報道発表資料

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2022年06月30日
  • 自然環境

「ポスト2020生物多様性枠組」第4回公開作業部会の結果について

  1.  2022年6月21日(火)から同月26日(日)まで、ケニア・ナイロビにおいて、「ポスト2020生物多様性枠組」に関する第4回公開作業部会(OEWG4)が開催されました。 
  2.  OEWG4では、OEWG3に引き続き、本枠組の各目標案を中心とした議論が進められましたが、多くの論点が合意されず、議論が持ち越されることとなりました。 
  3.  今次会合の結果も踏まえ議論が継続され、本年12月に開催されることとなった生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部において、本枠組等が合意される見込みです。

経緯

 愛知目標に続く生物多様性の新たな世界目標「ポスト2020生物多様性枠組」(以下「ポスト枠組」)は、本年開催予定の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部で採択される予定です。
 2022年3月にスイス・ジュネーブにおいて、「ポスト2020生物多様性枠組」に係る第3回公開作業部会(OEWG3)等が開催されましたが、多くの議題において各国の意見に隔たりがあったため、複数の選択肢を括弧書きで併記した成果文書(勧告案)が多数採択されました。こうした背景のもと、ポスト枠組採択の準備交渉を進展させるため、第4回公開作業部会(OEWG4)がケニア・ナイロビで開催されたものです。

会議の結果

 本会合では、ポスト枠組の1次ドラフトを中心に議論が行われ、締約国代表のほか、国際機関、NGO等が参加しました(日本からは環境省、外務省、農林水産省、経済産業省が参加)。
 本枠組の各目標やその他の項目について、OEWG3の結果を引き継いで議論が進められましたが、多くの論点が合意されないまま併記された形となり、それらはCOP15第二部に持ち越されることとなりました。今次会合の結果を踏まえて、COP15第二部において「ポスト2020生物多様性枠組」等が合意される見込みです。

ポスト2020生物多様性枠組に関する第4回公開作業部会(OEWG4)

① 開催期間
  2022年6月21日(火)~ 同年6月26日(日)

② 主な議題の結果概要
 ● ポスト枠組の各目標等
 ポスト枠組の各目標案を中心に議論が進められました。主な目標案のうち、都市における緑地・親水空間に関する目標や、保全等に関する能力構築に関する目標案の書きぶりについては全ての国が合意することができました。他方、下記に挙げたものを含むその他の目標については議論が収斂せず、COP15第二部に議論が持ち越されることになりました。
  • 2030年までに陸地と海洋のそれぞれ30%を保護・保全する目標案(30by30)については、数値目標以外の部分の書きぶりに多くの交渉時間が費やされ、具体的数値(30%等)については議論の時間が確保されませんでした。
  • 気候変動と生物多様性に関する目標案については、気候変動による生物多様性への影響を最小化することを、日本を含む多くの国が支持しましたが、数値目標の有無や細かな表現ぶりで修正案が多数提案されました。また、目標に含めるかどうかで意見が対立している「自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)」という用語の扱いは今次会合では扱われませんでした。
  • ビジネスと生物多様性に関する目標案については、OEWG3のテキストを元に議論が進められた結果、どのような手法で企業に情報開示等を促進するか、数値目標の是非、といった論点等に絞られました。
  • 資源動員に関する目標案については、OEWG3での議論に加え、生物多様性に関する新国際基金設立の提案が議論されましたが、必要性を主張する途上国と、既存の基金活用改善を求める先進国の間での対立が解消されませんでした。 
 ● 遺伝資源に係る塩基配列情報(DSI)
 DSIの取扱いに関するCOP15第二部における決定案の要素について案がまとめられましたが、引き続き以下を中心に更なる議論が必要な状況です。
  • ポスト枠組のゴールやターゲットにDSIについても明記すべきとするか否か。
  • DSIの定義や対象範囲、追跡可能性、利益配分の仕組み等。

今後の予定

OEWG4会合1日目のオープニングセッションにおいて、CBD事務局長から、COP15第二部が本年12月5日(月)~ 12月17日(土)にカナダ・モントリオールで開催されることが発表されました。また、同様の内容がCBD事務局から同時にプレスリリースされました。また、12月までの間、一部論点について小グループを作り会期間作業を行うこと等が共同議長から示唆され、今後詳細とともに決定される見通しです。

 
【参考1】「ポスト2020生物多様性枠組」に関する公開作業部会(Open-ended Working Group on the post-2020 global biodiversity framework: OEWG)
  • CBD-COP決定14/34により、「ポスト2020生物多様性枠組」の策定を支援するために設立。
  • 2019年8月及び2020年2月に、それぞれ第1回及び第2回会合を対面で開催済み。
  • 2021年8月~9月に第3回会合のオンラインセッション(第一部)を開催済み。
  • 2022年3月に第3回会合第二部を対面で開催済み。
 
【参考2】「ポスト2020生物多様性枠組」に係るウェブサイト
生物多様性条約事務局ウェブサイト
https://www.cbd.int/conferences/post2020/wg2020-04/documents

環境省ウェブサイト
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/treaty/post2020gbf.html

連絡先

環境省自然環境局 自然環境計画課 生物多様性戦略推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8275
室長
中澤 圭一 (内線 6480)
室長補佐
浜 一朗  (内線 6484)
係長
友居 洋暁 (内線 6482)