報道発表資料

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2014年12月15日
  • 総合政策

下北風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、12日、青森県で計画されている「下北風力発電事業計画段階環境配慮書」(株式会社グリーンパワーインベストメント)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、株式会社グリーンパワーインベストメントが、青森県むつ市、下北郡東通村、上北郡横浜町、上北郡六ヶ所村において、最大で総出力130,000kW程度の風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、今後の方法書以降の手続きにおける現地調査及び予測結果を踏まえた上で、対象事業実施区域の設定に当たっては、「自然植生」の区域、尾根筋やその周辺における「代償植生」のうち自然度の高いブナ-ミズナラ群落等の区域及び既存道路が存在せず、これらの区域等を改変しない限り風力発電設備等が設置できない区域は除外すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である株式会社グリーンパワーインベストメントに対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 本事業は、青森県むつ市、下北郡東通村、上北郡横浜町、上北郡六ヶ所村において、最大で総出力130,000kWの風力発電設備を設置するものである。
 事業実施想定区域には、水源のかん養、土砂の流出防備及び土砂崩壊防備を目的とする保安林、ブナ、ヒノキアスナロ等が優占する自然度の高い森林、林齢の高い森林、風衝に位置する更新困難地等も存在している。また、事業実施想定区域の尾根筋には、北部の一部区域を除いて、風力発電設備の設置の際に活用できる南北方向の既存道路が存在しない。

3.環境大臣意見の概要

(1)対象事業実施区域の設定

  1.  1)計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、事業実施想定区域からの絞り込みの検討経緯を明確にし、比較すること。
  2.  2)自然度の高い植生となっている区域が尾根筋を中心にまとまって広く分布していることから、尾根筋周辺を改変した場合には、森林及び生態系の消失が想定されるほか林縁部の劣化等の影響が生じる恐れがある。したがって、今後の方法書以降の手続きにおける現地調査及び予測結果を踏まえた上で、対象事業実施区域の設定に当たっては、「自然植生」の区域、尾根筋やその周辺における「代償植生」のうち自然度の高いブナ-ミズナラ群落等の区域及び既存道路が存在せず、これらの区域等を改変しない限り風力発電設備等が設置できない区域については除外すること。
       これらの考えを踏まえ、原則として、事業実施想定区域の南冷水林道南端以南は除外すること。なお、植生に係る現地調査を行う場合は、十分な調査を行い、その結果を踏まえた予測及び評価を準備書に記載すること。

(2)各論

 1)鳥類について

  重要な鳥類への重大な環境影響を回避するため、重要な鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、環境影響を評価し、反映すること。
  また、猛禽類の調査、予測及び評価に当たっては、「猛禽類保護の進め方(改訂版)」の考え方も踏まえて行うこと。

 2)水生生物について

  沢筋等への土砂や濁水の流入に伴う重要な水生生物への影響が懸念されることから、沢筋等から距離を確保するとともに、工事実施時の土工量を抑制し、かつ、土砂の流出等を最小限に抑えること等により、重要な水生生物への影響を回避又は極力低減すること。

 3)植物について

  1.   ⅰ)重要な植物種に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ、影響を評価し、反映すること。
  2.   ⅱ)風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、既存道路や平坦な無立木地を活用することにより、新たな森林の伐開と地形改変を回避又は極力低減すること。
  3.   ⅲ)上記の(1)2)並びに(2)3)ⅰ)及びⅱ)により、影響を回避又は十分に低減できない場合は、基数の大幅削減を含む事業計画の見直しを行うこと。

 4)生態系について

  1.   ⅰ)尾根筋や沢筋の生態系は生物多様性の保全上重要であり、壊れやすく、回復が困難であることから、上記の(2)3)ⅱ)と同様とすること。
  2.   ⅱ)上記の(1)2)及び(2)4)ⅰ)により、影響を回避又は十分に低減できない場合は、基数の大幅削減を含む事業計画の見直しを行うこと。

 5)発生土について

  既存道路の拡幅、取付道路の敷設等に伴う発生土による自然環境への影響が懸念される。このため、既存道路の拡幅面積の最小化や既存道路の有効活用による道路新設の最小化等、発生土量を抑制すること。
  また、土量収支の均衡に努め、残土については、場外処分地への搬出を基本とすること。

(3)その他

 風力発電設備等のうち本事業との累積的な環境影響が想定されるものについては、明らかになっている情報を踏まえ本事業との累積的な環境影響について予測及び評価をすること。

【参考】

○事業概要
  • ・名称 下北風力発電事業
  • ・事業者 株式会社グリーンパワーインベストメント
  • ・計画位置 青森県むつ市、下北郡東通村、上北郡横浜町、上北郡六ヶ所村(事業実施想定区域面積:約1,640ha)      
  • ・出力 最大で総出力130,000kW
○環境影響評価に係る手続
  • ・平成26年 10月 28日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会
  • ・平成26年 12月 12日  環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長  :神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官 :岸田  周 (内6253)
担当  :具志堅洋介(内6232)
電話  :03-3581-3351(代表)
     03-5521-8237(直通)

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