環境再生・資源循環

第6回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨

日時

平成24年3月28日(水) 14:00~16:30

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

出席委員(五十音順)

(委員)
浅野委員、飯干委員、伊規須委員、織委員、影山委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、田中委員、田辺委員、築谷委員、永田委員、本多委員、森田委員、横山委員
(オブザーバー)
  • 日本環境安全事業株式会社(JESCO)
  • 経済産業省
  • 産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  1. (1)PCB廃棄物の適正な保管等について
  2. (2)その他

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局(環境省産業廃棄物課)より、保管事業者に係る規制等について説明した。
  • 東京都、鳥取県、北九州市より、保管事業者への指導・助言の現状等について説明があった。
  • JESCOより処理委託に係る現状、収集運搬時の漏洩対策の現状等について説明があった。事務局より東日本大震災への対応について説明した。
  • 事務局より、適正な保管の確保等に関する今後の施策等について説明し、委員から意見があった。

主な意見

(1)PCB廃棄物の適正な保管等について

  • (田中委員)微量の場合、分析をするのを一斉に支援するといったことが必要ではないか。
  • (浅野委員)処理期限について、法施行のとき既に廃棄物になっているものについては15年でいいが、新しく廃棄物化するものについて、どうするのかということが、法律には書かれていない。政令で、施行の日から起算して15年と規定されているが、これを機械的に運用すると、後になって出てくるものは1年ぐらいで期限が来てしまう。この辺りを法制定時に想定していなかったのではないか。
    使用中のものについて、環境大臣から主務大臣に要請できるという規定があるので、自治体が個々に依頼しなくても現行法の運用である程度カバーできるのではないか。
    無資力の者がいるということが問題。土壌汚染の場合、土地の持ち主が所有権を放棄して無主物になると国有財産になる。しかし動産に関しては、無主物になった場合は、法的にはいかんともしがたい面がある。自動的に自治体が管理しなければいけないという義務もなく、だれも責任を持たないという事態が起こってしまう。
    これは何らかの立法的な手当をしない限り、どうにもならない問題ではないか。
  • (川本委員)機器の漏れとかにじみについて、JESCOに到着したときに、大体どのくらいの割合で認められるのか。保管事業場において、漏えいが起きた場合、PCBが室内空気中、作業環境中にどのぐらいの濃度かという点について、調査したデータがあるか。実態調査が必要になる。
  • (伊規須委員)収集・運搬事業者の規模はどのようなものか。それぞれの事業者において、産業医が必ずしも選任されているとは限らないので、ガイドラインの中に適切に入れることを検討したほうがいい。
  • (鬼沢委員)ダイレクトメールで8,800の事業者のうち、1割強の979事業者が登録したということは、100近い事業者が新たに登録しているので、割合としては少ないが、毎年続けるべき。ダイレクトメールだけでは見落とすこともあるので、送った後に必ず電話等をするともっと登録が増えるのではないか。年数が経つと未登録のまま紛失するということが増えると思うので、もっと積極的にやっていいのではないか。
  • (織委員)搬入前の漏洩についての問題は、東京事業でも余り話題になっていなかった。JESCOとしては実際漏れがあった、あるいはガイドラインに従って処理していなかったような運搬業者に対して、どういう態度をとっているのか。例えば搬入禁止、停止措置をとるなどの措置はどのくらい強固な形でやっているのか。
  • (田中委員)東日本大震災のPCBの廃棄物の流出について、特に高濃度の49台を何とか回収するという努力ができないものか。
  • (浅野委員)保管事業者という概念に問題があることがわかってきた。条文上は「事業活動に伴って」とあるので、破産のときにただ従業員として預かった人は、事業活動に伴った保管者ではなくなる。
