環境再生・資源循環

特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する基本方針

(最終改正:平成二十七年三月三十日経済産業省・環境省告示第四号)


環境庁・厚生省・通商産業省告示第一号

特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)第三条第一項の規定に基づき、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する基本方針を定めたので、同条第三項の規定に基づき、公表する。

平成十一年六月二十三日

環境庁長官 真鍋 賢二
厚生大臣 宮下 創平
通商産業大臣 与謝野 馨

特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する基本方針

 我が国においては、経済発展に伴う生産及び消費の拡大、生活様式の多様化、消費者意識の変化等に伴い、電気機械器具その他の機械器具が廃棄物となったものの排出量が増加している。その一方で、土地利用の高度化、住民の環境への意識の高まり等を背景として廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場がひっ迫しつつある等廃棄物処理をめぐる問題が深刻となっている。
 また、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られる資源を有効に利用していくことが求められている。このような状況の中で、我が国における生活環境の保全と健全な経済発展を長期的に確保するためには、関係者の適切な役割分担の下で、廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用を図っていくことが重要である。
 この基本方針は、このような認識の下に、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため、必要な事項を定めるものである。

一 特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の基本的方向

 廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るためには、特定家庭用機器について、廃棄された物をどのように処理するかという観点を転換し、製品の開発、製造から消費、廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、使用済製品の再使用及び部品又は原材料としての利用である再商品化の促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環型経済社会システムを構築することが必要である。
 また、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の実施等に当たっては、消費者及び事業者は適正な排出、小売業者は引取り及び製造業者等(製造業者及び輸入業者をいう。以下同じ。)への引渡し、製造業者等は再商品化等というように、適切な役割分担の下でそれぞれが積極的に参加することが必要である。

二 特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項

 特定家庭用機器廃棄物は、廃棄物の中でも処理が困難な状況にあることから、まず、廃棄物の排出をできる限り抑制することが必要である。このため、特定家庭用機器を購入して使用する消費者及び事業者、特定家庭用機器の小売業者及び製造業者等、国並びに地方公共団体がそれぞれの立場で積極的に取り組むことが必要である。
 具体的には、次のとおりである。
 消費者及び事業者は、特定家庭用機器の購入及び使用に当たって、不必要な買換えを抑制するとともに、耐久性に優れ、また、修理のしやすい特定家庭用機器の選択、適切な使用方法の遵守、故障時の修理の励行、使用済製品の再使用等を通じ、特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努めることが必要である。
 特定家庭用機器の小売業者は、耐久性に優れ、また、修理のしやすい特定家庭用機器、交換部品及び機能追加のための部品、適切な使用方法、修理の実施体制等に関する情報を提供するとともに、自らも修理の実施等の役務を提供することにより、特定家庭用機器の長期間使用の促進を通じた特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制を促進するよう努めることが必要である。
 また、特定家庭用機器の小売業者は、国が策定する小売業者のリユース・リサイクル仕分け基準の作成に係るガイドラインを踏まえてリユース・リサイクル仕分け基準を作成し、消費者及び事業者に適切に情報提供するとともに、当該基準に沿って使用済製品の再使用のための引取りを行うことにより、消費者及び事業者の利便性の向上を図りつつ、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制を促進するよう努めることが望ましい。
 特定家庭用機器の製造業者は、耐久性、修理のしやすさ等に配慮した特定家庭用機器の設計及びその部品又は原材料の選択を工夫するとともに、修理の実施体制の整備、修理の実施体制等に関する情報の提供、交換部品の供給及び機能追加のための部品の提供、適切な使用方法に関する情報の提供等を行うことにより、特定家庭用機器の長期間使用の促進を通じた特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制を促進するよう努めることが必要である。
 特定家庭用機器の輸入業者は、耐久性に優れ、また、修理のしやすい特定家庭用機器の輸入に努めるとともに、海外本社、国内製造業者その他の事業者との連携による修理体制の整備等により、特定家庭用機器の長期間使用の促進を通じた特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制を促進するよう努めることが必要である。
 国は、特定家庭用機器の購入及び使用に当たって、不必要な買換えを抑制するとともに、耐久性に優れ、また、修理のしやすい特定家庭用機器の選択、適切な使用方法の遵守、故障時の修理の励行、使用済製品の再使用等を通じ、特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努めることが必要である。また、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制を促進するため、特定家庭用機器の耐久性の向上に関する調査研究、消費者及び事業者に対する普及、啓発その他の施策を講ずるよう努めることが必要である。
 地方公共団体は、国の施策に準じて、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう必要な措置を講ずるよう努めることが必要である。

