報道発表資料
環境省は新潟県と協力して、トキの野生復帰に向けて順化訓練施設の設置について検討してきましたが、このたび、建設地として「佐渡市新穂(にいぼ)正明寺(しょうみょうじ)地内の約20haの区域」を選定し、本日から施設建設に向けた手続きを開始しますのでお知らせします。
- 順化施設の目的
佐渡におけるトキの野生復帰を実現するため、飼育施設と管理施設の建設及び餌場、ねぐら、営巣木等の環境整備を実施し、飼育下のトキが自然状態で自立して生存できるよう、採餌、営巣、育雛、繁殖、飛行、天敵回避等の訓練を行います。 - 順化施設の建設地
建設地は、佐渡トキ保護センターから直線距離で南東3.5km、標高およそ150mのところにあります。餌場となる水田跡地、沢及び湿地、ねぐらとなるナラ、スギ、マツ林並びに冬場の餌の確保に必要な地下水がある山林です。 - 建設地の選定理由
かつてトキの生息していた小佐渡東部薄倉沢川(うすくらざわがわ)上流一帯の候補地について地質調査、航空写真測量、植生調査等を実施した結果、施設整備のためにある程度平坦なまとまりが確保できること、生息に適した森林、湿地等の再現が可能であること及び現佐渡トキ保護センターとの連携が容易なことから、管理運営に最も適した当地区を選定したものです。 - 順化施設の概要
敷地約20ha内に訓練に必要な各施設を配置するとともに、周辺には放鳥後のトキが戻ってくることも想定し、湿地、営巣木、ねぐら木等の整備を行います。主な施設は次のとおりです。施設名 目的・機能 順化ケージ 最大飼育数を60羽と想定。施設は飛行訓練可能な高さ15m、1日の餌量から面積5000m2の規模。施設内の水は循環して再利用。人の関与を薄めた自然流下の給餌を確保。訓練レベルに応じてケージ内を仕切る構造を確保。 繁殖ケージ ケージを8棟建設、相互に見えないよう配置。親鳥と2羽のヒナが自然下で生息できる面積を確保。人の関与を薄めた自然流下の給餌を確保。 収容ケージ 傷病個体に応じた仕切りを確保。保温室で治療を行い、保温室と野外室を移動しながら訓練へ復帰。 管理棟 飼育管理に必要な監視、個体の治療、施設の保安等に関する拠点として事務室、治療室、モニター設備等の諸室を配置。 - 野生復帰のスケジュール
順化ケージ建設が完了する平成18年度には一部の運用を開始し、早ければ平成20年度に試験放鳥を行うこととしています。この試験放鳥開始までに、国、県及び市が連携し、小佐渡東部において餌場、ねぐら等の生息環境の整備を行うこととしています。 - その他
野生復帰の前段階として、今期から、自然繁殖(孵卵器を使わず、親鳥が抱卵し孵化させ育雛すること)に取り組んだ優優・美美(メイメイ)ペアの雛1羽(27日齢)が順調に生育しています。なお、ビデオ及び写真の提供の用意がありますので、必要な方は担当までご連絡ください。
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局野生生物課
課長:名執 芳博 (6460)
補佐:松田 博 (6469)
担当:佐々木真二郎(6469)
直通:03-5521-8283