環境再生・資源循環
第3回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨
日時
平成28年12月7日(水) 9:00~12:00
場所
全日通労働組合 8階大会議室A
出席委員
(出席委員)
酒井委員(座長)、大塚委員、小川委員、小口委員、長田委員、梶原委員、中杉委員、
野馬委員、森谷委員、日浦委員(代理出席)
(オブザーバー)
総務省消防庁予防課、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室農薬指導班、
経済産業省産業技術環境局環境指導室、国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課航空灯火・電気技術室、(一社)日本化学工業協会
(ヒアリング対象者)
(一社)日本建設業連合会、(一財)家電製品協会、(一社)日本自動車工業会
(環境省出席者)
中井廃棄物・リサイクル対策部長、室石廃棄物・リサイクル対策部審議官、小野企画課長、中尾産業廃棄物課長、相澤制度企画室長、工藤適正処理・不法投棄対策室室長補佐
環境保健部環境安全課、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課、企画課リサイクル推進室 他
議事
(1)関係業界ヒアリング
(2)基本的方向性について
(3)その他
配布資料
- 資料1-1 日本建設業連合会資料
- 資料1-2 家電製品協会資料
- 資料1-3 日本自動車工業会資料
- 資料2-1 POPs廃棄物処理に関する基本的方向性(案)
- 資料2-2 POPs廃棄物処理の制度的なあり方(案)
- 資料2-3 POPs廃棄物の指定対象及び主な処理基準(案)
- 参考資料1 「POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」開催要領
- 参考資料2 平成28年度第2回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨
- 参考資料3 POPs条約上のPOPs廃棄物に関する規定
- 参考資料4 国内におけるPOPs廃棄物処理の現状
- 参考資料5 特別管理廃棄物の一覧及び係る規制
- 参考資料6 石綿含有廃棄物・水銀廃棄物に関する既存制度
- 参考資料7 石綿含有廃棄物・水銀廃棄物の指定対象及び主な処理基準
議事要旨
(1)関係業界ヒアリング
①(一社)日本建設業連合会
(一社)日本建設業連合会から、資料1-1について説明。
委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。
■退蔵品、処理量、残存量について
・家電のプラスチック等、難燃剤が入っているもののマテリアルリサイクル先として建築材や排水桝があると聞いているが、建設業でも認識しているか
→(日本建設業連合会説明)発泡断熱材以外でPOPs含有プラスチックが排水桝や建材に使われているというのは、現場は認識していない。
・全ての断熱材のうち、焼却にまわる率を教えていただきたい。
→(日本建設業連合会説明)都市部の工事から排出される廃棄物については、焼却に回っているのはおよそ90%くらいだと思われる
■処理方法について
・マテリアルリサイクルでPOPsが再生製品として入ってくるのであれば、その辺りを管理する必要がある。
→(日本建設業連合会説明)現場から出る廃プラスチック類でマテリアルリサイクルにまわるのは、新しい建築物を建てる時に使った材料の余ったものである。解体現場から出る発泡断熱材などはマテリアルリサイクルにまわっていない。
・畳に使われているXPSは他のものに比べ分別回収が容易だと思うが、このようなものがマテリアルリサイクルされる例はあるか。
→(日本建設業連合会説明)畳は中間処理施設で分別できるものはしているが、その先、どのように処理されているかは把握していない。
・スライド8枚目、分別の方法としては、手作業以外に比重で分別することが考えられる。技術的に無理なのか。
→(日本建設業連合会説明)発泡断熱材は、コンクリートに貼りついているため、比重選別は難しい。我々が直接管理している現場では、手作業ではがせるものは、はがすように指導しているが、建設業全体の状況は分からない。
・スライド8枚目、手作業ではがしてとるのは難しいと思うが、コンクリートからはがし切れなかったものはどうなるのか。
→(日本建設業連合会説明)安定型処分場で処分される。
②(一財)家電製品協会
(一財)家電製品協会から、資料1-2について説明。
委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。
■退蔵品、処理量、残存量について
・スライド2枚目、例えば、ブラウン管テレビでは、5社が2000年にDeBDE使用製品の生産が終了したと書かれているが、2000年以前の製品には全てDeBDEを使っていたと考えて良いのか、それとも型番によって異なっていたのか。
