報道発表資料

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1999年12月14日

平成10年度悪臭防止法施行状況調査について

 環境庁は、全国の地方公共団体の報告に基づき、平成10年度の悪臭苦情、悪臭 規制等の状況を取りまとめた。その概要は以下のとおりである。

(1)悪臭苦情の状況

平成10年度の悪臭苦情件数は 20,092 件で、平成9年度に比べて 5,538 件 (38.1%)増加した。これは、野焼きに係る苦情の大幅な増加(前年度 1,041件 → 5,881 件)と小型焼却炉での焼却に対する苦情が増えたこと等がその要因と なっている。苦情の発生源別内訳をみると、前年度に引き続き「サービス業・ その他」が最も多く、次いで「その他の工場」、「個人住宅・アパート・寮」の 順になっている。

(2)悪臭規制等の状況

悪臭防止法の規制地域を有する市区町村は、平成10年度末現在、全国の市区町 村の 52.5 %に当たる 1,719 市区町村(前年度比 11 市町村の増)であった。 これらの規制地域内において平成10年度には立入検査が 4,855件(前年度 3,712 件)、報告の徴収が 658 件(同 640 件)、測定が 148 件(同 129 件) 行われ、前年度に比べかなり増加した。また、測定の結果、規制基準を超えて いたものは26件(同22件)であり、法に基づく改善勧告が1件(同3件)行われ た。これらの措置のほか行政指導が 7,174 件(同 5,744 件)行われた。

環境庁としては、今後とも、悪臭防止法に基づく悪臭防止対策の推進を積極的に 図っていく。

1.調査の目的

 本調査は、悪臭防止行政の一層の推進を図るため、環境庁が毎年度全国の都道府県、 指定都市及び中核市に対して、悪臭苦情の状況、悪臭防止法に基づく各種措置の施行 状況等について調査を行い、その結果を取りまとめているものである。

2.調査結果

(1)悪臭苦情の状況

[1] 苦情件数の推移

悪臭に係る苦情件数は昭和47年度をピークに概ね減少傾向にあったが、ここ数年 は増加傾向にある。平成10年度は 20,092 件で、平成9年度に比べて 5,538 件 (38.1%)増加した(図1)。これは、野焼きに係る苦情の大幅な増加と小型焼却炉 での焼却に対する苦情が増えたこと等がその要因となっている。

[2] 都道府県別の苦情件数

平成10年度の苦情件数を都道府県別にみると、苦情件数の多い都道府県は例年 とほぼ同じで、東京都、愛知県、埼玉県、神奈川県、大阪府、の順になっており、 これら上位5都府県で、総苦情件数の 40 %以上を占めている(表1)。 また、苦情件数を平成9年度と比較すると、47都道府県中 40 都道府県で 増加しており、平成10年度の苦情件数の増加は全国的なものであるといえる (表2)。

これに対し、苦情件数が減少したのは6県であった。

[3] 発生源別の苦情件数

平成10年度の苦情件数を発生源別にみると、飲食店や自動車修理工場等の 「サービス業・その他」が最も多く、9,995 件で全体の 49.8 %を占め、 第2位は木工工場や塗装工場等の「その他の製造工場」の 2,091 件(10.4%)、 第3位は「個人住宅・アパート・寮」の 2,048 件(10.2%)であった。 「サービス業・その他」は昨年度に比べ苦情件数が大幅に増加しているが、 「サービス業・その他」には野焼きに起因するものが含まれており、増加分の ほとんどは野焼きに係る苦情が増加したことによる。また、製造工場全体の 苦情件数は 3,725 件(18.6%)であった(図2)。 前年度との比較では、「畜産農業」が 3.8 ポイントの減少となっているのに 対し、「サービス業・その他」は 15.7 ポイント増加している。この傾向は、 ここ数年同様のものである。 なお、野焼きに係る悪臭苦情が今年度は 5,881 件と昨年度(1,041件)に比べ 大幅に増加していることをうけ、その発生源について調べたところ、資材置場 (1,004件)、個人住宅等でのゴミ焼き(937件)、建設作業現場(417件)、 農地(273件)、木工工場(227件)が目立った。

[4] 規制対象とそれ以外の苦情件数の比較

平成10年度の総苦情件数 20,092 件のうち、悪臭防止法の規制対象となる規制 地域内の工場・事業場に対するものは約6割の 12,206 件(60.8%)であり、 規制地域外の工場・事業場に対する苦情( 3,172 件、15.8%)及び「一般住宅・ アパート・寮」、「下水・用水」など非規制対象の発生源に対する苦情 (4,714件、23.4%)が残りを占めている(表3)。

(2)悪臭規制等の状況

[1] 規制地域の指定状況

悪臭防止法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成10年度末現在、 1,719 市区町村(前年度末 1,708 市区町村)で、全国の市区町村数の 52.5 %に 当たる(表4)。

[2] 悪臭防止法に基づく規制措置等の状況

平成10年度中に、規制地域内で悪臭防止法に基づく措置等を行った件数は、 表5のとおりである。 平成10年度に行われた立入検査は 4,855 件(前年度 3,712 件)、報告の徴収は 658 件(同 640 件)、測定は 148 件(同 129 件)と前年度に比べかなり 増加した。また、測定の結果、規制基準を超えていたものは 26 件(同 22 件)で あり、法に基づく改善勧告は1件(同3件)行われた。 これらの措置のほか、悪臭防止に関する行政指導が 7,174 件(同 5,744 件) 行われた。

[3]臭気判定士の状況

平成8年に創設された臭気判定士の数は年々増加しており、平成10年度の臭気 判定士免状の取得者数は 208 名で、平成10年度末現在の臭気判定士免状の 取得者は 1,400 名になっている。

[4]悪臭対策関連の条例・指導要綱等の状況

悪臭防止法に基づく規制基準の他に、条例・要綱等により規制基準や管理基準等 を設けて悪臭対策を行っている地方公共団体は、条例が 38 都県市、指導要綱等が 37 都道県市ある。 このうち、嗅覚測定法による規制基準又は指導基準を設定している地方公共団体 は、条例が 11 都県市、要綱等が 37 道県市である。

連絡先
環境庁大気保全局大気生活環境室
室   長 :藤田八暉(内6540)
 室長補佐 :高橋達男(内6542)
 担   当 :高橋一彰(内6545)