環境再生・資源循環

第29回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

令和3年3月19日(金) 140016:30

場所

WEB会議(YouTube配信)

出席委員

(委員)(五十音順)

伊規須委員、石岡委員、織委員、川本委員、鬼沢委員、岸川委員、木村委員、酒井委員、高岡委員、田中委員、永田委員(座長)、三浦委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議 船水座長

東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会 中杉委員長

豊田市PCB処理安全監視委員会 松田委員長

大阪PCB廃棄物処理事業監視部会 上野委員

北九州市PCB処理監視会議 浅岡座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

(1)高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況について

①各事業地域の処理の進捗状況

②変圧器・コンデンサー等の高濃度PCB廃棄物の処理・未処理の状況

③PCB特措法に基づく保管量等の届け出の全国集計結果

(2)高濃度PCBの掘り起こし調査の進捗状況等について

①自治体等における掘り起こし調査の進捗状況

②掘り起こし調査の更なる強化策

(3)低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組について

①低濃度PCB廃棄物の施設整備及び処理状況

②低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討会の検討状況

③PCB含有塗膜調査の進捗状況

(4)PCB廃棄物の適正処理の更なる推進に係る論点について

(5)高濃度PCB廃棄物処理施設の解体・撤去の進め方について

(6)その他

議事概要等

  • 全国の高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況について、JESCOのPCB処理事業所別の進捗率、変圧器・コンデンサー等の未処理業所数の内訳、平成30年度末時点のPCB特措法に基づくPCB廃棄物の保管等の届出の全国集計結果、令和2年9月末時点の掘り起こし調査の進捗状況及び電気事業法に基づく高濃度PCB含有電気工作物に係る掘り起こしの進捗状況について事務局及び経済産業省から報告があった。また、北九州事業エリアにおいて事業終了後に発見されたコンデンサー等の発見理由、大阪、豊田、東京、北海道事業エリアにおける知見の活用について事務局から報告があった。

  • PCB廃棄物の早期処理に向けた取組として、都道府県市による掘り起こし調査の支援、適正処理を促進する周知・広報、中小企業等の負担軽減措置等の実施状況について事務局から報告があった。また、自家用電気工作物設置者等に対する制度周知・早期処理の要請等の取組状況及びPCB廃棄物の適正な処理促進に関する説明会の開催状況について経済産業省から、またPCB廃棄物の早期処理に向けた政府の率先実行の実施状況について事務局から報告があった。

  • 北九州PCB処理事業所第1期施設の解体撤去の実施状況についてJESCOから報告があった。

  • 低濃度PCB 廃棄物の適正処理推進に向けた取組として、処理体制の整備状況、無害化処理認定施設の処理対象とする低濃度PCB廃棄物の制度改正後の処理状況、低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法の改訂の要点、課電自然循環洗浄法対象変圧器のPCB濃度の拡大の要点、低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討状況及び今後の検討の進め方について事務局から報告があった。

主な意見等

(議事概要)

  • 全国の高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況について、JESCOのPCB処理事業所別のPCB廃棄物の処理の進捗率、変圧器・コンデンサー等の未処理事業所数、新型コロナの感染拡大による処分委託等への影響と対策、及び令和元年度のPCB特措法に基づくPCB廃棄物の保管等届出の全国集計結果について事務局から報告があった。

  • 北九州事業エリアで事業終了後に新規発見された案件の事例分析に基づく掘り起こし調査の徹底に向けた取組の状況及び令和2年12月末時点の掘り起こし調査の進捗状況について事務局から報告があった。

  • 低濃度PCB 廃棄物の適正処理推進に向けた取組として、処理体制の整備状況、無害化処理認定施設の処理対象とする低濃度PCB廃棄物の制度改正後の処理状況、低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討会の審議結果として業界団体等に対するヒアリング結果、PCB特措法届出データの分析結果、処理促進に向けた都道府県の取組事例及び今後の処理促進策並びにPCB含有塗膜調査の進捗状況について事務局から報告があった。

  • PCB廃棄物の適正処理の更なる推進に係る論点として、PCB特措法平成28年改正から5年見直しの観点から平成28年改正後に実施してきた取組の状況及び処理完了に向けた課題について事務局及び経済産業省から報告があった。

  • 北九州PCB処理事業所第1期施設の解体撤去の実施状況及び今後の方針についてJESCOから報告があった。

主な意見等:

(1)高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況について

   (意見等なし)

