分からしか入れられませんので、埋立免許取得からは受け入れが遅れるんですけれども、そういう処理をしています。
常時は、何をしているのかといいましたら、ちょっと私どもの埋立地は、それは後でちゃんとした土地利用を行います。いわゆる大量なコンクリート系の殻は現在入れていませんので、常時は、いわゆる通常の建設残土、それから公共事業の発生残土、常時は土砂を受け入れている。いざというときには、がれきを受け入れます。そういうことで行っております。
ちょっとこの辺が神戸の事例の紹介なんですけども、それ以降は、今後はいろいろ問題が出てくるということで、一つは、私どもいわゆる需要に合わせた土地利用を行っていきます。土地造成を行っていきます。遊休地が減少しておるんです。いわゆる災害時の集積、分別とか、先ほど東京の例もありましたけども、作業場所が確保できないなどということと、それから、新規海面埋立需要は、これは少し経済状況もありまして減っていますので、埋立用材の受入機会が減少していると。
もう一つは、アセスメントですね。阪神・淡路大震災のときは、環境省にご協力をいただきました。速やかに手続を行えたんですが、少し時間がかかるんですね。新しく用意をするのは、災害が起きてからでは困難だろうと考えています。
ということで、ちょっと早足ですけども、現在大阪湾で動いておりますフェニックス事業ですね。ちょっと廃棄物とは関係ない諸課題をちょっと言わせていただきますけども、実は昭和56年に施行されました、広域臨海環境整備センター法、これに基づいて、現在大阪湾では、現状では4カ所処分場がありまして、現在、大阪沖と神戸沖の2カ所で今稼働していると。勝見先生なんかもいろいろ技術的な協力をいただいてやっております。
実際、56年施工というのが、なかなかキーワードでして、それからかなりたっておるんですけど。現在は、2府4県168市町村から一廃を受け入れながら、実際に産業廃棄物も受け入れている安定型の処分場を稼働させております。
広域処理をやっていますが、瀬戸内海特別保全措置法もございます。それの整合を図りながら、海面埋立をやるという。もう一つは、港湾の秩序ある整備を行うということに努めると。
現在、神戸沖では、大体500万m3弱の余裕ポケットを持っています。大阪と合わせますと、大体1500万m3弱の余裕ポケットが全部であると。
もうスキームは、もうご存じだと。ちょっと飛ばしてしまいます。
廃棄物護岸は、港湾管理者がつくりまして、後はそれにフェニックスセンターの当該自治体が皆処分をしにくるということで、国からも助成をいただいております。実際には、大体護岸建設費、これは4処分場全て合わせまして、大体2,000億ぐらいかかります。イニシャルコストで、廃棄物の諸関連施設は大体1,000億ぐらいです。
あとこれを埋立造成をしていきまして、最終的には、排出者と港湾管理者の負担の不均衡、これは造成地の資産として均衡させる制度だったと書いておりますけども、実はこれにいろいろ法律も新しいものがいろいろできまして、なかなかうまくいかないと。
実は13年度に、環境省のほうから土壌汚染対策取扱方針が出てきました。これは多分アメリカで、いわゆる不動産投資に対するホワイトフィールドなり、ブラウンフィールドの法律ができ始めたころとリンクするんですけど、その後、実は14年度に、これは国交省さんになりますけども、不動産鑑定基準が改正されました。土対法が施行されるとなっています。
何が起こるのかといいますと、いわゆる土地の資産評価ができなくなります。いわゆる先ほど言いました、フェニックス事業ですね。最終的には土地資産を港湾管理者が資産として運用することで成立するんですけれども、そこは成立しないということになっております。
引き続き、また困ったことに、困ったというか、環境サイドからは全然いい法律なんですけども、廃掃法の改正もあり、土対法の改正もさらに厳しくなって、現状ではできた土地について建築物基礎ができないということ、通常施工ができないということです。それから、いわゆる都市基盤の地下埋設も整備できないという形になって、多分現状では、表面利用しかできないとなります。
それで、もう一つは、いわゆる高額な護岸整備費とか、あとは国のほうが、いわゆる廃棄物処理護岸については、耐震性を確保しなさいという方針も出ましたので、これに対して私ども港湾管理者が現在本格的にちょっと対応できない状況になっております。
それから、もう一つは、受入廃棄物処分場の廃止基準が導入されまして、なかなかこれが厳しくなってきていまして、なおかつ、ちょっと下のほうになりますけども、平成13年度に受け入れを開始し始めてから、実は完了時期がどんどん延びていって、現在は神戸沖だけで39年もたつということです。いわゆる大体行政計画は大体10年を目処でやるんですけども、実はもう土地利用の目処をつけられないという訳なんです。
ちょっと新聞記事は、また後で読んでいただいて結構です。
神戸沖、大阪沖の場合は、実は国交省にちょっと調整していただきまして、いわゆる護岸使用料を排出者が負担し、いろんなことを言われましたが、一定の解決に入っていくということにしております。
それで、ちょっと課題というのに変わりますけども、この辺はもう広域災害の処理に入ってきましたら、どの程度のがれき処理をするのかと、後はポケットを用意しても、受益負担の関係はなかなか求められないところがあります。
もう一つは、管理型の、特にコンクリート系はやりやすいんですけども、管理型の処分場のポケットを確保、これちょっと跡地利用はセットでついてこないと、なかなか埋めてもそれはごみの山だということで、ごみの山から一向に進展しないと困りますので、これも困ったものということで。もう一つは、事業スケジュールがなかなか不透明、これ実は、自治体が行政計画でなかなか先行投資がなかなか厳しくなっています。
そういうことで、いろいろあるんですけども、実はご提案というのは、フェニックス事業は、なかなかスキームとしては、いいスキームを持っておりまして、私ども使いやすいんですけども、なかなか後処理まで含めた、造成した土地の後処理まで含めたスキームがまだできていないとなっていますので、一つは港湾区域内で、当然私どもの港湾利用と、それから海上交通の問題がございますので、この辺で十分調整はできると思いますけど、それを行った上、フェニックス事業をベースに、災害廃棄物容量を確保していくと。できたら、これは国が出てきてほしいということをお願いしています。
要は、やっぱり一定のポケットは必要ですので、国が何とかできれば、先行的なやつで整備をしていただいて、常時はそれを私ども大阪湾センターが使用料を払って利用すると。最終的には、災害がなければ、フェニックス事業は、そのまま継続するという形がよかろうかと思っております。
ちょっとここはいろいろ書いておりますけども、フェニックス処分場は現在あって、そこにできましたら国主導で、災害廃棄物処分場を余分につくっていただいて、災害発生時は両方を利用する、ない場合はそのままフェニックス事業をそのまま進めていくという形でやっていただければ、今後全てうまくいくのではないかと。
ちょっとまとめというのをそこに書いていますけども、できましたらということなんですけども、せっかく造成しましたものを管理型処分場ですけども、有機物系は今の私どものを見ている限りでは、大体50年ぐらいたてば、大体クリアするのかなと思っております。これは、いわゆる海面下の埋立ということですね。嫌気性分解のちょっと状況を私ども状況を見ていると、大体50年ぐらいです。いわゆる金属系は、なかなかなくなりませんので、どうしても処分場としてしか機能できない。ただ、ある一定のラインから下が処分場で、上は別途埋立して、上下分離ができるんであれば、それは新たな活用方法を見出せると考えておりまして、私ども現在、技術的な検討を進めておるというような状況でございます。
ちょっとざっと走りましたけども、ちょっとフェニックス事業の課題も含めまして、そこは国に活躍していただけたらと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上です。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。非常に内容の濃いご発表をいただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、どうぞ、委員の方から質問、そしてご意見いただければと思います。いかがでございましょうか。
それでは、ちょっと切り出しをさせていただきます。
途中で、条例で土砂、がれきを受け入れるスキームをご用意されている、これは水害に対する過去の対応のご経験からということでございます。具体的には、常時は建設残土で、そして土砂、がれきは受け入れをするための手続というのは、どういう流れを用意されているんでしょうか。

(吉井委員)
私ども埋立免許を取得している者は、神戸市ですので、いわゆる神戸市がそういう災害廃棄物処分場として告示をすれば、それで機能しますので、埋立事業者が環境サイドと協議させていただきまして、どの程度のものを、どういうメニューで入れるのかというのを協議させていただいて、それで告示を打つということでさせていただいております。

(酒井委員長)
では、市の庁内での手続で進めていくと、そういうことですね。ありがとうございます。
いかがでしょうか。
貴田委員どうぞ。

(貴田委員)
フェニックス処分場の隣に災害廃棄物処分場というご提案なんですけど、これをするに当たって、何が必要になってくるのかということをちょっとお聞きしたいんですが。

(吉井委員)
例えば、私ども大阪湾の中では、いわゆる現在2期事業ということで動いておりますけども、この10年以内に次のステップの第3期事業に入っていくとなっています。そのときに、例えば、各自治体さんが出す排出計画に基づいてポケットを決めますので、それでは災害廃棄物では対応できませんので、プラスアルファのものを用意すると。そのプラスアルファのものは、一旦国が用意していただいていればいかがなもので、そのプラスアルファ分は、災害がなければ、それはどんどんフェニックス事業で使っていけばいい話ですので、必ず大阪湾内で、例えばですけど、500万m3の災害廃棄物用のポケットを用意するんだと国が決めていただければ、必ず余裕を持って、フェニックス事業は動くということであればいかがかなと。ただ、イニシャルはなかなか自治体ではうまく機能しませんので、そこは国の出番かなと思っております。

(酒井委員長)
今のお話のところで、関西というのは、例の広域連合というのを盛んにいろいろ議論されておられますよね。そういう場面で、今のような議論が取り扱われているのかどうかということに対してはどんなものでしょうか。

