1.制度の背景

 もともと、使用済自動車は中古部品や金属回収の観点から価値が高く、国内の自動車解体業者等によって80%程度(重量ベース)がリサイクルされ、残りは主にシュレッダーダストと呼ばれる破砕残さとして埋立処分されてきました。
  ところが、近年になって、産業廃棄物の最終処分場の逼迫によるシュレッダーダストの処分費の高騰や、鉄スクラップ価格の低迷により、従来のリサイクル・処理システムがうまく機能しなくなってきました。費用を支払って使用済自動車を引き取ってもらう逆有償化の現象が生まれ、負担を嫌った業者等による不法投棄が多発し、大きな社会問題となりました。
  現在は、鉄スクラップ価格も一時期と比較すると回復していますが、その変動は大きく、いつ市況が悪化し、同様の問題が発生するか分からないため、市況に左右されない安定したリサイクルシステムの構築が求められています。
  また、フロン類の回収・破壊や、エアバッグ類の適正処理という新たな環境問題への対応も必要となっています。

2.法律の概要

(1)関係者の役割分担

自動車メーカーを含めて自動車のリサイクルに携わる関係者に適正な役割を担っていただくことによって、使用済自動車の積極的なリサイクル・適正処理を行います。

[1]自動車製造業者、輸入業者(自動車製造業者等)

自らが製造又は輸入した自動車が使用済となった場合、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストを引き取り、リサイクル(フロン類については破壊)する。

[2]引取業者(都道府県知事等の登録制:自動車販売、整備業者等を想定)

自動車所有者から使用済自動車を引き取り、フロン類回収業者又は解体業者に引き渡す。<リサイクルルートに乗せる入口の役割>

[3]フロン類回収業者(都道府県知事等の登録制)

フロン類を適正に回収し、自動車製造業者等に引き渡す(自動車製造業者等にフロン類の回収費用を請求できる)。

[4]解体業者、破砕業者(都道府県知事等の許可制)

使用済自動車のリサイクルを適正に行い、エアバッグ類、シュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡す(エアバッグ類について、自動車製造業者等に回収費用を請求できる)。

[5]自動車所有者

使用済となった自動車を引取業者に引き渡す。また、リサイクル料金を負担する。

(2)リサイクルに必要な費用について

[1]費用負担方法

  • 使用済自動車のリサイクル(フロン類の回収・破壊並びにエアバッグ類及びシュレッダーダストのリサイクル)に要する費用は、自動車の所有者に負担していただきます。
  • リサイクル料金の負担の時点は、次のとおりです。
    • 制度施行後購入される自動車については、新車購入時
    • 制度施行時の既販車については、最初の車検時まで
    • 車検を受ける前に使用済みとなる自動車については、引取業者への引渡し時
  • リサイクル料金は予め各自動車製造業者等が定め、公表します。これにより自動車製造業者間の競争が生じ、リサイクル容易な自動車の設計・製造や料金低減が図られると考えられます。

[2]費用管理方法

  • 自動車製造業者等の倒産・解散による滅失等を防ぐため、リサイクル料金は資金管理法人((財)自動車リサイクル促進センターを指定)が管理します。自動車製造業者等はシュレッダーダスト等のリサイクルにあたり、料金の払渡しを請求します。
  • 資金管理法人の裁量権は最小限に抑え、高い透明性・公開性を確保しています。

(3)電子マニフェスト制度の導入

  • 使用済自動車等は、電子マニフェストと呼ばれる電子システムによって、各工程の事業者間での引取り、引渡しをパソコンの画面上で報告するシステムとなっており、一台一台確実に管理されます。