(2)高濃度PCBの掘り起こし調査の進捗状況等について

    • 北九州事業エリアで継続保管されている案件が最も多いのが中国地方となっているがなぜか。(田中委員)→掘り起こし調査の最終通知を送付した件数が最も多かったことが一つの原因と考えている。(事務局)

    • 処理期限後に発見された自家用電気工作物の約4割は電気絶縁物処理協会のデータ(P協データ)に掲載されていたということだが、実在することがわかっていながら登録されていなかったということか。(田中委員)→掘り起こし調査を開始する前に高圧受電設備を廃止した場合や高圧受電から低圧受電の設備に変更した場合等、自家用電気工作物のリストを基にした掘り起こし調査の対象から外れていたことが新規発見となった理由と考えている。(事務局)

    • 安定器の処理見込みが当初よりも8割程度増加したというが資料2のどの数値を読めばわかるのか。(酒井委員)→平成26年の事業見直し時点と比較して8割程度増えているのだが、配付した資料から読み取ることはできない。重要な指標なので今後はより分かりやすく示して説明するようにする。(事務局、永田座長)

    • 現在も使用中の高濃度PCB使用電気機器が大阪事業地域や東京事業地域にまだ多数残されている。これらを所有する事業者はどのように考えていて、またこれらの事業者に対してどのような働きかけを行っているのか。(鬼沢委員)→経産省と連携し管轄自治体の職員とともに直接訪問して処理の必要性を説明し廃止してもらうように説得している。(環境省)→大阪事業地域で4月以降も使用中の機器を所有する事業者に対しては、違法になることを通知するとともに今後電気事業法上の改善命令の発出や、立入検査の実施により粛々と対応していく。(経済産業省)

    • 北九州事業地域で最近、使用中の高濃度PCB使用変圧器が1台発見されたが、経済産業省はどのように対応したのか。(永田座長)→発見時は既に電路から取り外されており、電気事業法上の取扱いは電路から取り外された時点で規制対象外となる。(経済産業省)→このようなことを行っても何も責任を問われないとなると他の地域にとってあまりよい話ではなく、モラルハザード的な問題を生じることになりかねない。(永田座長)→処理期限を過ぎて電路に設置されたままの高濃度PCB含有電気工作物については、必要な報告徴収やその他必要な措置を講じていく。(経済産業省)

    • 高濃度PCBを含む機器が不法投棄された事例はあるか。(三浦委員)→事例はあるが提示できる形で整理したものはない。今後整理して示すようにする。(環境省、永田座長)

    • 北九州事業地域で新たに発見された事例には公共からのものも多数ある。公共は率先実行することとなっており何らかの対策が必要。(永田座長)→今後期限を迎える大阪事業地域より東の地域の自治体には改めてそのようなことにならないよう依頼する。(環境省)

(3)低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組について

    • 今後の対応方針において、低濃度PCB廃棄物等の全容把握完了目標の設定としているがどのようなイメージか、使用中機器の廃止の促進では関係法との連携と記されているが何を意味するのか、保管中機器の分析のところに全数分析ルールの緩和としてみなしルールの拡大を挙げているがどのようなことを想定しているのか。(永田座長)→一案として全容把握完了の目標年を設定することを考えている。関係法とは電気事業法を想定しており、経産省と連携して検討していく。みなしルールとは、高濃度でないことが確認できたものについては、全数のPCB濃度を測定せずに低濃度PCB廃棄物とみなして無害化処理施設で処理できるようにすることを考えている。(環境省)

    • 溶接機のコンデンサーのように非自家用電気工作物から多数PCB機器が見つかっており、業界団体の認識を高めていく手段をぜひ講じていただきたい。(永田座長)→自家用電気工作物の所有者は中小企業や小規模事業者が大部分を占めるので、中小企業関連団体を通じて周知する等の取組を今後強化していく。(経済産業省)

    • 可燃性のPCB汚染物の範囲を最大10%まで広げて焼却処理できるようになったが、ダイオキシン類の発生が懸念される。技術認定のフォローアップをしているか聞きたい。(北九州PCB処理監視会議座長)→無害化処理認定を取得してこれらを処理している3事業者の排ガス中ダイオキシン類濃度はいずれも管理濃度のワンオーダー以上低い値になっていることを確認している。(環境省)

    • 低濃度についてはリスクを考慮して業界団体を通じて周知していくとしているが、業界団体から漏れる事業者もいる。実効性があると考えているか。(織委員)→業界団体を通じた周知に加え、高濃度PCBと同様に広報活動を行っていく。(環境省)→電気主任技術者の所属団体を通じて周知する。(経済産業省)

