報道発表資料

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2024年03月07日
  • 総合政策

中央環境審議会「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)」について

  1.  風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について、令和5年11月から中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会において検討が進められてきました。
  2.  令和6年2月に開催した第3回小委員会の審議の結果を踏まえ、本日付けで中央環境審議会会長から環境大臣に対して答申がなされましたので、お知らせいたします。

審議の経緯

 「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて気候変動対策を着実に推進していくことに加え、2050年「自然と共生する社会」の実現に続く「2030年ネイチャーポジティブ」の実現に向けて生物多様性・自然資本を守り、持続可能な形で活用するための統合的な取組が求められている状況において、再生可能エネルギーに関しては、環境への適正な配慮を確保しつつ、地域との共生を図りながら、最大限の導入を図ることが必要です。
 こうした状況を踏まえ、令和5年9月21日に、環境大臣から中央環境審議会に対し、風力発電に係る環境影響評価の在り方について、意見を求める旨の諮問が行われ、新たに「風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」が設置されることとなりました。
 同小委員会では、まずは海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成30年法律第89号。以下「再エネ海域利用法」という。)に基づき実施される洋上風力発電事業について、適正な環境配慮を確保するための新たな制度の在り方に関する議論が進められてきました。
 その後、本年2月13日(火)に開催した第3回小委員会の審議の結果を踏まえ、本日付けで中央環境審議会会長から環境大臣へ一次答申がなされました。答申の詳細は別添1(洋上風力発電事業に係る環境配慮のイメージは、別添2)のとおりです。

一次答申の概要

<現状と課題>

○ 洋上風力発電は2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式を含む3,000~4,500万kWの案件形成を目標としており、更なる導入促進が必要。
○ 再エネ海域利用法に基づく促進区域指定と環境影響評価法等に基づく環境影響評価手続は、それぞれ独立した制度のため、両制度が並行して適用されること等により、
 ① 促進区域指定の際のより適正な環境配慮の必要性
 ② 複数事業者による環境影響評価手続の実施
 ③ 事業の実施区域の環境配慮に係る制度的重複
といった課題が生じている。

<新たな制度の在り方>

○ 領海において実施される事業では、上記の課題を解消するため、
  • 促進区域を指定する前の段階において、環境省が現地調査を実施し、当該調査の結果を踏まえ、風車の立地制約が必要となる範囲や発電事業の実施における留意点等を環境省が示した上で、これらに基づき、経産省及び国交省が促進区域を指定。
  • 促進区域の指定後、公募で選定された事業者は、環境省が実施した現地調査の結果等を考慮し、具体的な事業計画について準備書及び評価書手続を実施(配慮書及び方法書手続は適用除外)。
○ 排他的経済水域(EEZ)において実施される事業(※)では、
  • 広域の候補海域を指定する前の早期段階から、環境省が文献情報や環境データ(環境省が収集する海洋に生息する鳥類等のデータを含む。)を中心とした環境調査を実施し、当該調査の結果を踏まえ、経産省が候補海域を指定。
  • 事業者は、候補海域の中から事業者自身が設定した区域における環境影響評価手続を実施(配慮書は適用除外)。
○ また、洋上風力発電事業の環境影響に係る不確実性に対応する観点から、事業者の事業実施や事業継続に係る予見可能性を確保しつつ、工事中及び稼働中における実際の環境影響を把握するためのモニタリングを実施することが重要。

(※)現在、関係省庁において、排他的経済水域(EEZ)における洋上風力発電事業の実施を可能とするための制度案の検討が進められている。

連絡先

環境省大臣官房環境影響評価課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8236
課長
大倉 紀彰
課長補佐
山王 静香
係長
平山 歩夢
主査
大森 理絵
担当
髙宮 康大