    不動産を購入したらそこにPCB廃棄物が放置してあったというような場合は、買うときに気をつけないのが悪いので、その処理の責任を負わせれ手もしかたがないと思うが、しかし単なる保管者というカテゴリーがありそうなので、これは法的に手の打ちようがないのではないか。
    5に「年金生活者等の費用の捻出が困難な者がおり」とあるが、この表現は奇異な感じがする。個人経営者でやっているような場合にしか当てはまらない。ほとんどの事業者は法人のはず。
    6で書かれていることは、高濃度の場合を想定すればできそうであるが、低濃度のものまで使用中のものの届出調査義務を課すべきであると言っても、対応できないのではないか。そもそも使用者が自分が使っているものにPCBが入っているかどうかよくわからないような場合には、製造メーカー側から情報提供をすべきではないか。こういったことを考えれば制度的な見直しということも視野に入れて議論をしなければいけない。
    8について、これから地震が起こる可能性があるし、地震以外の災害もあるので、このような議論をするのであれば、災害時の対応ということで整理をして議論をしなければいけないだろう。
    保管事業者の不存在とか、所在不明という場合があり、さらには、無資力者の存在もある。これらも重要な項目としてここに挙げられなければいけない。10として保管事業者不存在、不明等の対策といったような項目を新たにつけ加えるべき。
    3の紛失について、これは防止ということ以前に、まず紛失についての実態が把握されるべき。毎年届出義務があり、紛失したものは届けなければいけない。それがきちんとできているかどうか心配。紛失したからといって処罰されることはないので、きちんと届け出てもらわないといけないのではないか。実際には存在しないのに保管してありますという届出は虚偽届出になるので、きちんと届出させるように指導したほうがいい。
    7の解体について、そもそも解体をしようという行為を行っている段階で、既に廃棄物処理を始めていると考えれば、現行法でも規制できるのではないか。もしだめなら立法的には手当をしなければいけない。
    制度的な見直しに関しては、処理期限の問題も合わせて考えなければいけないだろう。
  • (飯干委員)PCB廃棄物特別措置法第8条の届出様式について、機器の製造番号の記入欄はあるが、機器の型式の記入欄及び微量のPCBが検出された場合のPCB濃度の記入欄がない。機器の型式の記入欄及び微量のPCBが検出された場合のPCB濃度の記入欄が追加されれば、高濃度のPCBを使用した機器であるのか、微量のPCBが検出された機器であるのかの区別が、短時間で可能となるのではないか。
  • (伊規須委員)資料8の7について、PCBが皮膚を介して入る物質であるということを、もうちょっと強調しておいたほうがいい。
  • (織委員)紛失、不適正処理ということがあるので、迅速に処理を進めていかなければいけないということを、強調して書いたほうがいい。
    微量PCBの処理の道筋が、もう少ししっかりと見えていくといい。容器処理をどういうふうにしていくのか。事業者にとって容器処理がネックになっているので、解決策を提示していっていただきたい。
    保管事業者の不公平感というのがすごくあると思うので、この辺を解決するような情報提供なり普及啓発活動を意識していただきたい。
  • (影山委員)我々保管事業者については、保管に関して十分な注意を払って保管をしており、それについては、相当な人手とコストがかかっている。ここのところを御理解いただき、非常に苦労しながら保管しているという状況を、認識をしていただきたい。中小の事業者については、かなりつらいだろう。立入検査もよいが、支援をしていただかないと、適正保管も非常にきついだろう。とにかく処理を進めて、一刻も早くPCBの機器をなくすということが、一番の近道。
  • (酒井委員)川本委員から指摘のあった漏れ、にじみ、それに伴う空間濃度との関係については、資料8の中でもう少し明確にしていただいたほうがいい。2(2)「[2]破損・漏えいにより機器の補修や密閉容器での保管が必要な場合」という指導助言の際に、もう少し定量的に明確に指導いただけるような情報を整備したほうがいい。つまり、機器の状態とか保管方法によって、相当にPCBの気層移動とか環境移動の程度というのは異なるので、その程度を定量的に把握し、情報提供されていったほうがいい。
