環境再生・資源循環

第28回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

令和2年11月13日(金) 100012:20

場所

TKPガーデンシティPREMIUM 田町 4B4CWEB併用)

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員(WEB)、伊規須委員、石岡委員(WEB)、織委員(WEB)、川本委員、鬼沢委員、岸川委員、木村委員、後藤委員(WEB)、酒井委員、高岡委員、田中委員、永田委員(座長)、三浦委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議 座長(WEB)

北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

(1)PCB廃棄物処理の進捗状況について

  ① 変圧器・コンデンサー等の高濃度PCB 廃棄物の処理・未処理の状況

  ② 自治体等における掘り起こし調査の進捗状況

  ③ 北九州エリアで処理完了後に発覚した変圧器・コンデンサーの状況と他エリアでの対応

(2)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

  ① 環境省の取り組み

  ② 経済産業省の取り組み

  ③ 政府の率先実行の実施状況

(3)北九州PCB処理事業所の第1期施設の解体撤去の状況について

(4)低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組について

(5)その他

議事概要等

  • 全国の高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況について、JESCOのPCB処理事業所別の進捗率、変圧器・コンデンサー等の未処理業所数の内訳、平成30年度末時点のPCB特措法に基づくPCB廃棄物の保管等の届出の全国集計結果、令和2年9月末時点の掘り起こし調査の進捗状況及び電気事業法に基づく高濃度PCB含有電気工作物に係る掘り起こしの進捗状況について事務局及び経済産業省から報告があった。また、北九州事業エリアにおいて事業終了後に発見されたコンデンサー等の発見理由、大阪、豊田、東京、北海道事業エリアにおける知見の活用について事務局から報告があった。

  • PCB廃棄物の早期処理に向けた取組として、都道府県市による掘り起こし調査の支援、適正処理を促進する周知・広報、中小企業等の負担軽減措置等の実施状況について事務局から報告があった。また、自家用電気工作物設置者等に対する制度周知・早期処理の要請等の取組状況及びPCB廃棄物の適正な処理促進に関する説明会の開催状況について経済産業省から、またPCB廃棄物の早期処理に向けた政府の率先実行の実施状況について事務局から報告があった。

  • 北九州PCB処理事業所第1期施設の解体撤去の実施状況についてJESCOから報告があった。

  • 低濃度PCB 廃棄物の適正処理推進に向けた取組として、処理体制の整備状況、無害化処理認定施設の処理対象とする低濃度PCB廃棄物の制度改正後の処理状況、低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法の改訂の要点、課電自然循環洗浄法対象変圧器のPCB濃度の拡大の要点、低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討状況及び今後の検討の進め方について事務局から報告があった。

主な意見等

(1)PCB廃棄物処理の進捗状況について

  • 変圧器・コンデンサー等の事業エリア別の未処理量を見ると北海道エリアと東京エリアが豊田エリアに比べて多くなっている。処理期限までの今後の見通しについて聞きたい。(永田座長)→未登録量が登録量よりも多くなっているが処理能力は十分にあるので今後の総ざらい活動の中で関係自治体等の協力を得ながら積極的に登録してもらい処理していく。(JESCO、事務局)

  • PCB処理の制度を立ち上げる際に地域の協議会を設けて関係者の情報を発信して互いの情報を確認しながら進めていくのが効率的であると提言した。その地域協議会の現在の状況はどうなっているか。(浅野委員)→今年度も各地で地域の協議会を開催したが、新型コロナ感染拡大を受け書面開催としている。今後はWEBでの開催も検討して協議会を運営していく。(事務局)

  • 掘り起こし調査は複数回実施するなどしてきめ細かに行うことで掘り起こされた事例が出てきたと聞き、日本ならではのアプローチであって非常に価値ある活動であったと評価したい。(織委員)

  • 変圧器・コンデンサー等の処理の進捗状況をまとめた図には約1万台の紛失分があるとされていて、今後発見される可能性を含んだ潜在的なものがある。また、掘り起こし調査を複数回実施したとしても北海道事業エリアの廃安定器のように回答率が半分以下のところは今後100%把握されたとしても処理期限内に処理しきれるのかといった問題がある。このような紛失や未登録の処理期限後の取りこぼし部分を今後どのように担保していくのか考え方を聞きたい。(三浦委員)→今の段階では、北九州事業エリアでの教訓も活かして懸命に掘り起こし調査を実施している最中である。処理期限後に万一出てきてしまったものの処理については、また別途ご相談しながら検討していく事項であると認識している。(事務局)

