環境再生・資源循環

第19回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成28年6月10日(金)10:00 ~ 12:02

場所

JA共済ビルカンファレンスホール

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、大内代理人(上野委員代理)、織委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、菅委員、高橋委員、田中委員、中井委員、永田委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

中杉東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

松田豊田市PCB処理安全監視委員会 委員長

浅岡北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、豊田市、愛知県、大阪市、大阪府、北九州市、福岡県)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  • PCB特措法関係政省令等改正案の概要について
  • 電気事業法関係省令等改正案の概要について
  • PCB廃棄物処理基本計画について

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局より、PCB特措法関係政省令等改正についての説明を行い、委員より意見があった。
  • 経済産業省より、電気事業法関係省令等改正についての説明があり、オブザーバーより意見があった。
  • 事務局より、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画について説明を行い、委員より意見があった。

主な意見等

○PCB特措法関係政省令等改正案の概要及び電気事業法関係省令等改正案の概要について

(東京安全委員会) 高濃度PCB使用製品を処分するとき、高濃度PCB廃棄物のいろいろな手続きは要らないと思うが、論理的にいうと出したときに廃棄物になって、そうなるとまた高濃度PCB廃棄物としてのいろいろな規定がかかってくるので、そこら辺の関係をうまく整理しておいたほうがよいのではないか。

(環境省) 法律上は、一旦廃棄物になって処分をするという2段階の構成になっているが、そこを一気通貫でやる場合には、事業者さんの御負担にならないように、なるべく一回の届出で終えられるように、様式等を統合する等その辺りを工夫して混乱を生じないようにしていきたいと思っている。

(浅野委員) 資料1の8ページ、最後のところで、「電気事業法の管理計画に関する情報提供があった場合には、当該管理計画に係る高濃度PCB含有電気工作物が廃棄されたときは、特例を認めるために必要な届出があったものとみなす。」という趣旨であると思うが、情報の提供があった場合には、次に何々が廃棄されたときは届出があったものとみなすというふうにしようというように読める。ただ、届出があった場合に廃棄されてしまうと、それから後は電事法の管轄を外れてPCB特措法の世界に入ってくるはず。そして特例を認める場合の話として、4項の規定があって変更があったときは環境省令に基づいて都道府県知事に届け出なければならない。これがそのままだと情報の提供があったときに届出があったことになるのか、それとも廃棄したときに届出があったのかがちょっとはっきりしない。
 もし廃棄したときに届出があったものとするというのが、本当は筋が通っていると思うのだが、そうするといつ廃棄されたか全然報告が来ないということになる。都道府県知事はその後の変更についての報告をパスされたときに、チェックのしようがなくなってしまう。そうするとむしろ最初から届出があったことにしておいて、それから後は4項がいつでも、環境省のほうで手が出せるというふうにしたほうが良いのではないか。

(環境省) 電気工作物に関しては、法律でまず特例処分期限日、計画的処理完了期限までの間、PCB特措法の適用を除外するという形になって、基本的にはそこの間で、高濃度PCB使用製品についてきちんと廃棄していくためのプロセスというものは、PCB特措法と同じような仕組みとして、1年前に期限を切って基本的には1年前で廃棄していただく。ただし、特例を設けてJESCOときちんと調整がなされている場合については、特例を認めるというPCB特措法と基本的には同じような仕組みを考えていると経産省から伺っている。
 その場合に、電事法の世界で特例を認めてもらった人が、処分期間を過ぎてこれを廃棄した場合に、今度はPCB特措法の世界に入るのだが、そうするとPCB特措法のほうでは、都道府県知事に対して特例の届出をしていないのでいきなり違反状態になってしまう。これはまずかろうということで電事法の世界で特例を受けた場合に、その情報をきちんと都道府県のほうに渡していただくことで、それはPCB特措法に基づく届出もあったものとみなしたいと考えている。

