報道発表資料

この記事を印刷
2003年12月22日
  • 地球環境

「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」に係る中央環境審議会答申について

12月18日(木)に開催された中央環境審議会地球環境部会(部会長:浅野直人福岡大学教授)第11回会合において、本年8月に環境大臣が諮問した「今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について」に関し、海洋環境専門委員会(委員長:清水誠東京大学名誉教授)報告書を基に審議が行われました。これを受けて、本日、中央環境審議会会長から環境大臣に対し、答申がなされました。
 環境省では、本答申を踏まえ、「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(いわゆる「ロンドン条約」)の改正議定書(96年議定書)の締結に向け、国内体制の整備を図っていくこととしています。


【答申の概要】
 答申では、我が国が、世界有数の廃棄物海洋投棄国となっている事実等を明らかにした上で、今後の廃棄物等の海洋投入処分等の在り方について提言を行っている。
 提言のポイントは以下のとおり。
 

基本的考え方

 ロンドン条約は、廃棄物等の海洋投棄による海洋の汚染を防止することを目的とする条約であり、同条約の内容を改正・強化した96年議定書が、2004~2005年にも発効する見通しである。
 我が国は、国際発効に遅れることなくロンドン条約96年議定書を締結することを目指し、早急に国内体制の整備を図る必要がある。


[1] 廃火薬類等の海洋投入処分の中止
   96年議定書では、海洋投棄を検討できる廃棄物等は、附属書Iに列挙された品目に限定される。我が国で海洋投入処分が認められている廃棄物等のうち、「廃火薬類」及び「不燃性の一般廃棄物」は附属書Iに掲げられた品目に該当しないと判断される。したがって、これらの廃棄物等の海洋投入処分を速やかに中止するための措置を講じる必要がある。
 附属書Iに掲げられた品目に該当する廃棄物等:「浄化槽に係る汚泥・し尿」、「赤泥」(アルミナ製造工程において発生する残さ)、「建設汚泥」および「水底土砂」等

[2] 海洋投入に係る許可制度の導入
   96年議定書の附属書IIは、附属書Iに示す廃棄物等のうち、やむを得ない海洋投棄であり、かつ海洋投棄が海洋環境に影響をもたらさないことが明らかとなったものに限って、規制当局が期限を定めて許可を与える仕組みの導入を求めている。
 そこで、附属書IIに対応するため、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」等を見直し、排出事業者が廃棄物等の海洋投棄に係る許可申請を行い、その内容を国が審査して、有期限の許可を発給する制度を新たに設ける必要がある。許可申請に当たっては、排出事業者は以下の事項を明らかにする必要がある。なお、市民関与の機会を確保する必要がある。
 
  • a. 廃棄物等の種類と発生過程、発生量等
  • b. 海洋投入処分量の最小化方策
  • c. 廃棄物等の性状
  • d. 投棄予定海域の現況
  • e. 廃棄物等の海洋投棄による潜在的影響
  • f. 監視計画
[3] 陸上に起因する廃棄物の洋上焼却の禁止
   領海基線より外側では陸上に起因する廃棄物の洋上焼却を禁止する必要がある。さらに、内水(領海基線より内側)での洋上焼却についても、速やかに中止するように措置を講ずることが適切である。


審議会答申
今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長:荒井 真一(内線6740)
 補佐:水野 理 (内線6741)
 補佐:高橋 正史(内線6756)
 担当:長崎 孝俊(内線6746)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。