環境再生・資源循環

第26回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成31年3月26日(火) 10:00~12:09

場所

AP新橋 3階A室

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、伊規須委員、石岡委員、大内委員、川本委員、鬼沢委員、岸川委員、木村委員、酒井委員、田中委員、田和委員、永田委員(座長)、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議座長

東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

大阪PCB廃棄物処理事業監視部会委員

北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

(1)北九州事業地域の変圧器・コンデンサー等の計画的処理完了期限に向けた取組について

(2)PCB廃棄物処理の進捗状況について

(3)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

(4)PCB廃棄物処理施設の解体・撤去の進め方について

(5)低濃度PCB廃棄物の処理に向けた取組について

(6)その他

議事概要等

  • 3月末に計画的処理完了期限を迎える北九州事業地域の変圧器・コンデンサー等について、事務局からこれまでの取組について説明があり、計画通り処理を完了するとの報告があった。また、経済産業省から処分期間後に発見された高濃度PCB含有電気工作物の廃止の実施状況及び廃止に係る指導の状況について説明があった。また、事務局から他地域に展開すべき先行的取組及び事例として、北九州事業地域の変圧器・コンデンサー等の処分期間終了後の行政処分等の実施結果、新規発掘事例から考察された処分期間内の処分のための留意事項等について説明があった。
  • 我が国全体のPCB廃棄物処理の進捗状況について、経済産業省から平成29年度の電気事業法に基づく高濃度PCB含有電気工作物の管理状況届出の全国集計結果及びこれらの掘り起こしの進捗状況と廃止予定年月について説明があった。また、事務局から平成29年度末時点のPCB特別措置法に基づくPCB廃棄物の保管等の届出の全国集計結果を示したのち、都道府県市による掘り起こし調査の進捗状況と変圧器・コンデンサー等の未処理事業所数の集計結果について説明があった。
  • PCB 廃棄物の早期処理に向けた取組について、事務局から地方環境事務所の体制強化、都道府県市の掘り起こし調査の支援、PCB使用安定器の掘り起こし対象事業者リストの整備及びテレビCMによる広報の効果、高濃度PCB含有塗膜の調査の概要及び政府の率先実行の実施状況等について説明があった。続いて、経済産業省から全国で実施した説明会の開催状況及び次年度の実施方針等について、JESCOから登録促進のための掘り起こし支援の実施状況、契約促進のための保管事業者説明会の開催、関係機関との連携推進等の取組状況について説明があった。
  • 北九州PCB処理事業所第1期施設の解体撤去の進め方について、JESCOから解体撤去の基本的な考え方及びその進め方、今後のスケジュールについて説明があった
  • 低濃度PCB 廃棄物の適正処理推進に向けた取組について、事務局から「平成30年度低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討会」の検討状況として、低濃度PCB廃棄物の処理実績、無害化処理認定施設の整備状況、保管事業者・所有事業者等への実態把握のヒアリング結果等について説明があった。また、低濃度PCB汚染物の判断基準について、現行の規定、考慮すべき事項、基本的な考え方を説明したのち、判断基準の案が示され、了承された。さらに、今後処理対象量の増加が見込まれるPCB含有塗膜や最近その存在が発覚した感圧複写紙等の処理方法の検討のため、無害化処理認定施設で焼却実証試験を実施していくとの方針について説明があり、了承された。

主な意見等

(1)北九州事業地域の変圧器・コンデンサー等の計画的処理完了期限に向けた取組について

  • 期限が近づかないとなかなか動かない。他の施設で期限までの完了のためには、段階的に期限を設定していくことが重要。(北九州市PCB処理監視会議座長)
  • 今後、安定器・汚染物の処理が待っている。変圧器・コンデンサーの処理の際の課題を活かして速やかにできるよう、立地自治体としても最大限協力できるところはしていくので、今後も環境省、関係自治体の協力をお願いしたい。(北九州市)
  • 先行事例として得られた成果、経験を次の展開に活かしていくことを約束する。(永田座長)
  • 過去に紛失した1.1万台の高圧変圧器・コンデンサー等と、掘り起こしで見つかったものの関連は。(川本委員) →別のものと整理している。(事務局)
  • 人的補強は掘り起こしにうまく機能したか。(川本委員) → 環境省では任期付職員を10名増員し、自治体も人繰りの努力をして掘り起こしに対応した。(事務局)
  • 試薬が新たに見つかったとのことだが、大学や研究機関からも見つかったか。(川本委員) →多くは大学や研究機関から見つかった。(事務局)

(2)PCB廃棄物処理の進捗状況について

  • 照明器具安定器の掘り起こし調査は、処分期間の終了までにやればいいではなく、前倒ししてなるべく早くに進めていくことが大切。照明器具安定器は危機感が薄いのではないかと心配。(鬼沢委員)→ご意見の通り、なるべく掘り起こし調査を早期に完了すること、危機感を持って取り組むことが重要と考えている。(事務局)
  • 経済産業省の高濃度PCB含有電気工作物に対する掘り起こし調査の進捗状況は、各県のサンプルを対象にして進捗率を示しているが、母数が異なるので比較できないのではないか。統計的に解析して見ていく必要がある。(浅野委員) → 電気事業法関連法令等の改正により、主任技術者が職務として実際に現物を確認することが義務付けられた。サンプル調査の結果はその進捗状況を確認するために示したもので、サンプルで掘り起こし調査を行っているものではない。この方法で行うことは以前開催された当検討委員会で確認をいただいている。(経済産業省)

