報道発表資料

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2004年12月27日
  • 地球環境

第5回日中韓環境教育ワークショップ及びシンポジウムの結果について

日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM※1)で合意された優先取組分野の一つである「環境共同体意識の向上」に関するプロジェクトとして、日中韓三カ国の環境教育専門家等により構築された環境教育ネットワーク(TEEN※2)の第5回ワークショップ及び公開シンポジウムが、12月22日(水)から23日(木)にかけて、中国・天津市で開催されました。

1.背景

平成12年2月北京で開催された第2回日中韓三カ国環境大臣会合において、「環境共同体意識の向上」を図るための三カ国協力プロジェクトを形成、推進していくことが決定された。これを受けて、特に市民レベルの環境共同体意識の向上を具体化するプロジェクトとして、三カ国で「環境教育ネットワーク」が構築された。同ネットワークは平成12年以降、環境教育専門家等によるワークショップと公開のシンポジウムを毎年開催しており、今年度は子どものための環境教育の促進をテーマに、各国の専門家等が政策や活動事例について発表、議論を行った。

2.主催

中国国家環境保護総局、天津市

3.場所

中国 天津市

4.参加者

ワークショップ:日本、中国、韓国の政府、地方自治体の環境教育担当機関及び研究機関の専門家。日本(6名)、中国(10名)、韓国(4名)
シンポジウム:ワークショップ出席者、天津市民等。約150名。

5.日程及び議題

ワークショップとシンポジウムでは、三カ国の環境教育専門家、実践者による発表等が行われた。各プログラムと日本側発表者は以下のとおり。

[ワークショップ] 三カ国による子どものための環境教育(EEPC※3)の促進

12月22日(水)
テーマ1:三カ国におけるEEPCに関する政策
環境省環境教育推進室 飯田馨
「日本における子どものための環境教育プログラムに関する政策について」
テーマ2:EEPCに関するプログラム事例
(財)日本環境協会 宮川昌治
「発展を続けるこどもエコクラブ-日本におけるこどもたちの環境活動のひとつの事例-」
三カ国共通のEEPC教材作成について
各国参加者によるディスカッション
[シンポジウム] 三カ国によるEEPCの促進に関する地方の経験

12月23日(木)
つくば環境フォーラム 田中ひとみ
「日本における子どものための環境教育 地方の取組-NPO法人つくば環境フォーラムの活動から-」

6.結果

[1] ワークショップ
 ワークショップでは、上記の2つのテーマについて、各国より発表が行われ、質疑応答が行われた。三カ国におけるEEPCに関する政策について、日本からは、今年の9月に決定した「環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針」について、子どもに対する環境教育は、遊びを通じて学ぶとの観点が必要であるとの考え方を述べ、実施施策の内容を説明した。韓国からは、1985年から実施している環境教育モデル校での取組や現状、新たに始まった移動環境教室、環境省がインターネットにより指針や教材を提供していることなどが報告された。中国からは、学術研究者が報告を行い、中国のEEPCに関する政策の特徴として、概念的で知識中心であること、施策推進の中心が一般国民ではなく政府であること等が上げられたが、本年政府の環境教育指針が改定され、従来の特徴を変えていく可能性があるとの報告がなされた。
 次に、EEPCに関するプログラム事例が3カ国から報告され、日本からは、代表的事例として、こどもエコクラブの紹介を行った。韓国からは、野生の花を守ることを通じて、子どもの環境意識を向上させるという、京畿道における事例が報告された。中国からは、地元天津市におけるグリーン・スクールの活動等について報告が行われ、午後にはグリーン・スクールに指定された小学校を訪問した。
 また、EEPCに関する教材作成について日本側より計画案を提示し、これについて議論を行った。

 
[2] シンポジウム
 シンポジウムには、ワークショップ出席者、専門家及び天津市の地元市民を含めて約150名が参加した。
 はじめに、中国環境教育宣伝中心の焦志延高級工程師による基調講演が行われ、子どものための環境教育とその実践として、グリーン・スクールの他、スウェーデンとの合同環境教育プログラム等の施策が紹介された。また、子どもを通じて家庭や社会へ環境保全に対する意識が広がっていることが報告された。
 事例発表では、まず、日本から、つくば市において、母と幼児がともに参加する自然体験活動「しぜんっこくらぶ」等の事例を報告した。韓国からは、アニメと情報技術を活用した、子どものための教材事例の報告がなされた。最後に、中国からは、地元天津市において、学校のみならず、コミュニティーセンター等、地域社会全体で環境保全活動、環境教育が実施されていることが紹介された。
 
[3] 今後のTEENの活動について
1)EEPCに関する教材作成については、今回のワークショップでの議論を踏まえ、今後フォーカルポイント会議等で詳細を決定し、早急に着手する。
2)既に構築されているネットワークの下、引き続き環境教育専門家のワークショップ及びシンポジウムの開催等を通じて、三国間の交流を深めていく。次回は来年秋に韓国にて開催される予定。
 

※1 TEMM:Tripartite Environment Ministers Meeting
※2 TEEN:Tripartite Environmental Education Network
※3 EEPC:Environmental Education Program for Children

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課環境協力室
室長: 田中 聡志 (6760)
 補佐: 関谷 毅史 (6761)
 担当: 八元 綾 (6767)

環境省総合環境政策局環境経済課環境教育推進室
室長: 渋谷晃太郎(6240)
 担当: 飯田 馨 (6273)