(吉井委員)
まだここまで具体的な話ではなくて、ただ、フェニックスセンター内では、やはり本来の事業と、それからそれがうまく回る、いわゆる次の事業計画ですね、それとやはり目の前にある災害対策というのはセットで動きますので、センターのほうでは、やっぱりいわゆる災害対策対応というのは、きちんと根っこに持って動いております。

(酒井委員長)
はい、ほかはいかがでございましょうか。
大迫委員どうぞ。

(大迫委員)
ありがとうございました。
23枚目のスライドで管理型廃棄物の埋立処分場の被災した場合のリスクに関して懸念されるので、この津波高最大クラスの防護施設の確保といった記載があるんですけども、この点に関して、この被災した場合の管理型廃棄物埋立処分場のリスクをどう考えていくのかとか、それに対して、このリスク低減のために単に護岸を高くするとか、さらに強固にするという対応が必要なのか、リスクを低減する合理的な対応の今後の検討というものは予定されているのかどうかということをお聞きしたいんですけども。

(吉井委員)
実は、私ども大阪湾を呼んでいただいたのは、多分理由があるところと思っておりまして、それは南海トラフの巨大地震の場合、いわゆる海面埋立処分場では、ちょっと先生がおっしゃられたように、やはり一定の高さを確保してみても、なかなか処分場は守り切れない。大阪湾は、不幸中の幸いですけども、友ヶ島水道から津波が入ってきますので、湾内の津波は、実はいわゆる収斂する場所はちょっと除きまして、さほど高くはないんです。
私どもは、現在動いています神戸沖では、現在今の高さで埋立ですが、南海巨大トラフ地震の津波に対しては、いわゆる対応できる高さに築造されております。これはたまたまなんです。大阪沖のほうも、もう少し上げれば、それでもカバーできます。
ただ、護岸の評価については、たまたまなんですけど、ちょうどいわゆる解析プログラムはかなり現実味を帯びて使えるようになったのは、大体平成10年ぐらいからでして、悲しいかな、私どもの神戸沖も大阪沖も詳細、いわゆる耐震解析するような場面なく設計して入ってしまったということで、これからその辺の検証に入っていかざるを得ない。どうしても護岸はやっぱり動きますので、動いてもかまわないのですが、鋼矢板の水密性が一応キープできる挙動、どこまで許すのかという。
それから、実際、先生おっしゃるように、護岸が崩れた後に、どの高さをキープするのか、これの詳細解析は結構できるようになりましたので、ただ、それは現行の設計制度にちょっと乗っかっていませんので、これは国交省さんも環境省さんも、いわゆるこういうものを、いわゆる設計制度として反映できるような、いわゆる特に補助制度です。それをつくっていただければ、すぐにも対応できると思っております。

(大迫委員)
この辺りに関しても、例えばちょっと比較の例が悪いかもしれませんが、まさに、福島の中間貯蔵のときにも、津波最高クラスのものを想定して、どういうようなリスクを考えて、どこまで対処を考えるべきかという議論を、リスク論としてやっている訳ですよね。ですから、この管理型廃棄物がこういった津波や地震動によってどういうリスクをもたらすのかというのは、むしろ冷静にきちっと評価するべきかなと、今後ですね。そういう中でのこういった対処のあり方を議論するという。単純に何かどんどん強化してとか、どんどん高さを高くしてとかいうことの前に、もう少し冷静な議論が必要ではないかというふうに思ったものですから、ご指摘させていただきました。

(酒井委員長)
ほか、いかがでございましょうか。
よろしいですか。それでは、どうも吉井委員、貴重なご発表をどうもありがとうございました。次へ進ませていただきたいと思います。
引き続きまして、日本環境衛生施設工業会、近藤委員からご発表をいただきたいと思います。

(近藤委員)
日本環境衛生施設工業会の近藤でございます。
本日は、巨大地震に対応した廃棄物処理施設というタイトルで、工業会がどのような活動を行っていったのかということについて、簡単に説明いたします。
本日の説明内容ですが、この4点について、かいつまんでという形になると思いますけども、説明します。
まず1点目は、大震災発災後、工業会がどのような取組を行っていたかとか、どのような支援を行ったのかというのを簡単に説明します。
また、2点目ですが、実際に被災した施設の早急復旧に向けて、我々工業会サイドとして考えていることは何かというのを簡単に説明します。
また、3点目ですが、今後発生し得る巨大地震に対して対応できる廃棄物処理施設とはというのを、工業会だけでなく、廃棄物3R研究財団の成果報告もあわせて簡単に説明させていただきます。
最後に、今後休廃止される炉も施設も出てくると考えられますが、その施設を活用ずることで、仮設の焼却炉の代替になり得るのかということについても、簡単に説明させていただきます。
まず、震災が起こった後に、工業会がどのような取組を行ってきたのかという時系列に説明させていただきます。
まず、発災直後ですが、被災状況を取りまとめまして、環境省様のほうへご報告しております。資料の日付は3月14日現在ということですので、発災後3日後の状況を説明させていただいています。
また、被災がほぼ軽微だったので、運転を継続しようというふうに考えておられる自治体の方がたくさんおられたのですが、皆さんもうご存じだと思いますけど、薬品とか、電力確保という面で、運転の継続が困難になるということに直面された自治体の方々もおられましたので、この辺に関する要望書を提出させていただいております。
また、3月末になりますが、おおよその見込みの復旧事業費を環境省様のほうへご報告させていただいています。
翌4月には、阪神大震災の仮設焼却炉の契約形式を提出させていただくとともに、夏場の電力需要削減の影響調査結果ということで、計画停電等を行われたときに、どのような施設として影響が出てくるかというのを報告させていただきます。
同年の8月は、福島の話も出てきておりますので、作業者全般、事業者全般に対して「電離放射線障害防止規則および災害廃棄物の取扱い等について」というのを工業会の内部でセミナーを開催しております。
同年9月から、仮設焼却場のがれき処理が始まっております。
また、ここにおられます大迫先生に「放射性物質に汚染された廃棄物問題の対処」というタイトルで、やはり工業会としてのセミナーを開催させていただいております。
翌1月には、工業会のワーキングの中で、「放射線障害防止マニュアル」というのを作成し、公表いたしました。
また、9月には、国立環境研究所とともに放射性物質の熱処理研究会を発足し、主に放射性物質に汚染された施設の現地調査に関わるところに関して、お客様である自治体との間の調整を取りまとめたり、実際にサンプリング等をしているときに立ち会ったり、また、9月までにいろいろな形で測定しておりました放射線の濃度等についても、データのほうを提供しております。
最後、かなり飛びますけど、今年の8月には、施設を強靱化していくために、現在のごみ焼却施設の仕様をどのように変えていったらいいのだろうかというご相談を受けまして、検討させていただきました結果を環境省様のほうへ提出していいます。