(浅野委員) 13ページの承継に関する規定で、承継をするときに相続人が複数の場合では、全員の同意で1人の相続人を選定した場合、おそらく遺産分割協議書等の添付が必要であるのかと思われるのだが、この規定だと全くそれをつけなくていいことになる。続柄を証する書類だけがあればいいわけなので、除籍謄本を持ってきて戸籍謄本を持ってくればいいことになる。そうすると、後になってトラブルが発生した際に全くチェックのしようがなくなる。このような場合には協議書の写しが必要であると思う。

(環境省) 御指摘を踏まえまして、検討させていただきたい。

(酒井委員) 資料2の電気事業法関係のところで、今回管理計画(仮称)を毎年求めるという計画なのだが、その内容を紹介していただきたい。特措法の届出との整合性がとれるような計画の予定をなされているのか。
 電気工作物の使用廃止の届出をどのタイミングでどこにどういう内容でやるのかということを説明していただきたい。

 それから施行までの手続き、手順として、6~7月にパブコメをやられて8月1日施行という予定というふうに書いてあるが、具体的な日程を教えていただきたい。また、この検討会で再度この改正案の内容につきまして、審議させていただける機会を持つことができるのか。

(電力安全課) 現在考えている管理計画の具体的な内容については、事業者の氏名、住所、連絡先などを書いていただく他、具体的な電気工作物に関する事項として、その種類、規格、製造者名、使用の状態、製造年月日、設置の年月日、それから、廃止の予定日等について盛り込む方向で検討しているところ。
 都道府県市への情報提供という御指摘があったが、届け出された情報については、地元の都道府県市ときちんと情報共有を図っていくということに取り組んでまいりたい。
 パブコメのスケジュールは、資料の中では6月から7月ごろと書いているが、現時点で明確な日付について申し上げることはできないが、早ければ来週ぐらいには、パブコメを開始できることもあり得るのではないかと思っている。現時点で具体的な日にちについては御容赦いただきたい。
 この検討会の場で電事法の関係省令等の改正案について、内容を議論する機会があるかという点は、次回の検討会が7月15日に予定されているので、その場で省令等の内容について御紹介したい。

(環境省) 環境省の今回の政省令に関しては、6月10日から7月11日までパブリックコメントを募集する。その結果を踏まえて次回7月15日の検討会で御報告させていただきたいというふうに考えている。

(田中委員) 資料1の説明では高濃度PCB廃棄物0.5%という基準で、これ以上というように聞こえたが、0.5%を超えるものではないのか。
 それと10ページに廃棄という言葉が今回からいろんなところで使われるようになっているが、廃棄という意味がどういうことを意味するのか、もっと具体的にどこかで定義するなりしていただきたいと思う。さらに、資料2のほうでは廃止という言葉を使っており、高濃度の廃止予定とか廃止という言葉がある。廃棄あるいは廃止などは初めて出てくる用語なので、きちんと違いがあるのか。

(環境省) 0.5%を超えるという点は、御指摘のとおり。

 廃棄という言葉については、今回のPCB特措法の改正のときに「廃棄」という言葉を初めて使ったというのは御指摘のとおり。基本的には、廃棄物にすること、廃棄物として排出することを、廃棄するというふうに考えている。ここが電気事業法の世界の、廃止するという言葉遣いと少し異なっているというのは御指摘のとおりだと思っており、PCB特措法の世界に関しては、基本的にPCB廃棄物となるものをその前段階から規制の対象としていかなければならないという発想に立って、今回法改正をしているので廃棄という言葉を使っているところ。

(森田委員) 資料1の2ページにPCB使用製品から除かれる基準として、PCBを含む油からPCBが除かれて、いわば卒業基準とあった数字と関係するんですが、0.5ppmかなと思っていたのだが、ここでは0.3ppmが明示されていて、確認をお願いしたい。
 また、3ページの後段、PCB測定の検定方法については、今まで築き上げられた分析方法を使うということはとてもいいと思うが、一方で現実の分析値、測定方法は、そういうことを使っているといいながら、意図的ないしは非意図的に誤ったデータが出てきて、混乱する局面に結構遭遇するので、どこかに測定の信頼性を確保しつつとか、そういう文章を入れることはできないか。