(4)PCB廃棄物の適正処理の更なる推進に係る論点について

    • 電気主任技術者による掘り起こしのサンプリング結果の集計を見ると北海道事業地域の14件に対して東京・豊田・大阪事業地域では2年続けてゼロであって調査が不十分のように見える。電気主任技術者には役割をきちんと明示して積極的に対応していただけるような措置を講じていただきたい。(永田座長)→資料のデータは電気主任技術者が発見したものだが、従前と集計の手法を変えており、掘り起こしが進んだことによる傾向なのか、取りこぼしが要因なのか、改めて確認したい。(経済産業省)

    • 国家プロジェクトとして取り組んできたPCB廃棄物の適正処理だが、施設や実施してきたこと等の情報をきちんと残しておくことが重要。サーキュラーエコノミーの観点から廃棄物を徹底的に活用することが重要。海外ではPCB廃棄物であっても燃料として活用している例があると聞いており、国内でも低レベルのPCB廃棄物についてはエネルギー回収の観点から検討してみることも価値があると思われる。(田中委員)

    • 危険物タンクを多数所有する石油業界では、タンクの点検を10年周期で実施している。その点検タイミングでPCBを含有する塗膜があるかどうかを確認するとなると2027年の処理期限を過ぎてしまうこともあり得る。一律の処理期限がよいのか、見直しをするのであれば5年に1回のこのタイミングで前広にぜひ検討していただきたい。(三浦委員)

    • 「低濃度PCB廃棄物の全量処理に向けた処理技術の高度化」としているが、高度化の意味が曖昧。無害化処理施設数や処理能力を増やすのか、効率よく進むように技術を改良するのか、運用システムを改善するのか、より具体的に示していただきたい。(川本委員)

    • 北九州事業地域で処理期限後に発見された高濃度PCB廃棄物については早めに出口を示していただきたい。低濃度PCBは高濃度PCBに比べて30~40年後に判明した新しい問題であり、課題に対しては実態に即して柔軟に対応していただきたい。(岸川委員)

    • 低濃度PCB廃棄物については、全量把握と処理促進を一体で検討していくとしており、それはそれでよいが、温暖化対策等の高ベネフィット的な対策はすぐにでも手を打って始める等、可能なところから始めるといった視点も必要。(酒井委員)

    • 安定器・汚染物等の処理残量が計画的処理完了期限の令和4年3月末時点で1,587トン見込まれており、処理促進策や全国規模での事業の見直しをしていくとしているが、全国規模という点については計画を精緻にしっかりと立てていかないと難しいのではないかと思われる。また、高濃度PCBに該当するPCB試薬については一定の除外規定を設ける等の配慮を是非検討いただきたい。(高岡委員)

    • 低濃度PCBの全容把握では運用上の制約から容易に対応できないものもあり、所有事業者がより協力しやすくなるように現実的かつ合理的な対応策を検討して実施していく必要があると考える。(木村委員)

    • 低濃度PCBについては利用者が効率的かつ低価格で実施可能な手法の開発や認定施設の増加といった出口とセットで考えていくことがポイントだと思う。リスクの大きさに見合った処理の仕方を突き詰めて考えてもらいたい。掘り起こし調査や高濃度PCB処理で行った経験は世界的にも稀有な事例だと思うので、これから処理を行う諸外国等によい見本となるよう情報を発信するとともに、SDGsの観点からも整理して最終の報告書に記載し発信していただきたい。(織委員)

    • 全体に処理が遅れている部分を全国レベルで対処するという意見があったが、最後に残る東京や北海道の計画的処理完了期限が超えてしまうようなことは決してないようにお願いしたい。(東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会委員長)

    • 低濃度PCBについては、全容把握の結果を参考にいつ以降製造出荷されたものにはPCBが含まれていないといった安全宣言を早く出していただきたい。(永田座長)

    • 経産省説明会のアンケート結果によると事業者が困難と思っている点として代替機器の買い換え費用の負担が挙げられている。使用中の機器の早期交換は難しく、期限ぎりぎりまで使ってしまうことになりかねず、具体的な対策をぜひ検討していただきたい。(鬼沢委員)

(5)高濃度PCB廃棄物処理施設の解体・撤去の進め方について

    • 北九州処理施設の解体の先行工事では、あくまでも計画性を持って事前に十分な安全の確保を図る形で計画して実施していただきたい。(北九州PCB処理監視会議座長)

(6)その他

   (意見等なし)

                                              以上