 次に、仮設焼却炉ですが、現在までに、このスライドに示すとおりの場所で稼働しております。一番上のタイトル行が見にくいのですけれども、4列目のところ、受注者と書かせていただいておりますけども、実際に工業会に所属しているメーカーが直接受注したものもありますし、大手ゼネコン様ががれき処理全般ということで請け負われた中の中間処理施設、焼却施設という形で我々工業会のメンバーが受注して、震災がれきの焼却処理にご協力させていただいております。
一番右端に稼働時期というのを書かせていただいていますが、仙台市におきましては、今年の9月末に無事がれき処理がれき処理が終了していますし、亘理・名取ブロックでも徐々に処理が終了してきているという状況になっております。
こちらのスライドは、今年の8月に環境省様のほうへご提出いたしました、ごみ焼却施設を耐震性、また強靱性を強化するためには、どのような仕様にしたらいいのだろうかということに対してご回答したものの一例になります。
基本的には、また後ほど説明いたしますけれども、阪神・淡路大震災のときも、今回の東日本大震災のときも、焼却施設、廃棄物処理施設を継続して運用していこうと思ったときに、何がネックになったのかといいますと、やはり電気、水、薬品等のライフラインの欠如というところになります。
今回の東日本の事例でいきますと、大体1週間から10日ほどたてば、そのようなもの、ライフライン等の供給が可能になってきておりますので、まずはそういうものの供給がなくても10日程度は運転できるような仕様にすべきであろうというのが工業会の中のメンバーでの統一した見解ということになります。
また、地震によって、機器の損傷等が起きてはいけないであろうということで、現在装備されていないものにつきましても、追加で検討したものを載せております。
例えば、受入供給設備では、ごみピットというのは、通常大体3日分から5日分の処理するごみを貯められる能力しか今のところ有しておりませんが、被災した後にごみ収集が滞ったとしても10日程度は運転できるような能力を持っておくべきではないかということもありますし、薬品タンクにつきましても、14日分程度、水についても10日分プラスアルファというように、このような形で装備する必要があるのではないかというふうに考えております。
また、震災が起こりました後、施設は基本的に一旦炉を止めまして、被災状況の確認とか、運転員の安否確認という作業を行いますが、その後、立ち上げようと思ったときに、商用電源が遮断していれば、炉の立ち上げはできないということになりますので、非常用発電機で炉が立ち上げられる容量は確保しておく必要があるのではないかということも考えていたます。
また、昨今、この廃棄物処理施設を一次避難所という形で使用することはできないのだろうかという検討も始めておりまして、そのために防災、何人を受け入れるかというのは、これからの検討になりますけども、このように上水を供給できるようにとか、簡単な寝泊まりができるようなスペースを確保できないかとか、非常食を置けないかとか、こういうところも含めて検討して提出のほうをさせていただいております。
ここから被災した施設の早期復旧に向けた課題ということで、工業会だけでなく、表の下にも書いてありますように、廃棄物・3R研究財団や廃棄物対応技術検討懇話会の活動成果も交えて簡単に説明させていただきます。
このスライドの真ん中に示す表は、廃棄物対応技術検討懇話会を構成する関西のメーカーの中で被災している施設数を調査し、震度別に被災状況をまとめたものになります。
細かい数字は、表を見ていただきたいのですけども、結論といたしましては、3点ありまして、基本的に震度3の被災地では、施設の被害の報告はありませんでした。震度4以上で被災し、震度が大きくなるとともに、被災率が高くなる傾向が見られました。また、施設の停止期間ですけれども、震度6弱で数日から1カ月程度、震度6以上で最長4カ月程度であったという報告がなされております。
また、表の中の一番下段に、主な被害を書かせていただいていますが、震度4で焼却炉内の耐火材が脱落したりと、配管の損傷が見られています。震度5弱で機械の基礎や、施設の外構にクラックが入っています。震度5強で、いろいろな設備を動かすための制御盤がが転倒したり、建築物関係では窓ガラスが割れたりという報告がされております。震度6弱では、機械基礎のボルトが破断したり、建築物では、ALCの壁が脱落したりという報告がなされています。震度6強になりますと、プラント機器の損傷ということで、ごみクレーンがクレーンガーターから脱落したとか、一部の機器の倒壊があったという報告が上がっております。
ただ、建物全体が倒壊したとか、全半壊したというような報告はなく、今回の地震でも震度6強でも建物という機能は残っておりますし、プラントとしての機能も大物機器に関しては、特に目立った損傷はありませんでした。
以上、東日本大震災の経験から、復旧に向けた課題ということで2点挙げさせていただきます。
阪神大震災のときも同じ課題を挙げさせていただいたのですが、まず、地震により停止した施設を再稼働させるときに直面した問題ということで、先ほども簡単に述べましたが、ライフラインが遮断されているということです。施設は健全であって、ごみがあって、幸いにも運転員の方々が被災せずに施設に来られて、協力できるという体制であったとしても、ライフライン、電気、水、燃料、薬品等が、燃料が遮断されるということで、運転の継続が困難であったという事例がありました。
また、ライフラインが確保された後でも、運転を継続させるときに直面した課題ということで、今回の地震では計画停電というのがいろいろな箇所で行われましたけれども、自ら発電をする施設を有しないごみ焼却施設では計画停電のために炉を止めて、また立ち上げたりという作業もありました。また、これは実際に被災直後に起こったことですけれども、ライフラインは問題ないのに、薬品がないために運転ができないかもしれないというようなおそれがありました。この辺をいかにして確保していくのかというのが課題であり、それをもとに検討した結果が、先ほどお見せしました、工業会が強靱化のために必要な施設とは、こうあるべきじゃないかというものにつながっていくと考えております。
次に繰り返しになりますけれども、早期復旧に向けた課題として、一番上にサマライズしていますが、ユーティリティーと運転要員の確保というのが重要ではないかということです。
先ほどの強靱化の一例にも挙げていますが、まず電源は、従来では電力会社から1回線で受電していますが、別の受電系統を考える必要があるのではないかということと、炉を立ち上げ可能な非常用発電機の容量を確保しておけば、ライフライン、必要なものが施設に備わっていれば処理の継続が可能になります。
また、水に関しましても受水槽を大型化すること、また、井水や雨水貯槽を設け、自己水源を確保するということが大事ではないかと考えています。
また、燃料に関しては、一般的に液体燃料、灯油、A重油等をよく使っているのですが、その貯槽の大型化や地下への設置ということ、また、調達の容易な燃料種を採用していくこと、これは地域によって物が違いますので、一概にどれがいいということにはなりませんけれども、その地域で一番手にしやすい燃料を用意していくというのも一つの考え方ですし、地場で用意できないので、ほかのところから持って行きたいとなれば、日本全体で非常によく流通している燃料種を選ぶというのも一つの考え方ではないかと思います。
また、3番目ですけども、昨今、都市ガスの供給配管の耐震化が進んでおり、耐震性の評価を受けた中圧導管というものが存在しています。これについては、ガス屋さんいわく、震度7の地震に遭っても導管は持つとのことであり、燃料を都市ガスに転換していくというのも一つの考え方と思います。
あと薬品については、場内での備蓄であり、汎用性の高い薬品、また調達先を複数にしておくというところ、部品につきましては、我々メーカーサイドもこれから考えていかなければなりませんけども、供給体制を確立していくことが重要です。
また、最後ですけれども、被災された現場で常に施設の運転に関わっておられる方も被災者であるという可能性もありますので、ほかの自治体の方々との運転要員派遣等の支援体制の協定などを確立をしておくというのも大事ではないかと考えております。
最後、巨大地震に対応した廃棄物処理施設ですが、これも廃棄物3R研究財団等の報告になりますが、耐震設計基準を遵守すれば、まず震度6強ぐらいの地震であれば、問題ないと考えています。その三つがここに示しています、官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説、火力発電所の耐震設計規定、建築設備耐震設計・施工指針であり、この3点を遵守して設計、計画していけばいいと考えています。
また、廃棄物処理施設に求められる要件としては、地震が起きても損傷しない、運転されている方々への人的被害がない、また施設周辺の環境を悪化させないというこの3点が非常に大事だと考えております。
この下の表は、それぞれの項目に対しまして、どの項目の関連性が強いのかということを黒丸、白丸、空欄という形で表しています。このような関連づけで設計を進めていくというのも大事であると考えております。
最後に、休廃止施設の活用の可能性ですが、災害廃棄物を迅速に処理するためには、耐震性にすぐれた施設を建設するとか、仮設焼却炉を建設する、休廃止した施設を再稼働させるという3点が考えられます。
休廃止した施設の活用の可能性に関しては、今回の震災時にも釜石市の施設が休炉後、二、三カ月という状況でありましたので、すぐ立ち上げまして、がれき処理に協力をさせていただいております。
それから、再稼働の条件として、どのような状態で保たれているか、例えば、廃止届まで出してしまっていると、また法的な手続が出てきますし、通常の状態、普通、休廃止した炉というのは、何も手をかけずに止めておりますので、施設の点検・整備・補修が必要となります。また、運転要員を確保しなければならないという問題もあると思います。
また、最後に課題として、同一施設に新炉を建てた場合、アセスメントをやり直す必要や、ダイオキシン対策特別措置法制定以前の炉では、若干排出基準が高い値になっておりますので、それを遵守させることができるのかということ。また、再稼働に要する時間を確保できるのか、費用が確保できるのかと、この辺が非常に重要な課題であると考えております。
例えば、休廃止した炉を再稼働させるのに、先ほど言いました施設の点検・整備・補修に、もし1年という時間がかかるとなれば、仮設焼却炉のほうが早いという可能性もありますので、必ずしも休廃止した施設を活用することが迅速な処理に結びつくのかということとは、ちょっと異なるのではないかと判断しております。
以上、雑駁ではございましたけども、工業会の取組状況についてご説明いたしました。
なお、工業会に所属している技術委員会のメンバーはここに示す20社でございまして、このようなメーカーでいろいろと検討させていただいたことを、最後に簡単に説明させていただきます。
以上で説明を終わります。どうもありがとうございました。

(酒井委員長)
どうも近藤委員、ありがとうございました。
それでは、質疑に入らせていただきたいと思います。
どうぞ、ご質問のある方、よろしくお願いいたします。
じゃあ、大迫委員から参りましょうか。はい、どうぞ。

(大迫委員)
仮設炉のことでお聞きしたいんですが、今回かなりこの被災地で仮設炉を設置して処理が迅速に行われたと思うんですけども、こういった形で何十施設も同じ時期に建設設置という場合に、物の調達というものですね、供給といいますか、調達というか、そういったものに支障がなかったのでしょうか。つまり仮設炉を設置するときに、どこが設置するまでに律速になるのかといいますか、逆に、物の調達とか建設は比較的スムーズにいくんだけども、手続のほうが追いつかないとか、そこら辺の今回の東日本大震災における状況をもしおわかりでしたら、ご説明いただきたいという点と。
それから、休廃止施設の活用ということはご説明があったんですが、頻繁に起こることではないので、なかなか難しいのかもしれませんが、仮設炉そのものをある程度一定量はまた使えるように常に置いておくみたいな発想というのがあるのか、その場合に、最初から仮設炉をユニット化するといいますか、要は、解体して、またさらにそれをもう一回組み立て直すということを想定した何か特別な工夫が仮設炉にも必要になるのか。そして、ユニット化されたような形の炉というものは既に開発は済んでおられるのか、そういったところをお聞きしたいんですけども。

(近藤委員)
2点ありました。1点目ですけども、仮設炉をつくる際の制約は何かということですけども、仙台市が一番最初に稼働しましたので、仙台市の状況から説明いたしますと、アセスメントは簡易アセスで終わっています。ただし、消防関係の届け出等は通常と同じようにやらせていただきます。
やはり今言われましたように、資材の調達と工事人工の確保さえできれば、工事としては順調に進んでいきますけども、例えば、亘理・名取ブロックの亘理処理区の大林組さんがやられたところ、一応、ストーカ炉105tのものを5炉という形でセットさせていただいていますけれども、こちらも5炉が同時に処理を始めたという訳ではなくて、処理でき、調達できる順番、例えば、2炉だけ先に運転を始めて、残りは後ろへずらして後ろだけ合わせにいくとか、そういう形で、やはり調達できるものと、この時期に応じて処理するスタートの時期を若干変えながら、物をつくっていくということが今回の仮設焼却炉の建設ではかなりの数見られているというふうに判断しております。
それと2点目の仮設焼却炉を再利用できるかという話ですが、正直言いまして、現在建設して稼働した仮設焼却炉は再利用ということを全く考えずにつくっていると判断していただいても構わないと思います。今後、そういうようなニーズがあるのかということもありますし、いつ、また発災するのかもわからない中で、ユニットにして保管しておくというのが本当にいいのかというのは、これからちょっと議論させていただきたいと考えております。
以上です。

