環境再生・資源循環

第1回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成28年9月30日(金) 10:00~12:00

場所

全日通霞が関ビル8階 大会議室A

出席委員

(出席委員)

酒井委員(座長)、大塚委員、小川委員、長田委員、梶原委員、川村委員、中杉委員、野馬委員、森谷委員

(オブザーバー)

総務省消防庁予防課、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室農薬指導班、

経済産業省産業技術環境局環境指導室、国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課航空灯火・電気技術室

(環境省出席者)

中井廃棄物・リサイクル対策部長、室石廃棄物・リサイクル対策部審議官、中尾産業廃棄物課長、小野企画課長、相澤制度企画室長、工藤適正処理・不法投棄対策室室長補佐

環境保健部環境安全課、大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室 他

議事

(1)検討委員会の開催について

(2)POPs廃棄物処理の現状について

(3)POPs廃棄物処理の課題と検討の進め方について

配布資料

  • 資料1 「POPs廃棄物適正処理推進に関する検討会」開催要領
  • 資料2-1 POPs条約上のPOPs廃棄物に関する規定
  • 資料2-2 国内におけるPOPs廃棄物処理の現状
  • 資料3-1 POPs廃棄物処理の課題と検討の方向性(案)
  • 資料3-2 当面の検討の進め方について(案)
  • 参考資料1 POPs廃農薬の処理に関する技術的留意事項(平成21年8月改訂)
  • 参考資料2 PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項(平成23年3月改訂)

主な意見等

開会

事務局より挨拶。座長として酒井委員を紹介。

座長から挨拶。各委員より挨拶。

(1)検討委員会の開催について

資料1について環境省より説明。

委員から意見なし。

(2)POPs廃棄物処理の現状について

資料2-1、2-2について環境省より説明。

委員からの主な意見の概要は次のとおり。

■化学物質の製造工程における非意図的生成POPs

・化学物質の製造工程における非意図的生成について、製品中濃度の自主管理値の設定にあたりBATの原則に加えてリスクベースでも十分な値になっているのか。リスクベースでも評価しているのであれば、その点を追記する方が良い。

→(環境省説明)

リスクベースでの評価もされている。この点を改めて明記したい。

・化学物質の製造工程における非意図的生成事例は度々出てくるので、今後、総合的に早く把握できるような措置を検討してほしい。

→(環境省説明)

議事3にも関わる。まずは現状を把握するための調査を検討したい。

・POPsが製品中にはあまり入らないとしても、非意図的生成及びエッセンシャルユース(化審法上例外的に使用が認められているもの)もあるため、廃棄物中、特に排水中の汚泥などに高濃度に含まれることがないのかを確認してほしい。

■POPRC12の検討結果の更新

・POPRCで他に審議中の物質があれば紹介してほしい。

・SCCPはPOPs条約附属書A(廃絶)に追加することをCOP8に勧告することが決まったので新しい情報を追加してほしい。

・POPRC12でリサイクル適用除外に係わるような議論はされたのか。もしされているのであれば、紹介してほしい。

→(環境省説明)

SCCPに関しては情報更新する。リサイクル適用除外については、POP-BDEsのリサイクル適用除外を取り止めるべきではないかとの論点と、POP-BDEsの同族体であるDeBDEもリサイクル適用除外を認めるべきではないかという論点について、一部議論があり、来年のPOPs条約COP8で改めて議論が必要とされたと聞いている。

■分解率について

・資料に出てくる「十分な分解率」とは、バーゼルガイドラインの99.999%を意味するのか。資料中に、十分な分解率というのは何か、ということを書いてほしい。

→(環境省説明)

バーゼルガイドラインに評価指標として示されている分解率99.999%を目標として、 ほとんど全てのPOPsに関してこれを事前に確認している。一部、非意図的に生成するPOPsの分解処理試験や、分解実証試験時に十分なインプット量が確保できなかったものに関してはその定量下限値の限界から、分解率99.999%の確認までできていないものもあるが、そういったものに関しても分解率99.9%までは確認できていたり、また、排ガスや排水中のPOPs濃度が環境中に問題がないレベルであるかの評価をしたり、POPs投入時とPOPsを投入していないブランク試験時の値を比較評価したりしており、こういったものを通じ、適正な分解であるかを個々に判断している。

■家屋土台に残存しているPOPs

POPsが使用された当時の木材中のPOPs濃度の推計値が記載されているが、現在残存しているPOPs濃度について何かデータがあれば紹介してほしい。

→(環境省説明)

木材中のPOPsは使用当時の濃度のまま残存しているとは考えにくく、廃木材から生産された木質チップ中のPOPs濃度の実測結果では、最大でも15ppmで、概ね数ppmのオーダーであった。

■POPs条約とバーゼル条約との関係性

・POPs条約上の規定に関する資料にバーゼル条約の話が出てくる背景を説明しておいてもらった方がいい。

→(環境省説明)

POPs条約では、バーゼル条約と緊密に協力する趣旨の規定があり、POPs条約側の要請を受けてバーゼル条約においてPOPs廃棄物の環境上適正な管理に関するガイドラインが策定された経緯がある。

■新規物質について

・ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質もPOPRCで議論が進んでいるので、深くではなくとも情報を集めておき、幅広く見ておいた方が良い。

・POPRC12の決定について、SCCPは難燃剤用途として報道されていた。今回の資料で金属加工油、可塑剤等という結果だが、難燃剤としてはどんなものにどれほど使われているのかという情報を早く整理してほしい。