(環境省) PCB使用製品から除かれるもの、課電自然循環洗浄法を用いて使用製品について卒業させていくところの基準については、部材も含めてきちんと0.5を担保するということで経済産業省と一緒に作成した手順書において0.3という数字を定めているところであるので、0.3ということで定めたいと思っているところ。
 検定方法の信頼性のところは重要な御指摘だと思っており、信頼性を確保できるようにやっていきたいというふうに思っている。

(東京都) PCB含有電気工作物の掘り起こしというふうに記載があるが、これには低濃度も含まれているのか。
 また、掘り起こしのために電気主任技術者の方に御協力をいただく中で、使用者名と使用者の連絡先、せっかく電気主任技術者の方に情報を求めるのであれば、トランス類、コンデンサー類のメーカー名と型式、製造年をいただけると非常にありがたい。

(電力安全課) 今回の改正案については、基本的に高濃度PCBを念頭に置いている省令等の改正であるので、現時点では低濃度のものは視野に入れていない。
 電気主任技術者が電気工作物のPCBの有無の確認をするときは、電気機器の種類や型式、製造年等をきちんと確認していただくことになる。

(大阪市) 電気事業法政省令の関係でもう少し具体的にいろいろと詳しく提示いただきたい。

(北九州市) 資料2の1.(2)のところで、これをそのまま読むと、まず特例の場合については、従来の計画的処理完了期限を過ぎた以降に使用禁止というように読めてしまうのだが、そもそも今回の法律の改正では従来の計画的処理完了期限内に処理を完了するための方策として、新たに処分期間を設けたというふうに認識している。これらは矛盾するような内容になっているのではないか。

(電力安全課) 処分の期限の考え方については、PCB特措法の考え方を準用し、計画的処理完了期限の1年前を期限としており、JESCOとの確約書があるような特例の場合に限っては、その1年後の日以降の使用を禁止するということにしている。

(北九州監視会議) 立地地域の監視委員会の者として、住民側の視点からこの改正を見たときに、後ろがきちんと押さえられていないのではないかという気がする。この政省令の中に設備の廃棄処理に関して一切語られていない。処理期限は語られているけれども、いつ設備を更地にするのかという話を明快に盛り込むべきではないか。この処理に関して、再延長もないし、処理期限の変更もないということを分かりやすくこの中に盛り込むべきではないか。

(環境省) 処理施設の廃止の話、更地にしてたたむというところはまず政府の考え方としてしっかりそういうことをやっていくんだと、そういうことはまさしくおっしゃるとおりであり、そうした観点のところについては、むしろ基本計画のほうでしっかり書いていくということで検討させていただきたい。政省令のほうでは、どうしても法律に基づいて政省令を定めるというところしかなかなか書けないので基本計画のほうの書きぶりのところでしっかりと受け止めてさせていただきたい。

(東京都) 先ほどメーカー名とか型式とか製造年が管理計画でとお話になったんですけれども、できれば、高濃度だけでなく電気主任技術者さんが管理されているトランス、コンデンサーの情報が全部欲しい。そうすれば低濃度のものもある程度絞り込みができる。電気管理技術者さんが管理されているやつは全部欲しいので検討をお願いしたい。

(永田座長) 要望として、了承した。

(織委員) 経産省のほうだが、文言を見てみないとPCB特措法との関係がよく分からない。先ほどの説明ですと7月15日に見せてもらえるということなのか。パブリックコメントが6~7月頃予定ということなので、いつぐらいに私どものほうに特措法との関係できちんとした文言を見せてもらえるのか。

(永田座長) おっしゃるのはパブリックコメントをかけるときの資料を皆さんにお渡しするようにしてくれということで解釈していいですか。

(酒井委員) 管理計画の内容について、使用廃止の届出が都道府県市に速やかに伝わるような規定が、電事法上盛り込まれているかということを確認したい。
 また、7月15日に審議して、修正意見をその段階で我々が言えるのかどうかということについても再度、確認したい。

(電力安全課) 使用の廃止情報の都道府県市への速やかな情報提供については、御意見として承って検討させていただきたい。
 次回の7月の検討会場での意見が反映できるのかという御質問を頂いたが、承った意見については最大限反映できる方向で考えたい。