(酒井委員長)
はい、ありがとうございます。
よろしいでしょうか。じゃあ、貴田委員どうぞ。

(貴田委員)
6枚目のスライドなんですけれども、震度6強のところで、プラント機器損傷が起こっているということなんですけど、この4カ月程度かかるということと、これはどの程度の損傷でこの4カ月というのが出てくるのかということと、ちょっと関連してなんですけど、これの中で、津波被害ということに関連した施設の損傷というのは、損傷といいますか、復旧するまでの時間がかかるということがあるのかということと、この5枚目のスライドで強靱化対策仕様ということを取組といいますか、提案されているんですけど、もしこれがうまくいったならば、これがどの程度早まるものだろうかと、4カ月程度というのがもっと早くなるのであろうかということについてお聞きしたいんですが。

(近藤委員)
すみません。わかりました。ありがとうございます。
まず6枚目のスライドの震度6強でプラント機器の損傷ですけども、我々が把握しているのでありますと、ごみクレーンが通常ガーターというものの上を移動しながらごみを攪拌、投入しているのですけども、その上のクラブがクレーンのガーターから外れたとか、ある設備が倒壊してというので直すのにかかったということがあります。
それと、あと言われました津波の話ですけども、実名を出してよろしいですかね。石巻市のクリーンセンターさんが、海岸沿いにつくられておられまして、完全に津波の被害を受けております。たしか地上から1mから1.2mぐらいのところまで浸水していて、開口部から施設内に海水が入りまして、地下1階部のほぼ全ての機器が損傷を受けています。石巻クリーンセンターの復旧工程で最大で4カ月ということになっています。
ただ、それはやはり今回はそれで済んだということでございまして、今後こういうふうに地震の中で、どのような状況になるのかに応じては、復興復旧にかかる時間も前後するというふうにご理解いただけたらいいと思います。
また、最後の強靱化の事例ですけれども、基本的には施設の損傷が起きないだろうという前提で、運転するためにはこういうのが必要ですと考えておりますので、この対策をすることで被災した後の復旧期間が短くなるかというのは、ちょっと別の話じゃないかというふうに考えています。
以上です。

(酒井委員長)
じゃあ、次に平山委員どうぞ。

(平山委員)
ありがとうございます。
スライド6枚目のところで少し仕組みを教えていただきたいのですけれども、この被災状況ですけれども、懇話会の調査によるということなのですけれども、次の南海トラフの巨大災害を考えた場合には、被害の全体像を把握するのは非常に重要だと思うのですが、こういう施設の被害状況の集約する仕組みみたいなものは、例えば、東日本大震災では、懇話会以外に何かあったのかどうか、あるいは現状でこういう焼却施設の被災地のさまざまなところに散らばっている、点在していると思いますが、そういったものの被害状況を集約していく仕組みがあれば教えていただきたいのですが。

(近藤委員)
ありがとうございます。
今回、被害状況の確認というか、把握というのは、工業会が行ったものと、ここに今来られています全都清さんが行われたものがあります。懇話会のはかなりのデータが出そろった後でやっているので、被害状況を把握というよりは、震度別に見たらどういうふうになっているだろうという視点から見ております。発災直後にこのようなことをやったという訳ではございません。
基本的な把握の仕組みとしましては、やはり工業会を通じて環境省さんや、あと全国都市清掃会議様のほうに一次情報という形で、電話もしくはメールで施設を管理されている自治体の皆様や運転委託会社にどのような状況であったのかというのを一日、二日かけてデータを収集いたしまして、その結果を環境省の皆様や全都清の皆様にご報告させていただいているという形ですね。
システマティックかどうかというのは、ちょっと置いておいたとしても、一応そういった形で被害状況を集約するというやり方は整っているというふうに考えています。

(酒井委員長)
今の関連ですけど、この6ページの対象施設、計300施設程度になっていると思いますが、これでこの地域の網羅率というのか、どの程度カバーできているんでしょう。ほぼ100%ですか。

(近藤委員)
懇話会に所属しているメーカーが、関西在住のメーカーでございまして、関東に本拠地を持っているメーカーの施設は完全に外れていますので、100%という訳ではないと思います。

(酒井委員長)
ざっとどの程度ですか。

(近藤委員)
7割ぐらいはいっていると思います。
(検討委員会終了後に検証したところ、
9割程度のカバー率であることを確認。)

(酒井委員長)
ほか、いかがでしょうか。
じゃあ、ちょっと一つだけすみません。
今日ご報告いただいたのが、専ら仮設の焼却炉であったり、それの休廃止施設の活用であったりというところですね。もう一つ、リサイクル施設とか、いわゆる破砕機とか、そういった機能が一般廃棄物の処理施設に置いてあるかと思うんですけれども、そこの災害廃棄物対応という視点でのこういう取りまとめとか、あるいは今後の対策とか、そういったことは工業会の中の検討状況はどんなものでしょうか。

(近藤委員)
正直言って、まだリサイクル施設を中心にというのは、やっていないというのが正直なところです。ただ、今回もリサイクル施設がかなりの被災をしたという報告は受けておりませんので、基本的な点は、先ほど言いましたような、法律に基づいてつくっておくということが大事なのかなというふうに考えています。

