環境再生・資源循環
平成29年度第1回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨
日時
平成30年2月2日(金) 9:30~12:00
場所
弘済会館4階「萩」
出席委員
(出席委員)
酒井委員(座長)、大塚委員、小川委員、小口委員、長田委員、梶原委員、川村委員、
中杉委員、野馬委員、森谷委員
(オブザーバー)
総務省消防庁予防課、農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室農薬指導班、
経済産業省産業技術環境局環境指導室、商務情報政策局環境リサイクル室、製造産業局自動車課、国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課航空灯火・電気技術室、
(ヒアリング対象者)
(一社)日本自動車工業会、(一財)家電製品協会
(環境省出席者)
環境再生・資源循環局 山本次長、近藤審議官、和田総務課長、成田廃棄物規制課課長、小笠原リサイクル推進室室長、相澤制度企画室長、重松廃棄物規制課課長補佐、寺井リサイクル推進室課長補佐、泉リサイクル推進室課長補佐、松岡廃棄物適正処理推進課課長補佐 他
議事
(1) 検討委員会開催要領について
(2) POPs廃棄物に係る制度的措置について
(3)POPs廃棄物に係る国際動向について
(4)難燃剤に係る業界の取り組みについて
配布資料
- 資料1 「POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」開催要領
- 資料2 POPs廃棄物に係る制度的措置について
- 資料3 POPs廃棄物に係る国際動向について
- 資料4-1 自動車業界における取組について(日本自動車工業会提出資料)
- 資料4-2 家電業界における取組について(家電製品協会提出資料)
- 参考資料1 平成28年度第3回POPs廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨
- 参考資料2 POPs条約上のPOPs廃棄物に関する規定
- 参考資料3 国内におけるPOPs廃棄物処理の現状
- 参考資料4 特別管理廃棄物の一覧及び係る規制
議事要旨
(1)検討委員会開催要領について
資料1について、環境省から説明。
委員から質問・意見なし。
(2)POPs廃棄物に係る制度的措置について
資料2について環境省より説明。
委員からの主な意見の概要は次のとおり。
■制度的措置の対象について
○HCBD汚染廃油はもともとのHCBD濃度が高いので、LPCと比較した場合に特別管理含有産業廃棄物にする必
要が無いか検討の余地があるのではないか。廃棄物発生量や現状の処理方法も含めて総合的に判断する必要が
ある。
○HCBD汚染廃油は他の廃油と混ざると濃度が下がってしまうので、定義をしっかり書いていく必要がある。
○HCBDについては、まだ分かっていない状況もあると思うので、汚染物を指定対象外として良いかということ
も含めて引き続き検討していただきたい。
→(環境省説明)制度的措置の対象物をよく精査しながら、発生量等の観点も含めて制度的にどこまで対応し
ていくのか検討する。また、付着したものならではの留意事項があるかどうかも検討してい
きたい。また、規定濃度以下となれば通常産廃として処理できると捉えられる可能性もある
ので、実態を踏まえつつ、できるだけ排出された状態のまま処理に回るようにしていきた
い。
○PFOSの汚染物について、消火活動で発生したPFOS汚染物は、ガイドライン対応になるのか。ガイドライン
対応といいつつ都道府県での運用が法的措置とほぼ同様となる可能性があるので、対象物を明確にしておいて
もらいたい。
→(環境省説明)実際の運用がうまく回るように、ガイドラインにおいてはできるだけ具体的に且つ明確に書
くように留意していきたい。
■基準値について
○残渣の卒業基準と排ガス・排水目標値を別の根拠で決めるということだが、それぞれの考え方は妥当だと思う
が、現状の処理方法や廃棄物量を考えつつ互いに整合しているのか、どれかが甘い、特別厳しい、ということ
が無いか、確認、整理していただきたい。
○「排ガス・排水の目標値(管理のための目標値)の考え方(案)」では、(イ)や(ウ)は両方勘案しなけれ