三 特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の促進のための方策に関する事項

1 特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に関する事項

 特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が適正に実施されるためには、排出された特定家庭用機器廃棄物が確実に製造業者等に引き渡されるよう、適正な排出並びに収集及び運搬を確保することにより、不法投棄等の不適正な処理が行われないようにすることが必要である。
  このため、関係者のそれぞれの立場からの積極的な取組と協力の下、特定家庭用機器に係る使用済製品の再使用の促進を図りつつ、平成三十年度に、当該年度において再商品化等された特定家庭用機器廃棄物の数量(特定家庭用機器一般廃棄物及び特定家庭用機器産業廃棄物の再生又は処分の方法として環境大臣が定める方法(平成十一年厚生省告示第百四十八号)により再生又は処分されたものを含む。)の製造業者等が国内向けに出荷した特定家庭用機器の数量(国内向け出荷のために輸入されたものを含む。)に対する割合(五において「回収率」という。)を五十六パーセント以上とすることを目指し、排出者による適正な引渡し、小売業者による確実かつ適正な収集及び運搬、市町村による適正な排出並びに収集及び運搬の確保に関する協力、製造業者等による円滑な引取り及び運搬等を確保することが必要である。
  具体的には、次のとおりである。
  消費者及び事業者は、特定家庭用機器廃棄物を排出する場合にあっては、製造業者等に確実に引き渡すことのできる者としてなるべく小売業者に引き渡し、不法投棄等の不適正な処理を行わないことが必要である。また、小売業者、製造業者等が請求する収集及び運搬並びに再商品化等に必要な行為に関する料金及びその徴収方法を自ら確認することが望ましい。
  小売業者は、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に当たり、製造業者等の再商品化等に必要な行為の実施に支障が生じないよう特定家庭用機器廃棄物の破損、冷媒として使用されていたフロン類の漏出を防止することが必要である。また、特定家庭用機器の配達経路の利用、市町村との協力体制を構築すること等により、生活環境の保全上適正かつ能率的な収集及び運搬を行うことが必要である。加えて、小売業者は、特定家庭用機器廃棄物の適正な排出の確保を図るため、消費者及び事業者に必要な情報を提供するとともに、買換え時のみならず、自らが過去に販売した製品についても、一層円滑な引取りに努めることが必要である。
  また、小売業者は、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に関し請求する料金を店頭掲示等により消費者及び事業者が確認しやすいように公表し、その料金の内容について必要な情報を提供するよう努めることが必要である。製造業者等が再商品化等に必要な行為に関し請求する料金についても、消費者及び事業者が確認しやすいように店頭掲示等を行い、その料金の内容について必要な情報を提供するとともに、その徴収に必要な協力をするよう努めることが必要である。
  さらに、小売業者は、特定家庭用機器廃棄物に係る管理票について、排出者の利便性を考慮した交付、排出者の閲覧請求に迅速に対応が可能な保存等に努めることが必要である。