  • 未登録分が約1万台とされているが北九州事業エリアでの経験を活かした現時点での予測値なのか。また、未登録分を掘り起こす計画がきちんと立てられているのか、どれだけ積み残しが出てくるのか、それは大体何%で数量が何台といった予測もされているかお聞きしたい。(北九州市PCB処理監視会議座長)→約1万台とした未登録分は、現時点の未登録数である2,821台に対してこれまでの北九州事業エリアも含めた全国の掘り起こしの知見を活かして今後掘り起こされると思われる数字を考慮して最大限見積もって推計したもの。現在掘り起こし調査を実施している自治体には北九州事業に限らずこれまでの掘り起こし調査で得られた知見等を踏まえて新規で発見されないように、処分期間内に掘り起こしができるように進めていきたいと考えている。(事務局)

  • 北九州事業エリアで受入終了後に新たに見つかって保管を継続しているものが196件あるとのことだが、そのうち未登録の事業所はどの程度であったか。また、次に処分期間終了を迎える大阪事業エリアの現時点の未登録事業所は149事業所とされているが、今後の見通しについて教えていただきたい。(酒井委員)→北九州事業エリアの196件は全て未登録事業所であって登録済みのものを見逃したものではない。また、ほぼすべてが1事業所1件の発見であり、事業所数もほぼ同数である。未登録事業所のうち、不存在などの代執行案件については自治体において把握できており、今後不存在以外についても処分委託契約が進むよう取り組んでいく。(事務局)

  • 処理期限まで残り少ない中、北九州事業エリアの知見を今後どのようにして大阪事業エリア等に活かしていくのかお聞きしたい。(高岡委員)→実際に未回答となっているか、若しくはなしと回答されているもので怪しそうなものについては管轄自治体が念のためヒアリングを実施していくなど、自治体と連携して対応していく。(事務局)

  • 北九州事業エリアの196件について、未登録のものが掘り起こしで発見されて処理されたものと処理が積み残されたものについて、絶対数ではなく、パーセンテージで教えてもらいたい。(北九州市PCB処理監視会議座長)→北九州事業エリア全体で掘り起こし調査により掘り起こされた事業所は1,200であるため、比率は約16%となる。(事務局)

  • 北九州事業エリアは広く、北九州市や福岡県以外の地域もあるが、196件の地域分布はどうなっているか。(浅野委員)→ほぼすべての県から数件ずつ見つかっている。(事務局)

  • PCB特措法では、期限までに処理しなくても直接ペナルティが課せられることにはなっていない。PCB廃棄物と認識しながら譲渡することについては厳しい罰則がかかることにはなっているが、すでに現役の施設としては使われていない施設にPCB廃棄物があるとは知らずに無関係の人に譲渡された施設を解体しようとした際に見つかった事例があると聞いており、このようなケースには罰則がかからないことになっている。このようなケースの扱いと、発見されたものを今後どう処理するかについて、今のうちから検討を始める必要がある。(浅野委員)→まずは、これから掘り起こし調査を実施するところでは同じことが繰り返されないようにするが、発見されたものの制度面の措置については、現在の制度に見直すべきところがあるかどうかも併せてしっかり検討していきたい。(事務局)

  • 196件のうち、事業所別にみると29件は公共施設からとなっている。ポンプ場からも出てきており、公共の施設であれば調べればわかることではないか。今後は、少なくとも公共施設から発見されることがないようにしていかなければいけない。(鬼沢委員)→ご指摘を踏まえ、しっかりと掘り起こしをしていく。(事務局)

  • 北九州事業エリアで発見された196件については、現時点で集まったデータを基に地域性や台数と事業所数の関係等、多角的に検討していってもらいたい。特に今後は事業所数と件数の両方の値を示すようにしていただきたい。また、公共と民間の施設を分けて整理しているが、公共施設はどういう地点で、どういった使用形態のものが多いのかといった分析も行い、得られた結果を対策につなげていってもらいたい。さらに、検討してまとめたきめ細かな対策については一括でまとめて関連の業界団体等に示し、最大限の努力をしてもらうよう周知していってもらいたい。(永田座長)

  • 自治体が行う掘り起こし調査では、P協データの活用は非常に少なくなっている。JESCOが整理して自治体に提供したP協データは非常に有効なデータであるので、もっと積極的に活用していってもらいたい。(永田座長)→JESCOとしてはこれらのデータを突合した未登録台帳を各自治体に配付しているが、自治体がどう活用するかまではコントロールできないのが実態。(JESCO)→使えるデータは積極的に使っていくべきであり、これらも含め地域協議会の場等において各自治体に周知していく。(事務局)

(2)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

  • 高濃度PCB電気工作物早期処理のための確認チェックポイントが示されているが、どのような状況の時にチェックをして発見確率が高まるのか、このような情報をどのように調べ上げる努力をしているか説明していただきたい。(永田座長)→環境省が取りまとめた発見事例を基に電気主任技術者の現場での確認時に活用できるものとして作成したもの。今後、電気主任技術者と接点がある各産業保安監督部より積極的な情報収集を要請し、新たな情報が得られたたら検討して追加し、充実したものにしていく。(経済産業省)

