報道発表資料
1. | 環境省は、石炭ガス化複合発電実証試験研究設備設置事業(福島県いわき市)に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成16年4月23日付けで経済産業大臣に対し、環境大臣意見を送付した。 | |
2. | 事業者である株式会社クリーンコールパワー研究所に対しては、経済産業大臣から、この環境大臣意見を勘案した意見が述べられることとなる。 | |
3. | 本事業が実施される常磐共同火力株式会社勿来発電所内では、チョウゲンボウが既設設備に営巣し、ハヤブサが既設設備を利用して採餌行動を行っている。石炭ガス化設備の稼働に伴いスラグが1日当たり約200トン発生し、また、実証試験研究終了後も継続して運転される可能性がある。 これらのことから、環境大臣意見では以下の内容等について指摘している。 |
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(1) | 生態系の上位種に選定したチョウゲンボウ及びハヤブサへの工事中の影響について予測、評価すること。 | |
(2) | 施設の稼働に伴い発生するスラグは全量有効利用を図ること。 | |
(3) | 実証試験研究終了後も引き続き運転が継続する場合には、実証試験研究結果を踏まえ、その時点で適切な環境保全対策を講じること。 |
[事業概要]
計画位置 | 福島県 いわき市 佐糠町大島20番地 |
事業者 | 株式会社クリーンコールパワー研究所 |
発電方式 | 石炭ガス化複合発電 |
出力 | 25万kW |
燃料 | 石炭 約50万トン/年 |
運転時期 | 平成19年9月から31か月 (予定) |
[環境影響評価手続]
方法書縦覧 | 平成13年10月30日~平成13年11月29日 |
準備書縦覧 | 平成15年9月12日~平成15年10月14日 |
[環境大臣意見の内容]
1. | 自然環境 | |
生態系の上位性の観点から選定したチョウゲンボウ及びハヤブサについては、チョウゲンボウは既設設備で営巣が確認されており、営巣地の直近で工事が実施されること、また、ハヤブサは計画地内でも採餌行動が確認されており、工事により足場や仮囲いが設置され建設機械も稼働することなどから、工事中における両種に対する工事実施による影響について予測、評価し、その結果を評価書に記載すること。 |
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2. | 廃棄物等 | |
(1) | ガス化炉の運転に伴い発生するスラグは、極力有効利用を図るとしているが、資源の有効利用及び産業廃棄物の最終処分量の削減のため、実証試験研究開始までの間にさらに有効利用方策の検討を進め、ガス化炉の運転に伴い発生するスラグは全量有効利用を図ること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
(2) | 工事の実施に伴い発生する残土は、全量既存の処分場で処分する計画としているが、資源の有効利用及び残土の処分量の削減のため、可能な限り有効利用すること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
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3. | 実証試験研究終了後の環境保全上の措置 | |
実証試験研究設備は、実証試験研究終了後に基本的に解体する計画としているが、その時点での社会状況などで変更となる可能性があるとしている。 実証試験研究終了後は、現段階に比べて設備の性能に関するデータが蓄積され、実証試験研究設備が持つ性能が明らかになるものであり、また、実証試験研究終了後に運転が継続される場合の燃料の性状やその使用量、年間の稼働時間といった稼働条件は、その時点で新たに設定されることとなる。 このため、実証試験研究終了後も運転が継続される場合には、その稼働条件と実証試験研究で得られた成果を踏まえて改めて環境に及ぼす影響についての検討を行い、その時点における適切な環境保全対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
添付資料
- (参考)発電所に係る環境影響評価の手続の流れ[PDFファイル 40KB] [PDF 39 KB]
- 対象事業実施区域の位置[PDFファイル 387KB] [PDF 386 KB]
- 実証試験研究設備の配置計画[PDFファイル 365KB] [PDF 364 KB]
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響評価課
環境影響審査室
室長 :小川 晃範(内6231)
審査官:礒田 浩 (内6239)