ばならないのではないか。(イ)の保守的な設定ではかなり厳しい目標値になる可能性がある。
○また、排ガスや排水は、その処理方法によって濃度が変わってくるので、通常採用されている排ガス・排水処
理方法を確認しておく必要がある。
○「残渣の卒業基準」は、含有量とともに溶出量の基準も考えるのか。また、最終処分場の浸出水の処理水につ
いては基準値を設定するのか。その場合、POPs廃棄物の最終処分場としての許可を得ている処分場以外の処
分場にも処理水の基準を適用するほか、測定の義務化を求めるのか。
○残渣等、排ガス、排水の基準値の扱い方や、省令とガイドラインでの対応については、環境対策全体としての
整理ということになるので、そのように考えていただきたい。
→(環境省説明)物質ごと、項目ごとの整合、排ガス・排水の処理方法などご指摘の点を踏まえて詳細を考え
たい。(イ)と(ウ)の順番については、個別物質ごとの判断になるかもしれないが、バラ
ンスを考えて両方の観点で見ていきたい。溶出量基準については今後の検討課題として整理
させてほしい。管理型処分場における浸出水の管理も考えていく必要があると考えるが、特
にPOPs廃棄物を処分していない既存処分場への影響や負担が増えることも念頭において検
討したい。
■分解処理に係る技術上の基準について
○「焼却処理施設の維持管理上必要と考えられる項目」の中に分解率が入っているが、燃焼温度や滞留時間や排
ガス処理設備といった技術上の要件を満たせば分解処理できると考えられるため、ガイドラインにあえて分解
率を書き込むこともないのではないか。
○ガイドラインに記載する分解率は、維持管理の指標としての扱いというよりは、分解が認められる施設を判断
する際のメルクマール(指標)の一つとして使ってはどうか。
→(環境省説明)施設設置許可にあたってはPOPsの分解処理が確保されることが重要となるので、分解率
は、その判断材料として、例えば実際に処理を行う前に分解できることを確認するための判
断材料として使うことを考えていきたい。
○「焼却+分解(化学・熱分解)」という記載があるが、焼却に加えて分解を追加で行うという意味では無い。
誤解を与える書き方になっているため、「焼却もしくは分解」とすべきではないか。「焼却処理施設の維持管
理上必要と考えられる項目(案)」という記載があるが、これらの項目は処理施設全般が対象であるため、
「焼却」は書かない方が良い。
→(環境省説明)誤解のないようにご指摘を踏まえて修正する。
■その他
○制度を作る際は、しっかりと地方自治体に説明をしていただきたい。
→(環境省説明)今の適正処理の実態を阻害しないように留意しつつ制度を検討し、また施行後も円滑な運用
ができるように、関係自治体向け説明会を丁寧に開催するなど周知徹底をしていきたい。
制度的措置について、特別管理産業廃棄物又はPOPs含有産業廃棄物のどちらかに指定され
ると思うが、収集運搬業は特別管理廃棄物の収集運搬業の許可が必要なのか、通常産業廃棄
物の収集運搬業の許可でよいのか。今後考えていっていただきたい。
(3)POPs廃棄物に係る国際動向について
資料3について環境省より説明。
委員からの主な意見の概要は次のとおり。
○国際的な議論が活発になされているので、これからも情報収集し、前半の制度的措置との関係を議論していき
たい。
(4)難燃剤に係る業界の取り組みについて
①日本自動車工業会
資料4-1について説明
■代替品について
○DeBDEを中心として説明いただいたが、代替の難燃剤はどういうものが使われているか。
→(日本自動車工業会説明)代替の難燃剤は、りん系難燃剤などの規制されていない物質に代わっていると聞
いている。
■SCCPの情報について
○SCCPは国内で使用されているか。使用されている場合、現状の取り組みはどうなっているか。
○中鎖塩素化パラフィン(MCCP)の情報は持っているか。MCCPには不純物としてSCCPが含まれているが、
MCCPの使用状況に関する情報は持っているか。
→(日本自動車工業会説明)SCCP(がリサイクル材の与える影響)については調査してきておらず、この場で
はお答えできない。
■マテリアルリサイクルについて
○内装材の中でもマテリアルリサイクルできそうな部品はあるか。
→(日本自動車工業会説明)内装材でDeBDEを使っていない部品もあるが、DeBDEを使っている部品の近く
