報道発表資料

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2006年09月25日
  • 総合政策

水島発電所1号機改造計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

環境省は、水島発電所1号機改造計画に係る環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、今般設立された電気の販売を行う新会社への電源譲渡計画との関係についても適切に考慮し、施設の稼働に伴い排出される二酸化炭素を低減すること及び施設を適切に維持・運用することなどを求める環境大臣意見を提出した。
  1.  環境省は、水島発電所1号機改造計画(岡山県倉敷市、事業者:中国電力株式会社)、に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成18年9月25日付けで経済産業大臣に対し、環境大臣意見を提出した。
  2.  本事業は、燃料を石炭から天然ガスに転換するとともに、既設発電設備を火力発電設備として最も発電効率の良いコンバインド発電方式に改造しようとするものであり、環境負荷の低減が図られるとしている。
     二酸化炭素排出原単位も改善されるが、事業者による二酸化炭素に係る自主目標の達成にはさらに大幅な排出抑制が必要と見込まれていることから、本発電所の利用率をより高くするなど、二酸化炭素排出原単位の一層の低減を図る必要がある。
     また、本年8月に、中国電力とJパワー(電源開発株式会社)の同額出資により、電気の販売を行う新会社「瀬戸内パワー株式会社」が設立され、将来、中国電力から電源を譲渡することが計画されている。具体的な譲渡電源は未定であるが、譲渡される電源も含めて、事業者における地球温暖化防止対策に係る自主行動計画と整合のとれた適切な対応を図るとの観点から、本計画に係る環境影響評価においても京都議定書目標達成計画との整合性に係る評価を適切に行う必要がある。
     さらに、本発電所内の発電設備が「瀬戸内パワー」に譲渡される場合においても、評価書に記載されたところにより環境の保全への適正な配慮がなされるよう措置するとともに、これらの場合等において運転条件が変化する可能性があることから、事後の監視及び追加対策等の適切なフォローアップを行う必要がある。
     これらのことから、環境大臣意見では以下の内容について指摘している。

    (1)温室効果ガス

    • 当該事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本発電設備の利用率をより高くするとともに、他の発電所を含めた全体の稼働分担を適切に行うことにより、事業者が販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位の一層の低減を図ること。
    • 事業者において今般設立された瀬戸内パワー(株)に電源を譲渡することが計画されているが、譲渡される電源も含めて、京都議定書目標達成計画との整合性に係る評価を適切に行うこと。

    (2)フォローアップ

    • 供用後の本発電設備の利用率及び二酸化炭素排出量(排出原単位を含む)について把握し、その結果を踏まえ必要に応じ適切な追加対策を講じること。
    • 瀬戸内パワー(株)に本発電所内の発電設備を譲渡する場合においても、評価書に記載されたところにより環境の保全に適正に配慮して発電設備が維持・運用されるよう、適切に措置すること。この場合、供用後の発電設備ごとの窒素酸化物排出量を把握し、その結果を踏まえ必要に応じ適切な追加対策を講じることとすること。
  3.  なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。

    [参考]

    事業概要
    名称 水島発電所1号機改造計画
    事業者 中国電力株式会社
    計画位置 岡山県倉敷市潮通一丁目1番地
    発電方式 汽力からガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)に変更
    出力 12.5万kWから28.56万kWに能力増強
    燃料 石炭から天然ガスに転換
    運転開始時期(予定) 平成21年4月

    環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
    方法書縦覧 平成15年 8月 6日~平成15年 9月10日(住民意見13件)
    岡山県知事意見提出 平成15年12月10日
    経済産業大臣勧告 平成16年 1月30日
    準備書縦覧 平成18年 1月11日~平成18年 2月10日(住民意見11件)
    岡山県知事意見提出 平成18年 6月 1日
    環境大臣意見照会 平成18年 7月14日

    [環境大臣意見の内容]

    1 温室効果ガス

    (1)
    本事業は、既設1号発電設備について、燃料を石炭から天然ガスに転換するとともに、より発電効率の高いコンバインドサイクル方式に改造し、これにより二酸化炭素排出原単位の低減を図ろうとするものであるが、昨年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、電力分野における地球温暖化対策が一層重要となっている中で、事業者による二酸化炭素に係る自主目標の達成には京都メカニズムの活用などによりさらに大幅な排出抑制が必要と見込まれていることから、より一層の排出抑制効果が得られるよう本発電設備を維持・運用すべきである。
     このため、当該事業者が所有する火力発電所の中で最も二酸化炭素排出原単位の小さい本発電設備の利用率をより高くするとともに、他の発電所を含めた全体の稼働分担を適切に行うことにより、事業者が販売する電力全体の二酸化炭素排出原単位の一層の低減を図ること。また、その旨を評価書に記載すること。
    (2)
    事業者において今般設立された瀬戸内パワー株式会社に販売用供給力として電源を譲渡することが計画されているが、譲渡される電源も含めて、京都議定書目標達成計画との整合性に係る評価を適切に行い、評価書に記載すること。

    2 フォローアップ

    (1)
    供用後の本発電設備の利用率及び二酸化炭素排出量(排出原単位を含む)について把握し、その結果を踏まえ必要に応じ適切な追加対策を講じること。
    (2)
    事業者においては、瀬戸内パワー株式会社に本発電所内の発電設備を譲渡する場合においても、評価書に記載されたところにより環境の保全に適正に配慮して発電設備が維持・運用されるよう、適切に措置すること。また、この場合、窒素酸化物に係る予測の前提である発電設備の利用率等が変更され窒素酸化物排出量が増加するおそれがあることから、供用後の発電設備ごとの窒素酸化物年間排出量を把握し、その結果を踏まえ必要に応じ適切な追加対策を講じることとすること。
    (3)
    (1)及び(2)について、評価書に記載すること。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長 早水 輝好 (内6231)
 審査官 中西 重二 (内6239)
 TEL 03-3581-3351(代表)
     03-5521-8237(直通)

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