報道発表資料
この国際アジェンダは、植物園自然保護国際機構(BGCI、本部は英国)が植物園の生物多様性保全に対する役割及び保全活動について、その枠組みを定めたものです。
新宿御苑では国際アジェンダへの登録を機に、絶滅のおそれのある野生植物の保存への取組や普及啓発活動等を通じて、保護活動への貢献を一層強化していきたいと考えています。
1.植物園の保全活動に対する国際アジェンダとは
植物園自然保護国際機構(BGCI、(注))が、世界の植物園の生物多様性保全に対する役割及び保全活動について、その枠組みを定めたもので、2000年に開催された第1回世界植物園会議において、立ち上げられたもの。また、2002年の生物多様性条約第6回締約国会議で採択された「世界植物保全戦略」への主要な貢献としても位置付けられている。
本アジェンダでは、保全における植物園の国際的な使命は次のとおりとされている。
- 世界規模での植物の種の多様性と遺伝的多様性の喪失に歯止めをかけること
- 世界の自然環境の劣化の阻止に全力を投入し、実践的行動をとること
- 植物多様性の価値及びそれが直面する脅威につき一般市民の理解を高めること
現在及び将来の世代のために世界の自然資源の持続可能な利用を推進すること
本アジェンダには明日4月28日段階で、83か国、464機関が登録されることとなる。
我が国では、今回登録される新宿御苑を含め、東北大付属植物園、東京大付属植物園、国立科学博物館筑波植物園、東山植物園等11園となる。
登録は、所属組織の意志決定による「公式登録」と、植物園の長による「非公式登録」がある。今回の登録は組織の意志決定による「公式登録」である。
(アジェンダに関する詳細は別紙1)
(注):BGCIは正式名称をBotanical Gardens Conservation Internationalと言い、1987年に設立されたイギリス(キュー植物園内)に本部をもつ非営利団体。約150か国の500以上の植物園が会員であり、植物園を結びつける世界最大の組織。世界規模で植物の保全がより効率的に行われるよう、世界各地の植物園のネットワークづくりを進めている。
世界の植物園と絶滅危惧植物に関するデータを収集し、植物園に対して植物の保全に関する情報提供や専門的な技術指導を行うほか、専門書の出版や会議の開催など、様々な方法で植物園の活動を支援している。
2.新宿御苑の取組
国民公園である新宿御苑は、独特の庭園様式と旧皇室苑地としての歴史を持った、面積約58.3ha、周囲約3.5kmに及ぶ広大な庭園である。都心に位置し、毎年の入園者数は100万人以上であり、散策や休憩、庭園観賞などに広く利用されている。
新宿御苑は菊その他各種園芸植物の栽培については長い伝統を持っており、日本植物園協会にも所属する植物園としての機能も有している。(別紙2)
我が国の野生植物保護の取組としては、これまでも下記に掲げた、種の保存法に基づく希少野生植物種の生育域外(栽培下)の保全に取り組んでいる。その他、トックリヤシ、インドシタン等の国外の絶滅危惧植物の保全にも貢献している。
また、平成13年度より昨年度まで、毎年6月に絶滅危惧植物展を行うなど、植物保護に係る普及啓発活動についても積極的に取り組んできている。
100周年を迎えた新宿御苑は今回の登録を機に、絶滅のおそれのある野生植物の保存への取組や普及啓発活動等を行うことにより、保護活動への貢献を一層強化し、アジェンダへの登録園としての役割を果たしていきたいと考えている。
うち、種の保存法に基づく国内希少野生植物種(5種)
アマミデンダ
ムニンツツジ
ムニンノボタン
ハナシノブ
オキナワセッコク
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局総務課
課長 泉 真(6410)
補佐 吉田 一博(6412)
環境省自然環境局野生生物課
課長 名執 芳博(6460)
補佐 曽宮 和夫(6464)
環境省自然環境局総務課新宿御苑管理事務所
TEL 03-3350-0152
所長 国安 俊夫
温室第一科長 飛島 雄史