報道発表資料

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2001年07月10日
  • 大気環境

全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク) 平成13年度夏期観察の実施計画及び平成12年度冬期観察の結果について

 1.  全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、肉眼や双眼鏡等を使った身近な方法による星空観察を通じ、参加者に光害など大気環境問題への関心を高めてもらうことを目的に、昭和63年(1988年)から、環境省と(財)日本環境協会が都道府県・政令指定都市・中核市を通じ参加団体を募り実施している。
 
2.  平成13年度夏期観察は、平成13年8月9日(木)から8月22日(水)までを観察期間として実施する。参加方法等についての詳細に関する問い合わせは、各都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境担当部局または、環境省子どものページ(スターウォッチング)https://www.env.go.jp/kids/star.htmlまで。
 
3. 平成12年度冬期観察の結果は以下のとおりであった。
  (1)  参加団体は42都道府県の340団体、参加人数は延べ3,319人
  (2)  星空継続観察と同時に約4割の団体で「夜空の明るさと星の見え方に関する解説等」を実施。「光害の防止に関する解説等」や「大気汚染や大気保全に関する解説等」については2割程度の団体で実施。
 
 詳細は環境省ホームページ報道発表資料https://www.env.go.jp/press/index.htmlまで。

1 平成13年度夏期観察の実施計画

 (1) 観察期間  平成13年8月9日(木)から8月22日(水)まで
       (この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法 [1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察する。
      [2] 双眼鏡を用い、こと座のベガ(おりひめ星)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
      [3] こと座の1等星ベガを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
 
(3) 参加方法  都道府県・政令指定都市・中核市の大気環境担当部局(別表参照)へ参加申込みを行い、「観察の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気環境担当部局まで報告する。
 
 

2 平成12年度冬期観察の結果

 (1) 観察期間  平成13年1月14日(日)から1月27日(土)まで
       (この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法 [1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。
      [2] 双眼鏡を用い、"すばる(プレアデス星団)"のラケットの中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
      [3] おうし座の1等星アルデバランを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
     参加団体から報告された3項目の観察結果については、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長 村山定男 国立科学博物館名誉館員)が集計・解析を行った。
 
 (3) 参加団体・参加者数  全国で42都道府県の340団体(前年度比63団体減少)、延べ3,319人(前年度比1,975人減少)が参加


表1 観察参加団体・人数の推移(冬期)
 

年度 参加団体数 (都道府県・市区町村) 参加延べ人数
昭和63年度  75団体 ( 38 ・ 73 ) 1,556
平成元年度 166団体 ( 39 ・146 ) 3,198
平成2年度 142団体 ( 37 ・140 ) 2,774
平成3年度 179団体 ( 39 ・157 ) 3,003
平成4年度 188団体 ( 40 ・158 ) 2,831
平成5年度 250団体 ( 43 ・194 ) 4,090
平成6年度 286団体 ( 44 ・218 ) 4,108
平成7年度 291団体 ( 45 ・265 ) 4,454
平成8年度 345団体 ( 44 ・254 ) 5,197
平成9年度 386団体 ( 46 ・286 ) 5,562
平成10年度 361団体 ( 45 ・292 ) 5,606
平成11年度 403団体 ( 46 ・318 ) 5,294
平成12年度 340団体 ( 42 ・307 ) 3,319
(4) 観察結果
  [1] 天の川の観察結果
     星空を観察する際、観察する部分の高度が低いほど、大気環境の影響を受けやすくなり、星が観察しにくくなる。冬期観察では、天空(高度の高い位置)から順に、「ペルセウス座付近」、「ふたご座付近」、「いっかくじゅう座付近」の天の川の観察状況を調査している。
 平成12年度冬期における部分別の観察状況(天の川の見えた地点の割合)は、「ペルセウス座付近」41.8%、「ふたご座付近」39.1%、「いっかくじゅう座付近」27.4%であった。
 また、「ペルセウス座」付近の天の川の観察できた割合を、都市の規模別に見ると、巨大都市(人口100万人以上)5.3%、大都市(人口30万人以上100万人未満)6.7%、「中都市(人口10万人以上30万人未満)21.7%、小都市(人口10万人未満)63.4%であり、都市の規模により観察状況に大きな差が生じている。
  [2] 双眼鏡による観察結果
     参加者各人に双眼鏡を用い、"すばる(プレアデス星団)"のラケットの中の何等級の星まで見えるかを観察してもらい、その結果を基に、都市の規模別の平均観察等級(観察できた星の等級の平均)を算出した。(表2・図1参照)