  製造業者等は、小売業者、市町村等が特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬を行う場合の交通事情、輸送距離等の状況を踏まえ、円滑な引渡しができるよう適正に指定引取場所を配置し、状況の変化により小売業者、市町村等の特定家庭用機器廃棄物の適正な引渡しに支障が生じた場合には、速やかに指定引取場所を設置する等の対応を行うことが必要である。また、当該指定引取場所の設置に関し必要な情報の提供を行うことにより、小売業者、市町村等の特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬を行う者が円滑に引渡しができるように努めることが必要である。また、指定引取場所において引き取った特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為の用に供する施設への運搬に当たり、再商品化等に必要な行為の実施に支障が生じないよう特定家庭用機器廃棄物の破損、冷媒として使用されていたフロン類の漏出を防止することが必要である。また、特定家庭用機器の運搬経路の利用、市町村との協力体制を構築すること等により、生活環境の保全上適正かつ能率的な運搬を行うことが必要である。
  また、製造業者等は、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に必要な行為に関し請求する料金を公表し、小売業者に周知を徹底するとともに、消費者及び事業者が確認しやすいようにその協力を得るよう努めることが必要である。製造業者等が請求する料金の徴収を小売業者が行う場合には、小売業者に徴収の方法を周知するとともに、その料金の内容について必要な情報を提供するよう努めることが必要である。
  国は、特定家庭用機器廃棄物の適正かつ能率的な収集及び運搬を促進するため、関係者に対する必要な情報の提供、研究開発の推進等を行うとともに、教育活動、広報活動等を通じた国民の理解の増進、特定家庭用機器廃棄物の排出並びに収集及び運搬時における不法投棄の防止に努めることが必要である。
 また、国は、特定家庭用機器廃棄物の適正な収集及び運搬を確保するため、毎年度、特定家庭用機器廃棄物の製造業者等に引き渡した台数が多い小売業者に対し、当該小売業者が引き取ったすべての特定家庭用機器廃棄物に係る引取り及び引渡しの状況並びに当該小売業者が作成したリユース・リサイクル仕分け基準について報告を求めることが必要である。
 さらに、国は、小売業者から製造業者等への引渡義務違反等に対する監督を徹底することが必要である。
 市町村は、住民に対し、特定家庭用機器廃棄物の適正な排出、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に必要な行為に関する料金に関する必要な情報の提供、広報活動等による住民の理解の増進、自ら収集した特定家庭用機器廃棄物の製造業者等への引渡しの励行、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬に当たっての小売業者との連携、製造業者等が行う指定引取場所の設置についての協力等、特定家庭用機器廃棄物の適正かつ能率的な収集及び運搬の確保に向けた協力を行うことが必要である。
 また、市町村は、小売業者に引取義務がない特定家庭用機器廃棄物を回収する体制が構築されていない場合には、地域の実情に応じて回収する体制を構築するとともに、住民に対するその排出方法の継続的な周知を徹底することが必要である。
 さらに、地方公共団体は、特定家庭用機器廃棄物の適正な収集及び運搬並びに処分を確保するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の規定に違反する行為に対しては、同法の規定に基づいて厳正に対処することが必要である。