(酒井委員長)
被災とともに活用といいますか、災害廃棄物、よく言われますのが一般廃棄物という点と、その組成が必ずしも燃やすのに適した性状ばかりではないでしょうが、どちらかというと不燃物が多いでしょうがと言われている点への、こういう施設の貢献という方向でのご検討というものも期待したいということでの質問ということでご理解いただければと思います。今後、期待しております。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、どうも近藤委員、ありがとうございました。
続けて、このまま進めさせていただきます。
次に、全国産業廃棄物連合会、これは西之宮さんよりご発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(西之宮理事)
ただいまご紹介をいただきました、公益社団法人全国産業廃棄物連合会の西之宮でございます。本日は、このような機会をおつくりいただきまして、大変ありがとうございます。
私ども産業廃棄物処理業界が災害廃棄物の処理支援につきまして、どのような対応を行っているかということについて、これからお話をさせていただきたいと思っております。
私ども連合会の設立は昭和58年でございました。現在各都道府県に1つずつの協会がございまして、47協会が連合会の会員になっております。協会に処理業者が加盟しておりますが、その総数は1万6,431社となっております。
続きまして、4ページをおめくり下さい。
取組の状況の推移でございます。縦軸に協会数、横軸に年度が入っておりますけども、現在、47協会の全てが地元の都道府県と、いわゆる災害処理支援協定というものを結んでおります。また、支援の実績、連絡体制、作業体制、資材の調査などにつきましてどの協会で行っているかということを表に示しております。
都道府県との協定は全て結ばれておりますが、これから先、一番大事だと思っておりますのは、市町村と協会が協定を結んでいく必要があるだろうと考えております。
現在、熊本県におきましては、県内の全ての市町村と協会が協定を結んでおります。神奈川県におきましても、半数以上の市や町と協定を締結させて頂いております。連合会といたしましても、今後はこのような取り組みを進めて参りたいと思っております。
先般、11月7日には、横浜市が一般廃棄物処理業者に対してではございますけども、11月7日の13時、震度7弱の地震を観測したということで、一廃の処理業者の状況、車両あるいは施設の稼働状況の確認について訓練が行われました。各県の協会におきましても、このような訓練を実施している事例がございます。今回横浜市が実施されたということで、今後は、我々連合会としても、こういうような訓練を各市町村と進めて参りたいと思っているところでございます。
続きまして、5ページをお開きいただきたいと思います。
連合会では、被災された府県及び市町村に対して処理支援を行った協会を対象として実態調査を行っております。この実態調査によって得られた知見等を、協会間で情報を共有するために連絡会議を開催しております。
なお、東日本大震災、平成23年の紀伊半島の台風12号、平成24年の九州北部豪雨災害につきましては、現在調査中でございまして、それがまとまり次第、連絡会議を開催する予定になっております。
続きまして、7ページをお開きいただきたいと思います。
産廃協会における処理支援実績でございます。水害、地震、船舶事故、噴火、その他など34の災害において発生した災害廃棄物の処理を、地元の自治体からの要請に基づきまして、22の協会が処理支援した実績がございます。水害、地震だけではなくて、座礁等による油流出事故や、鳥インフルエンザあるいは口蹄疫などについても実績がございます。
続きまして、8ページをお開きいただきたいと思います。
東日本大震災時の処理支援の依頼実績でございます。青森県の階上町から千葉県の旭市まで、数多くの市町村から処理支援のご相談がございました。
青森県協会では、3月15日、階上町から青森県に支援の要請があり、3月17日に青森県から青森県協会に依頼がございました。
3月18日にはおいらせ町からも県を通じまして依頼がありました。3月23日に協会が現地調査を行いまして廃棄物量を推計し、町に報告をいたしました。その後、おいらせ町は独自処理の方針を決定されております。階上町への協力期間でございますけども、3月11日から7月2日まで約4カ月間のうち、4月13日から6月14日の約2カ月間ということでございました。協会が関与した事業につきましては、仮置き場から各処理施設への運搬のみとなっております。
宮城県協会につきましては、3月末に仙台市から打診がございました。協力期間は4月4日からでございます。仙台市は、廃棄物を見て、産廃処理業者に依頼するのが確実で迅速であると考えたということでございます。仙台市は産業廃棄物処理業の許可を出しておりますので、処理業者の事業計画を把握していたということもございます。依頼の内容につきましては、3カ所の搬入場での分別、破砕、管理と搬入場から処理施設や処分場への運搬でございました。
福島県協会につきましては、4月1日に県から依頼がございました。4月、5月の段階では、悪臭物など緊急を要するものの片づけですとか、あるいは仮置き場での分別作業を進めてまいりました。7月に入りまして、一次仮置き場での選別、処分及び二次仮置き場までの搬出について依頼を受けたということでございます。
茨城県協会につきましては、3月13日、水戸市から一廃の組合に依頼がございましたが、その中に産業廃棄物処理業を兼ねる事業者がおりましたので、その事業者から市に提案があったということでございます。
千葉県協会につきましては、3月15日に旭市から県に依頼がございました。協力期間につきましては、平成23年4月17日から24年5月31日の約1年1カ月間でございました。
続きまして、10ページをお開きいただきたいと思います。
災害廃棄物の特徴といたしまして、私どもが調査をした結果によりますと、大きな災害としては震災と水害がございますが、それぞれの災害から発生する災害廃棄物の特徴は表のとおりでございます。
これらの廃棄物が混合した状態で、一斉にかつ大量に発生します。また、避難者などの生活に伴いまして、通常時と同様に生活のごみも発生いたします。
これらを迅速かつ適切に処理するために、廃棄物の取扱に慣れた人材及び処理施設を所有している産廃業者が仮置き場の管理や災害廃棄物の処理に果たせる役割は大変大きいのではないかと考えております。
収集・運搬の効率を高めるために、資材、機材の選定から、積み込み方法等に関する処理の知識が不可欠でありまして、我々にはそういうノウハウが十分あると思っております。
それから、分別の徹底のために、仮置き場への搬入管理やチェック体制の整備も重要であると思っております。仮置き場の管理では、その後の処理方式ですとか、リサイクル方法を考慮した分別や選別や飛散防止対策、過剰な積み上げ等による自然発火の危険物質に関する知識も重要であると考えております。
続きまして、11ページをお開きいただきたいと思います。
被災自治体や処理を支援した協会から指摘された問題点でございますけれども、災害廃棄物の範囲が明確でないため、適用される基準等が明確でないということがございます。処理責任自体は自治体にありますが、一般廃棄物処理施設で適切な処理が困難な場合もあったということが指摘されております。
阪神・淡路大震災のときの旧厚生省の通知では、災害廃棄物は災害に伴って発生した廃棄物とされておりますが、国庫補助の交付要領では、どこまでが補助対象となるのかが明確にされていないため、現場ではどこまでを市町村の責任で処理するべきであるかということに苦慮したということも聞いております。例えば、事業所の被災に伴いまして発生した廃棄物を、災害廃棄物として処理した事例や、除外した事例もありました。また処理基準のほか、構造基準、維持管理基準、業許可基準など、適用するべき基準に悩んだというような指摘がございました。
災害対策基本法や廃棄物処理法では、災害廃棄物の処理責任は自治体とされておりますし、廃棄物処理法では、災害廃棄物は一般廃棄物とされております。また環境省の通知では、家電リサイクル法に基づく処理が求められております。災害廃棄物は多様な種類の廃棄物が混在して、しかも同時に多量に発生する、これらを一廃の処理施設で処理するということは、なかなか組成や量、その他を考えまして非常に難しいという指摘がされております。
生活環境の復旧や、復興に向けた速やかな撤去、処理が不可欠であると考えております。
日ごろから廃棄物の処理に関わる法規制や適正処理に関する知識、経験、人材等を持っている処理業界として、どのようなお手伝いをすることができるかということが重要であると考えております。
12ページをお開きいただきたいと思います。
自治体とあらかじめ協議しておくべき事項を整理しております。緊急時に迅速かつ適正に処理を進めるために、平常時から過去の事例を参考に、想像力を働かせながら協議を進めていく必要があると思っております。
地域の状況、想定する災害の規模、復旧・復興に向けた計画などの違いによりまして、自治体における災害廃棄物の処理に対する考え方は大きく異なっております。
被災自治体がどのような考えのもとで、何を優先して処理を求めているのか、そのような場合、どのような問題が発生する可能性があるか、このようなものにつきまして、あらかじめ協議をしておくことが緊急の場合の適正な処理、迅速な処理につながるものと考えています。
従いまして協定を結ぶだけではなく、年に何回かは市町村ともそのような協議の場を設けていきたいというようなことも考えておるところでございます。
14ページをお開きいただきたいと思います。
問題点、課題といたしまして、処理の支援を行った過程で、被災された市町村から指摘されたご意見を整理させていただいております。協力体制の確立、仮置き場の確保、災害廃棄物の実態把握、発生場所での分別などについて課題としてご指摘を受けている訳でございまして、これらの解決に向けて今後も協議を進めてまいりたいと思っております。
続きまして、15ページでございます。
こちらは、処理をお手伝いした際の問題点として、私どもの立場から意見を整理させていただいております。仮設の処理施設の設置に際して、平常時と同様の手続きが必要とされたために時間を要したということがございます。移動式破砕機や仮設テント等の設置に関して、緊急時には、平常時の手続を簡素化して頂くのではないかと考えております。今回の例で申し上げますと、仮設テントを4月上旬に申請したところ、許可が出たのが11月となった事例もございます。
2番目でございますが、主たる構造設備とは、破砕機の場合のモーターや、焼却施設の場合の炉や煙突などが該当しますが、これらが被災いたしまして、それを復旧するために変更許可が必要とされたために、非常に時間を要した事例がございます。緊急時には、主たる構造設備であっても、復旧に際しては、修繕と判断するなど手続を簡素化していただきたいと思います。
3番目でございます。廃棄物処理法15条の施設に該当する場合には、東日本大震災では、届出により産廃施設で一廃を処理することができる特別措置があった訳でございますが、法15条に該当しない施設、例えばガラス陶磁器くずの破砕施設などは、この特例の対象とはならない施設ですので、これらの施設で一廃を受け入れるためには、新たに一廃施設の許可を取得する必要があります。この手続きに時間を要するということでございまして、緊急時につきましては、これらの施設でも、災害廃棄物を処理をできるようにしていただけたら、迅速な処理に繋がるものであると思います。
それから、16ページでございます。
これも緊急時の規制の簡素化ということでございます。
法15条の2の5に基づき一般廃棄物処理施設の設置についての特例措置を受けた産廃処理施設に災害廃棄物を搬入する場合、その対象となる災害廃棄物は、他の一般廃棄物と分別して収集されたものに限るとされているため、仮置き場から分別排出が求められたというような事例がございます。
仮置き場で完全に分別して特例措置を受けた産廃処理施設に排入することが指導された事例がございます。災害廃棄物を仮置き場で選別するよりも設備の整った施設で作業を行わせていただいたほうが、安全でかつ効率的な処理ができますので、緊急時には産業廃棄物処理施設の設置許可を受けている施設や処分業許可を取得する際に届け出ている施設で処理することができるようにしていただけたらと思います。この場合には、分別して収集されたものに限るという規定を除外していただけたらと思います。
非常に雑ぱくな説明、報告でございますけれども、以上で終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。
それでは、質疑に入らせていただきたいと思います。
委員の方々からご意見、ご質問。はい、どうぞ。

(宇山委員)
東京都の宇山と申します。質問させていただきます。
東京都といたしましても、災害時の廃棄物というのは、先ほど委員長からもありましたけれども、やはり一般廃棄物とされていても、やはりコンクリート殻ですとか、あとは可燃物といってもいろんなものが混合状態になって、なかなかそのまま清掃工場で焼却するということは、難しいと思っておりますし、実際そうだと思っています。
そういった中で、やはり一般廃棄物でありますけれども、実際には、建設系の廃棄物ということで、東京都としましても、民間事業者の活用というのは、仮設をつくったりとか、そういうのもいいんですけれども、まず、もし被災していない民間事業者さんがあれば、そこを使っていって、そこで足りない部分は、仮設をつくるとか、広域でお願いするとかいうのが重要だと思っている訳でございますけれども、そういった中で、やはり民間事業者さんの力を最大限活用する上で、特に、いろいろ問題点を出されていますけれども、特に今回東日本大震災で、困ったことというか、これは改善してもらいたいということがあるのかというのと、あとはやはり一般廃棄物なので、市域とか県域をまたいで動かすのは、なかなか難しいと思うんですけれども、そこら辺の今回の経験とか、こうしてほしいというご要望があれば伺いたいんですけれども、お願いいたします。
今後、また首都直下地震ですとか、南海トラフ地震とか発生した場合に、今回の東日本大震災の経験を踏まえて、こういった規制は、ここに書いてありますけれども、特にこういったところは困ったとか、あれば改めてでも結構なんですけれども、教えていただきたいなと思います。

(西之宮理事)
香川から説明させていただきます。

(香川氏)
被災された自治体から当業界に処理の支援を依頼された場合でも、自治体をまたぐ場合にはそれぞれの自治体が、受け入れ自治体に事前届け出を行っております。その場合に、受け入れ側の施設の地元の住民の方々に理解を得るのが難しかったということがございました。周辺の住民の方への説明は、民間の処理施設設置者ではなく、受け入れ自治体の方からご説明されていたと聞いています。
なお、同じ市域でも仮置き場の設置場所について、地域の理解を求めるのが難しいというような事例もございました。
処理をお手伝いさせて頂く上で、いろいろ困った部分はございました。特に民間の処理業者が処理する場合には、当面の運転費用をどうやって工面するかという点について苦労したということを聞いております。
処理費用は事後精算となりますので、それまでの運転資金については、被災された自治体の予算で立て替えて頂いた事例や、大手の処理業者が融通をして、小さな処理業者に優先的に支払った事例が報告されています。そのように資金面で困る部分はございましたが、それ以上に、15ページ、16ページに記載させていただいておりますような事務手続でかなり時間を要したことの方が重要であると思います。依頼を受けてもなかなか着手ができないという部分が非常に困りました。緊急時には、このような手続を簡略化していただくなどの措置があれば、もっと早く着手できるのではないかと考えております。