→(家電製品協会説明)テレビの難燃化が急速に進んだのは1980年後半からであり、この頃には、主にDeBDEを使っていた。
・ブラウン管テレビで、世の中に退蔵しているものがどの程度あるのか。ライフサイクルを考えると、どのくらい処分に回っているのか。
→(家電製品協会説明)現在の市中退蔵品の量は、不明である。2000年から家電リサイクル法が施行されており、その前に処理されたものもあると考える。
・DeBDEの替わりに現在使っている難燃剤は何か。リン酸エステル系の難燃剤が使われているのか、あるいは他の臭素系難燃剤が使われているのか。
→(家電製品協会説明)臭素系難燃剤の使用を止める動きもあるが、現在も臭素系難燃剤は使われている。ただし、DeBDEではなく、ノンデカと呼ばれる規制対象となっていないものを使用している。またPC/ABSなど、非臭素で難燃性を出す素材を使っている場合もある。
・既にPOPs規制対象となっているペンタ体やオクタ体の使用実態について、日本で使われているという情報はないか
→(家電製品協会説明)協会内で調査は行ったが、今の段階では使用していたという情報は確認できていない。
・ペンタ体、オクタ体は、規制対象になっているので、過去の使用実態は丁寧に調べていただきたい。
■処理方法について
・情報伝達の内容は、難燃剤が含まれているプラスチックという伝達なのか、POPsになりうるDeBDEが含有しているという伝達なのか。薄型テレビであっても難燃剤含有プラスチックとなるかと思うが、そこは区別しているのか。
→(家電製品協会説明)今の段階では、POPsということでは伝えておらず、難燃剤含有プラスチックと伝えている。
・情報伝達というのは、家電リサイクルリサイクルプラントから再生事業者に伝達されているということで、マニュアルがあるわけではないのか。また、再生事業者からその先までは情報伝達がされているわけではないという理解で良いか。
→(家電製品協会説明)家電リサイクルプラントと再生事業者の間の話である。さらにその先については、信頼関係の中で用途を教えてもらってはいるが、管理まではしていない。マニュアルは無い。
・ブラウン管テレビのバックカバー等と、薄型テレビのものとが、解体、破砕する過程で混ざることはないか。
→(家電製品協会説明)基本的には混ぜていない。混ぜているところがあったとしても、分けることができる。
・再商品化の過程で、国内からどのくらい輸出され、輸出先でどういう用途で使われているのかという情報はあるか。
→(家電製品協会説明)輸出量は、おおよその値を過去のデータから算出可能である。
・海外に輸出するというのは、成形したものを輸出するのか
→(家電製品協会説明)家電リサイクルプラントから輸出されるものは、減容して、あるいはフレーク状態で輸出をしている。
・家電製品協会では、成形品ごとの再生プラスチック使用比率を把握しているか
→(家電製品協会説明)把握していない。
・成形材料の主要用途として住宅基礎部材と記載されているが、具体的にどのような用途で使っているか
→(家電製品協会説明)瓦桟に使われている。
・家電リサイクルは非常に重要な取り組みであり、POPsの適正処理もバランスを取りながら引き続き取り組んでいただきたい。
③(一社)日本自動車工業会
(一社)日本自動車工業会から、資料1-3について説明。
委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。
■退蔵品、処理量、残存量について
・自動車メーカーは、国内販売車と海外販売車で難燃剤を使い分けているか。例えば、アメリカの車にはウレタンにPeBDEを使っていることが多いと聞く。国内販売車にPeBDEを使わず、海外用には使うということがあるか。
→(日本自動車工業会説明)自動車メーカーは現地に工場を持っているため、その国に適した方法で作っている。国内から輸出する場合は、別の方法で作るとコストアップになるため、日本向けの作り方をベースにしている。
■処理方法について
・現状、材料データの管理はどうしているのか。現状でどのくらいやっているか。
・データ管理はいつごろから行っているのか。
→(日本自動車工業会説明)IMDSという化学物質の材料のデータベースがあり、自動車メーカーや部品メーカーが登録して管理している。使用開始時期は、2000年に入ってからである。
・DeBDEを含め、臭素系難燃剤については、今後は情報伝達が重要になってくるが、これについてどのように考えているか。また、EUではどのように考えているのか
→(日本自動車工業会説明)情報伝達は、DeBDEに限定したものではないが、有害物質については審議会での説明資料や、カタログ、ホームページにより情報伝達をしている。EUは、POPs対策について具体的な方向性はまだ出ていない。協議している段階である。
・情報伝達について、個々の自動車解体事業者には情報伝達はあまり行っていないということかと思われるが、その点については、ぜひ検討いただきたい。マテリアルリサイクルを進める方向で検討が進められようとしている今だからこそ、POPs対策との両立を考えた制度にしていただきたい。
