報道発表資料

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2007年09月22日
  • 地球環境

モントリオール議定書第19回締約国会合の結果について

 9月17日~21日の5日間にわたり、カナダのモントリオールにおいて「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第19回締約国会合」が開催されました。
 会合においては、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の規制スケジュールの強化を内容とした「モントリオール調整」が決定されたほか、今年がモントリオール議定書の採択20周年に当たることから、同議定書が過去20年に成し遂げた成果を確認し、今後も引き続きオゾン層保護に取り組んでいくことを再確認するなどの「モントリオール宣言」が採択されました。

1.会合の概要

  • 場所:モントリオール(カナダ)
  • 日程:9月17日~21日
  • 出席者:締約国の代表約540名、国際機関、産業界、NGO、プレス等約240名
  • 日本政府からは、西田恒夫駐カナダ大使を代表団長に、外務省、農林水産省、経済産業省及び環境省から担当者が出席

2.結果の概要

(1)代表団長演説
 各国の代表団長から、モントリオール議定書採択20周年に寄せての祝辞、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)対策の強化、そのための開発途上国支援の必要性、今後取り組むべき課題等について演説がなされた。
 日本からは、南極のオゾン量が1980年のレベルに回復するには、なお半世紀を要すると見込まれることから、引き続き必要な行動をとる必要があること、その具体例として、HCFC対策の強化、及び機器中のオゾン層破壊物質の排出抑制対策を挙げ、締約国会合等の場での議論が期待されることを表明した。
(2)今次会合における主な決定事項
○「モントリオール調整」(HCFC対策の強化)

 現行の議定書では、開発途上国において2010年に生産・消費が全廃されるクロロフルオロカーボン(CFC)の代替物質であるHCFCについて、2016年以降、その生産量・消費量を2015年の水準を上回らないよう規制し、消費量については2040年に全廃することとされている。
 今次会合では、開発途上国におけるHCFC対策の強化について集中的な議論がなされ、

1)
2009~2010年のHCFC生産量・消費量の平均値を基準に、2013年以降その水準を上回らないよう規制する
2)
2015年に-10%、2020年に-35%、2025年に-67.5%へ、段階的に生産量・消費量を削減し、
3)
2030年に既存の冷凍空調機器の補充用冷媒分(2030~2040年の間平均2.5%/年)を除いて全廃する

という規制の前倒し・強化スケジュールが合意された。
 また、モントリオール議定書多数国間基金を通じて開発途上国を引き続き支援し、開発途上国がこの対策強化を遵守できるよう同基金の今後の資金が安定的かつ十分であるべきことが合意された。
 さらに、先進国におけるHCFC対策についても、その消費量を2010年に基準量から75%削減するよう強化(現行は65%削減)するとともに、生産量を2010年に75%削減、2015年に90%削減、2020年に原則全廃する(現行は2004年以降基準量を上回らないよう規制)というスケジュールが合意された。

先進国におけるHCFCの消費量・生産量の規制は、1989年の消費量・生産量をもとに算定。
○「モントリオール宣言」の採択
 本年は、モントリオール議定書が採択されて20周年に当たることから、これまで同議定書が達成した成果を確認した上で、議定書に基づく全廃義務に対する約束の再確認、議定書が成果を挙げてきた要因とその継続的必要性の確認、気候変化など他の環境問題にも資する方法でオゾン層回復を加速する重要性の確認、議定書と他の国際機関との協調の可能性の確認などを内容とする宣言文が全会一致で採択された。

3.今後の開催予定

 モントリオール議定書第20回締約国会合は、来年11月にドーハ(カタール)にて開催される。

4.我が国の対応

 我が国では、今般の締約国会合の結果を受けて、改正されたHCFCの削減スケジュールを遵守するとともに、10月1日に施行される改正フロン回収・破壊法の円滑な施行を通じたオゾン層保護・地球温暖化防止対策の推進、及び開発途上国による議定書遵守並びにフロン回収・破壊等の支援を行っていくこととしている。

(参考)
○オゾン層保護のためのウィーン条約
○オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書

 「オゾン層保護のためのウィーン条約」は、オゾン層保護のための国際協力の基本的な枠組みを定めた条約(1985年採択)。
 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」は、ウィーン条約に基づきオゾン層を破壊する物質の削減スケジュール等の具体的な規制措置等を定めたもの。
 モントリオール議定書は、1987年に採択され、1990年(ロンドン改正・調整)、1992年(コペンハーゲン改正・調整)、1995年(調整)、1997年(モントリオール改正・調整)及び1999年(北京改正・調整)の5度にわたって規制強化のための改正等が行われてきた。
 条約締約国会議(COP)は3年に1度(前回は平成17年に開催)、議定書締約国会合(MOP)は毎年、開催されている。
 なお、条約及び議定書の締約国数は、下記のとおりである。

(2007年8月20日現在 国連環境計画(UNEP)資料より)
条約及び議定書並びに同改正の別 締約国数
ウィーン条約 191
モントリオール議定書
ロンドン改正(1990年)
コペンハーゲン改正(1992年)
モントリオール改正(1997年)
北京改正(1999年)
191
186
178
156
130
連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
直通:03-5521-8329
 室長:深見 正仁(内6750)
 室長補佐:伊藤 史雄(内6751)
 担当:吉崎 仁志(内6753)