表2 すばるのラケットの中に見える星の平均観察等級の都市規模別比較
 

都市の規模
 (人口)
巨大都市
(100万以上)
大都市
(30万以上
 100万未満)
中都市
(10万以上
 30万未満)
小都市
(10万未満)
全観察地点
の平均
昭和63年度 7.3 8.1 8.3 8.6 8.5
平成元年度 7.9 8.3 7.9 9.1 8.6
平成2年度 7.8 8.0 8.0 9.1 8.6
平成3年度 7.5 8.5 8.2 9.2 8.8
平成4年度 8.0 8.1 8.3 9.4 8.8
平成5年度 8.2 8.2 8.3 9.1 8.6
平成6年度 8.5 8.4 8.4 9.0 8.7
平成7年度 8.0 8.0 8.1 8.8 8.5
平成8年度 8.0 8.1 8.1 8.8 8.4
平成9年度 7.8 8.2 8.2 8.5 8.3
平成10年度 8.2 8.4 8.6 8.7 8.6
平成11年度 7.6 8.0 8.3 8.7 8.4
平成12年度 7.5 7.5 8.1 8.5 8.2

 

 注) 星の等級について
   天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約 2.5倍明るくなる。
 表2においては、数字が大きいほど暗い星まで見えることとなる。

 
図1 すばるのラケットの中に見える星の平均観察等級の推移
 


 

  [3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
   夜空の明るさは、撮影範囲・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それから求めた夜空の明るさを星の等級に換算した値で求めており、数値が小さいほど夜空が明るく、大きいほど夜空が暗い状態を示す。(表3・図2参照)
  

表3 カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の都市規模別比較(mag/□")
 

都市の規模
 (人口)
巨大都市
(100万以上)
大都市
(30万以上
 100万未満)
中都市
(10万以上
 30万未満)
小都市
(10万未満)
全観察地点
の平均
昭和63年度 18.6 19.7 21.8 20.7
平成元年度 17.5 18.3 18.8 21.0 19.9
平成2年度 17.0 18.3 18.6 21.0 19.8
平成3年度 17.8 17.9 18.6 20.8 19.8
平成4年度 17.0 18.1 18.2 20.8 19.6
平成5年度 17.7 17.7 18.4 20.6 19.5
平成6年度 18.2 18.1 18.9 21.1 19.9
平成7年度 18.5 18.4 18.9 21.4 19.7
平成8年度 18.0 18.0 19.0 20.8 19.8
平成9年度 17.7 17.7 19.2 20.7 19.7
平成10年度 18.1 18.1 19.4 20.6 19.9
平成11年度 17.5 17.9 18.9 20.8 19.8
平成12年度 18.4 17.8 18.6 20.7 19.8

 
図2 カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の推移
 

 
 
[参考]

_ 全国星空継続観察と同時に実施した環境教育等の活動
   全国星空継続観察と同時に実施した環境教育等の活動について、整理すると図3のようになり、全国星空継続観察と同時に約4割の団体で「夜空の明るさと星の見え方に関する解説等」が実施されていた。
 「光害の防止に関する解説等」や「大気汚染や大気保全に関する解説等」については2割程度の団体で実施されていた。
 また、「その他」の活動については、以下のような活動が具体的に報告された。
  星空継続観察実施の意義と、これまで5年間の成果について説明。
  オリオン座周辺の通称グレート'G'を主体とした星空の解説と、周辺地域の光害の現状に関する説明。
  あおぞら観察や酸性度調査の結果と合わせながら、自身の環境について意見を出し合った。
  星からの光が私たちの面に届くまで、どのくらいの時がかかっているのかという話をした。
  夏に奥日光白根で天の川を観察した。その時の星の見え方と、今回の1,2等級の星の輝き方の見え方の違いを比較した。東京では光害により下の方は白っぽく夜空が見えるのを確かめた。
 

図3星空観察と同時に実施した環境教育等の活動
 

3 ホームページの紹介

 環境省ホームページ
_  環境省ホームページ報道発表資料https://www.env.go.jp/press/index.htmlの中で、「全国星空継続観察」の実施結果及び実施予定に関する情報を掲載。また、こどものページ(スターウォッチング)https://www.env.go.jp/kids/star.htmlにおいても、事業を紹介。

<参考> 全国星空継続観察担当部局連絡先一覧
(問い合わせ先一覧)

添付資料

連絡先
環境省環境管理局大気環境課大気生活環境室
室   長:森本 英香(内線6540)
 室長補佐:石井 鉄雄(内線6543)
 担   当:弥吉・井上(内線6578)