報道発表資料

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2005年06月22日
  • 地球環境

省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置の普及モデル事業対象事業者採択結果について

環境省は、二酸化炭素とフロンの排出削減を図るため、今年度新たに開始した「省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置の普及モデル事業」の対象14件を内定しましたので、お知らせいたします(別添1参照)。本件は、今年2月下旬~4月下旬の公募に応募いただいた事業者について、費用効率性等の観点から審査を行い、内定したものです。

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    1. 事業の背景及び目的
       冷凍倉庫、食品産業や各種化学プラントの冷却に用いられる冷凍装置として、近年、省エネ型自然冷媒冷凍装置が開発されたところですが、従来の冷凍装置より導入費用が高額になることから、普及が進んでいない状況にあります。
       このため、本事業では自然冷媒冷凍装置とフロン(注1参照)を冷媒(注2参照)として用いた従来型の冷凍装置の導入費用の差額に対して補助を行うことにより、自然冷媒冷凍装置の普及を支援し、エネルギー起源二酸化炭素の排出削減を図るとともに、併せてフロンの排出による温室効果の削減を目指しています。

  1. 自然冷媒冷凍装置について(別添2参照
     冷凍倉庫、食品産業や各種化学プラントの冷却に用いられる冷凍装置では、通常冷媒としてフロンが使われ、常時エネルギーを大量に消費していますが、近年、省エネによるエネルギー起源二酸化炭素の削減のみならず、フロンの排出による温室効果の削減にも有効な低温~超低温用の自然冷媒冷凍装置が開発されています。
     自然冷媒冷凍装置とは、冷媒にフロンを使用せず、アンモニア、二酸化炭素、空気等を冷媒に使用した冷凍装置をいいます。初期導入費用はフロン冷媒冷凍装置より高額ですが、ランニングコストが低減できます。また、フロン冷媒冷凍装置の場合、フロンの地球温暖化係数(注3参照)が大きいため稼働中等に漏洩した冷媒のフロンによる温室効果が大きくなりますが、自然冷媒の場合、地球温暖化係数は0又は1程度であるため、冷媒の漏洩による温室効果はごくわずかであり、地球温暖化防止の観点から普及が求められています。この普及を支援することが温室効果ガスの排出削減に結びつくことから、今年度から環境省において新たに本事業を開始したものです。
  2. 補助対象となる事業の概要について
    (1) 補助対象となる事業
     
    ・ アンモニア、二酸化炭素、空気等を冷媒に使用し、フロン類を使用したものより省エネルギー性能に優れた冷凍装置を導入する事業であって、京都議定書第1約束期間(2008~2012年)における温室効果ガスの排出量削減に資するものであること等が要件となっています。
    (2) 対象事業者(補助事業者)
     
    ・ 民間企業、独立行政法人、社団法人又は財団法人、法律により直接設立された法人
    ・ その他環境大臣が適当と認める者
    (3) 補助額
     
    ・ 省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置の導入を行うために必要な費用と、同等の冷凍能力を有するフロン冷媒冷凍装置の導入を行うために必要な費用との差額の3分の1を補助します。ただし、交付額は1事業所当たり2,500万円を上限とします。
  3. 採択結果について
    (1) 採択事業数
     
    ・ 14件
    (2) 補助金総額
     
    ・ 1億8499万円
    (3) 14件の年間排出削減見込み量の合計
     
    ・ [1]と[2]を合計し、年間の二酸化炭素排出削減見込み量としています。14件の初年度排出削減見込み量の合計は5,997t-CO(1件平均428t-CO)となっています。
    [1] 省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置と、同等の冷凍能力を有するフロン冷媒冷凍装置における年間の消費電力量の差から見込めるエネルギー起源二酸化炭素削減量
    [2] フロン冷媒冷凍装置を設置していた場合に考えられる稼働中のフロンの漏洩による温室効果を二酸化炭素換算した量(自然冷媒として二酸化炭素等を用いる場合には、稼働中に二酸化炭素等が漏洩することによる温室効果を差し引く。アンモニア、空気は地球温暖化係数が0のため、漏洩しても温室効果は生じない。)
    (4) 補助の費用効率性(=1t-CO削減当たりの補助金額)
     
    ・ (補助金総額)÷(14件の年間排出削減見込み量の合計)=30,849円 さらに、導入設備の法定耐用年数分の削減量、フロン冷媒冷凍装置を設置していた場合に考えられる冷媒充填時・装置の運転及び廃棄時におけるフロン漏洩による温室効果、冷媒フロン製造・回収・破壊等に要するエネルギー起源二酸化炭素排出量等を考慮すると、費用効率は上記金額よりも10~20倍良くなると考えられます。
  4. 今後の普及に向けた取組について
     補助事業者は、本事業の成果としての温室効果ガスの削減量を把握するとともに、省エネ型低温用自然冷媒冷凍装置導入による効果を広報し、同装置の普及を図ることとされています。
     この補助事業がきっかけとなって同装置の生産台数が増え、装置の価格が安くなることによって、更に普及が進むという効果も期待しています。
     このため環境省では、これらの結果を取りまとめた上で、同装置の一層の普及を支援することにより、冷凍装置におけるノンフロン化の推進と京都議定書目標達成計画に定められた温室効果ガスの排出削減に貢献してまいります。

 (注1)フロン オゾン層を破壊する性質を持つクロロフルオロカーボン(CFC)及びハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)並びに温室効果を持つハイドロフルオロカーボン(HFC)の総称。
 (注2)冷媒 冷凍機、空調機器等で被冷却物から熱を奪い冷却するための媒体。液体が気化する際に周囲から熱を奪う性質を利用するため、通常、目的の温度域で容易に気化し、その後加圧により再び液化しやすい気体が用いられる。
 (注3)地球温暖化係数 各温室効果ガスの地球温暖化をもたらす効果の程度を、二酸化炭素の当該効果に対する比で表したもの。(例:CFC-11:4,600、HCFC-22:1,700、HFC-134a:1,300、CO:1、NH3:0)



(参考) 京都議定書目標達成計画における代替フロン(HFC)等3ガスの目標について

 代替フロンHFCに加え、PFC(パーフルオロカーボン)、SF6(六ふっ化硫黄)の3ガス合計で、現状対策を継続した場合に基準年排出量に対して6ガス総排出量比+1.4%増加するが、追加的な対策を実施することにより、同+0.1%にまで排出量増加を抑制することとしている。また自然冷媒冷凍装置等の省エネルギー機器の導入支援措置等により二酸化炭素の排出削減を図ることや、代替フロンを使用しない製品の利用促進を図ること等が定められている。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
室長 宇仁菅伸介(内6750)
 補佐 松下 高志 (内6751)
 担当 難波智恵子(内6753)

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