2 特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関する事項

 特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の実施に当たっては、まず、製品の部品又は原材料としての利用である再商品化を進めることが必要である。その上で、再商品化が技術的に困難な場合又は環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合に、熱回収を行う際には、生活環境の保全上支障が生じないよう万全を期しつつ行うことが必要である。
  具体的には、鉄、銅及びアルミニウムのほかプリント配線板等に含有される鉛等の金属、ガラス、プラスチック類の原材料としての利用、製品の部品としての利用その他の再商品化等を促進するとともに、再商品化等をされたものの利用の拡大を図ることが必要である。

  1. (1) 特定家庭用機器廃棄物に含まれる金属については、それぞれの金属の種類に応じた再商品化を促進するため、回収効率の向上、金属の種類ごとの分別回収、回収される金属の種類ごとの品質の向上及び再商品化される金属の種類の拡大に努めるとともに、再商品化される金属について新たな用途の開発及び需要拡大に向けた関係事業者の協力が必要である。
  2. (2) 特定家庭用機器廃棄物のうちブラウン管式テレビジョン受信機であったもの含まれるガラスについては、その再商品化を促進するため、回収効率の向上、回収されるガラスの品質の向上に努めるとともに、再商品化されるガラスについてブラウン管材料への投入比率の増加への努力、新たな用途の開発及び需要拡大に向けた関係事業者の協力が必要である。また、特定家庭用機器廃棄物のうち液晶式テレビジョン受信機又はプラズマ式テレビジョン受信機であったものに含まれるガラスについては、製造業者等において、関係者の協力を得つつ、再商品化の技術開発等を進めることが必要である。
  3. (3) 特定家庭用機器廃棄物に含まれるプラスチック類については、それぞれのプラスチック類の種類に応じた再商品化、とりわけ回収されたプラスチック類の特定家庭用機器の部品又は原材料としての利用を促進するため、プラスチック類の種類ごとの選別技術の向上、回収されるプラスチック類の品質の向上、再商品化等されるプラスチック類の種類の拡大、プラスチック類の再商品化等に必要な行為の用に供する施設の整備の促進に努めるとともに、特定家庭用機器廃棄物から回収されたプラスチック類を部品又は原材料として同一種類の製品を製造すること並びに再商品化により得られたものの新たな用途の開発及び需要拡大に向けた関係事業者の協力が必要である。
  4. (4) 以上の再商品化等の実施とあわせ、特定家庭用機器廃棄物に含まれる冷媒として使用されていた、又は特定家庭用機器廃棄物に使用されていた断熱材に含まれているフロン類については、回収効率の向上及び適正かつ能率的な再利用又は破壊の確保が必要である。

 このような考え方を踏まえ、特定家庭用機器廃棄物の適正かつ円滑な再商品化等に必要な行為の実施を確保するためには、関係者が積極的に協力することが必要である。
 具体的には、次のとおりである。
 製造業者は、再商品化等をする際には、特定家庭用機器廃棄物の部品や材料の事前選別を励行するとともに、生活環境の保全上支障がないように配慮しつつ、有害物質対策にも資する適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施及び再商品化等に必要な行為の用に供する施設の十分な確保に努めることが必要である。また、製造業者は、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する設計及び材料の工夫、部品としての再商品化の実施に資する部品の共通化の促進、再生資源の積極的利用、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施や材料の回収効率等を向上させるための部品及び材料の種類等の表示に努めることが必要である。加えて、材料を供給する事業者等とも協力しつつ、再商品化等に適した材料の開発や規格の統一等に努めることが必要である。
 さらに、製造業者は、再商品化等に必要な行為に関する料金の内容について必要な情報の提供に努めるとともに、再商品化等の状況について公表する際には、排出者の理解を得るよう努めることが必要である。
 また、製造業者は、特定家庭用機器廃棄物が小売業者、市町村その他の者により収集され、運搬され、及び引き渡されることにかんがみ、再商品化等に必要な行為に関する料金を排出者から直接受け取る方式その他の当該料金を円滑に受け取るための仕組みを構築することが必要である。
 輸入業者は、製造業者に準じた措置を講ずるとともに、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する特定家庭用機器の輸入に努めることが必要である。  小売業者は、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する特定家庭用機器に関する情報の提供等に努めることが必要である。  特定家庭用機器の材料の供給をする事業者は、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する材料の開発及び供給に努めることが必要であり、また、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等により得られたものの利用が可能な事業者は、その積極的利用に努めることが必要である。  消費者及び事業者は、特定家庭用機器の購入に当たって、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為に資する製品を選択するよう努めることが必要である。  国は、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為に資する製品を選択するよう努めることが必要である。また、再商品化等に必要な行為に要する費用の低減に資する研究開発の実施とその成果の普及、適正かつ能率的な再商品化等に必要な行為の実施に資する情報の提供、再商品化等に必要な行為の用に供する施設整備の促進、再商品化等に必要な行為に関する技術的な支援等を通じて、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進に資する施策を講ずることが必要である。
 また、国は、再商品化等に必要な行為に要する費用の低減及び排出者の理解の増進を通じた適正な排出の促進を図るため、毎年度、製造業者等に対し、再商品化等に必要な行為に関する支出の総額及びその内訳について報告を求め、製造業者等やその委託を受けて再商品化等に必要な行為を業として実施する者における公正な競争や交渉を阻害しない範囲で、これを公表することが必要である。
 地方公共団体は、再商品化等に必要な行為の用に供する施設の新規立地に対する助言、支援等による製造業者等の再商品化等に必要な行為の実施への協力のほか、国の施策に準じた措置を講ずるよう努めることが必要である。