(宇山委員)
どうもありがとうございました。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
貴田委員どうぞ。

(貴田委員)
15、16のスライドに関連してなんですけれども、16枚目のスライドでは、災害廃棄物処理施設での選別のほうが、安全面を含めて効率的であるということを書かれているんですけど、これは、特にやっぱりコンクリート殻とか、そういう意味で書かれているのではないかと。その意味で、15ページにも最後のポツで書かれていると思いますが、これに関連しまして、破砕施設とか選別施設ということになるかと思うんですが、これをどのぐらいの余力があるのかということについて、全体として、全産連として持っておられるんでしょうかということについて。

(香川氏)
がれきの破砕施設は、廃棄物処理法の15条施設に該当しますので、特例で届出により一般廃棄物を受け入れることができるようになりました。しかし、災害廃棄物は、がれきだけではありませんので、施設に運び込むための前処理として選別が必要になります。仮置き場で分けて、コンクリート殻だけになったものを、がれきの破砕施設に搬入しなければならないという指導を受けたというのが、16ページの内容でございます。
処理を行う上で大切なことは、粗選別をはじめとした選別・分別の作業でございまして、これを仮置場で行うことは非常に危険が伴います。例えば、関東近辺であれば、かなり大規模な選別施設や破砕施設がございますので、それらの施設に運び込んで選別作業をすることができれば良いという意味でございます。
余力については、先ほどご説明させていただきましたように、47協会が47都道府県と災害廃棄物処理支援協定を結んでおります。その協定には、産廃協会の会員が持っている資材、機材、人材について何年かに一度調査をして報告するという項目が含まれているものもあります。
調査結果は、協会からそれぞれの都道府県にご報告をさせていただいております。調査方法などは連合会がひな形を作っておりますが、具体的には被災された自治体が、どのような処理計画に基づいて処理を進めていくかということによって、必要な資機材、人材が異なってまいります。従いまして市町村もしくは都道府県と産廃協会が相談をした上で、必要な資機材を絞り込んで調査を進めることになります。
その様な理由によりまして、都道府県協会単位では、会員がどのような資機材を持っているかということを把握しておりますけれども、連合会では全国的な集計はしておりません。支援要請があった場合には、産廃協会から会員の処理業者に対して、被災状況の確認やどの程度応援が可能かという調査を行い、その結果を取りまとめて県に報告するという仕組みを構築しております。
先ほど西之宮から、横浜市の事例が紹介されましたけれども、それ以外にも県、市町村、産廃協会、会員の処理業者が相互に協力して定期的に訓練を行っている事例もございます。

(貴田委員)
今の各都道府県がということで、何ですか被害想定というのは、都道府県によって何というんですか、最大というので考えられているんでしょうか。最大の被害があった場合のことを想定されているかどうか、これは難しいですかね。

(香川氏)
それは、自治体の計画により異なると思います。
どの程度の規模の災害を想定されているかによって異なると思います。この程度の災害を想定しなさいという指導を都道府県が行っているということも聞いておりませんし、連合会から産廃協会にもその種の情報提供はしておりません。

(酒井委員長)
今の貴田先生の関係ですけれども、今日一つ目のご報告で、プロジェクト産業協議会のほうから、地方の都道府県別のがれきの処理能力の推計という表が出たと思います。8県ですかね。こういった能力のリストが全産連として、各協会ごとにあると理解してよろしいですかということと、それと、ここでは専らアスファルトコンクリート塊についての先ほどの選別破砕能力といったところかと思います。これ以外に、産業廃棄物処理施設の機能というのは、相当多様ですよね。焼却という機能があったり、あるいは埋立の処分といったところの機能がありますね。こういった機能別に、この程度余力は持っていますよと、あるいは施設自身もこういう災害があったり、被害をお受けになる訳ですから、こういった被害のもとでは、この程度の能力を発揮できますよといったような、そういう見通しのリストといった、そういう整備のところはどの辺まで進んでおるというふうに考えていいでしょうか。

(香川氏)
都道府県の協会では会員が所有している資機材調査結果を持っています。協会によっては、どこの会社が重機を何台持っている。その重機のタイプは何か。トラックの種類は深ダンプか、平ダンプかなど種類ごとの台数を把握している場合もございます。これらは全数調査ではなくて、そういうときに協力をしますよという意思のある業者からの回答を基に整理したものです。
処理施設についても同じように、破砕機もどのような種類の破砕機で、処理能力がどの程度のものを何台持っているかということは整理されています。当然、最終処分場や焼却施設について整理している協会もございます。これらは、許可をいただいている能力が何tであるか、トラックを何台持っているかということを、平常時に調査をしている訳ですけれども、先ほど申しましたように、緊急時には改めて調査をするという前提で把握しているものです。
緊急時には、施設の被害状況や、今応援できるのはどのような資機材であるかという報告が協会に寄せられまして、それを基に、この程度のお手伝いができますよということを県にご報告するシステムにしております。従いまして、実際にその時になってみないと、どのぐらいの能力があるかということはわかりません。
過去の事例では、どの位の応援が可能だという情報をもとに産廃協会が県と相談しながら、どこに何台派遣するという調整を実際に行ってきております。行政においても、地元で足りない場合には、行政間で応援体制を整えるような仕組みになっているようです。秋田県協会が結んでいる協定には、他県の応援に関する規定はありませんでしたが、岩手県からの依頼を受けた秋田県から産廃協会にご相談があり、宮古市と野田村の廃棄物について県境を越えて応援をしたという事例がございます。

(酒井委員長)
この8ページの表がリストには載っていますが、具体的な内容が、先ほど口頭で大分説明されました。そこはちょっと伝わっておりませんので、できましたら、口頭で話されたことを含めて、また事務局にお伝えいただければ、委員のほうは、大分助かるかなと思います。よろしくお願いします。

(香川氏)
全ての事例を把握している訳ではありませんが、今現在、調査を進めている所です。取りまとめはまだですが、幾つか詳しく調査をした事例はございます。

(酒井委員長)
それを今しゃべってくれと申し上げている訳ではなくて、先ほど話された内容を含めて、1回整理して、事務局にご報告いただけませんかというふうにお願いをしている訳でございます。よろしくお願いします。
いずれにしても、資機材等のリスト、それから処理施設、あるいは埋立処分の容量等々まで、相当そういう意味では、県ごとにリストはあります、調べておりますと。ただ、そこを活用するためのメカニズムの上で、今日最後15ページ、16ページで言われたような活用のメカニズムをもう少し工夫してもらったほうがいいというのが、今協会の立場だという、そういう認識で理解をさせていただきたいと思います。
ほかに何かご質問あるでしょうか。
はい、森委員どうぞ。

(森委員)
伺っていまして、一つ課題・テーマが地域住民の理解という視点も重要と感じました。今お話を協会さんの方がされましたけど、例えば、話が戻って申し訳ありませんが、休炉を復活しようとするときには、当然休炉をしたときには、住民が休炉をするとして理解している訳で、これを再スタートしようとすると、設備的な問題とともに、当然住民にもう一回理解を求めなきゃいけない。こういう視点が非常に重要だと思っています。
今のお話の中で、制度的な要望の話が15ページ、16ページに記載されており、重要なテーマであると思いますし今後の検討が必要なことと感じますが、他の自治体で広域処理をされたときには、住民あるいは地域の方々からの要求に対してどのような課題があって、どうやって説得しご協力を得てやってこられたかというのが一つ伺いたい点です。
たまたま東京の場合は、受入れた自治体の清掃工場では自治体が積極的に住民説明を進め、都内受入13万tの内、7割を処理した民間の廃棄物処理施設では、場所が海の近くであったということもあり、住民がいなく大きな反対にならなかったです。でも、全国的にはそう立地のいいところは少ない訳でありまして、多くは住民の問題というのは大きなファクターだというふうに思っておりまして、もし何かあったら教えて頂きたいと思います。以上です。

(酒井委員長)
非常に重要な点、最後にご指摘いただきましたが、そういう意味でのご経験ということで、今コメントをいただけるところがあればお願いしたいと思いますし、もし難しければ、また時間をあけてということで結構ですが。

(香川氏)
産業廃棄物処理業者の場合は、事業計画を住民の方にご説明して、ご理解をいただきながら処理をやっておる訳です。
災害廃棄物を受け入れる場合には、事業者として当然、周辺住民の皆様にご説明を差し上げて、ご理解をいただく訳ですが、私どもに受け入れ要請がくる前の段階で、基本的には自治体から直接住民の方にご説明され、ご理解をいただいた上で私どもに依頼がくる状況です。

(酒井委員長)
今、森委員がおっしゃられたのは、恐らく、どのように説得をされたか、うまくいったグッドプラクティスを十分に蓄積をして、そして共有をされてはいかがかといった辺りの趣旨が含まれていると思います。
そういった意味で、相当ないろいろご経験をお持ちかと思いますので、そういった事例もうまく紹介いただければありがたいという、そういう理解で今日のところはいかがでしょうか。
時間が長くなりまして、どうもありがとうございました。
次に進ませていただきたいと思います。

(西之宮理事)
ありがとうございました。

(酒井委員長)
それでは、引き続きまして、リサイクルポート推進協議会の外山さんのほうからお願いをしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

