報道発表資料

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1996年12月19日

ダイオキシンリスク評価検討会及びダイオキシン排出抑制対策検討会の中間とりまとめについて

「ダイオキシンリスク評価検討会」においては、ダイオキシンのリスク評価に関する検討を進めてきたが、今般、中間報告がとりまとめられた。中間報告では、ダイオキシン類に係る「健康リスク評価指針値」が設定されるとともに、暴露の評価の結果を踏まえて、我が国におけるダイオキシン類に係るリスク評価が行われた。
 また、「ダイオキシン排出抑制対策検討会」においては、リスク評価の中間報告を踏まえ、多様な発生源に対する排出抑制対策のあり方について、中間的にとりまとめられた。

1.趣旨

 本年5月、環境保健部に設置された「ダイオキシンリスク評価検討会」において、健康影響の未然防止の観点からダイオキシンに係るリスク評価についての検討が進められ、今般、中間報告がとりまとめられた。
 また、同時期に大気保全局及び水質保全局に設置された「ダイオキシン排出抑制対策検討会」においては、発生源の排出実態や排出抑制技術の動向等について検討が進められているところであるが、リスク評価の中間報告を踏まえ、今後の排出抑制対策のあり方が中間的にとりまとめられた。

2.結果の概要

(1) ダイオキシンリスク評価検討会
{1} ダイオキシン類の毒性に関して評価を行い、人の健康を保護する上で維持されることが望ましいレベルとして「健康リスク評価指針値」を設定することとし、その値を体重1kg当たり一日の摂取量で5ピコグラム(5pg/kg/日)とした。
{2} 我が国におけるダイオキシン類の暴露の状況に関して評価を行い、一般的な生活環境での暴露を0.3~3.5pg/kg/日、一般的な生活環境よりも高い暴露を受ける条件での暴露を5pg/kg/日程度と推定した。
{3} 以上の結果から、我が国におけるダイオキシン類に係るリスク評価として以下のようにまとめられた。
ア. 一般的な生活環境においては、現時点で人の健康に影響を及ぼしている可能性は小さいと考えられるが、現在の暴露レベルは健康リスク評価指針値に比べて十分低いとは言えない状況にあるので、長期的により高い安全性を確保する観点から、今後、ダイオキシン類の環境中濃度の低減を図ることが望ましいと考えられる。
イ. 一般的な生活環境よりも特に高い暴露を受ける条件においては、暴露量の推定値が健康リスク評価指針値と同程度以上となることがあり得ることから、今後、健康リスク をより小さくするため、ダイオキシン類の環境中濃度の低減を図る必要があると考えられる。
(2) ダイオキシン排出抑制対策検討会
{1} ダイオキシンリスク評価検討会の中間報告を踏まえ、健康影響の未然防止の観点から、多種多様な発生源の排出実態や排出抑制技術の動向等を把握・評価し、総合的かつ計画的に排出抑制対策を推進することにより、健康リスク評価指針値の確保を図ることが必要である。
{2} 排出抑制のための施策として、規制的措置、事業者等による自主的な取組の促進等様々な政策手法を適切に推進するとともに、ダイオキシン類の環境濃度の状況や健康リスクの現状を把握するためのモニタリングの充実や情報の共有化を図る必要がある。

3.今後の取組

「ダイオキシン排出抑制対策検討会」においては、ダイオキシン類に係るリスク評価を踏まえて、各種発生源データや排出抑制技術レベルの評価等を行い、ダイオキシン類の排出抑制のための具体的対策について検討を進めていくこととしている。
「ダイオキシンリスク評価検討会」の中間報告の内容についての質問、意見をFAX、電子メールによって1月末まで受け付けることとし、その回答を最終報告のとりまとめの時点で公表することとしている。FAX番号等は以下のとおり。

  FAX   03-3580-3596
  電子メール dioxin@eanet.go.jp

(参考)検討委員

1.ダイオキシンリスク評価検討会                        
                
         池田 正之  東北大学名誉教授  
         近藤 雅臣  大阪大学名誉教授            
         櫻井 治彦  慶應義塾大学医学部教授       
         清水 誠   東京大学名誉教授     
      座長 鈴木 継美  前国立環境研究所所長       
         武田 信生  京都大学大学院工学研究科教授
         林  裕造  北里大学薬学部客員教授
         宮田 秀明  摂南大学薬学部教授              
         森田 昌敏  国立環境研究所統括研究官      

2.ダイオキシンリスク評価検討会毒性評価等分科会

         池田 正之  東北大学名誉教授  
         内山 巌雄  国立公衆衛生院労働衛生学部長
         櫻井 治彦  慶應義塾大学医学部教授              
         清水 誠   東京大学名誉教授     
      座長 鈴木 継美  前国立環境研究所所長
         遠山 千春  国立環境研究所環境健康部長
         林  裕造  北里大学薬学部客員教授
         増田 義人  第一薬科大学教授                
         宮田 秀明  摂南大学薬学部教授    
         森田 昌敏  国立環境研究所統括研究官
         安田 峯生  広島大学医学部教授               
         吉村 英敏  中村学園大学教授

3.ダイオキシン排出抑制対策検討会

         小林 康彦 (財)日本環境衛生センター専務理事
         呉 富士彦  大阪府公害監視センター次長
         近藤 雅臣  大阪大学名誉教授            
         武田 信生  京都大学大学院工学研究科教授
         田中 勝   国立公衆衛生院廃棄物工学部長
         長谷川 猛  東京都環境科学研究所参事
      座長 平岡 正勝  京都大学名誉教授  
         宮田 秀明  摂南大学薬学部教授              
         脇本 忠明  愛媛大学農学部教授
連絡先
環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課長  中島 正治  (内線6350)
 補佐  牧谷 邦昭  (内線6357)

環境庁大気保全局大気規制課
課長      飯島 孝  (内線6530)
 大気調査官 山口 泰正(内線6533)

環境庁水質保全局水質規制課
課長  畑野 浩    (内線6640)
 補佐  志々目 友博 (内線6645)