→(日本自動車工業会説明)解体業者への情報伝達は難しい。自動車メーカーとして、入口で、POPsを使わないこと、POPs含有再生材を使わないことはできる。欧州自動車工場会(ACEA)とも連携して、国際的な対応も視野に入れ活動していきたい。
・資料13枚目、欧州ではマテリアルリサイクルをさらに促進とあるが、これはRPFを含むのか。欧州のサーマルリサイクルの上限10%にはRPFを含んでいるのか。
→(日本自動車工業会説明)EUはマテリアルリサイクルにRPFは含めない。
・ASR処理過程で、臭素系難燃剤が熱分解されているという推定と証拠が既にあると考えて良いか。
→(日本自動車工業会説明)完全には取っていない。ダイオキシンと類似との判断をしている。
(2)基本的方向性について
資料2-1、2-2、2-3について環境省より説明。
委員からの主な意見の概要は次のとおり。
・資料2-1の2ポツ目で、下の部分の記述、「例えば「POPs含有廃棄物」と定義して、上乗せの処理基準を規定すべきである」について、資料2-2に記載があるとおり、これまでの廃棄物処理施設においてはダイオキシン類対策がなされていることも踏まえ、実態に基づいた上乗せを検討いただきたい。
→(環境省説明)資料2-1の記述を考えたい。
・資料2-2の7ページ目で、「(5)対象が不明確なもの」というのは、産業廃棄物のことを言っているのではないかと思うが、(1),(2),(3)、と産業廃棄物の話が来ていて、(4)に一般廃棄物の話が入り、臭素系難燃剤に言及する。(5)で、産業廃棄物の話に戻り、再度臭素系難燃剤に言及する構成になっている。この辺りはうまく整理していただきたい。
・「POPs廃棄物」と「POPs」をうまく使い分けた方が良い。基準を設けるのは、POPs廃棄物ではなく、POPsである。
→(環境省説明)表現や、文章の順番などは、今後精査していく。
・自動車工業会から、ASR中のDeBDE濃度が減ったデータを示していただいたが、1検体のものがあるなど、数として不十分であるので、さらに実態を把握しておく必要がある。
→(環境省説明)業界とも協力をして実態把握を進めていきたい。
・「廃棄物から環境中へ放出されるPOPs」という意味は、廃棄物の収集運搬時や保管時の環境中への放出で想定しているのか。
→(環境省説明)特別管理廃棄物は、廃棄物の取り扱い時のみならず、処理された結果、影響があるものという意味で、処理後の環境影響も考慮すべきだと考えている。
・POPs濃度情報を伝達しようとすると分析してみないと分からない。ある、なしといった推測だけでは不十分だと思うので、測定まで含めて、濃度情報を伝達させることを検討するのか。
・リサイクル品が廃棄物となったときのことが懸念されるので、適正な処理基準、燃焼温度などで適正処理を担保すべきではないか。
・本日のヒアリングをふまえると、今のままでは情報伝達が進まないと感じている。ここはしっかり取り組んでいただきたい。情報伝達は廃棄物だけの問題ではない。廃プラスチックがマテリアルリサイクルされるときには廃棄物にならない場合もあるので、廃棄物データシートが使われていない場合もあるかもしれない。これらを含め、情報伝達の検討はしっかりしてもらいたい。
・家電業界や自動車業界ではマテリアルリサイクルを進めていくことを考えており、非常に重要だが、POPs管理とのバランスを取って、適正処理を前提としてマテリアルリサイクルを進めていただく必要がある。循環基本法の7条では、マテリアルリサイクルの優先順位は1番だが、環境負荷のことを考えて優先順位を決めることになっているため、この辺りを考え、環境省として方針を統一して取り組んでいただきたい。
・情報伝達により管理する方法をとると、閾値の議論を避けられる。閾値を作らないという意味での発言ではない。情報伝達はうまく工夫していただきたい。
→(環境省説明)情報伝達について、資料2-2の中ではこのあたり記述が薄いので、ヒアリングを踏まえ、リサイクル法を持っている関係部局と調整のうえ、追加できるところは追加したい。廃棄物中のPOPs濃度情報は、測定するのにもコストがかかってくるので、どの程度まで推定が許されるのか今後相談させていただきたい。
→(リサイクル推進室)本日、委員からご指摘いただいたように、十分な安全の確保が必要であることはもちろん、環境負荷の低減のために可能な限り3Rの推進をして、それらを両立させるためのきめ細かな対応が今後必要になってくると思う。プラスチックのリサイクルに関してどのような対応が必要かという点について、本日以降の検討会での議論やPOPs条約締約国会合での議論の動向も注視しながら、適正処理が確保されるようにして3Rを進めていきたい。
閉会
・本日の資料2-1については、12月15日(木)の廃棄物処理制度専門委員会に反映する。
・次回の本検討委員会の日程は、後日、委員の方々へ連絡する。
以上