(菅委員) 届出の関係は、環境省さんと経産省さんが十分調整した上でマニュアルを提示していただけると事業者も助かるのでお願いしたい。

(永田座長) 経産省のほうはこれ1枚で本当に大丈夫なのかという話があり、きちんと進めていただきたいという要望と管理計画については、環境省の政省令のほうで、使用製品についての規制がいろいろあり、こことほとんど同じような内容が盛り込まれなくてはいけないと思っているので、そことの整合性もきちんと図っていただきたい。

 また、法改正にない話で基本計画に盛り込まれている立入検査とか、報告徴収、これも対応しますというふうに書いてある訳で、これは電事法に規定された事項だが、こちらは従来からやられているのは電気設備の保安に対して中心的には対応しているということになる訳で、PCBに対してどう対応するのだという内容も、次回には報告してだきたい。
 掘り起こし調査についても、これが電気主任技術者が関わってくるようだが、その方法論について特にそれとあわせて安定器についても実施してもらうことになっているので、それについてもどう対応していくのか、実施主体とかあるいはマニュアルの整備とかいろいろあるのだろうが、そういう点も報告していただきたい。
 経産省のほうでパブリックコメントを取るような案がまとまった段階で、皆さんにお送りするということをお約束しておきたい。それで御覧いただいて、パブリックコメントに応えていただいて結構かと思う。また、15日も検討会があるので皆様に御意見を頂戴したいと思っている。1)PCB特措法関係政省令等改正案の概要及び電気事業法関係省令等改正案の概要について

○ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画について

(中井委員) 国の役割として規定されている説明会等をしっかり行っていだだくようお願いしたい。
 また、低濃度については、封じ切り機器の問題等いろいろ悩ましい問題も引き続きあるので、現状把握や処理の多様化などよろしくお願いしたい。

(田中委員) 廃棄という定義が排出という意味だという説明があったが、具体的にどういうところまでが排出なのか。
 また、資料の8ページのところで、計画的処理完了期限は処分を委託する期限と説明されているが、豊田の場合、安定器等はA地区の北九州に処分をお願いするということになり、そのときの期限の整合性を少し心配している。豊田では処理期限は35年3月31日、A地区の安定器は34年3月31日なので処分をしていただけるA地区の北九州の期限のほうが豊田よりも早目になっているが、豊田のものが豊田の期限が来てその後、北九州に運んで処分をしていただくので、北九州の期限は豊田の期限より遅くないといけないのではないかと思うが、その点だけを説明いただきたい。

(環境省) 豊田地域から北九州に持っていかないと処理できないものと、それから豊田でできるものというのは、基本的にそこは重複しないような整理になっているので、豊田で処理するものの期限と北九州で処理するものの期限について、そこに関係性が切れたり重複したりというような格好にはなっていない運用の仕方になっている。

(酒井委員) 安定器等汚染物の定義を今回、安定器及び汚染物等と変更をしていただいた。ここは安定器を明示されるということで非常に結構なことなので、歓迎する。その一方で、汚染物等の中に低圧の変圧器と低圧のコンデンサーが結果的に入ることになり、これが感圧紙とか汚泥とかと合わせて重量表記ということになった点は、今後の処理の推進を確認していく上では、不適切になるのではないかと心配している。というのは、低圧の変圧器あるいはコンデンサーは、保管量台数自体が100万台というオーダで存在する訳なので、これはこれでしっかりと台数管理をしていくほうがいいのではないか。

(環境省) 低圧変圧器あるいはコンデンサーは個数で届出も管理できておりまして、量としては別の表に出てまいりますが約100万台ある。
 我々もひとつここはきちんと管理していく上で整理しておくべきなのは、以前から委員からおっしゃっていただいているとおり、JESCOの処理の進捗を考えていく上では、今までは個数が中心になって管理していましたけれども、処理の能力を踏まえていくと重量の管理、いわゆる質の部分についても管理することが重要になってくるので、安定器と小型のトランス、コンデンサーについては、重量で1桁以上違うので、その辺も踏まえて御指摘のとおり検討したい。