(外山氏)
それでは、リサイクルポート推進協議会、調査部会長をやっております外山です。今日はリサイクルポートのほうは、会員メンバーと議論した中身を報告させていただきます。
まず、流れといたしましては、最初に、リサイクルポート推進協議会という説明をさせていただきまして、あと国内の静脈物流の現状、コンテナ港湾の配置・荷役機器、災害廃棄物の輸送実績、そして被災地での積み込みに必要な資材・機材等の説明、最後に今後の課題というものを説明させてもらおうと思っております。
まず最初に、リサイクルポート協議会、これは10年前、平成15年に、民間及び国それから地方自治体、これでもって構成された協議会。目的としましては、地域では廃棄物として捨てられてしまうものを、広域にオール・ジャパンで移動することによって、資源に生まれ変えようという、循環資源の社会の構築、これを目指した協議会でございます。
これまでの実績としましては、ここに書いています、リサイクルポート、神戸港など22港、これをリサイクルポートに指定しまして、その地域での港湾地区によるリサイクル工場の立地、並びに海上による輸送を推進しております。
次に、これまでの実績値ですけども、これが内航総連が10年前からとっている数値でございます。平成24年度、一番右端の数字、これが1,299万t、これが静脈貨物を輸送しております。
主な中身としましては、ここに書いています鉱さい類、燃え殻・灰、これでほとんどもう3分の2以上、あとスクラップとか、その他、静脈の物資になっております。
受入先としましては、圧倒的にセメント工場、約6割の貨物は、セメント工場のほうで受け入れしております。以下、土木関係、それから鉄鋼関係という形で、93%は資源として再活用していただいていると。あと輸送方法ですけども、使用船舶としましては、ガット船、バラ積み、プッシャーバージなど、荷姿はばらでもって輸送しているのがほとんどでございます。
次に、このプッシャーバージですね。写真で説明します。これがプッシャーバージ、いわゆる押船と台船、これでもって大量の土砂などを輸送しております。このケースでは、岸壁の災害廃棄物、これを起重機船でのバケットを使いまして、台船に積み込んでいると、こういった写真になっております。
次に、今日の本題ですけども、コンテナ港湾の配置図ということで、海上コンテナを利用した広域的な災害廃棄物の輸送、これを紹介していきたいと思います。
まず、この地図なんですけども、これは日本全国で65港、これが今現在コンテナ船が就航している港です。世界的に見て、過剰じゃないかという議論もございますけども、逆にここまで全国を網羅していると、こういった港湾を利用することによって、災害廃棄物の輸送が可能になってくるということが第1点。それと、それ以外の65港以外の港湾も、実際には、災害発生時には、地方港もコンテナを拠点として活用できる。実際に活用した事例を後でご紹介したいと思います。
次に、まず、コンテナ輸送で使う海上コンテナの容器の紹介です。現在、使われています代表的なコンテナ容器としましては、二つございまして、一つが20FTのハードトップコンテナ、これが左のほうの写真でございます。それともう一つは、上が鉄板ではなく、ホロになっています20FTのオープントップのコンテナ、これでともにISO国際規格によってつくられているコンテナを利用しております。
参考のために、鉄道コンテナ、この比較を載せておりますけども、海上コンテナとしましては、積載量、容積とも鉄道コンテナの倍以上の貨物を収納することが可能になっています。
あと次に、海上コンテナ優位性、これにつきましては、いろいろ書いておりますけども、ポイントとしましては、一つはコンテナは倉庫を兼ねて上に積めばスペースを有効活用できると、このコンテナは上のほうに8段、段積みすることが可能です。ということは、一番下のコンテナに200tの自重に耐える強度を持った設計になっております。片や鉄道コンテナにつきましては、1段積という形で、段積ができない機能になってきております。
あともう一つは、コンテナは飛散・汚染・臭気防止という形で、実際に貿易コンテナと何ら相違がない姿ですので、地域とも非常になじんだ輸送形態になっているということが言えると思います。
最後に、このコンテナの調達、これはもう大量生産でつくっておりますので、安価に短時間での調達が可能というのが、この海上コンテナの特徴ではないかと思います。
次に、これらの容器をコンテナ港湾で作業する荷役機器の紹介をします。
まず、コンテナ港湾、これは大きく二つに分かれまして、岸壁作業、それと奥地のコンテナを集積しておく場所であるヤード作業、この二つに大きく分かれます。
まず、戦略港湾とか重要港湾、代表的な荷役機械としましては、船からコンテナを上げるガントリークレーン、これが一番左の大阪港、それから神戸港の場合は奥のほうにありますが、これはガントリークレーンで代表的なコンテナ専用のクレーンです。それ以外の荷役機器としましては、たまたま震災のときに、小名浜、仙台、こちらの港の行ったときの写真ですけども、ややコンテナを使えないときに使いましたものとしましては、ジブクレーン、クローラークレーン、これは仙台港、そして左のトラッククレーン、これは全部下がタイヤですので、自走式になってきております。こういったもので、船からの岸壁作業、それを今度ヤード内作業としましては、右上にあります、釜石港のケース、ストラドルキャリア、それと真ん中、新宮港のケースも24tフィークリフト、一番下トップリフター、これらが代表的な荷役機器になっております。
次に、これまで3件の代表的なケースを紹介させてもらおうと思っております。
まず最初に、台風12号、これは平成23年9月2日、3日、紀伊半島を襲った台風による被災。特に、新宮・那智地区から、これが三木市までの輸送をコンテナを使ってしました。これについては、まず新宮港、ここにつきましては、全く地方港で、先ほど言ったようなコンテナ設備はない港、常設機器がないところからスタートしまして、これを神戸港、こちらのほうでポートアイランドの公共埠頭に揚げまして、三木のほうの、これは民間のリサイクルセンターですけども、納入しました。これが第1点。
二つ目が、東日本の宮城県のケース。ここは震災から1年半たったときに、石巻市から北九州市への輸送。
三つ目が、岩手県、これは宮古市のほうから大阪市の焼却場への輸送。
この3点を紹介させていただきます。
まず、台風12号のケース、この台風によってJR並びに幹線道路は道路が寸断されました。それで、まず新宮港に空のコンテナを持ち込みまして、一番上にあります。これはもう海コンの積み込み。仮置き場にコンテナトレーラーを回しまして、そこで現場で積み込みまして、それを新宮港から神戸港へ海上輸送、これは井本商運の船を使いました。
神戸港では、ガントリークレーンで揚げまして、あとポートアイランドの中を通って、トレーラー輸送、そして三木の大栄環境のリサイクルセンターでの荷卸と、こういう一連の動きを行いました。
特に、このトレーラー輸送、非常にこのコンテナ自体、ポートアイランド自体、戦略港湾で、貿易コンテナがふくそうしている中でのこの輸送で、地域住民の方にしても安心安全が担保できると、非常にまちになじんだ輸送形態じゃなかったかと思っております。
次に、北九州市への事例でございます。
この事例につきましては、石巻から約50km入った仙台、仙台港の高砂コンテナ、ここは約トレーラーで2時間陸送をかけまして、仙台港から船積みしまして、北九州の門司港へ揚げました。これに対して、月曜日、仙台港を出帆しまして、中二日、木曜日に門司港に接岸、荷卸をしまして、今度、空コンテナをそこで積み込んで、また仙台港に帰ってくるということで、週1便、定曜日配船が実現しました。
輸送量としましては、ここに書いています2万2,500t、コンテナ本数としましては、2,863TEUという、これちょっと20FT換算の数字で報告してあります。
この写真で現場の写真でございます。まず鹿島JVでの選別作業、そして右に天板をあけて、上から積み込んで、それを天板をふたを閉めて、コンテナターミナルに搬入と、左のほうの高砂コンテナターミナルですね。
ここは非常に貿易港で重要な港湾でございます。その中でのこの約1日20本から30本のペースで搬入しました。1週間かけて約100本から110本、これを1週間ほど蔵置しまして、船に積み込みという形、これをストラドルキャリアでの積み込みをしまして、この積荷役の写真でございます。これが門司港への入港の姿、それとガントリークレーンでの揚げ作業、それとストラドルキャリア貿易コンテナ、この門司港も1日に10隻から15隻の外航船が出入りする非常に忙しい港でございます。その中での一応、貿易外航船の中をすき間をつくって持ち込んだと。
そして、この写真、一般の貿易コンテナと同じように、この災害廃棄物のコンテナ、これを置いております。ここもやはり1週間かけて、日明焼却場、こちらのほうに搬入していきました。
次に、もう一つのケースとしましては、岩手県、こちらから大阪市の受け入れをするケース、今年1月からスタートしました。これにつきましては、既にもう8月で事業は完了したんですけども、当初予定しましたのが3万6,000t、そのうちの約1万5,000t、半分で一応積み終わったということになっております。
問題点としましては、不定期配船というふうに書いていますけども、先ほどの北九州の事例と違いまして、最後まで船としましての輸送は安定しなかったと。非常に効率の悪い輸送をしたなという反省に立っております。
この輸送の状態ですけども、まず岩手県宮古市、これは藤原埠頭でのまずバン詰め作業、そして天板をはめ込んで、藤原埠頭に蔵置と、あとはこれが機器としましては、クローラークレーン、これが下がキャタピラーになっているクレーンがクローラークレーンで、これでの積み込みと出港という姿になっております。
これが大阪北港での夢洲コンテナターミナルでの荷揚げという形で、ここは戦略港湾に指定されておりまして、外航船が非常に多数入港しているところでの荷役作業でございます。同じようにここでは、コンテナヤードに蔵置という形で、ここでもやはり100本近いコンテナを1週間置いて、大阪市の焼却場のほうに搬入という形をとっております。
ここまでは従来の既存の港湾施設、コンテナ機器を使ったケースでございますけども、冒頭に申しました新宮港のケース、ここは全くそういったコンテナ機器のないところでの作業を行いました。そのときに行いました、これが非常に災害派遣としては、今後の参考になるんじゃないかと思って紹介させていただきます。
まず、神戸から搬入しましたのは、ここに書いています左上の749内航船、これ1隻、それとその下の20FTのコンテナ400本、内航船1隻で約200本のコンテナを輸送できます。それに対して、400本のコンテナをそろえまして、今度は右上の24tフォークリフト、これはコンテナと同じように、内航船で神戸から新宮のほうに輸送しました。さらには、その下のコンテナトレーラー、これも持ち込みました。
そして最後に、200tトラックで、これは神戸から陸送で新宮まで送り込みました。あとこの体制で先ほど述べました、北九州のケースはうまくいった。大阪市の場合はちょっと非常に非効率になったと。この原因としまして、まず真ん中を見ていただきたいんですけども、このコンテナを一貫輸送、コンテナ陸送のケースで、このケースですと、コンテナ収集運搬業者が積港で一つ、それから積み地では、今度、港湾運送事業者、ここが船に対するコンテナの積み込みをします。それで、あと内航業者が海上輸送担当、その後、今度、揚げ地では、揚げ地の港湾運送事業者がコンテナを船から揚げる。揚げて、今度、収集運搬業者への陸送という形で、5件の業者が関連してくる体制になっております。
そして、うまくいった北九州市の事例では、これ宮城県さんのほうで、全て積み込みから揚げ地までが一貫体制で組むことによって、非常に効率のいい体制が組めました。
下のほうの岩手県のケース、ここは岩手県のほうで積み込み作業を行いましたので、この船のほうとしましては、積んでもらってからの運ぶという形で、この辺の非常に天候とか、いろんな在庫の問題とかで、非常に非効率な配船体制となっております。
最後に、まとめですけども、まず、こういった廃棄物の海上コンテナ輸送、これはまだ制度上の想定外であるというふうな、まず、つかまえ方をしていただきたいと思います。
その中でのいろんな問題点としましては、ここに書いてあります、まず一貫体制の構築。
次に、この港湾荷役は、バースターム条件が必要と。港湾作業という作業は、元請企業の下に下請企業という下請制度の港湾運送事業法に基づく作業体制、これと廃掃法の兼ね合いですね。ここがうまいこといっていないんじゃないかと。
それと次に、積替地点での在庫の重要性。常にコンテナに応じて積み地、揚げ地、ここでの在庫をしておく必要がある。
そして四つ目に、オープントップのコンテナ、これにつきましては、平成17年度環境省の通達で、港湾それからJR、鉄道、これについては、コンテナを通過とみなすという規制緩和が行われました。ただ、その中で、コンテナの定義がJIS規格に基づいたがゆえに、天板に300㎏の荷重があるコンテナしか使用できないということになりまして、実際に一般の貿易で使われております、オープントップコンテナ、これを利用できないという不都合が今起きております。
それ以下、制度上の問題としましては、マニフェストの問題、先ほど見せました、内航船の船長、こういったものは、マンニング会社それから船主オーナーという形で、オペレーター業である船会社とは全く会社が違います。という形で、トラックでしたら運転手がサインできますけども、この海上輸送の場合は、船長がサインできないと、当然代理店をつくる。果たして、この代理店でのサインはグレーじゃないかなというふうに思っております。
また、あと先ほど言いました、トレーラー会社のマニフェスト、これが当然100本のコンテナをするとなりますと、積み出し、揚げ地、両方トレーラー会社としてみますと、複数のトレーラー会社を準備する必要があります。それが実際には排出時点で、配車まで割りつけしなければならないという非常に矛盾点がございます。
こういったことで、非常に、ぜひ議論としましては、今回災害廃棄物ですけども、廃掃法の制度設計の中にも、こういった海上コンテナ、こういったものを組み込んでもっていっていただきたいというふうに思います。
以上です。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。非常にリアリティのあるご報告と、そして課題の提示をいただいていたと思います。ありがとうございます。
それでは、どうぞ。ご質問、ご意見。
勝見委員からどうぞ。

