環境再生・資源循環

第2回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成28年11月10日(木) 13:00~16:00

場所

法曹会館 高砂の間

出席委員

(出席委員)

酒井委員(座長)、大塚委員、小川委員、小口委員、長田委員、梶原委員、川村委員、

中杉委員、森谷委員

(オブザーバー)

総務省消防庁予防課、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室農薬指導班、

経済産業省産業技術環境局環境指導室、国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課航空灯火・電気技術室

(ヒアリング対象者)

全国農業協同組合連合会、(一社)日本消火装置工業会、(一社)日本消火器工業会、

(環境省出席者)

中井廃棄物・リサイクル対策部長、室石廃棄物・リサイクル対策部審議官、

中尾産業廃棄物課長、相澤制度企画室長、工藤適正処理・不法投棄対策室室長補佐

環境保健部環境安全課、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課、企画課リサイクル推進室 他

議事

(1)関係業界ヒアリング

(2)その他

配布資料

  • 資料1-1 全国農業協同組合連合会資料
  • 資料1-2 日本消火装置工業会資料
  • 資料1-3 日本消火器工業会資料
  • 資料1-4 国土交通省資料
  • 資料2-1 第1回検討委員会での御指摘と対応(案)
  • 資料2-2 POPs条約上のPOPs廃棄物に関する規定(前回資料からの修正版)
  • 資料2-3 国内におけるPOPs廃棄物処理の現状(前回資料からの修正版)
  • 資料2-4-1 石綿含有廃棄物・水銀廃棄物に関する既存制度
  • 資料2-4-2 石綿含有廃棄物・水銀廃棄物の指定対象及び主な処理基準
  • 資料2-5 一般廃棄物焼却施設の維持管理基準との関係
  • 参考資料1 「POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」開催要領
  • 参考資料2 平成28年度 第1回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨
  • 参考資料3 POPs廃農薬の処理に関する技術的留意事項(平成21年8月改訂)
  • 参考資料4 PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項(平成23年3月改訂)
  • 参考資料5 日本消火装置工業会資料及び日本消火器工業会資料に対する野馬先生ご提出書面意見

議事要旨

(1)関係業界ヒアリング

①全国農業協同組合連合会

全国農業協同組合連合会から、資料1-1について説明。

委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。

■処理量、残存量について

・農薬メーカーがエンドスルファン含有農薬を回収しているとの説明だが、回収実績、残存量は把握しているか。

→(環境省説明)エンドスルファンの累積分解処理量はおよそ6トンである。現在の残存量は、農家等が保持しているため正確には分からないが、処理業者が回収している量は、月に1、2件という極わずかであると聞いており、ほとんどの農家で退蔵されていたエンドスルファンに関しては、大部分が回収、分解処理済みと考えている。

・回収されないから退蔵していないとは言えない。他の廃棄物でも、パソコンなどでは、処理することが面倒だからという理由で、自分で持っている場合がある。こういったものをどのように把握するかは、難しいが考えなければならない。

・退蔵物が出てきた時の仕組み作りが必要ではないか。出てきた時にはきちんと処理されるような仕組みが必要だと考える。

・自主的取組では色々な漏れがでてくる可能性もあるので、処理を制度化するのは大切なことだと考える。

■処理方法について

・エンドスルファンは、いくつ程度のプラントで、どのように処理されているのか。

→(環境省説明)全国1か所の産業廃棄物焼却施設で処理を行っている。事前に分解実証試験を行い、分解率99.999%を達成していること及びダイオキシン類等の排出濃度に関しても問題ないことを事前に確認した上で、本処理をしている。

②(一社)日本消火装置工業会

(一社)日本消火装置工業会から、資料1-2について説明。

委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。

■処理量、残存量について

・消火装置の耐用年数はどのくらいか。

→(日本消火装置工業会説明)消火装置の耐用年数は定めていない。点検時に問題がなければ30年、40年使用できる場合もある。そのため、10年前から消火設備に対して交換推奨年数を種別ごとに定めており、使用年数の確認を推奨することを消防法以外に進めている。PFOSが含有される泡消火薬剤については、8~9年経ったら交換を呼びかけている。

・サンプリング検査が不合格になったとき以外で、PFOS含有泡消火薬剤を交換回収することはないのか。交換推奨年数の取り組みによるPFOS含有泡消火薬剤の回収実績があれば紹介いただきたい。また、サンプリング検査で不合格になる数はどのくらいか。

→(日本消火装置工業会説明)サンプリング検査以外に自主的に交換を行っている場合もあるが、正確な件数は把握していない。サンプリング検査で不合格になる確率は、10年を経過した機器で2~3割程度。現在、消防関係で整理をしているところで、詳細なデータを追加で集めているところ。

・非常時などに使われてしまった量は把握しているか。

→(日本消火装置工業会説明)使用量については集計外であるため把握していないが、補充した量は分かる。また、例えば、はじめに600 リットルの泡消火薬剤が入っており、2/3使って、残りにPFOSの入っていない薬剤を補充するので、薄まるようなこともある。

・それでは、残りのPFOS17トンが完全に処理されたか否かは把握しにくい。

■処理方法について

・PFOSの入った泡消火薬剤を抜き取った後はどうするのか。洗浄等は行わないのか。

→(日本消火装置工業会説明)消火装置にはバルブや弁がついており、排水用バルブから抜いてドラム缶で受けて回収する。全部抜き取った後に、泡立たなくなるまで通水を行い、消火薬剤が残っていないことを確認し、新しい泡消火薬剤を入れて設置し、消防法を満足するようにしている。