(川本委員) 41ページの最後、「おわりに」というのを今回新たに書き下したということですが、基本的に「おわりに」というのは基本計画の最後で集約する部分であり、論文でいえば「最後に」というところで、少なくとも本文の中で書いてきたことを簡潔にまとめるというようなこと、そして最後に何か今後の進め方を宣言するということだと思う。もう少し文章を工夫したほうがよいのではないか。

(織委員) 14ページから処分量の見込み量というデータがあるが、事業者として見たら多分、JESCOの受入体制がどうなっているかというのはすごく重要なところだと思う。その見通しについては、16ページで見直し毎年公表するということになっているのだが、この計画の下に例えば参考みたいな形で、JESCOの年度計画を入れていただくと市民的にも分かりやすい。もしそういう形ができるんだったら、検討していただきたい。
 あとは、低濃度と高濃度のところのリスクの差異について、どこかで触れていただいてコミュニケーションというところをもう少し入れていただければと思う。

(浅野委員) 今の織委員の発言は、理解はするけれども政府としての計画でせいぜい書いても参考資料ということになりそうなので、本文にはなじまないのかという感じがする。
 それから、リスクの話は確かに重要だと思う。

また、「おわりに」のところで、こういうふうな書き方が出ているというのは、それなりに一生懸命考えて書いておられるという気がする。つまり、この計画ははっきり言って、これで完璧ではない。随所に出てくるとおり、低濃度についてはまだこれからもう一遍見直しをしなければいけないということが分かっていて、何度も何度もその話は出てくるわけである。そのことも受けて、最終的にはリスク管理ということを考えるのが本体なので、それをしっかりやらなければいけないという決意表明だというふうに思えば、最後にああいう書き方になるのも悪くないなという気がする。
 法の22条に環境大臣は、製造した者に対して協力を求めるように努めるものとすると書いてあるので協力をしてくださいということを言わなければいけないのは環境大臣の仕事であることは、法律上はっきりしているわけです。そういう意味では、依然として事業者に対する書き方が、腰が引けているという感じがする。努力義務ということではなく、責任だというふうにいってもいいじゃないかと思う。

努めるものとするということは、要するに努力義務でしなくていいということなるので弱い表現である。これだけのことはしていただかなければいけませんと、どうして言えないのか。強目の表現にならないのか。

(東京安全委員会) 基本計画の中身はこれで仕方がないと思うが、PCB廃棄物の問題はこれで一応終わりになるようにしなければいけないという形でやっているのだが、実際問題としては今やったものが全部終わってPCB廃棄物の問題がなくなるという話ではない。前年も塗料の中に非意図的にPCBが入っていること発覚したり、今後不法投棄されているものが見つかるというようなことが起こり得るので、これで全て終わりではない。

(北九州監視会議) 処理施設ごとの計画的処理完了期限というのが定められているが、それに基づいて速やかに設備は解体撤去されるべきものだと思っているのだけれども、それがどこにも書かれていない。施設ごとに決められた完了期限を明示して、その完了期限後、速やかに着手するという話を入れていただきたい。設備に差があって、完了期日に差があって、その差に基づいて速やかに、でないと日本全部の5カ所が終わった時点で始めかねないということに、とられかねないではないか。
 もう1点、基本計画の中で「検討する」という言葉が頻発されている。検討するという用語は何を意味するかというとほとんど何もしないということを普通は意味するので、「検討する」という用語を「しなければならない」とかもう少し責務に相当するような言葉に変えていただきたい。

(環境省) 検討と書いてある部分については、あたかも検討だけして何もしないかのように見えると、そうした御指摘をしっかり重く受け止めたいと思う。ただ、この基本計画については、今回閣議決定というかなり重たい計画になるので、検討すると書いている部分については、省として必ず前に進めるということでやっていきたいと考えている。
 その上で再度全体を見直して「検討」という言葉を外して、「しなければならない」「するものとする」、そういう部分に変えられるところがないか、さらに精査をして、「検討」という言葉が極力少なくなるようにそこは見直しをしていきたい。