四 環境の保全に資するものとしての特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の意義に関する知識の普及に係る事項

 特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進は、特定家庭用機器廃棄物の排出の抑制、再商品化等によって得られた物や熱の利用の促進等とあいまって、資源エネルギー投入量の削減、廃棄物の減量、環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への排出の抑制等を通じて、環境への負荷の少ない循環型経済社会システムを構築していくという意義を有する。
 かかる意義を有する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の推進のためには、広範な国民の協力が必要であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、環境の保全に資するものとしての特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進の意義に関する知識について、広く国民への普及及び啓発を図ることとする。具体的には、環境教育、環境学習、広報活動等を通じて、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進が環境の保全に資することについての国民の理解を深めるとともに、環境の保全に留意しつつ、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等が行われるよう関係者の協力を求めることとする。

五 その他特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する重要事項

 特定家庭用機器に係る原料採取、製造、流通、使用、廃棄、収集、再商品化等、処理残さの処分等の各段階における環境への負荷の評価(ライフ・サイクル・アセスメント)の手法について、国は、諸外国との連携の成果を踏まえつつその手法に関する調査研究を進めその確立を図るとともに、情報提供を実施することとする。また、事業者は、各段階における環境への負荷の低減を視野に入れた製品及び材料の開発、特定家庭用機器を使用する者への情報提供にその手法の活用に努める必要がある。
 小売業者、製造業者等、国、市町村及び指定法人等は、特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等の円滑な実施に当たっては、回収率の目標も踏まえ、これを排出する者が収集及び運搬並びに再商品化等に必要な行為に関する料金を適切に支払うこと等が必要であることにかんがみ、この法の趣旨及び内容について、各主体の立場を最大限活用して、互いに連携しながら、消費者及び事業者に対する効果的な普及啓発を実施し、その理解及び協力を得る必要がある。
 また、離島地域における収集及び運搬について、関係者間の自主努力により収集及び運搬の効率化が図られている一部の離島地域に対して製造業者等が行う資金面も含めた海上運送等に係る協力の成果も踏まえつつ、収集及び運搬に関する料金の抑制に資する取組が離島地域間で広く共有され、促進されることが必要である。
 さらに、不法投棄については、関係者が協力しながら解決を図らなければならない課題である。このため、市町村は、関係者と連携して、特定家庭用機器廃棄物の適正な排出に係る普及及び啓発、監視パトロールの実施等、地域の実情に応じた不法投棄の未然防止対策に取り組むことが必要である。また、製造業者等は、こうした不法投棄対策を積極的に行う市町村に対し、資金面も含めた協力を実施するに当たっては、市町村が実際に活用しやすいものになるよう留意することが必要である。
 加えて、国は、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の促進及び不法投棄の防止等を目的とする施策の進#と効果を把握するため、関係者の協力を得つつ、使用済製品の流通又は排出の経路等の状況や不法投棄の状況について、引き続き情報の把握に努めることが必要である。
 特定家庭用機器に係る使用済製品の輸出について、国は、再使用に適さない使用済製品が再使用の名目で輸出されることを防止するため、輸出業者に対し、使用済製品が再使用に適していることを適切に確認するよう促していくことが必要である。