報道発表資料

この記事を印刷
1996年11月15日

平成7年度全国の地盤沈下地域の概要

平成7年度の地盤沈下は、渇水の影響により沈下が増大した前年度に比べ大幅に減少し、環境庁が全国の地盤沈下面積の集計を開始した昭和53年度以降、最小の沈下面積であった。
 しかし、関東平野北部地域、新潟県南魚沼等で依然として地盤沈下が進行ていることから、地盤沈下の未然防止のため引き続き十分な監視と対策の推進が必要である。
1.状況
 平成7年度の年間2cm以上の地盤沈下地域及び沈下面積は14地域、21km2と、環境庁が全国の地盤沈下面積を集計を開始した昭和53年度以降、最小の沈下面積であった。
  (1)全国
   ・年間2cm以上の地盤沈下地域の面積
      平成7年度 14地域 21km2   (平成6年度 21地域 902km2)
   ・うち年間4cm以上の地盤沈下地域の面積
      平成7年度  2地域 1km2未満 (平成6年度  6地域 113km2)
   ・沈下体積(沈下面積と沈下量の積)
      平成7年度 1,255万m3(東京ドーム約10杯分)、平成6年度の約5分の1

  (2)主な地盤沈下地域
   ・関東平野(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県)
     年間最大沈下量 4.4cm(埼玉県、全国第2位)
     年間2cm以上の沈下面積 18km2(全国の約9割)
   ・筑後・佐賀平野(佐賀県)
     年間最大沈下量 2.5cm(全国第5位)
     5カ年累計沈下量 22cm(全国第2位)

   ・濃尾平野(岐阜県)
     年間最大沈下量 2.6cm(全国第3位)
     5カ年累計沈下量 17cm(全国第6位)

   ・南魚沼(新潟県)
     年間最大沈下量 5.3cm(全国第1位)
     5カ年累計沈下量 30cm(全国第1位)
 平成7年度は環境庁が面積集計を開始した昭和53年度以降、最小の地盤沈下面積となった。過去においても大幅の地盤沈下が生じた翌年は、沈下面積が減少する傾向が認められている。平成7年度の状況は、前年の大幅沈下の翌年であるため、沈下のリバウンド現象の影響も考慮する必要があるとの専門家の指摘もある。このため、依然として地盤沈下が継続している地域があることから、地盤沈下の未然防止のため、引き続き十分な監視と対策を継続、推進する必要がある。

2.対策
(1) 地盤沈下の防止を図るため、「工業用水法」、「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」及び条例等により、地下水採取規制等が実施されている。濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部地域については、地盤沈下防止等対策閣僚会議により地盤沈下防止等対策要綱を策定し、各種の施策を総合的に推進しているところである。要綱地域の状況は次の通り。 
1 濃尾平野及び筑後佐賀平野地域においては、昭和60年4月に地盤沈下防止等対策 要綱を策定した後、目標年次が到来したことから平成7年9月に一部改正を実施し、地下 水採取抑制の目標量を堅持(筑後・佐賀平野白石地区については早期達成)することとし ている。
 
2 関東平野北部地域においては、平成3年11月に地盤沈下防止等対策要綱を策定し 、地下水採取抑制目標年次の平成12年に向け、目標量を達成すべく引き続き総合的取組 を進めているところである。
 
(2) 環境庁としては、要綱に基づく対策のより効果的な推進のため、地域ごとのきめ細 かな地下水採取の抑制対策について調査、検討を進めているところである。
 
(3) 近年、頻発傾向がみられる渇水時に、激しい地盤沈下が発生する渇水時の地盤沈下 は、地下水涵養量の減少から地下水位が低下しやすい傾向に加え、表流水の不足から地下 水揚水量が増加し、急速に地下水位が低下することによる。このため、急速な消雪用地下 水の採取による地盤沈下への対策も視野に入れながら、地下水位の変動に着目した地下水 管理による地盤沈下防止対策についての調査、検討を進めているところである

*「参考」部分は、添付ファイルを参照。

添付資料

連絡先
環境庁水質保全局企画課
課長 柳下 正治 (6610)
 補佐 加藤 裕之 (6614)