報道発表資料
そこで、環境省では、この計算上の矛盾を解消するために、酸素燃焼方式ガラス溶融炉について、標準酸素濃度補正式を改正することを予定しています。
本件につきまして、広く国民の皆様から御意見をお聞きするため、郵送、ファクシミリ及び電子メールにより、意見を募集(パブリックコメント)することとしました。なお、環境省では、パブリックコメント手続後、大気汚染防止法施行規則の改正を行う予定です。
1.改正の趣旨
空気の代わりに純酸素を用いて燃料を燃焼させる酸素燃焼方式を用いたガラス溶融炉は、燃焼ガス中にほとんど窒素が含まれないため、燃焼に伴い発生する窒素酸化物(以下「NOx」という。)が少なく、環境保全上好ましい技術です。我が国では、電気ガラス(液晶カバーガラス等)の製造については、既に酸素燃焼方式が導入されておりますが、今般、板ガラスの製造においても酸素燃焼方式を導入する動きが出てきました。
ところが、現行の大気汚染防止法に基づくNOx排出規制では、板ガラス製造に用いるガラス溶融炉の場合、燃焼方式によらず、空気燃焼方式を前提として定められた標準酸素濃度補正式※を用いて排ガス中のNOx濃度を計算することとなっており、酸素燃焼方式について同式にあてはめますと、同量のガラス生産に伴って発生するNOx量が減少しているにもかかわらず、計算上排出基準を超過するという矛盾が生じます。
そこで、今般、標準酸素濃度補正式を改正することによって、空気燃焼方式と酸素燃焼方式での排ガス組成の相違によって生じる計算上の矛盾を解消しようとしているところです。
一方、電気ガラス等につきましては、酸素燃焼方式を用いた場合は、NOx排出量が低減することにかんがみ、標準酸素濃度補正式を適用せず、実測のNOx濃度に対して排出基準を適用することとしてきましたが、今般の改正に合わせ、板ガラス製造に用いる酸素燃焼方式ガラス溶融炉と同様の考え方に基づく規制方式に改めることを予定しています。
(※)標準酸素濃度補正式 排ガスを外気で希釈して規制値以下にするという不正行為を防止し、施設間の公平な規制を図るために、次式から求められる換算濃度をもって排出基準への適否を判定するものです。
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2.改正案の概要
ガラス溶融炉に係るNOx排出基準は、大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚・通令1)別表第3の2におきまして、製造するガラスの種類ごとに以下の3種類の基準値が定められていますが、今般、これらについて以下のように見直すことを予定しています。
(現行)
製造するガラスの種類 | 基準値(ppm) | 酸素燃焼方式の場合の標準酸素濃度補正式 |
板ガラス又はガラス繊維製品 (ガラス繊維を含む。) |
360 | C=(21-On)/(21-Os)×Cs |
光学ガラス、電気ガラス又はフリット | 800 | C=Cs |
その他のガラス | 450 |
(改正案)
製造するガラスの種類 | 基準値(ppm) | 酸素燃焼方式の場合の標準酸素濃度補正式 |
板ガラス又はガラス繊維製品 (ガラス繊維を含む。) |
360 | C=(21-On)/(21-Os)×Cs ×1/E |
光学ガラス、電気ガラス又はフリット | 800 | |
その他のガラス | 450 |
(注) | C | : | 標準酸素濃度補正をしたNOx量。これを排出基準と比較します。 |
On | : | 各ばい煙発生施設毎に定める値(空気燃焼方式を前提とした現行の値をそのまま使用します。) | |
Os | : | 排ガス中の酸素の濃度 | |
Cs | : | 排ガス中のNOx量の実測値 | |
E | : | 排ガス組成に対する補正項であり、空気中の窒素の割合や溶融に伴いガラス原料から発生するガス量を勘案してE=4とします。 |
3.御意見の募集について
本件につきまして、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、平成14年3月18日(月)より平成14年4月12日(金)まで、郵送、ファクシミリ、電子メールにより意見(パブリックコメント)を募集いたします。御意見のある方は[御意見募集要領]に沿って御提出ください。集められた意見につきましては、取りまとめの上、排出基準の改正の参考にさせていただくとともに、公表する予定です。
なお、御意見に対して個別の回答はいたしかねますので、その旨御了承願います。
添付資料
- 連絡先
- 環境省環境管理局大気環境課
課 長 西出徹雄(6530)
課長補佐 奥田 毅(6533)
担 当 久保善哉(6539)