・PFOS含有廃棄物について、これの処理を行った委託先業者が行うモニタリング結果を消火装置工業会関連各社は確認しているか。

→(日本消火装置工業会説明)ヒアリングを改めて行ったところ、主要処理会社は、モニタリングにより確認をしているということだった。

・技術的留意事項について、消火装置工業会としては政策的には十分と考えているか、それとも加えたいオプションなどの要望はあるか。

→(日本消火装置工業会説明)1つの駐車場で泡消火薬剤を交換するために1,000~5,000万円程度費用がかかる。さらに、駐車場に車がある場合には作業中は使用できないため、運営している駐車場では収入が減るなど、お金の問題がある。そのため補助金が必要だと考える。しかし制度上、難しいということは理解しており、自発的努力で活動を続けている。

③(一社)日本消火器工業会

(一社)日本消火器工業会から、資料1-3について説明。

委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。

■処理量、残存量について

・広域認定以外のルートで消火器が回収されることはあるか。あれば、どのくらいの量があるのか。

→(日本消火器工業会説明)環境省の調査では、日本消火器工業会のルートで回収されたのが約8割、残りの約2割が広域認定以外のいわゆる産廃ルートで回収されたものであった。

・広域認定で回収されている8割の消火器については、よくやっていると感じる。しかし、広域認定以外のルートで回収される2割の消火器については良く分からないということなので、適正に処理されるような仕組みを作ったほうが良いのではないか。

■処理方法について

・実処理に際してのモニタリングを行っているか。モニタリング結果は確認しているか。

→(日本消火器工業会説明)処理委託している5施設にはモニタリング結果の確認を求めており、報告書を提出してもらい確認をしている。

・受入時に、PFOS含有消火器と非含有消火器の分別はどのような方法で区分するのか。

→(日本消火器工業会説明)また、PFOSが使用されている機種は限られており、消火器を熟知している専門家であれば、分別は可能である。

・PFOS付着容器について、洗浄データを示されたということだが、洗浄データの精度やパフォーマンスはどのようなものか。

→(日本消火器工業会説明)洗浄を2回実施し、2回目の洗浄液のPFOS濃度が排水中濃度の目標値を下回るというデータを環境省へ提出した。1回目の洗浄液は排水中濃度の目標値を上回るため焼却処理する必要があり、容器を水洗しても排水処理費がかかる、といった指摘があった。

④国土交通省

国土交通省から、資料1-4について説明。

委員からの主な意見及び質疑応答の概要は次のとおり。

■処理量、残存量について

・使用状況が約6,000個という記載があり、2ページの【参考(A社ヒアリング結果)】の今後の処理予定が約15,000個となっているが、使っていなくて保管しているものがあるからか。

・トランス1個あたり7gのPCNが含有されており、今後は15,000個、処理されるということで、100kg以上程度が処理されると考えて良いか。

→(国土交通省回答)6,000個とは、国土交通省が管理する空港で使用しているもので、防衛省、地方自治体、空港会社が管理する空港で約9,000個使用していると推測される。国土交通省が管理している空港についてはトランスの種類もPCN含有量も把握している。自治体、防衛省の用途の詳細は把握していないが、およそ100kgであると考えられる。

■処理方法について

・2002年より前に処理したものについて、PCNが混入してしまったゴムトランスがどのように焼却処理されたのか把握しているか。

→(国土交通省回答)通常の廃棄物と同じ処理方法であるため、鉄については有価物としてリサイクルされ、ゴムについては焼却処理されていると認識している。

(2)その他

資料2-1、2-2、2-3、2-4-1、2-4-2、2-5について環境省より説明。

委員からの主な意見の概要は次のとおり。

■制度的措置の必要性について

・今日のヒアリングを聞かせていただくと、各業界団体がしっかりと対応されているので、それなりの効果が出ていると感じているが、各業界団体の活動によって対象となる廃棄物の全てを把握できているわけではないので、国際条約の担保ができるような仕組み作りをした方が良いと思う。

・資料2-4-1,2-4-2のように、POPs廃棄物についても、技術、残存量、特別な管理が必要かどうかという観点でまとめていただきたい。

・輸入品の玩具に関しては心配しなければいけない可能性がある。

・水銀同様、POPs含有廃棄物という概念を作り、上乗せ基準のようなものを作ることは考えられるのではないか。また、特別管理廃棄物にはどのようなものがあり、上乗せ基準が課されている廃棄物には何が該当するのかを整理した方が良い。

・POPs含有廃棄物という概念だが、POPsは総称であるので、実際の規制時には、個々のPOPsの名前を挙げて、その含有廃棄物とした方が適当ではないか

・POPs廃棄物という概念について整理できるか否かについて、今後検討を進めていただきたい。その際、特別管理廃棄物の概念及び今後の考え方の整理も一緒に進めていただきたい。特に、情報のやり取り、情報の流通は、一つの主体では解決できない。主体間でどのように情報をつなぐのかという視点でも制度的な検討を始めていただきたい。

・資料2-1の指摘事項と対応のうち、玩具やST基準等については次回以降に報告をお願いしたい。

→(環境省説明)POPs含有廃棄物についてコメントをいただいたことに関して、今後検討したい。資料2-1の玩具等の実態については、引き続き把握に努める。

閉会

・次回検討会は、難燃剤関係の業界団体へのヒアリングを行う。

・また、本日のご指摘をふまえ、POPs含有廃棄物の考え方を含め、POPs廃棄物処理について具体的な方向性の資料を用意してご議論いただきたい。廃棄物処理制度専門委員会との関係も考えて資料を用意したい。

以上