報道発表資料
外来魚であるブラックバス・ブルーギルは日本に導入された後、急速に分布を拡大し、これらの在来生物群集及び生態系への影響が指摘されています。
このため、環境省は平成15年度に、魚類学、淡水域の生態系に関し専門性を有する研究者からなる検討会を設置し、ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響に関して、可能な範囲で収集することができた既存の科学的情報の整理を行いました。また、全国で行われている対策事例を収集し、水域の特性に応じた効果的な対策手法を整理しました。
その報告書を取りまとめましたのでお知らせいたします。なお、本報告書は一般向けに普及することを目的として7月20日(火)から(財)自然環境研究センターで発行、市販される予定です。
1.タイトル
平成15年度 ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策調査
2.結果概要
(1) | 生物学的特性 |
オオクチバス、ブルーギルは全国的に分布。コクチバスは35都道府県で生息を確認。 | |
(2) | ブラックバス・ブルーギルの侵入定着の状況 |
環境省が平成13年に選定した日本の重要湿地500*でブラックバス・ブルーギルの定着の可能性のある259カ所のうち、専門家からのヒアリングによるとオオクチバスが69カ所(27%)に、ブルーギルが46カ所(18%)に侵入定着しているのが確認された。 |
(3) | 在来魚類への影響 | ||||||||||||
ブラックバス・ブルーギルの捕食によりいくつかの水域で下記のような国内希少野生動植物種やレッドリストに掲載されている希少魚類が減少していたことが既存文献により確認された。なお、水質悪化が著しかったり、環境改変の影響を受けた湖沼ではブラックバス・ブルーギルによる捕食の影響が顕著でない湖沼もあった。
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(4) | 日本各地の対策事例 |
39都道府県の154の水域における対策事例を収集整理した。 |
(5) | 水域の特性に応じた対策 | |
各地の対策事例を水域の特性に応じてタイプ分けし、対策手法を下記の通り整理した。 | ||
・ | 天然湖沼:既存の漁法に加え、繁殖期に産卵床破壊など駆除努力を集中させる。 | |
・ | ダム湖:水位調整により産卵床を干出させる。 | |
・ | ため池:水抜きによる捕獲 | |
・ | 都市公園等の池:市民参加型の水抜きによる捕獲 | |
・ | その他、在来魚が生息しやすい環境への改善、モニタリング、他水域への流出防止、普及啓発などの方法についても整理。 |
3.要約版
別紙1のとおり
4.発行
[1]問い合わせ先:(財)自然環境研究センター
〒110-8676 東京都台東区下谷3-10-10
電話 03-5824-0960
http://www.jwrc.or.jp/
[2]予定価格:1800円(送料・税別)
<参考>
*日本の重要湿地500
環境省は我が国の湿地保全施策の基礎資料を得るため、平成13年12月に湿原、河川、湖沼、干潟、藻場、マングローブ林、サンゴ礁など生物多様性の観点から重要な湿地を500カ所選定した。選定基準は、1)生物の生育・生息地として典型的または相当規模の面積を有している、2)希少種、固有種が生育・生息している、3)多様な生物相を有しているなど。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
課長 :名執 芳博(6460)
企画官 :上杉 哲郎(6980)
課長補佐:堀上 勝(6981)
担当 :阪口 法明(6462)