で使われていたりするので、解体時にDeBDE使用部品が混じる可能性がある。
現在はDeBDEが絶対に入っていない外装部品だけを使って樹脂リサイクル実証
事業を行おうと考えている。将来的には対象部品を拡大していかなければ、樹脂
のマテリアルリサイクルが増えていかないので、細かい判別も必要になるかもし
れない。
○参考資料に、平成25年度実績でプラスチックのマテリアルリサイクル率が0.5%と書いているが、これをさら
に上げる数値目標があれば教えてほしい。
→(日本自動車工業会説明)マテリアルリサイクル率の数値目標は持っていない。実証試験を通して検証して
いきたい。
■DeBDEの使用部位について
○リサイクル候補樹脂部品として前後バンパーとアンダーカバー類が挙げられているが、これらは過去から含め
てDeBDEは使われていないという理解でよいか。自動車部品では、DeBDEの使用有無は部品できまるのか。
それとも車種によって異なるのか。
→(日本自動車工業会説明)バンパーは過去からずっとDeBDEが使われていない。DeBDEが使われているか
どうかは、車種ごと、部品ごとで異なる。全メーカー、全車種で使っていないの
は、本日示した2種と、外装材の一部部品くらいである。内装材は過去に使って
いたものもあるため、一概に言えない。
②家電製品協会
資料4-2について説明
■ブラウン管式テレビの処理フロー
○ブラウン管式テレビの処理フローで、適正処理にサーマルリサイクルが入っているのは現状の話か、今後の話
か。
○今後規制されたら、ブラウン管テレビのバックカバーやフロントカバーはDeBDE含有有無に関わらず全てを
サーマルリサイクル又は焼却処理するという理解で良いか。
→(家電製品協会説明)現在は規制されていないので、一般プラスチックのように再生プラスチックとして利
用されている。今後規制されたら、ブラウン管式テレビのバックカバー及びフロント
カバーは全てサーマル処理をし、分けられない部品は非鉄製錬で一緒に焼却処理す
る。
■DeBDEの使用について
○4品目以外の小型家電でDeBDEが使われているかどうかの知見があれば教えていただきたい。
→(家電製品協会説明)小型家電については、家電製品は輸出品が多いため、RoHS指令以降、2007年以降は
ほとんど使われていない。製品が輸出される場合も考えて、全ての製品に使われてい
ないと考えて良い。
○小型家電については、RoHS指令以降は使用していないということだが、それ以前は、証拠はないが使われて
いたことは否定できないということでよいか。
→(家電製品協会説明)ドライヤーなど必要なところには使っている可能性が無いとは言えない。
■リサイクル率につて
○今後の話ということでフローを示していただいているが、冒頭でお示しいただいたリサイクル率、商品化率
は、今後ブラウン管は限りなくゼロになると考えて良いか。
○難燃剤の存在部位を除くことによるリサイクル率に影響ないか。業界で試算していたらお伺いしたい。
→(家電製品協会説明)ブラウン管のバックカバー、フロントカバーなど全てがサーマルになると、ブラウン
管テレビのリサイクル率は相当に落ちゼロに近くなることが懸念される。おそらく、
10%~20%程度になると考えている。去年から、廃家電の受像機の中でブラウン管
はマジョリティ(多数派)ではなくなり、メインは液晶テレビとなり半数を超えた。
今後はさらにブラウン管テレビの割合は減るため、受像機全体の再商品化率への影響
度は減ってくると考える。2007年以降に製造された、DeBDEを使用していない製品
が増えてくるので、中長期的には再商品化率は上がってくると考えている。
■代替物質について
○可能であれば、代替の難燃剤の動向もお伺いしたい。
→(家電製品協会説明)規制対象となっていない臭素系難燃剤を使っている。
(5)全体を通じて
○今回の検討は、中央環境審議会の意見具申を基にしていると思うが、適宜、検討状況を中央環境審議会に報告
していただければと思う。
○中央環境審議会の意見具申を受けての検討ということなので、適宜報告させていただきつつ、運営させていた
だきたいと考える。
○制度的措置について、特別管理産業廃棄物又はPOPs含有産業廃棄物のどちらかに指定されると思うが、例え
ば、収集運搬業は特別管理廃棄物の収集運搬業の許可が必要なのか、通常産業廃棄物の収集運搬業の許可でよ
いのか。この点も十分に検討していただきたい
閉会
以上