報道発表資料

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1997年08月26日

ナホトカ号重油流出事故による環境影響調査結果(水質・底質関係:第2次調査)

環境庁は、3月に引き続き、調査地域を重点化してナホトカ号重油流出事故に関して水質及び底質への影響を調査した。
 その結果、重油の漂着のあった1地点で重油含有成分等が微量検出されただけで、調査時点ではほぼ通常レベルとなっている。
 今後とも、局所的な油の水質への影響に留意した上で、漂着海岸付近を中心に水質等の監視が重要と考えられる。
1 調査目的
 本年3月に実施したナホトカ号重油流出事故による環境影響調査においては、広範な油汚染は認められなかったものの、一部地域において局所的に微量な油分が確認されたこと、また、気温の上昇に伴い、漂着油の溶出の可能性もあること等から、調査地域を重点化し、引き続き、水質及び底質の調査を行い、重油による水質及び底質への影響を把握する。

2 調査(採水)時期
   平成9年7月15日~17日

3 調査地点
  石川、福井県の重油漂着海岸付近及び環境基準点の一部 計15地点(別添地図参照)
  [3月調査において微量な油分(油成分)が確認された地点等]

4 調査項目
 (1) 水質
  【油関連項目】
   ○油分:n-ヘキサン抽出物質(重量法)、四塩化炭素抽出物質(赤外吸光法)
         ヘキサン抽出物質(蛍光光度法)
   ○重油含有成分:多環芳香族炭化水素、有機硫黄化合物
   ○浮遊タール(海面上の四塩化炭素抽出物質)

  【環境基準項目】
   ○生活環境項目:pH、COD、溶存酸素、全窒素、全りん、
              n-ヘキサン抽出物質(上述)

  【その他】
   ○水温、塩分

 (2) 底質
  【油関連項目】
   ○油分:n-ヘキサン抽出物質(重量法)、四塩化炭素抽出物質(赤外吸光法)
   ○重油含有成分:多環芳香族炭化水素、有機硫黄化合物 
  
  【その他】
   ○泥温、含水率等

5 調査結果
  (1) 水質
  ア 油分等
   ○  油分の指標となる項目のうち、水質環境基準生活環境項目であるn-ヘキサン抽出物質(基準値:検出されないこと)については、前回の調査と同様、いずれ地点からも検出されなかった(定量下限:0.5mg/l)。
 
 前回の調査で、油分がほとんど検出されなかったため、微量分析が可能な赤外吸光法で分析したところ、一部の地点において油分が微量(0.05~0.06mg/l)なら確認された。
 
これらの地点では、重油含有成分も見られないこと、また、浮遊物質量が高いことから、重油以外の油分の可能性も考えられる。

  イ 重油含有成分
   ○  重油含有成分のうち、多環芳香族炭化水素については、油の漂着のあった砂浜(1地点)で微量(ベンゾ(a)ピレン濃度で0.008μg/l)ながら確認された。それ以外の 地点では確認されなかった。
 これは、潮位及び水温の上昇により周辺の岩等に付着していた油分が、微量溶 出したのではないかと考えられるが、近傍の他地点のデータから見ても、局所的なものと考えられる。 
     [参考:WHO飲料水ガイドライン値 ベンゾ(a)ピレン 0.7μg/l]
 
 また、有機硫黄化合物についても、上述の砂浜以外では検出されなかった。 

  ウ 環境基準項目
   ○  生活環境項目については、上述のようにn-ヘキサン抽出物質(油分)が検出されず、また、その他の項目においても今回の事故による特段の影響は認められなかった

  (2) 底質
   ○ すべての地点で、重油含有成分が検出されなかった。

(参 考)
  表 水質の油分濃度分布(四塩化炭素抽出物質(赤外吸光法))
  0.02mg/l未満 0.02~0.05mg/l 0.05~0.1mg/l 0.1~0.5mg/l
全体(地点数)
 
うち
 環境基準点
13
 
 

 
 

 
 

 
 
   [参考:環境基準項目生活環境基準 検出されないこと(定量下限0.5mg/l)]

添付資料

連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
課長 畑野  浩(内線6640)
 補佐 西嶋 英樹(内線6643)