    JESCOから漏洩対策について説明があった点、東京都から指摘のあった分解事業者のところでの作業環境の点にすべてつながる話になる。環境省がわかりやすく説明するという中での、わかりやすくというところにつながるのではないか。
  • (田辺委員)我が国におけるPCBの生産や利用は、かなり昔に禁止になったにもかかわらず、最近の空気や水の汚染レベルの低減傾向が遅い。あるいは堆積物、生物の試料の濃度がほとんど減らないということが明らかにされている。いろいろな理由があるが、PCBの分解処理の遅れと、今回説明のPCB廃棄物の保管・管理・処分の問題も現実の環境汚染のネガティブな実態に拍車をかけていると考えられる。この点も認識してPCBの廃棄物処理あるいは適正管理を早急に推進していただきたい。PCB廃棄物の不適切な保管、管理、処分等の問題は環境汚染の拡大と長期化に影響を及ぼすということ。ひいては事業体の作業労働者と周辺の住民にも汚染のリスクが及ぶというような認識を深めてもらう努力が必要。
    適正保管に関する理解の増進を図るために、その方法をわかりやすく説明した資料を作成するということであるが、環境汚染あるいは生態リスク拡大の防止、あるいは長期化を防止するという意図があるということをあわせて事業者に説明していただき、普及とか啓発活動の効果を一層高めていただきたい。
  • (築谷委員)「3.紛失・不適正処理の防止」について、兵庫県においては、倒産情報を早く入手できた場合、破産管財人からPCBの処理について相談があった場合は、清算人、JESCOとも調整し、年度当初予定されていなかったものであっても、早期の処理が必要だということで、処理した事例がある。
    もう一つ、建築部局との連携について、兵庫県においては、アスベストの問題で、建設リサイクル法での解体届を建築部局から環境部局に提供いただく、共同のパトロールを年に2回ほど実施するということで連携している。
  • (森田委員)PCB処理が1988年の焼却が終わって以来うまくいかなくて、その後の努力によって処理のできるスキームができ上がってきた。しかし、PCBを含んでいるトランスを使っているユーザからすれば、それまで安全だと信じて使っていたものが、突如お金を使って処理しなければいけなくなってしまったというのは、一種の不条理としてあるために、難しい状況は今後も続くだろう。しかしその一方で、この物質を消去させなければいけないというのは、日本として、またPOPsとしての条約上の責務でもあるので着実に進める。そしてそれは保管から輸送すべてに関わってきているというのを、強く強調する必要がある。
    輸送の面でもJESCOに搬入している小さい輸送業者からは、ガイドラインに定められた形で整備しても結構大変だという声が聞かれる。そこに合わせてリスク対応、保険その他で相当苦労されているのも、現実だろう。したがってある種の財政的応援というのはどうしても避けられない。
    低濃度PCBは、一般的には高濃度のPCBに比べて全体としての量が少ないということもあり、リスクは小さいと考えられるが、個別のケースでは、低濃度といいながら実は数万ppmといったものが含まれているケースもあるので、やはり目配りはしておく必要がある。
    保管については、低濃度PCBは実際は分析して把握していくことが重要であるということを書いておいてもらいたい。

(2)その他

  • (環境省)前回の検討委員会で、無害化処理認定施設の処理対象範囲についての方向性の議論をいただいたときの資料の抜粋を配付している。現在の無害化処理認定施設では、微量PCB汚染廃電気機器のみが処理対象になっているが、これを微量PCB汚染廃電気機器等に限らず、5,000mg/kg以下のPCB汚染物についても、処理対象物として位置づけることについて御検討をお願いしたところ、特に御異論がなかったと認識している。
     そのため、検討委員会の取りまとめを行う前に、この部分を先行して告示改正の準備に入らせていただきたい。
  • (永田座長)注釈がついているように、上限としての5,000mg/kgであって、実際にはそれぞれの施設で実証試験を行って、濃度をどこまで処理できるのかと確認した上での対応ということになる。よろしいでしょうか。
  • (異議なしの声あり)
  • (永田座長)それでは提案のとおり進めさせていただく。