報道発表資料

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1998年11月26日

第139回電源開発調整審議会について

第139回電源開発調整審議会は、11月26日開催され、北海道電力が苫小牧市及び厚真町に計画中の苫東厚真発電所4号機など2地点の新規着手を含む平成10年度電源開発基本計画について審議された。
 新規に着手予定の2地点は、苫東厚真発電所4号機(石炭火力、70万kW)と、東北電力が福島県西会津町に計画中の第二上野尻発電所(水力、13,500kW)。当庁は、審議会等において、苫東厚真発電所4号機に対しては、石炭灰埋立量の削減や二酸化炭素削減のための熱効率の向上などについて、第二上野尻発電所に対しては、クマタカなどの希少な猛禽類の保護について意見を述べた。
1.新規着手地点の概要
(1)

苫東厚真発電所4号機
   本計画は、北海道の平成15年以降の電力需要の増加に対応するため、既設の苫東厚真発電所(1~3号機、計103万5千kW)に4号機(70万kW)を増設するもの。

事 業 者 北海道電力(株) 最大出力 70万kW
(発電所全体で173万5千kW)
計画位置 苫小牧市及び勇払郡厚真町 燃  料 石炭 約143万t/年
用  地 約6万m2
(発電所全体で約58万m2)
着  工 平成11年3月
発電方式 ボイラー・タービン方式 運用開始 平成14年10月
(2)

第二上野尻発電所
   本計画は、福島県阿賀野川水系阿賀川の既設上野尻ダムを利用して、既設の上野尻発電所(最大出力 52,000kW)に、第二上野尻発電所(最大出力 13,500kW)を併設するもの。

事 業 者 東北電力(株) 最大出力 13,500kw
計画位置 福島県耶麻郡西会津町 使用水量 100.00m3/s
発電方式 ダム式 着工 平成11年10月
有効落差 15.54m 運用開始 平成14年6月
2.審議会等における当庁発言の内容

【苫東厚真発電所4号機】
<審議会意見>
 本計画の石炭灰埋立場及びその周辺地域は湿生・水生植物の貴重な生育地であり、埋立による影響を極力避けるため、石炭灰の埋立処分量の削減を進め、可能な限り早期に全量有効利用する等の措置が講じられるよう、通商産業省におかれては事業者を指導されたい。
 また、発電所から排出される二酸化炭素を削減するため、既設機も含めて引き続き発電設備の熱効率の向上に努めるよう、併せて指導されたい。

<幹事会意見>

1.

石炭灰埋立場及びその周辺地域は湿生・水生植物の貴重な生育地であるとともに、貴重種を含む多様な動物の生息地となっている。このため、通商産業省におかれては下記につき事業者を指導されたい。

(1) 石炭灰の利用先の拡大を図ることにより、埋立処分量の削減を進め、現計画の石炭灰埋立場の延命化及びその縮小に努めるとともに、可能な限り早期に石炭灰を全量有効利用すること。
(2) 貴重な自然環境の改変や埋立場の北東に接する湿地等周辺湿地の乾燥化の助長等を極力避けるため、動植物等の補足・追加調査や周辺湿地の乾燥化等の追跡調査を行い、必要に応じ施工区域や施工工程の見直し、乾燥化防止等の対策について、専門家及び関係行政機関の意見を聞いた上で検討すること。
 また、貴重種の移植を行う場合には、移植後のモニタリングを実施し、必要に応じて維持管理対策を実施すること。
2. 発電所から排出される二酸化炭素を削減するとともに、温排水による水質及び海生生物への影響を抑制するため、既設機も含めて引き続き発電設備の熱効率の向上に努めるよう、通商産業省におかれては事業者を指導されたい。
3. 本計画は、苫小牧東部地域における石炭火力発電設備の増設であり、当該地域は、今後の開発が進んだ場合には大気環境の急激な変動が想定されるので、増設に当たっては燃焼制御や排出ガス処理に係る新技術の積極的導入、維持管理の徹底等大気環境負荷の低減対策を推進していく必要がある。このため、通商産業省におかれては下記につき事業者を指導されたい。
(1) 将来、当該地域の大気環境が悪化するおそれが生じた場合は、関係行政機関と協議しつつ、既設機も含めたばい煙諸元の見直しや更なる石炭粉じん対策等を行うこと。
(2) 硫黄分、窒素分等の少ない石炭の利用に配慮すること。
(3) 石炭利用に伴い発生する可能性のある重金属等微量物質について、モニタリングを行うなどにより、環境保全上支障を生じることがないよう措置をすること。
4. 国道36号及び国道234号においては、道路交通騒音に係る環境基準を超過しているため、工事中及び定期点検時の発生交通について、交通量の低減、運行ルート及び時間選定の最適化等により騒音の低減を図るよう、通商産業省におかれては事業者を指導されたい。

【第二上野尻発電所】
 <幹事会意見>
 本計画地周辺には、クマタカなどの希少な猛禽類が生息していることから、工事中のモニタリングを確実に行い、計画地近傍において新たに営巣地が確認されるなど大きな変化が生じた場合には、猛禽類に詳しい専門家及び関係行政機関に報告し、保全対策を見直すなどの適切な対策を講じるよう、通商産業省におかれては事業者を指導されたい。

 <参 考>
  電源開発調整審議会について
  [設置根拠]電源開発促進法(昭和27年7月31日法律第283号)
   (抜粋)

第8条(設置)

 総理府に、電源開発調整審議会(以下、「審議会」という。)を置く。

第10条(組織)

  1. 審議会は、会長及び委員16人をもって組織する。
  2. 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
  3. 委員は、左に掲げる者をもって充てる。
               一~六 (略)
               七 環境庁長官   
               八~九 (略)
連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室  長 :小林正明(内6231)
 審査官  :瀧口博明(内6233)
 担  当 :諸熊武史(内6233)