報道発表資料

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2007年04月27日
  • 自然環境

中央環境審議会答申について

 平成19年4月27日(金)午前9時から開催された中央環境審議会野生生物部会(部会長:山岸哲(財)山階鳥類研究所所長)において、環境大臣より中央環境審議会に諮問された「狩猟鳥獣を定めることについて」及び「対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限を定めることについて」に関しまして審議が行われ、いずれも諮問のとおりとして差し支えない旨答申されましたのでお知らせします。

1.狩猟鳥獣を定めることについて(鳥獣保護法施行規則第3条)

 近年、著しくその数が増加したことにより、農林水産業や生態系等の被害の発生要因となっているカワウについて、鳥獣の保護を図るための事業を行うための基本的な指針(平成19年1月29日告示)で示している次の狩猟鳥獣の選定の考え方に合致していることから、狩猟鳥獣に追加するものです。

※選定の考え方
  • 生息状況が拡大し、農林水産業に係る被害が相当程度認められること
  • 狩猟での被害対策を目的とした捕獲等による個体数の抑制が期待できること
  • 繁殖力があり捕獲等がその生息の状況に著しい影響を及ぼすおそれのないこと
<現行>
※ 対象狩猟鳥獣48種(鳥類28種、獣類20種)
<改正案>
カワウの追加
※ 対象狩猟鳥獣49種(鳥類29種、獣類20種)

2.対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限について(鳥獣保護法施行規則第10条)

(1)ウズラの捕獲等の禁止

 環境省が実施した自然環境保全基礎調査等により全国的に生息分布の減少が指摘されているウズラについて、生息分布の減少の主な要因と考えられる生息環境の悪化に加え、狩猟の継続がウズラの生息状況に与える影響も否定できないことから、全国の区域において、5年間捕獲等を禁止とするものです。

<現行>
※ 規制の対象外
<改正案>
ウズラについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は全国(ウズラの捕獲を目的に含む放鳥獣猟区の区域を除く。)
  • 禁止期間は平成19年9月15日から平成24年9月14日

(2)ニホンジカの雌の捕獲等の禁止の解除

 近年、ニホンジカによる農林水産業や生態系等に係る被害が深刻な状況にあり、農作物については毎年40億円前後の被害額が生じています。また、自然環境保全基礎調査等においてニホンジカの生息分布の拡大が認められています。このようなニホンジカの生息状況を踏まえて、全国的に捕獲等を禁止しているニホンジカの雌について、捕獲等の禁止措置を解除しても生息状況には著しい影響は与えないと考えられ、さらに捕獲等の禁止措置の解除により個体数管理が効果的に行われると考えられるので、ニホンジカの雌の捕獲禁止を解除するものです。
 なお、現行のニホンジカの1日当たり1頭の捕獲制限は継続します。

<現行>
ニホンジカの雌について捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は全国
  • 禁止期間は平成15年4月16日から5年間
<改正案>
※ 捕獲等の禁止の解除

(3)その他

 捕獲等を禁止している次の狩猟鳥獣について、生息状況等の改善が認められないことや保護の必要性があることから、引き続き、5年間の期間延長を行います。

<現行>
[1]ヤマドリ(亜種コシジロヤマドリを除く。)の雌及びキジ(亜種コウライキジを除く。)の雌について捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は全国(ヤマドリの雌及びキジの雌の捕獲を目的に含む放鳥獣猟区の区域を除く。)
  • 禁止期間は平成15年4月16日から5年間
[2]ヒヨドリについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は東京都小笠原村、鹿児島県名瀬市及び大島郡並びに沖縄県
  • 禁止期間は平成15年4月16日から5年間
[3]ツキノワグマについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は三重県、奈良県、和歌山県、島根県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県
  • 禁止期間は平成15年4月16日から5年間
[4]シマリスについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域は北海道
  • 禁止期間は平成15年4月16日から5年間
<改正案>
[1]ヤマドリ(亜種コシジロヤマドリを除く。)の雌及びキジ(亜種コウライキジを除く。)の雌について捕獲等の禁止
  • 禁止する区域(※現行どおり)
  • 禁止期間は平成19年9月15日から平成24年9月14日
[2]ヒヨドリについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域(※現行どおり(ただし名瀬市について、名瀬市、大島郡笠利町及び同住用村が市町村合併により奄美市となったことから今回の省令改正で変更))
  • 禁止期間は平成19年9月15日から平成24年9月14日
[3]ツキノワグマについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域(※現行どおり)
  • 禁止期間は平成19年9月15日から平成24年9月14日
[4]シマリスについて捕獲等の禁止
  • 禁止する区域(※現行どおり)
  • 禁止期間は平成19年9月15日から平成24年9月14日

3.今後の予定

今回の答申を踏まえ、速やかに鳥獣保護法施行規則を改正する予定です。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室
課長:星野 一昭 (6460)
 室長:猪島 康浩 (6470)
 補佐:久保 芳文 (6472)
 係長:澤 邦之 (6493)
 (直通電話)03-5521-8285