(3)POPs廃棄物処理の課題と検討の進め方について

資料3-1、3-2について環境省より説明。

委員からの主な意見の概要は次のとおり。

■廃棄物処理法上のPOPs廃棄物の位置付け

・POPs関係の廃棄物を全て特別管理廃棄物にするわけにもいかないため、例えばPOPs含有廃棄物という概念をつくることも考えられるのではないか。具体的には、処理基準を強化することに重点を置いたカテゴリーを作るのはどうか。

・POPs含有廃棄物という概念で考えるとして、前例として石綿と水銀の事例があると思われるので、既存制度がどう運用されているのか整理すべきである。その中で、一般廃棄物の扱いも極めて重要であるので、整理が必要。

・水銀と石綿の事例を参考に、何が最も適切なカテゴリーかを検討して欲しい。

・POPs条約の規制対象物質のリストに応じて今後POPs廃棄物が増えていく可能性がある。POPsのうちどれを制度的措置の対象とするべきか、技術的な検討手順が必要ではないか。

・処理業者の立場で考えると、制度化というと新たに業許可や施設許可が必要ということになると思うが、現状が変わっていないのに、いたずらに許可対象になるということでは地域住民に不安材料を与えることになりかねない。

→(環境省説明)

御指摘を踏まえ、POPs廃棄物の制度的なあり方について検討したい。

■一般廃棄物焼却施設の維持管理基準との関係

・臭素系難燃剤を含有する防炎カーテンや防災製品は一般廃棄物としても廃棄される。POPs条約において考慮することとされているバーゼルガイドラインで、POPs廃棄物処理技術として「高度固形廃棄物焼却(Advanced Solid Waste Incineration)」が採用されたが、これは燃焼温度850℃以上の都市ごみ焼却炉によるものである。一方、廃棄物処理法では一般廃棄物焼却炉の維持管理基準は焼却温度800℃以上である。この点をどう考えるか、検討してほしい。PCBの方では、低濃度PCBの焼却温度をどうするかについて実証試験を重ねた結果、850℃という温度を廃棄物処理の施行規則で設けた。

→(環境省説明)

POPs廃棄物の大部分は産業廃棄物であるが、一部は一般廃棄物の可能性もあるので、この点は制度設計の中で考えていきたい。

■臭素系難燃剤を含有するプラスチックのリサイクル

・臭素系難燃剤が入ったプラスチックのリサイクル先で、例えば食品容器に使われるようなことはないか。

・家電破砕プラスチックはマテリアルリサイクルされており、その中の一部あるいは大半が海外に輸出されている状況があると思う。輸出先でどのような用途に使われているのか。

・臭素系難燃剤が入ったプラスチックのリサイクル先で、例えば食品容器や玩具に使われるようなことはないのか。風雨にさらされる建材用途は、リサイクル先として認めてよいのか。

・プラスチックを最後どのように使うのか、どういう経路で化学物質に曝露されるかということを、廃棄物処理法で考えて引き受ける必要はないのではないか。食品容器に使うべきではないのであれば、食品衛生の観点から考えて管理すべき。

・廃棄物処理法で全てを取り扱う必要はないし、あまり言い過ぎてリサイクルされないのも良くない。

・リサイクル製品を製造するとき、もともと使っていた再生プラスチックが何に由来するのかについての情報の伝達が非常に大切になる。

・DeBDEについて、先日のPOPRC12ではリサイクル適用除外は未定だが、自動車と航空機の特定の交換部品は適用除外すると書かれていた。POP-BDEはEUで使われてきたが、DeBDEは日本が世界的に見ても多く使われてきているものなので、リサイクルに対して、日本として適用除外が必要ならば、日本から求めていくべきではないか。

・リサイクル過程の適用除外に関しては複数の観点からの意見が出ている。今急いで答えを出さなければならないことでもないので、この部分は引き続き議論をしたい。

・電線に関して、DeBDE含有物と非含有物の判別は可能なのか。

→(環境省説明)

把握できた情報は適宜報告する。関係省庁や関係業界に当たって情報を得なくてはならないところは、横の連携をとりながら、提示できる情報は集約して報告する。リサイクルについては、混入してくるようなものに対してリサイクルの観点を大事にすることも考えられるし、POPs条約はもともと世界的にPOPsを廃絶していくことを目的とした条約で、それが世界的な方向性であることを考えれば、リサイクルであっても危ないものは使わないという観点も当然ありうる。こういったところは政策判断が必要となってくるので、また御議論いただきたいと思っている。

■環境中モニタリング

・環境省ではこれまでも様々にPOPsを含む有害化学物質の環境モニタリングをしてきた。生物を含めて、日本の環境においてどのようなレベルになっているのかという情報を環境省として積極的に出した方が良いのではないか。

・マイクロプラスチック問題との関係も気になる。この会議に関係するのは海に投棄された場合又は河川敷から流れた場合の話であって、海外から来るものに関しての話ではない。例えば東京湾において、カタクチイワシの中にマイクロプラスチックが検出されており、プラスチック自体よりも難燃剤やプラスチック添加物についての問題が出てきていると思う。人体に入ってくることも含めてこの検討の中でも、情報があれば提供していくのはどうか。

■全般的に

→(環境省説明)

宿題がかなり多いが、扱う物質が多いため、段階的にできるところから御議論させていただくのが良い。ある程度情報が確定しているもの、かつ、条約上もすでに規制対象となっており管理をしっかりしなければならないものから重点的に御議論いただくというやり方を考えたい。まず、次回の関係業界のヒアリングについて座長と御相談をして、進めていきたい。

閉会

・次回検討会は関係業界のヒアリングを行う。11月中の開催を予定。