(東京都) 低濃度は少なくとも、あと処理期限まで10年ちょっとしかないので、今後速やかにとかそういう文言を入れていただきたい。今後速やかに検討を開始しないと間に合わなくなってしまうと思う。

(環境省) 御指摘の件、しっかり受け止めて対応させていただきたい。

(永田座長) 全体像の把握で、処理の進捗状況をきちんと把握していくことが重要である。きちんとした管理、台数なり重量なり、それからもっと根本的には、あるいはPCBそのものの量がどうなっているのかというようなところをきちんと押さえていくような管理体制、あるいは情報公開体制が必要なのだろうと思っている。
 また、処理完了期限はそれぞれの施設ごとに異なり、その後にまた事業の終了期間というのが設けられているが、ここでどんなことをどうやっていくのかという、具体的な話は今のところ出てきていない。そういうところをきちんと説明していくような資料は、これから必要になってくるだろうというふうに思っている。

ただそれが、今この基本計画に盛り込まなくてはいけないのかというと、私は今はその段階ではないんじゃないかという認識をしているので、別途その辺については環境省のほうできちんと説明できるような資料を準備して、地元に対応していく。解体撤去の話というのは、こういう施設で初めての話になるので、どういう技術が適用できるか、どんな方法がその完了に対して意味を持つのかということをきちんと対応していてもらわなければいけない。そういう検討をJESCOでも始めていってもらうということで、ここには書いてある。そういうものが固まった段階ではまた皆さんにお諮りして、これでいいのかどうかということをお聞きしなければいけないと思う。

(北九州監視会議) 撤去は本来は設備を設置するときに撤去も抱き合わせで提案すべき話であって今ごろ何を言っているのかと言われかねないので、その話は今から検討ではなくて要するにやりますでとどめておけばいいのではなか。既に概略はあって、詳細検討は今からしますだったらわかるけれども、要するに設備をつくっておいて、解体方法が分かりませんみたいな態度がにじみ出ているような文言はやめておいたほうがいい。

(永田座長) 具体的にこういう施設ですから、安全な撤去、周辺環境も含めて、そこで解体してもらう作業者の安全も含めてきちんとやっておかなくてはいけない。そういう意味ではおっしゃるように、もう解体する、あるいは撤去するという事実だけは決まっているんです。ですからその辺のところのニュアンスを出せるような書きぶりにしていけばいいのかもしれないので、ちょっと考えさせてほしい。

(豊田監視委員) 7ページの「第1節 基本的な考え方」のところの真ん中辺の「地域住民の理解が得られにくいこと等から実現が困難な状況にある」という現在形で書かれているが、これは今現在、処理をしているところの地域住民のことをいっているのか。

 現実には地域住民の方たちは理解を示されながら現在、どこでも処理をしていると思います。したがって、この箇所を今、地域住民の方々が見られると、非常に不快感を示されると思います。地域住民という言葉は出さないで、処理施設周辺環境の安全性を担保することに難しさがあるからというように言いかえをしていただきたい。

(環境省) 時制の書き方が少しおかしい部分もあるかと思うので、現在の状況を踏まえて、表現ぶりをどうするかというところはしっかり見直していきたい。

(永田座長) 若干確かに事象の扱い方が、歴史を書いたのか現在の話なのかというところが曖昧になっている箇所がほかにもありそうな気がするので見直しておく。
 それから文末の書き方についても修正を加える。
 今後は、パブコメを実施することになっており、次回検討会には、パブコメの結果を踏まえて、修正案等を出すようにする。
 今日いただいた御意見を踏まえて修正案につきましては、私と事務局のほうに御一任いただいて、パブリックコメントの原案を作らせていただき、それができたときには、皆さんのほうにお送りするということで、先ほどの政省令のお話と合わせて、経産省と対応していきたい。

(うなずきあり)

(永田座長) 事務局ではパブリックコメントで寄せられた御意見に加えて、基本計画の内容について各省庁ともしっかり調整して、次回の取りまとめの検討会に準備した資料を作成すること。本日の基本計画は暫定版ということでさらに修正も必要。最新の数値を踏まえて長期の処理計画を見直して、次回の検討会において改めて説明していただくということになるので、準備を進めていくこと。