  • 新型コロナ感染症対策を踏まえた支援措置が新たに追加されたが、その影響はどのような形で把握され、どのような情報として得られているか説明いただきたい。(永田座長)→経営状況が悪化してPCBの処理が実施できない事例を確認している。今後どのような影響が出てくるか情報を収集して分析していく。今回の支援措置について周知し、契約いただけるよう努めていく。(事務局)

  • 高濃度PCB廃棄物と高濃度PCB使用製品は登録処理という形で把握され完結していくが、低濃度PCB廃棄物と使用製品はどのように把握していくのか。(田中委員)→低濃度PCB廃棄物もPCB特措法に基づく届出対象となっている。(事務局)

(3)北九州PCB処理事業所の第1期施設の解体撤去の状況について

  • 粗解体設備の解体撤去では、ダイオキシン類の作業環境測定濃度が基準値以下ではあるものの桁が同じオーダーとなっている。また、8月3日の測定値と1カ月半後の測定値では半減しているが、7月から解体を開始しているので、その時点では基準値を超えた可能性がある。作業の手順に基づいてきちんとサンプリングすることの重要性を暗示するものと思われるが、どう考えるか。(北九州市PCB処理監視会議座長)→ダイオキシン類の作業環境基準は極めて厳しい値が設定されており、それを下回っていることは評価できる。また基準を超えた場合には適切な保護具を着用することとされており、実際にレベル2の適切が保護具を着用して作業が行われた。(森田委員、伊規須委員、JESCO)→夏季に防護服を着用して行う作業は作業者に相当負荷がかかる。季節的な対策もマニュアルに記載するよう対応してもらいたい。(永田座長)

(4)低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組について

  • 低濃度PCB廃棄物の処理期限もさほど先でもない状況であるが、産業界からのコメントをいただきたい。(永田座長)→廃棄物となったものの処分は計画的に進めているが、使用中の製品が大量に残っているため鋭意特定する調査を進めているものの全体計画の策定までには至っていない。業界(鉄鋼連盟)として極力早期にPCBリスクを減らす方向で管理方法や優先順位の検討に着手しているところ。(木村委員)→石油業界としては、電気工作物関係はかなりの努力をして処理を進めておりほぼめどはついているが、塗膜や感圧複写紙といった電気工作物以外のものが次々と出てきていて処理期限を越えて出てくるのではないかと危惧しているため、処理期限の見直しをご検討いただきたい。また、処理期限の見直しを行うのであればなるべく早い段階でご検討いただきたい。(三浦委員)

  • 処理促進方策の一つとして抜油後の容器の新たな処理方策の早期の制度化をお願いしている。制度化に向けた現在の状況と具体的なスケジュールについて聞きたい。(木村委員)→廃棄物処理法上の無害化処理認定制度の取扱をどうするか中で議論をしているところ。大枠がだいぶ固まってきたのでできれば年内にパブリックコメントに進めるように進めていきたい。(事務局)

  • 今までPCBに汚染された絶縁油であることを認識せずに使用してきている方が大勢いる中でそれを掘り起こしていくのはそれなりに難しい要素がある。またリスクが高濃度のPCBに比べて極めて小さいこともあり、高濃度PCBと同じ厳しさで処分していくことが適切かどうかといった議論もないわけではない。その中でわかってきたことを踏まえつつ徐々に対策して処理を進めていくことが適切な方向ではないかと感じている。(森田委員)

(5)その他

  • 低濃度PCBの対策では、絶縁油そのものの非化石化に向けた舵取りの可能性を是非ご検討いただきたい。というのも、トランス機器の中に封じ切り機器があり、PCB汚染の判定には電気機器を解体して分析するといった要請を出すことが必要であった。2050年の温室効果ガス実質ゼロの施策に併せて絶縁油の脱炭素化に向けた政策や技術に取り組んでもらうと、上手く交換の際にPCBを測ってもらうことができる。(酒井委員)→ご意見を踏まえ積極的に取り組んでいく。(事務局、経済産業省)

  • いろいろと努力して掘り起こし調査や結果の分析に活かしていただいたとしても期限後にやはり見つかるものがゼロにはならないということを前提にして、処理システム、施設の解体計画、大臣認定の施設の活用等、トータルで困らないことを考えておかなければいけない。(田中委員)

  • 北九州事業エリアで期限後に見つかった未登録のものがどのような分布をしていたかといったデータを分析して今後示していただきたい。(伊規須委員)→今後の事業エリアでの展開に活かすためにも追加で発見されたものが未登録であったということの関係について、その前からの状況、掘り起こし調査との関係、地域的な分布、大きさ、使用者が誰なのかといった観点から整理して示していくことにする。(永田座長)