(3)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

  • 政府の率先実行の状況について説明されたが、内閣や裁判所はその対象に含まれているか。(浅野委員) → 北九州事業地域の調査ではこれらも含めて実施した。(事務局)
  • 3月13日の北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議で、我が国の環境中にPCBがどのような形でどの程度存在しているかの情報が、最近まとまった形で知らされていないとの問題が提起され、そうしたデータや情報が早期処理に向けた駆動力になるとの意見があった。大気、水質、底質、生体試料のPCBのモニタリング結果が全国的にどのような状況か、以前と比べた推移も含めて国民に情報提供してほしい。(北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議座長) → 環境省の環境保健部が毎年調査して公表している。(東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会委員長)→ 関係部局と連携しどのように情報提供していくのが適切か検討したい。(事務局)
  • 塗膜の調査を進めているとのことだが、処理期限との関係から今後どのように扱っていくのか。(東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会委員長) →資料5-3で説明する。(事務局)
  • 環境中のPCB濃度については、土壌汚染やシーリング材の存在も関係していると思われる。調査する必要があるか検討した方が良い。(東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会委員長) →関係部局とともに検討していく。(事務局)

(4)PCB廃棄物処理施設の解体・撤去の進め方について

  • 解体・撤去に際しては、周辺環境への配慮を行うこと、作業者の安全衛生管理を行うこと、解体撤去に伴うPCB廃棄物は適切に無害化することを解体撤去の基本方針としている。具体的な工程策定に際しては、ステップを踏んだ計画を基本としているところ。(JESCO)
  • 解体撤去は2段階に分けたステップを踏む段階的実施としており、第1段階では適用する技術の確認や本工事の事前作業、第2段階で本工事の施工という手順を検討していくことにした。作成したマニュアルは豊島の不法投棄事案の撤去マニュアルも参考にした。初の経験となるので慎重に取り組んでいきたい。(酒井委員)
  • 解体撤去時の安全衛生管理については、北九州部会でも認識している。初めてのことが多いので、ブレーンストーミングを行い、検証しながら進めていくことにしている。(伊規須委員)
  • 高濃度のPCBを処理した施設を解体するときに、洗浄した液は低濃度となる可能性があるが、基本的には系外に出さず、総量規制の漏洩の無いようにしてもらいたい。(北九州市PCB処理監視会議座長) → 解体撤去に伴うPCB廃棄物を洗浄したPCB油は、第1期施設の機能を活かしながら段階的に処理していくことにしている。(JESCO)
  • 解体撤去では、大型変圧器の現地抜油で適用している方法が参考になる。その方法を検討しながら進めること。(永田座長)

(5)低濃度PCB廃棄物の処理に向けた取組について

  • 低濃度PCBの処理でネックになるのは、低濃度PCBがどこにあるのかわからず、所有者自身が理解できていないことにある。絶縁油を抜いて確認するのも難しいものもあるが、見つけ次第壊す仕組みはできている。非意図的に副生成された顔料に含まれるものもある。低濃度PCBは、現在5,000ppm以下のものが対象とされているが、それをわずかに超えるものもある。経験的には1,100℃あるいはもう少し低くても分解すると思うが、実証的に調べ、前向きに検討して評価しながら進めていく。(森田委員)
  • 洗浄式の処理施設には県知事等の許可施設はあるか。(田中委員) → 洗浄方式の東京パワーテクノロジー(川崎市)と分解方式の日本海環境サービス(富山市)のいずれも固定式の2施設がある。(事務局)
  • PCB汚染物の入口基準を0.5ppmとするとのことだが、海外では50ppmとしている。安全に処理することは重要だが、経済的な負担も大きいので、処理の方法として0.550ppmの扱いと505,000ppmのものを分けて考えることもあるのではないか。(田中委員) → これまでの経緯を踏まえ卒業基準の0.5ppmを軸に考えている。(事務局)
  • 塗膜くずの廃棄物の区分は汚泥か。処理方法はカロリー的に燃焼が一番ふさわしいので、実証実験の結果を見て判断したら良い。 → 区分は剥離方法により汚泥か廃プラスチック類に区分されている。(事務局)
  • 低濃度PCBの大企業へのヒアリング結果として、様々な課題が挙げられており、対応が「困難」と記されているが、いずれは処理しなければならないものであり、これでは済まないものと覚悟して、今から準備して取り組んでいってもらいたい(永田座長)
  • 電力業界では使用中の低濃度PCB機器を多数所有しており、多くの課題を抱えている。今後も課題解決に向けて取り組んでいくのでよろしくお願いしたい。(岸川委員)