(勝見委員)
東日本大震災で2例、災害廃棄物輸送の事例があるということなんですけれども、開始が2012年9月とか、あるいは2013年1月ということで、震災で災害廃棄物処理が軌道に乗ってからとしても少し時間がたっているということで、これは多分いろいろな理由はあろうかと思うんですけども、その中の一つの理由として、港湾施設そのものが被災を受けていて、それをある程度復旧しないと、こういうものを運ぶというところが追いつかなかったのかどうか、それよりもやはり別のところのほうが原因なのかどうか。
今後、例えば、南海トラフの巨大地震等を考えたときに、一番被害に遭いますのは、地方港で災害廃棄物を運ばないといけないことも想定されると思うんですけれども、この台風12号の場合は、私の想像ですけど、それほど港湾施設は被害を受けてなかったであろうと思いますけれども、もし地震、津波で被害を受けたということを前提としたときに、今後こういうやり方をするときに、あるいはしていかないといけないこと等があるのかどうかというのをお教えいただきたいのです。

(外山氏)
今回、ここに書きました、被災のタイミングですね。それから輸送までの時間、一つは神戸港のケース、神戸港の事例を書いていませんけども、神戸港のときには、直下型地震でしたので、1週間以内で船舶のほうはコンテナ輸送を行ったというふうに聞いております。
今回の津波のケースは、地震よりも津波がコンテナを、例えば、湾の中に引き戻しまして、なかなか船が入らなかったという形でございます。といいましても、約3カ月から四、五カ月しましたら全部航路の開設は終わりました。
その中で、先ほどの写真で見ましたけども、ガントリークレーンが大分でもトラッククレーン、ジブクレーンとかいろいろ持ち込みまして、半年後にはもう貿易のほうもスタートしました。
その中で、ここの遅れたというのは、やはり一つは放射能の問題とかで、なかなか受け入れる側のほうの問題が大きかったかなというのが1点。
それと逆に、台風12号のケースは、これはもう民間業者が先ほど言いました請け負いました。このケースはもう2週間ぐらいで、もう非常に民間に任せて、やはり早く作業ができるんじゃないかなと、そういうふうに思っております。

(酒井委員長)
よろしいでしょうか。
ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

(鈴木委員)
多分、現在の状況だと、コンテナで運ばないとできないということでやられたんだと思いますが、一般的にはバルクで運んだほうが効率がいいので、もっとバルクで運ぶ可能性はないのでしょうか。

(外山氏)
バルクも当然、先ほど冒頭に出しましたこのケースですね。これはもうバルクでやっております。
これはプッシャーバージ使いまして、これは太平洋、これは県内ですけども、岩手県の不燃廃棄物を大洋セメントさんが受ける、この作業をこのプッシャーバージを使ってやっております。船型も6,000tの積載ですので、極めて効率のいいといいますか、輸送はできていると思います。
そういう意味では、いろんな使い分けかなと思っております。いわゆるこういったプライベートバースなり、それから大量に使えるところでは、こういったどん船による輸送、当然リサイクルポートも可能になっています。また、都市部とかそういったところでは、やっぱりコンテナというような都市型の輸送方法、これをいろいろと使っていくのが得策かと思っております。

(酒井委員長)
いいでしょうか。
最後で、制度上の想定外という整理をされておられますけれども、制度内に入る動きといいますか、例えば、オープントップコンテナの実用化の動きなんていうのはあるんですか。

(外山氏)
このオープントップコンテナにつきましては、例えば、具体的にいいますと、今輸送に使っております。神奈川県それから横浜市、宮城県、仙台市、こちらのほうはオープントップコンテナを一応認めております。片や今日おられるので言いにくいのですが、神戸市とかのほうは、これはオープントップコンテナは積みかえ保管の必要という形で、通過とは認めないという形で、同じ国の指導に対しての各自治体によって個別個別の判断という形で、非常に民間業者としてみたら、この事業は進めにくいというのが実態でございます。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
ほか質問、よろしいでしょうか。
それでは、どうも貴重なご報告ありがとうございました。
それでは、今日は5件のご報告をいただきました。全体を通して、何かご質問・ご意見等ありましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日のご発表いただいた内容について、追加での関連資料等の要請がございましたら、これは事務局のほうにお伝えいただきますようにお願いいたします。可能な範囲で、また情報提供をいただくよう調整いただけるということでございます。
本日、その他ということで、事務局から今後のスケジュール等含めて、ご説明をお願いいたします。

(松田補佐)
事務局からです。
今後のスケジュールということでございますが、資料8をご覧いただければと思います。
次回の検討委員会、これは11月29日の9時半から予定をしております。場所については、改めてご連絡をさせていただきます。次回では、またヒアリングを引き続きお願いをしたいということでございます。
また、こちらのほうの第4回、第5回、第6回については、それぞれ1月、2月、3月にそれぞれ開催をして、それで主な議題として書かれている内容について、ご議論をいただくということでございますが、今この第4回以降の議題に備えまして、ワーキンググループを開催して、実務的な検討作業を行っております。
ワーキンググループにつきましては、別添資料につけておりますけども、勝見先生に座長になっていただきまして、また、浅利先生、平山先生、あとは近藤委員、永田委員、そのほかの地方公共団体の関係者の方、また民間団体の方に入っていただいているというところでございます。
第1回を10月26日に開催をしているということで、こちらで鋭意作業を行っているということでございます。
第1回においては、災害廃棄物の発生量や施設の余力、あと今後の取組の議論、こういった点について、自由にご議論いただいたというところでございます。ということで、また引続き、作業を進めていきたいと思います。
また、本日の議事録につきましては、原案を作成して、発表した委員の皆様方にご確認をいただいた後、環境省ホームページで掲載する予定です。
第1回の検討委員会の議事録というのが、まだ完成できていなくて申し訳ありませんが、これも鋭意進めて、すぐにアップしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
ただいまのご説明、何かご質問ございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、本日は、さまざまな情報提供いただいたことを深く御礼申し上げたいと思います。また、さまざまなご意見、委員の方から頂戴をしております。
事務局におかれましては、頂戴いたしました情報、あるいは意見等を踏まえて、今後の検討を進めていただければと思います。
それでは、本日の第2回のこの災害廃棄物対策検討会、終了をしたいと思います。
本日は、長時間にわたっての熱心な議論、どうもありがとうございました。

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